Faurecia 社
1997 年に設立した Faurecia 社は、世界最大の自動車部品メーカーの 1 社であり、自動車業界のグローバルリーダーへと飛躍を遂げています。オペレーショナルエクセレンスと技術的専門知識に定評のある Faurecia 社は、世界の名だたる自動車メーカーが優先的に取引するパートナーです。
世界 34 カ国に 30 の研究開発センターを含む 330 の拠点を有する Faurecia 社は、自動車用シート、内装システム、外装、排ガス制御技術において世界をリードするメーカーです。Faurecia 社は技術革新におけるパイオニアと評され、車体の軽量化、快適さやスタイルをカスタマイズするソリューション、環境へのあらゆる影響の緩和などを実現しています。また、生産方法に革命をもたらす新しい製造工程の開発にも取り組んでいます。
「当社は、完成車メーカー (OEM) の世界大手と提携しています」と Faurecia 社のコンピテンスセンターマネージャーの Rafael Unruh 氏は言います。「私たちは、自動車技術と製造プロセスのパイオニアです。優れた製品をお客様に提供することで、モデルチェンジのたびに採用されることを誇りにしています」
課題
Faurecia 社は、長年にわたり優れた製品を納入してきた実績がありますが、生産している部品のトレーサビリティを顧客に提供する必要性が強まる中、これに対応するための取り組みを推進させることにしました。大手自動車 OEM 企業は、運用プロセスと生産プロセスの両方を進捗管理し、必要に応じてその情報を取得できる体制の構築を期待していました。顧客が必要としているのは、たとえば、どのエアバッグがどの車に搭載されているかを示すデータや、トルクや角度など、各エアバッグの設置に関する詳細な情報でした。
このようなトレーサビリティの提供に必要なデータ自体はいつでも入手可能でしたが、それらのデータの収集と配信に Faurecia 社が使用していたソリューションは、最新の IoT ソリューションや IoT 対応アーキテクチャーと比べて効率性と拡張性が大きく劣っていました。
「現在の製造業では、データは王様です」と Unruh 氏は言います。「現在の消費者は、人による操作や介入を必要とせず、プロセスに関する最新情報をいつでも入手できることを望んでいます。当社のお客様も同じです。当社のプロセスと製品の透明性を高め、その情報に基づいてお客様が計画、対応し、効率性を向上できるようにする必要があると考えたのです」
Faurecia 社は自動車部品サプライヤーの世界大手。自動車用シート、排ガス制御技術、内装システム、外装向けの部品を製造し、2014 年には計 210 億ドル以上の売り上げを計上しました。2014 年 12 月 31 日時点で 34 カ国に 330 の拠点(研究開発センター 30 カ所を含む)を有し、10 万人の従業員を抱えています。NYSE ユーロネクスト・パリ証券取引所に上場し、米国の店頭取引 (OTC) 市場で取引しています。
業界
自動車
ソリューション:
- IoT Gateway for KEPServerEX
- デバイス接続性 - Allen-Bradley
- クライアント接続性 - IJ Core(Faurecia 社独自の MES)
- Modbus
- ジーメンス
アプローチ
接続性、データアクセス、拡張性が重要であることを理解した Faurecia 社は、工場のさまざまな PLC に接続可能な通信ソリューションを探すことにしました。有名な OPC サーバープロバイダーの製品を試した結果、信頼性が低く、データの損失やサーバーの過負荷が発生することがわかりました。Faurecia 社は Kepware のフラッグシップ接続性プラットフォームである KEPServerEX に切り替え、ブラジルの Porto Real にある工場でパイロットプロジェクトを開始しました。Faurecia 社は、KEPServerEX についてはよく知っていました。数年前から KEPServerEX を使用しており、OPC DA プロトコル経由で、工場の PLC を Faurecia 社独自の部品製造および製造実行システム (MES) である IJ Core に接続していたからです。
OPC DA による通信の仲介は複雑で、時代遅れになりつつありました。そこで Faurecia 社は OPC DA 通信を OPC UA に置き換えることを検討しましたが、OPC UA は OPC DA より新しい技術であるとはいえ、より複雑で、導入に時間とリソースが必要だということが判明しました。
組織への影響とメリット
- 製造プロセス全体で部品のトレーサビリティを改善し、社内の関係者とお客様から高評価を獲得
