TVS Motor Company は、次々に新たな取り組みを実現してきた企業です。インドで初めてペダル付きのオートバイである 2 人乗りモペッドを製造。インドで初めて 100cc のオートバイに触媒コンバーターを搭載。通話アシストやナビゲーションなどの機能を備えた初めてのコネクティッドスクーターを製造。初の試みを実現する企業であるためには、革新と既成概念にとらわれない発想が必要です。現在、TVS Motor 社、優れた製品と体験を提供するために、拡張現実 (AR) などの最新技術を活用しています。
TVS Motor 社は常に革新の最前線に立つ
1911 年に T.V.Sundaram Iyengar 氏によって設立された TVS Motor Company は、世界的に有名な二輪車と三輪車のメーカーです。オートバイ、スクーター、モペッド、レース用バイク、各種部品など、幅広い製品を製造しています。インドに 3 カ所、インドネシアに 1 カ所の工場を構え、60 カ国以上に輸出しており、TVS Motor Company の年間販売台数は 300 万台以上、収益は 29 億ドル以上に上ります。製品の革新性、研究開発、品質、顧客満足度で確かな実績のある TVS Motor ブランドは、世界中で 4,400 万人以上の顧客から愛されています。
二輪車は発売以来、インドの日常生活に欠かせない存在となりました。以前は、通勤、家事や雑用、その他の日常的な活動など、実用的な目的で使用されることが一般的でした。しかし、この数十年でインドは大きく変化し、二輪車も同じく変化しました。中流階級が拡大したことで、人々は二輪車を実用的な製品ではなくライフスタイル製品として見るようになりました。
「人々が口にする夢のオートバイや夢の乗り物が変わってきています」と話すのは、アソシエイトバイスプレジデント兼マーケティングプレミアムビジネス担当責任者の Meghashyam Dighole 氏です。「現在はプレミアムなライフスタイル製品が求められています」。これを受けて、TVS Motor 社は 2005 年に TVS Apache という高級オートバイブランドを立ち上げました。TVS Apache はレースをイメージしたオートバイで、次世代技術により優れた性能、ハンドリング、デザインを備えています。このブランドは世界中に 400 万人以上の顧客を持ち、TVS Motor 社のビジネスの重要な部分を占めています。
カスタマーエクスペリエンスを向上させ、プレミアムブランドの強化を目指す
TVS Apache の顧客層は若く、技術に関する豊富な知識を持っています。このような顧客がプレミアム製品を購入する場合、最新の機能、最先端のデザイン、魅力的なカスタマーエクスペリエンスを期待します。これらの期待に応え、プレミアム製品の購入意欲を高めるために、TVS Motor 社はより魅力的なカスタマーエクスペリエンスを提供する必要がありました。
「当社の顧客はスマートフォンやパソコンを通じて多くの情報を得ているため、常に優れた体験を期待しています」と Dighole 氏は言います。「そのため、常に競合他社に先駆け、増え続ける顧客のニーズに対応し、より優れた体験を提供する必要があるのです」
TVS Motor 社は、このミッションを達成するための鍵は営業チームの強化にあることを理解していました。営業チームは製品に追加される技術的な機能を常に把握し、正確な最新情報を顧客に提供しなければなりません。営業チームが顧客との商談で有意義かつ知識豊富な会話を通じて一貫性のあるブランドストーリーを提供できるように、TVS Motor 社は営業チームに必要な情報を与え、トレーニングを実施する必要がありました。
Vuforia Engine を活用して顧客と営業チームにシームレスな拡張現実 (AR) 体験を提供
TVS Motor 社は、顧客に豊富な情報を提供できる双方向の体験を提供し、営業チームを強化するには、拡張現実 (AR) が最適な技術だと判断しました。この取り組みを計画する中で、すぐに最適なパートナー候補に挙がったのが PTC でした。PTC と TVS Motor 社の関係は古く、何年も前に研究開発設計者を務めていた Dighole 氏は現在 Creo として知られている Pro Engineering を利用していたのです。両社のパートナーシップを考慮すると、PTC の拡張現実 (AR) 技術の導入は自然な流れでした。
TVS Motor 社が拡張現実 (AR) アプリケーション開発のために選択したのは、高性能で写真のようにリアルな拡張現実 (AR) コンテンツを制作できる業界トップの開発ソフトウェア、Vuforia Engine でした。TVS Motor 社が思い描いていたのは、販売代理店を訪れた顧客が TVS Apache と対話できるアプリケーションです。つまり、オートバイの特定の部分をクリックすると主要機能の詳細情報が表示され、最新の革新技術に関するビデオを視聴でき、カラーのオプションをリアルタイムで変更できるようなアプリケーションです。また、同じ拡張現実 (AR) アプリケーションを営業チームにも導入すれば、複雑な分野に関する知識の伝達を容易にし、顧客に対して一貫性のあるブランドストーリーを提供できると考えました。
60 カ国以上 製品が販売されている国
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300 万 年間販売台数
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4,400 万 世界全体の顧客数
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29 億ドル 年間収益
最終的に、このアプリケーションは、営業効率の向上とトレーニングを通じてカスタマーエクスペリエンスを向上させ、販売サイクルの短縮を実現しました。魅力的な体験と強化された営業チームが組み合わされば、販売代理店に足を踏み入れた顧客の購買意欲を常に刺激できます。
