ブログ BOM管理システムとは?基礎知識と種類、導入メリットを解説

BOM管理システムとは?基礎知識と種類、導入メリットを解説

2025年4月30日 PLM お問い合わせ
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今回は、BOM(部品表) 管理システムの基礎知識と種類、導入メリットを解説します。製造業 DX を目指す製造企業必見の情報です。
記事の最後で PLM のお客様導入事例もご紹介しておりますので、ご興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
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BOM とは

BOMとは「Bill Of Materials」の略で、「部品構成表」や「部品表」と訳されます。BOM で管理される主な情報は、部品番号、部品名称、個数、材料(原材料)などです。
製造業の設計・製造現場における「BOM」は、コンピューター上の部品管理表やデータベース(BOM システム)やデジタルデータを指す場合が多いです。従来の紙や Excel で部品情報を管理する表を「部品表」とそのまま日本語で表すこともあります。BOM システムでは、「PN(Parts Number:品目情報)」と「PS(Part Structure:PN の親子関係、構成情報)」などの形式で部品情報を管理します。

BOM の目的

部品表を使用する目的は、以下のようなものがあります。

  • 設計時の情報整理やコスト計算
  • 調達部門の購入部品管理
  • 工場への部品加工や組立作業の指示
  • 生産計画への活用
  • 製造担当者や保守エンジニアによる参照
  • 取扱説明書への記載や添付資料としての使用

目的ごとに異なる組織や部門が、それぞれの用途に応じた部品表を用意する必要があります。同じ設計部門で扱う部品表でも、試作中用と量産準備用、本番の生産用といったように用途別に部品表が分かれるのが一般的です。

データ構造別でみるBOMの種類

データ構造で分けるBOMの種類としては、大きく以下の 2 つがあります。

サマリー型(サマリ型)

サマリー型は 部品番号、部品名称、個数、材料を一覧形式で部品データを表示・管理する構造です。設計・製造現場における一般的な部品データのまとめ方で、設計過程におけるコスト計算や部品調達時の参照に向いています。

ストラクチャー型(ストラクチャ型)

ストラクチャー型は 製品内の構造やユニット構成をツリー状で表現し、部品の階層を可視化します。製品の組み立て工程や作業工数の算出に有効です。

用途別でみるBOMの種類

BOM(部品表)には用途別に、EBOM(設計部品表)MBOM(製造部品表)、購買 BOM、SBOM(サービス部品表)があります。またBOM の機能を提供するソフトウェアでは 1 種類の BOM に特化したものや、1 つのデータベースからさまざまな BOM が生成できるものなどがあります。

EBOM(設計部品表)

EBOM (Engineering BOM) は 設計開発で使用される BOM で、別名「設計 BOM」とも呼ばれます。CAD で製図した図面の表題欄に記載された部品番号や名称、個数などの情報から EBOM を生成することが可能です。BOM システムとして開発されたCADソフトウェアの場合、データベースに保存されている図面データと連携し、情報を抽出してEBOM を生成します。EBOMは、開発の進行に従って内容が変化します。開発終盤の EBOM は、製造段階で使用される MBOM 構成の元データとしても活用されます。

MBOM(製造部品表)

MBOM (Manufacturing BOM) は 製造部門向けの BOM で、別名「製造 BOM」と呼ばれます。MBOM には部品だけでなく、加工方法や組み立て方法などの情報が含まれます。主に部品加工や工程設計、生産計画の段階で活用されます。
EBOM と MBOMとでは、部品番号(品目コード)や属性の管理方法が大きく異なります。そのため EBOMと MBOM の連携には、まずルール設計が必要です。また社内で連携前提の品目ルールや運用ルールを定めた上で、データベースやプログラムを設計する必要があり相応の手間やコストがかかります。過去のルールに基づいて長年管理していた設計や製造情報についても再評価が必要で、検討は非常に複雑です。品目コードの管理にまつわる課題は、製造業の DX においてよく見られます。

購買 BOM

購買 BOMは企業の購買部門(調達部門)向けの BOMです。購買 BOM では 部品の仕入れ先、発注価格、数量などを管理します。BOM データを利用して製品製造に必要な部品や資材の見積もり、発注などの業務を行います。

SBOM(サービス部品表)

サービス BOM (Service BOM) は アフターサービス(保守)業務向けの BOM で、別名「保守 BOM」とも呼ばれます。製品を顧客に届けた後のメンテナンス業務で利用され、顧客ごとのメンテナンス内容や、保守部品発注などの履歴、部品交換時期などを管理します。