- 工場の機械と Faurecia 社独自の MES である IJ Core 間の接続性および通信速度を改善
- 部品の生産品質の向上
- 開発期間、労力、トレーニング負担をの軽減
- 透明化プロジェクトをグローバル展開する体制を推進
- 組織全体でより賢く迅速な意志決定を実現
Faurecia 社の目標を把握した Kepware の担当者は、2015 年 10 月にリリースされた IoT Gateway for KEPServerEX に REST Server Agent の導入を提案しました。Faurecia 社の MES 開発者は REST/HTTP(IT や Web で普及しているプロトコルで IoT プラットフォームで使用されている)に詳しく、すでに運用中の KEPServerEX の接続に新しいミドルウェアが採用されることを歓迎しました。
Faurecia 社は各工場にローカルサーバーを設置し、独自の MES である IJ Core を運用しています。IoT Gateway を導入した Faurecia 社は、作業現場からデータを収集して REST/HTTP 経由で IJ Core へ送信する取り組みを開始しました。データの受信後に IJ Core で当該情報を保存し、数年にわたるトレーサビリティに対するお客様の要望にお応えすることができました。
結果
工場の PLC と IJ Core 間の通信手段として IoT Gateway を導入したことで、Faurecia 社はお客様が求める製品のトレーサビリティを提供できるようになりました。部品の製造データをさらに可視化することで、世界の大手自動車 OEM 企業は、当局の規制要件を満たすだけでなく、顧客に提供する製品の品質を向上できます。
社内の関係者にも恩恵がありました。機械フロアの作業員は意思疎通のスピードが大幅に向上したと言い、品質管理部門は製品品質の分析に必要な産業用データを取得できるようになったと言います。さらに、IJ Core を管理する開発者の生活の質も向上しています。OPC ではなく使い慣れた REST プロトコルを活用することで、現場の生産性を向上させる新しいソリューションの開発に多くの時間を費やし、トラブルシューティングの時間も短縮できました。
さらに、Kepware の技術は、運用技術 (OT) と情報技術 (IT) の隔たりの解消に役立っています。Faurecia 社の経営幹部がデータにアクセスして有効活用できるようになったことで、組織全体の効率性が大幅に向上しています。IoT Gateway for KEPServerEX の導入以来、Faurecia 社の透明化プロジェクトは 6 カ月にも及ぶ複雑なものから、わずか数日で完了する機能的なソリューションに縮小できました。その結果、時間とコストが大幅に削減され、顧客満足度が向上しました。ブラジルの Porto Real でのパイロットを成功させ、導入のしやすさを実感した Faurecia 社は、2016 年に北アメリカ、アジア、ヨーロッパの工場で KEPServerEX を標準装備にしようと考えています。また、データを活用したより積極的な機械分析を行うことに関心を持っています。Faurecia 社は、工場の監督者がタブレット端末で生産データを確認できるようにする計画を進めています。監督者は生産過程を監視し、リアルタイムで変更できるようになるため、計画外ダウンタイムの削減と運用の向上につながります。「IoT Gateway には大きな可能性があり、拠点のある 34 カ国全体に展開するつもりです。経営幹部から現場作業員に至るまで、さまざまな場所で効果が現れており、今後、より多くの場所で活用されることが期待されます。より賢く迅速に意思決定ができれば、お客様に提供する製品やサービスの質も向上します」と Rafael Unruh 氏は述べています。
~Rafael Unruh 氏— Faurecia 社コンピテンスセンターマネージャー
Kepware は、米国メイン州ポートランドを拠点とする PTC Inc. 傘下のソフトウェア開発会社です。企業が多様な自動化装置とソフトウェアアプリケーションを接続し、産業 IoT を実現できるよう、各種ソフトウェアソリューションを提供しています。工場の現場から油田、風力発電所まで、製造、石油ガス、ビルディングオートメーション、電力・公共事業など、さまざまな業種の幅広いお客様にサービスを提供しています。1995 年に設立され、今では 100 カ国以上に製品を提供している Kepware のソフトウェアソリューションは、数千もの企業における業務改善と意志決定を支援しています。
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