TVS Motor 社が実現したシームレスなカスタマーエクスペリエンス
現在は、営業担当者がタブレットやモバイル端末を使用して、ショールームで充実した拡張現実 (AR) コンテンツを提供しています。デジタルと現実世界の物体の間にシームレスな体験を提供する、モデルターゲットなどの独自の高性能な機能により TVS Motor 社のアプリケーションは実現しました。モデルターゲットは、3D CAD の情報を使用して実際のモデルを追跡します。この場合、実際のモデルは、売り場に展示されている洗練された新型の TVS Apache です。ユーザーのカメラがモデルを捉えると、アプリケーションがそれをロックし、AR によるビジュアル、機能に関する情報、音声やビデオコンテンツなどを表示します。
「モデルターゲットは素晴らしい機能です」と Dighole 氏は言います。「3D グラフィックを実際の製品と関連付けた経験のない開発者にとっては、まるで奇跡のようです」
アプリケーションインターフェースのデザインは魅力的かつ双方向なので、製品に対する顧客の関心をかきたてます。顧客はオートバイの周囲を歩き回り、主な機能をクリックして確認したり、購入したい次世代技術の詳細情報を読んだりできます。ショールームに展示されていないモデルや製品については、空間ターゲット機能を使って TVS Apache の 3D モデルを室内に表示できます。オートバイは実物大で画面に表示されるため、顧客はその 3D モデルの周囲を歩き回り、全体像を確認できます。
顧客はカラーオプションやその他の機能を直接アプリケーションでカスタマイズできるため、購入プロセスをさらに細かくコントロールできます。また、顧客がショールームに足を運びたくない場合、または、新型コロナウイルス感染症などにより来店できない場合でも、自宅やオフィスなど、どこにいても製品を見ることができます。TVS ARIVE アプリはこれをさらに進化させ、試乗予約、販売店の検索、オンラインでの購入予約などにも対応しています。「製品を目の前にして、それを体感できるのは素晴らしいカスタマーエクスペリエンスです」と Dighole 氏は言います。
営業チームによる一貫したブランドストーリーと知識の伝達をアプリケーションが支援
TVS Motor 社は魅力的なカスタマーエクスペリエンスを実現しただけでなく、営業担当者が新機能の詳細を確認し、顧客に一貫したストーリーを提供するための重要なツールを作成しました。TVS Apache の製品がアップグレードされると、アプリケーション内のすべての情報が更新されます。
これにより、各営業担当者に必要なトレーニングの量を削減し、営業チームの効率を大幅に向上できます。大量の情報が手元にあるため、営業担当者と顧客の間で情報の伝達漏れも発生しません。
正確な技術情報を参照し、オートバイをリアルタイムでカスタマイズでき、知識豊富な営業担当者と組み合わせることで、顧客の購買意欲は大きく高まります。また、1 日に複数の顧客に対応するために大きな労力を費やさなければならない営業担当者の負担も軽減できます。「このアプリケーションは複数のメリットがあり、特に営業担当者の助けとなります」と Dighole 氏は言います。「営業の疲労を軽減してくれます。営業担当者が 1 日に 4 件の商談を行う場合、4 人目のお客様に対応するころには疲れてしまい、製品の機能をまったく思い出せない可能性もあります。この方法なら、営業担当者の負担を軽減し、プロセス全体で積極的にお客様に対応しやすくなります」
「モデルターゲットは素晴らしい機能です。3D グラフィックを実際の製品と関連付けた経験のない開発者にとっては、まるで奇跡のようです」
Meghashyam Dighole 氏
アソシエイトバイスプレジデント兼マーケティングプレミアムビジネス担当責任者
TVS Motor 社はカスタマーエクスペリエンスを向上させ販売サイクルを短縮
このアプリケーションへの反応は非常に好意的です。TVS Motor 社は、充実した購入体験を実現し、TVS Apache というプレミアムブランドの強化に成功しました。「これまでのところ、ユーザーの皆様には非常に喜んでいただいています。このような素晴らしい技術が利用できるだけでなく、このような体験を共有できるのは、信じ難いことだと思います」と Dighole 氏は言います。
まだ導入の途中ですが、TVS Motor 社は成功を測定するための一連の指標と KPI を設定しました。TVS Motor 社は、顧客がこのアプリをどのように操作しているか、また利用したことで予約につながったかどうかを追跡しています。顧客満足度が 10% 向上し、売上も増加することを期待しています。「この取り組みにより売上を 10 ~ 15% 増加させることを目指しています。実現すれば大きな成果です」と Dighole 氏は言います。TVS Motor 社はまた、このアプリケーションによって効果的なデジタルマーケティング活動も促進されると考えています。従来のデジタルツールと双方向の新しい体験のコンバージョン率を比較して、10 ~ 20% の増加を見込んでいます。
これは、TVS Motor 社の拡張現実 (AR) 導入の始まりに過ぎません。今後のロードマップの最初のステップは、エンジン音の変更など、アプリケーションにさらにカスタマイズ機能を追加することです。また、アプリケーションの対象範囲を拡大し、TVS Apache 以外の製品ラインにも展開し、最終的には海外市場にも拡張することを計画しています。「このアプリケーションによる効果を嬉しく思っています」と Dighole 氏。「Vuforia を使った大きな計画も立てています」
「これまでのところ、ユーザーの皆様には非常に喜んでいただいています。このような素晴らしい技術を利用できるだけでなく、このような体験を共有できるのは、信じ難いことだと思います」
Meghashyam Dighole 氏
アソシエイトバイスプレジデント兼マーケティングプレミアムビジネス担当責任者