最後に地球儀に触れたのはいつだったか? 小学生のころ か、それとももっと前だったか――大人になるとほとんど 触れる機会のないものの一つ。かつては小学校の入学祝 いなどで贈られることもあったが、国の場所について知り たいとき、今は手元のスマホで検索すれば事足りてしまう。 そんなこともあって家庭でも見る機会がめっきりと減って しまった。

地球が丸いこと、さまざまな大陸、国があり、ほとんどが海 であることを知る。そんなシンプルだけど、とても大切な地 球のことを教えてくれる地球儀の存在価値は、現代におい て失われつつあるように思う。

だが、そんな地球儀を再定義する製品があるのをご存じだ ろうか。「ほぼ日のアースボール」だ。

ARを通じて地球を楽しむ、地球に触れる 「ほぼ日のアースボール」

見た目はビーチボールタイプの地球儀。作りもしっかりして いて質感も良い。だから投げたり、蹴ったり好きなように遊 べる。机や本棚の上に鎮座していた地球儀とは何だか距離 感が違う。ソファやフローリングの上に転がしておいてもい いし、外にだって持ち出せる。こんなに身近な地球儀がこ れまであっただろうか。もちろん、地図も最新の人工衛星の データを基に作られているため、地球儀としての役目もしっ かりと果たしてくれる。

「その辺に転がっている地球儀があったら、世の中の捉え 方がもっともっと面白くなるかもしれない。弊社社長であ る糸井重里のそんな思いから『ほぼ日のアースボール』の 開発はスタートしました」と開発責任者である、株式会社 ほぼ日 古謝将史氏は語る。

だが、これだとただ地球儀を柔らかいビーチボールにした にすぎない。「ほぼ日のアースボール」のすごいところは、 最新のAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を通じ て、地球を楽しむための盛りだくさんのコンテンツを体感 できる点だ。使い方はシンプル。専用アプリをインストール したスマホやタブレット端末を介して、「ほぼ日のアースボ ール」を眺めるだけ。スクリーンの先には、われわれの知っ ている地球儀とは異なる世界が広がって見える。

「ARを通じて地球の情報を眺めてみると、従来の地球儀 や紙の地図、図鑑などとは異なる思考の転がり方をするん です。地球に関する何らかの情報を知る“取っ掛かり”とし て、『ほぼ日のアースボール』は新しい気付きを与えてくれま す。ARで示すことができるコンテンツ(情報)も地球という プラットフォーム上に無限にあります。私たちの生活そのも のが地球上にあるわけですから当然ですね」(古謝氏)。

地球をテーマに、無限に広がる ARコンテンツ

「ほぼ日のアースボール」が提供するARコンテンツは、大 人も子供も楽しめるものばかりだ。例えば、地球儀の上に 世界の国々の国旗が表示され、人口や面積、言語といった 基本情報を分かりやすいビジュアルで表示してくれる「世界 の国々」、宇宙から見た昼と夜の地球の姿をリアルに再現 してくれる「昼の地球と夜の地球」。さらには、世界各地の ランドマークがアイコンで表示され、その国や地域を象徴 するシンボルについて学ぶことができる「世界のアイコンを 見てみよう」、地形を実際の100倍に強調して立体的に表 現した「でこぼこ地球」など、ARを通じてダイナミックに変 化する、さまざまな地球の姿に触れることができる。

「いろいろな情報とコラボレーションすることで地球儀 の新しい楽しみ方を提案しています。例えば、小学館の図 鑑NEO新版『恐竜』とコラボレーションしたコンテンツで は、図鑑に載っている恐竜の生息地を基に、恐竜のビジュ アルを地球上にプロットして見せています。地球全体で眺 めることができるため、図鑑とは異なる視点で恐竜につい て知ることができるんです。また、宇宙航空研究開発機構 (JAXA)とコラボレーションした『JAXA宇宙飛行士油井 亀美也が語るISS 滞在記』では、宇宙飛行士の油井亀美也 さんが国際宇宙ステーション(ISS)から撮影した地球の姿 や船内写真などを、テキストと肉声で解説してくれます。こ れもまた新しい地球の楽しみ方だと思います」(古謝氏)。

2017年12月の発売当初、7種類ほどあったARコンテンツも ぞくぞくと増え、今では19種類ものARコンテンツを全て無 料で楽しむことができる(2019年9月時点)。

開発を支えた「Vuforia Engine」、 選定基準は安定性と精度

これらARコンテンツと気軽に触れる地球儀の融合こそが、 「ほぼ日のアースボール」が示す地球儀の新しいカタチで あり、AR技術が現実の世界とデジタルの世界を結び付け るインタフェースとして重要な役割を果たしている。

この「ほぼ日のアースボール」のキーとなるAR技術の実現 を支えているのが、PTCのAR開発ソフトウェア「Vuforia Engine」だ。「Vuforia Engine」の開発者は世界60万人を 超え、その適用分野も製造業の現場からエンターテインメ ント領域まで幅広く、30業種以上、数百ものグローバル企 業で採用されている。

「ほぼ日のアースボール」のARコンテンツの開発において 何よりも重要視したのは、安定性と狙った位置に精度良く 情報を表示することだったという。

「この部分がしっかりと実現できていないと、ARコンテン ツで最も重要なユーザー体験の質が損なわれてしまいま す。ARエンジンの選定の際、ものによっては表示がブレて 使いものになりませんでしたが、『Vuforia Engine』は立体 を捉える力が圧倒的に素晴らしく、高精度に出したい情報 を的確に表示してくれます。ARというと、プロモーション的 要素の強いコンテンツか、かなり実用的なコンテンツの両 極端なものが多い印象ですが、『ほぼ日のアースボール』は その中間と言いますか、かなり生活に落とし込んだ、唐突 感のないARの使い方を提案できたと自負しています。その 開発を支えてくれたのが『Vuforia Engine』です」と古謝氏 は評価する。

"「ほぼ日のアースボール」の可能性に終わりはない。「その可能性をどう広げていくか。AR技術を通じて、これから もダイナミックにいろいろな仕掛けを発信していきたいですね」と古謝氏。地球というプラットフォームの上には無 限の情報があり、アイデア一つでこれまでにない体験や価値を生み出すことができる。地球儀の枠を超えた新しい 地球の楽しみ方を「ほぼ日のアースボール」はこれからも提案し続ける。"