BOM管理システムとは

BOM管理システムとは、製品を構成する部品情報を一元管理する情報システム全般を指します。BOM 管理システムはローエンドからハイエンドだけでなく、ソフトウェアごとに規模や技術レベル、機能の内容が異なるものが存在します。製造業でCADが普及している近年では、PLMや PDM、CAD ソフトウェアにおける機能のひとつとしてBOM管理システムが提供されることもあります。また企業内で独自に開発された、BOM システムもよく見られます。製品設計や製造にかかわる業務ごとのシステムや複数部門をまたいで管理できる統合的なBOM管理システムも多くの企業で採用されています。

BOM管理システムの機能

BOM管理システムの主な機能は、BOM の生成およびデータ管理です。また設計・製造部門の業務効率化を支援するさまざまな機能も備えています。

BOM 管理機能

BOM はCAD で製図した図面データと連携して管理されることが多くあります。さらに部品の 3D データを紐づける場合もあります。

BOM 変換機能

BOM システムの中には、用途別の BOM を自動生成できる機能を備えているものもあります。

在庫管理機能

BOM システムを活用することで設計・製造の各工程における部品在庫の可視化が行えます。

製品管理機能

製品ライフサイクル全体における製品の部品情報を統合管理し、設計、開発、製造、保守に関連する情報の探索や活用を容易にする BOM システムもあります。

BOM 管理システム導入のメリット

あらかじめ用意した表に手書きする、帳票に入力するなど各部署で独自かつアナログな手法で部品表を作成している企業も多くいます。しかしこうした手法では 入力ミスや入力漏れが発生する可能性があります。また設計変更や生産条件変更、部品調達状況の変更により、各部署が用意した部品表では正確に変更履歴を追跡できなくなることもあります。関連部署や企業が増え部品構成が複雑で部品数が多くなる、派生機種が多岐にわたる一品一様の製品では、トラブルが発生しやすくなります。
そこで部品や資材情報をコンピューターで管理する BOM システムが重要となります。BOM システムを適切に導入することで、部品管理の効率化やヒューマンエラーの回避が期待できます。

部品管理の効率化

BOM システムで設計・製造や部品の情報を一元化することにより、部品データの正確性や一貫性を確保できます。設計・製造部門が、必要な時に必要な部品データを容易に検索できる仕組みを提供できるため、データ検索や見積もり、部門間の問い合わせの手間を大幅に削減できます。また在庫管理の最適化が進み、原価削減にもつながります。

ヒューマンエラーの回避

BOM システムを導入することで 部品データの入力や変更、履歴管理などの処理が自動化され、従来のアナログかつ煩雑な部品管理によるヒューマンエラーを回避できます。また誤って古いデータを参照してしまったり、誤情報を上書きしてしまったりするリスクを低減できます。

PTC のPLM「Windchill」における BOM 管理システム

PTC の「Windchill」や「Windchill+(SaaS 版)」は、デジタルスレッドを活用した PLM システム内でBOM機能を提供しています。これによりメカ部品、ソフトウェアプログラム、電子部品、設計ドキュメントなどあらゆる設計・製造情報を EBOM に統合でき、必要な情報をいつでも引き出せます。また EBOM から、MBOM やサービス BOM を自動で生成することもできます。BOM の管理情報を 3D データで可視化できるのも PLM ならではの特色です。Windchill の BOM システムにより、営業、設計、製造、保守といった製品ライフサイクルに関連する部門が一丸となって、より良い製品やサービスを提供できます。

まとめ

今後、国内製造業では働き手不足が進むことが予測されています。市場で長く生き残ることは、従来の勤勉さや高い技術力を駆使しても非常に困難です。そこでデジタルトランスフォーメーション (DX) への取り組みが不可欠になります。その中核をなすのが、BOM システムや PLM を利用した部品情報の一元管理およびデータ活用です。BOM システムは IT の進化に伴い、設計・製造の複雑化に対応してより使いやすくなっています。PLM や BOM システムに ARIoT を組み合わせることで、製品設計・製造現場はより精力的で意欲的な場に変わるでしょう。そうした最新技術を活用したPTC 製品の機能進化にもぜひご注目ください。

以下の資料では、PLM が部品管理の効率化にどう貢献するのかを解説しています。こちらもご覧ください。

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