課題 多くの製造業にとって最初に検討すべき事項の 1 つは、多様かつ複雑なニーズのすべてを満たす適切な産業 IoT (IIoT) ソリューションを選定し実装することです。ここで多くの企業が直面するのが、「DIY か購入か」というジレンマです。


デジタルトランスフォーメーション (DX) に向けた取り組みを開始するには、早期の重要な意思決定が必要

製造業では、オペレーション全体に関わるような先進テクノロジーを導入することで、大きな効果が得られる可能性があります。OEE の改善、スループットの増加、顧客満足度と収益の向上など、デジタルトランスフォーメーション (DX) に着手することで、ビジネスに明確かつ持続的な影響を与えます。

しかし、このような変革に備えるには、ソフトウェアライセンス、開発期間、提携すべきパートナーなどについて、早期に重要な意思決定を計画する必要があります。多くの製造業にとって最初に検討すべき事項の 1 つは、多様かつ複雑なニーズを満たす適切な産業 IoT (IIoT) ソリューションを選定し実装することです。ここで多くの企業が直面するのが、「DIY か購入か」というジレンマです。一見すると、DIY プラットフォームの開発は費用対効果が高くカスタマイズにも適応しているように思えますが、高度な技術的知識が必要である、実装に数年間かかる、監督のための費用が発生する、専任の開発チームが必要であるなど、マイナス面もあります。残念ながら、多くの企業は効果的な DIY 開発を行うための要件となる対象分野における高い専門知識を持っていません。このような理由により、業界固有のニーズに応える理想的なソリューションの追求よりも、導入が簡単で価値実現までの時間が短い方法を選択する、妥協の関係が生まれます。

では、各企業はどのようにして時間と価値の最善のバランスを実現するために意思決定しているのでしょうか。ここでは、同様のジレンマに直面し、その経験から学び、有益な知見をほかの企業にも共有している、業界をリードするある企業の事例をご紹介します。

DIY の現実に直面した後、PTC に産業 IoT の専門知識を求めた BID Group

木材加工業向けのターンキーソリューションを扱うサプライヤーとして業界をリードする BID Group は、デジタルトランスフォーメーション (DX) に向けた取り組みを通じて貴重な経験を積み重ねてきました。BID Group は木材加工業界における 35 年以上に及ぶ経験を持っており、技術導入のスピードの遅さ、原材料の変動性、廃材の多さなど、業界固有の課題を熟知しており、それらの影響を免れているわけではありませんでした。

自社の成長、そして業界全体の成長を加速させるために、BID Group はデジタルトランスフォーメーション (DX) に向けた取り組みを開始しました。産業 IoT テクノロジーを活用したいと考えていた BID Group は、当初、製品データを収集してモニタリングするプラットフォームを開発するために、小さなソフトウェア開発企業と提携しました。しかし、提案されたプラットフォームではうまくいかず、先に進むために必要なデータを入手できませんでした。結局、このソフトウェア開発企業には必要な専門知識が欠けており、新たな計画が必要であることが分かりました。

BID Group は当初のアプローチを見直し、産業 IoT の分野における確かな専門知識を持つ PTC と提携することにしました。BID Group がまず使用したのは PTC の ThingWorx でした。ThingWorx はエンドツーエンドの産業 IoT プラットフォームであり、BID Group のスマート・コネクティッド・ファシリティにおける接続性の基盤を構築するために採用されました。ThingWorx の導入により、BID Group はリアルタイムでデータを分析できるようになり、豊富なデータ分析、製造に関するレポート作成などの機能を活用し、製造と設備の状態を把握できるようになりました。また、高速ベアリングに対するアラートを追加し、コンポーネントレベルのモニタリング、アラーム、分析を取り入れて、異常な状況の特定と設備の状態のモニタリングの強化を実現しました。新しいソリューションを活用することで、BID Group は製造設備の全体的な信頼性を向上できました。また、各顧客の拠点のニーズに合わせたシンプルなカスタマイズ機能により、顧客の工場における OEE を 2 桁改善し、ほかの拠点への迅速な拡大にもつながりました。

BID Group の顧客も「DIY か購入か」のジレンマに直面

BID Group の顧客は、コネクティッド・ファシリティを実現するという目標に取り組む際に、3 つの基本的な選択肢に直面していました。1 つ目は、BID Group やほかの販売代理店から ThingWorx ライセンスを購入し、あとは自社で運用するという方法です。しかし、この場合、開発チームの人員雇用とソフトウェアスキルの習得、さらに 12 ~ 16 カ月にわたる開発期間も必要になります。2 つ目の方法は、ThingWorx 以外の IoT ソフトウェアを選択することです。この場合、カスタマイズのための開発期間は 2 ~ 3 年にもおよび、購入価格も高額となるうえに結果として利用できるのは一般的なプラットフォームになります。3 つ目は、最も柔軟で市場投入までの期間も短い理想的な方法です。それは、BID Group と提携し、SaaS モデルを使用することで、業界固有の豊富な専門知識を持つ BID Group の支援を受けながら、顧客の環境に応じて設計できる目的特化型の産業 IoT ソリューションを開発し、迅速かつ低コストで展開する方法です。


顧客を最優先する企業である BID Group は、自らの経験を顧客の成功を支援したいと考えました。彼らは、OPER8™ という新しいサービスを導入し、リアルタイムでデータを分析し、豊富なレポート作成機能などを活用して製造と設備の状態を把握できる専用の産業 IoT ソリューションを提供しました。BID Group は、OPER8™ が顧客にとって確かなメリットをもたらすと確信して開発しました。BID Group は、DIY でデータ収集プラットフォームの構築を試み、それが失敗した経験から、多くの顧客が同様の検討に直面し、同じ選択で悩むだろうということが分かりました。そこで、成功につながる明確な道筋を提供しようと考えました。

どのオプションが魅力的かは明白に思えましたが、BID Group は自社の経験から、より高度なカスタマイズが可能に見える DIY の方法に惹かれる顧客もいるだろうと認識していました。しかし、実際は違いました。BID Group で戦略およびビジネス開発担当エグゼクティブバイスプレジデントを務める Steven Hofer 氏は説明します。「当社が自らの経験から学んだ多くのヒントを、お客様に合わせてご活用いただけるようなソリューションにまとめました。そのため、お客様は DIY でありがちな度重なる試行錯誤を行う必要はありません。OPER8™ に投資されたお客様は、非常に迅速に拡張を実現しておられます。価値を実現できるまでの時間は、数カ月や数年ではなく、数日にまで短縮されています」

知識と経験の共有から生まれる価値

BID Group は常に、顧客の利益を重視する企業として歩んできました。「当社は、世界トップクラスのチームを結成し、お客様に可能な限り最高のサービスを提供するという基本的な価値観を持った会社として創業しました」と Hofer 氏は言います。デジタルトランスフォーメーション (DX) によって顧客と社内チームの支援を強化することで、BID Group は卓越した成果を記録的なスピードで達成し続けるための基盤を構築しました。

「当社が自らの経験から学んだ多くのヒントを、お客様に合わせてご活用いただけるようなソリューションにまとめました。そのため、お客様は DIY でありがちな度重なる試行錯誤を行う必要はありません」

-Steven Hofer 氏
BID Group、戦略およびビジネス開発担当エグゼクティブバイスプレジデント