欧州の EMS(Electronics Manufacturing Services: 電子機器受託製造サービス)業界でトップ 10 にランクインしている LACROIX Electronics 社(LACROIX グループ)は、産業用機器、ホームオートメーション、自動車、民間航空電子機器/民間防衛、および医療分野を対象とした、電子機器の受託製造業を専門とする企業です。電子部品アセンブリおよびサブアセンブリの設計から大量生産に至るまで、グローバル規模で産業用ソリューションを提供しています。
課題
LACROIX Electronics 社は、製造プロセスとコンポーネントのテストの状況をリアルタイムで把握する一方で、産業データの収集方法を改善して機器の故障とコンポーネントの不具合をより適切に特定できるようにする手法を模索していました。LACROIX Electronics のオペレーショナル・エクセレンス戦略は財務と生産性に関する要素が大きな部分を占めており、多くの工場で毎日 1,000 万個以上のコンポーネントを処理していることを考えると、製造に悪影響を与えるソリューションであってはなりませんでした。また、自動化、接続性、設備、IT および OT システムのレベルがそれぞれ異なる複数の工場に展開できるだけの柔軟性と拡張性を備えたソリューションである必要もありました。
アプローチ
LACROIX Electronics 社は KPMG 社とアドバイザリーサービス契約を結び、技術面および財務面での複数の要件(主に 5 つ)を提示しました。LACROIX Electronics 社の新しいソリューションは、以下の点を満たしている必要がありました。
- 管理の容易な最新のコンピューター言語を使用して開発されている
- LACROIX Electronics 社が開発において完全な独立性を保てるように、オープンかつ相互運用可能である
- 非常に多様な機能と使用期間(数カ月~数年)の混在した複数の機械が使用されている環境に接続できる
- 簡単にインダストリー 4.0 に進化させることができる機能を備えている
- 明確な取得および運用コストを提示でき、ROI を簡単に計算できる
複数の SCADA / MES 専門 ISV に相談した後、最終的に選ばれたソリューションは PTC の ThingWorx でした。この選択は、システムインテグレーターの ARDTIC 社と連携して行った実行可能性調査が完了した後で確定されました。最初はフランスのサイトに導入された ThingWorx は現在、LACROIX Electronics 社のその他の工場にも導入されています。
ソリューション
PTC の産業 IoT プラットフォーム ThingWorx は、SDM ライン、オーブン、溶接所、その他の機械を含む IT および OT システムのデータを集約し、正確かつリアルタイムの機器の状態の情報を提供します。インシデントが発生した場合、作業員はこのデータと可視性を駆使して容易に問題を解析して修正し、迅速に生産を再開できるため、ダウンタイムが削減されます。その結果、スクラップの減少、品質の向上、業務効率の強化が可能になり、OEE の改善とマニュファクチャリング・エクセレンスを実現できます。ThingWorx が提供する製造ラインの情報はカスタマイズ可能なダッシュボードに表示され、ラインの末端にあるモニターで参照できます。情報の視認性が非常に高いため、作業員やチームリーダーの日常的な作業と意思決定が促進されます。さらに、必要に応じて、従業員はあらゆるタイプのモバイルデバイスでこの情報をリモートから参照できます。12,000m² の広さがあるサイトでは、機動性モビリティが非常に重要です。このように複雑なプロジェクトを成功させるには、関係者全員が簡単に導入し活用できるソリューションでなければなりません。ThingWorx を導入した LACROIX Electronics 社は、既存のシステムに容易に統合できる、アプリケーションの迅速な開発機能と組み込みの統合機能を備えた相互運用可能なソリューションに信頼を寄せています。また、プロジェクトのごく初期段階から工場の作業員を関与させる LACROIX Electronics 社の変更管理戦略のおかげで、作業員が ThingWorx のメリットを理解し、レビュー中の産業パフォーマンスを改善するために活用できました。
次のステップ
PTC の ThingWorx を導入した LACROIX Electronics 社は、スマートインダストリー戦略の主要な要素を確実に取り入れることができるようになりました。収集されたデータを活用して、機器の状態に関する知識を増やし、製造ラインの全体像を把握し、異常やメンテナンス要件を早期段階で検出しています。LACROIX Electronics 社の最初の目標は、LACROIX Electronics 社の Symbiose プロジェクトに関連する損失の削減と最大限の節約を実現し、フランスに新しい未来の電子工場を作り上げることでしたが、今ではデータの接続性をはるかに超える構想を練っています。たとえば、予測メンテナンスを導入してオペレーショナル・エクセレンスを実現する、または拡張現実 (AR) によりインパクトのあるコンテンツを提供する、といったアイデアを検討しています。
LACROIX Electronics 社: スマートインダストリー、IoT、デジタル化。
「インシデントデータを可能な限り早い段階で特定し、そのデータを伝達したいと考えています。これにより、作業員が自ら率先してインシデントを分析し、生産への悪影響を可能な限り抑えながらインシデントに対応できまるでしょう。IoT プラットフォーム ThingWorx を導入したことで、これまで考えられなかったほどのスピードと効率でこれを実現できています。」
Emmanuel Thommerel 氏、IT 担当 VP