風力タービンで世界をリードする Vestas 社、次世代の持続可能なエネルギーの導入を促進するためにデータをデジタル化
- より持続性の高い未来の実現に向けて、環境に優しい次世代ソリューションを構築
- PTC の Operator Advisor を活用して、すべての製造手順をわかりやくビジュアル化することで、紙ベースの マニュアルの利用を削減
- 数千の部品から構成される、正確なアセンブリを要する製品で、初回組み立て時間の短縮と完成品の 品質向上を実現
Vestas 社は 40 年間にわたって風力エネルギーの最前線を歩んできました。同社によって設置された設備での発電量は、全世界の風力発電量の 17 % 以上を占めています。また、同社の市場をリードする風力エネルギー ソリューションにより、エネルギー コストが引き下げられる一方で、風力エネルギーがニッチからメインストリームと引き上げられてきました。従業員数は 2 万 3,000 人以上。業界の先端を行くスマート データ機能を提供し、稼動中の風力タービンの数でトップを誇る Vestas 社は、持続可能なエネルギー ソリューションの未来を先導しています。
課題
今日の環境に優しい世界で最も複雑で最も需要のある製品を製造する Vestas 社は、多数の職工が厳格な細かい工程に沿って数千点の材料を組み立てなければならない製造プロセスの改善を望んでいました。ある組み立てプロセスは非常に変動的なため、使用する機械に関して、非常に詳細な作業指示が必要です。そして、従来、そうした指示は数百ページの紙に印刷されていました。業界の未来を見据える Vestas 社では、製品への最新技術の導入を頻繁に行っていたため、作業指示も最初のままではなく、アップグレードや設計変更があるたびに更新して、最新の仕様やベスト プラクティスを反映する必要がありました。現在、作業者が製品企画チームの役割の一環として各作業場を訪れて、すべてのワークフローに最新の情報が適用されていることを確認しなければなりませんが、そのために、時間のかかるレビュー プロセスや不必要な出張費が生じていました。そのうえ、この原始的なプロセスでは、作業者が分厚い作業指示書のページを手でめくって見ていかなければならなかっただけでなく、その内容が実際の仕事に関係しない場合もあったため、さらなる生産性の低下を招いていました。また、製造分野の多くの組織が経験しているように、社内で最も熟練した職工の一部が定年を間近に迎えているため、彼らの豊富な知識を取り込んで保管することが必要になっています。結局のところ、今日の凌ぎを削るスマート マニュファクチャリングの世界では既存の手法を維持できないことを認識していた Vestas 社は、これらのワークフローの改善を手助けしてくれるパートナーを探すことを決断しました。
アプローチ
インダストリー 4.0 のテクノロジを探し求めるなかで明らかになったのは、製造にデジタル第一のアプローチを適用し、紙ベースの作業指示書からの脱却を図る必要があることでした。その実現のために、Vestas 社は、CAD 設計から製造までのすべてが完全にデジタル化されたタービン製造プロセスの導入を進めています。同社が選んだのは PTC の ThingWorx Operator Advisor でした。これにより、機械のオペレータは、作業内容を確認して、それを実行するために必要となる適切な情報をすべて単一のインタフェースから参照できるようになりました。たとえば、特定の役割向けのデジタルな作業命令書や作業指示とともに、多彩な CAD 図面やビデオも参照できます。
結果
ThingWorx プラットフォームを通じて、構築済みで構成可能な構成要素を利用できるため、構想から製造までを網羅した Operator Advisor の完全な展開に要する期間は、社内開発のソリューションを展開する場合の半分未満で済むと予想されています。同社では、組み立ての作業指示書の印刷が不要になることで、製品企画チームが現在行っている作業を大幅に削減できることを期待しています。労働集約的な製造業務に、作業者を支援する多様な機能を備えたテクノロジを導入することで、Vestas 社の製造工場の従業員は、自分の仕事を完了するために必要なすべての情報に、デジタルにリアルタイムでアクセスできるようになります。これにより、退職するベテラン従業員が感じている影響を緩和し、製造分野で現在起きている、従業員の保持に関連した不安定性に対処することができます。さらに、安全の確保やトレーニング時間の短縮など、その効果は広範にわたります。なぜなら、このテクノロジにより、職工が、目下の作業に必要な情報だけでなく、その作業を完了する最善の方法に関する情報も入手できるようになるからです。
ThingWorx Operator Advisor により、工場で働く従業員への情報提供の方法が一変しました。紙のマニュアルでテキストで指示を伝えていたのが、PLM の 3D CAD ファイルで作業指示を提供するようになりました。情報がコンテキストとともに提供されるようになったことで、従業員は、さまざまな IT システムや OT システムで適切な情報を探し回る必要がなくなり、目下の作業に集中できるようになりました。
マーク・ジャクション (Mark Jaxion) 氏、Vestas、IoT およびインダストリー 4.0 上級戦略スペシャリスト リード
次のステップ
次世代のスマート マニュファクチャリング テクノロジへの対応を計画している Vestas 社と PTC のパートナーシップは、今後も利益をもたらし続けるでしょう。Vestas 社が求めていた、デジタル、3D、ビデオ、拡張現実によって運用データを表示するソリューションを提供していたのは、PTC だけでした。このテクノロジの導入により、データをほかのスマート ツールやロボットに簡単に統合するためのロード マップが構築され、未来の工場の成功は確実となる、と Vestas 社は考えています。
さらに、Vestas 社では、同社の企業文化に従って自社工場でも持続可能なソリューションを構築するために、Operator Advisor によって環境への依存を最小化することを検討しています。このテクノロジにより、すべての製造施設から、印刷機やコピー機、無数の書類の箱も排除できることが期待されています。