建設業界向けの革新的な設計およびエンジニアリングソリューションを開発する大手企業グループである Zamil Industrial 社は、Windchill+ の導入により、機敏性の向上と社内外のコラボレーションの効率化を実現しました。Windchill+ は、Zamil Industrial 社の設計者の主なツールとして、クラウドセキュリティのあらゆるメリットをもたらし、導入後の自動拡張および予測可能なアップグレードを簡単に実施しています。
建設および空気調和設備 (HVAC) 業界のイノベーターでありパイオニア
1998 年に設立された Zamil Industrial 社は、サウジアラビアのダンマームに本社を置く上場企業です。世界全体で 9,000 人の従業員を擁する Zamil Industrial 社は、建設業界向けのさまざまな材料や機器を開発しています。その製品ポートフォリオには、プレハブ式の鉄骨建築、鉄骨構造、HVAC システム、通信塔や送電塔、プロセス用機器、成形済みのコンクリート製品、ガラス繊維断熱材や岩綿断熱材、事前断熱パイプ、太陽光発電プロジェクトなどがあります。
Zamil Industrial 社は、デジタルトランスフォーメーション (DX) に向けた取り組みを先導する部門として HVAC 部門を選定し、事業拡大のニーズを支援するため、新たな設計および製造チームを迅速に立ち上げることを目標に掲げました。HVAC 業界のパイオニアである Zamil Air Conditioners 社は 1974 年に設立されて以来、世界屈指の空調システムメーカーに成長しました。中東では現在、HVAC/R システムにおける最大手企業の地位を担っています。
製品開発とイノベーションの推進に迫られる HVAC 部門
空調市場は世界全体で拡大傾向にあり、2031 年には 2,023 億 4,000 万米ドルに達すると予想されています。* その結果、空調市場への需要は利用者と請負業者の双方で高まっています。この高い需要を利益につなげるためには、顧客のニーズにより迅速に応える必要があります。同時に、Zamil Industrial 社は歴史ある世界中の大手ブランドとの激しい競争にも直面していました。
社内では旧式の IT プロセスによってエンジニアリングと製造の効率化が妨げられ、「紙資料」で手作業によるデジタルプロセスを実施していたため、プロジェクトの完了までには長い時間がかかっていました。さらに、グローバルチームも互いに独立していたため、開発プロセスの早期段階で共同作業もできませんでした。
Windchill+ による大きな変革
Zamil Industrial 社の HVAC 部門は、Windchill+ を採用することで新しい設計および製造チームを迅速に立ち上げ、事業拡大のニーズに対応しました。クラウドファーストの未来へ移行する中、Windchill+ の導入によって大きな変革がもたらされました。Windchill+ の導入によって、進歩を妨げていた旧式のソフトウェアに依存することなく、充実した PLM 機能に迅速かつ簡単に移行できるため、企業全体で導入を加速できました。Windchill+ は設計拠点と製造拠点だけでなく、外部のサプライチェーンパートナーとのコラボレーションも、より迅速、簡単かつ安全に実現できます。
Zamil Industrial 社は Windchill+ の SaaS アーキテクチャーを活用してソフトウェアアップデートや最新のセキュリティパッチを適用し、新しい PLM 機能がリリースされるたびに迅速に追加しています。Windchill+ の最新リリースでは、パフォーマンスとワークフローの機能が強化されました。
導入は DxP Services が主導しました。PTC のコンサルタントと導入の専門家からなる一流チームが、DxP Services と PTC で共同開発した Windchill 比較ユーティリティ、Migration Factory、CCD/WAVE などのツールを活用することにより、記録的な速さでソリューションを稼働させることができました。
ソリューションはWindchill+
豊富な機能を備えた PLM ソリューションである Windchill+ を採用したことは、Zamil Industrial 社にとって自然な選択でした。この結果、Zamil Industrial 社は迅速化、製品の品質向上、コスト削減を実現しました。
Zamil Industrial 社はまだ導入の初期段階にあり、現在は主に製品データ管理のため、エンジニアリングチームと設計チームが Windchill+ を使用しています。Creo で製品レンダリングを制作し、Windchill+ で CAD データを管理しています。今後はこの強固な基盤をもとに Windchill+ の機能を拡張し、完全なデジタルトランスフォーメーション (DX) を実現することでしょう。
単なるクラウド移行を超えた成果
Windchill+ が提供するすぐに使用できる機能、シームレスなコラボレーション、動的なデータの可視化により、Zamil Industrial 社には以下のような具体的な効果がもたらされました。
1. 安全なプラットフォーム – Zamil Industrial 社の関係者はデータ漏洩やサイバーセキュリティを懸念していました。紙とデジタルの両方の形式で存在する自社のデータを回収するには、大きな労力が必要だからです。しかし、Windchill+ には世界最高水準のセキュリティによるフルスタックの知的財産保護機能が統合されているため、Zamil Industrial 社は現在、自社のデータを確実に保護できています。
2. 高品質のパフォーマンスと安定性 – Zamil Industrial 社は、カスタマーサービスや顧客対応の向上を目指しており、Windchill+ の導入によって、顧客からの要望やステータスの更新に迅速に対応できるようになりました。エンジニアリング部門は共有フォルダーにチェックインすることで従来の 40% 以上も早くファイルにアクセスでき、またプロセスや業務の大幅な迅速化により、製品データをすぐに利用できるようになりました。さらに、Creo と統合することで CAD の設計プロセスが強化され、シームレスなアセンブリ管理が可能になりました。
3. すぐに使用できる機能 – Zamil Industrial 社には、革新的で機能的なだけでなく、導入初日から効率化を実現できるソリューションが必要でした。これを実現させたのが Windchill+ です。来年中には Windchill+ に、Oracle Fusion(SaaS ERP ソリューション)の製品構造を統合する予定です。これにより、PLM 機能が BOM(部品表)/構成管理(リビジョン管理、変更管理、サプライヤー管理)に拡張される予定です。
a. Windchill+ に完全に移行することで、すべてのベストプラクティスを活用できるようになります。ここには検証後の包括的な部品表も含まれます。以前はエンジニアが変更や新しい製品構成の改訂版を見逃し、誤ったバージョンをレビューすることもありましたが、Windchill+ の導入後はそのようなこともなくなり、エラーと手戻りを最小限に抑えることができるようになりました。
b. Windchill+ のすぐに使える機能により、ライフサイクル管理、バージョン管理、ドキュメント管理、設計変更通知、コラボレーション、およびカスタマイズオプションすべての効率化が実現しました。
4.予測可能なアップグレード頻度 - Zamil Industrial 社にとって、あらゆるソフトウェアのアップグレードは手間のかかる作業でしたが、Windchill+ により、アップグレードプロセスが 18 カ月という予測可能な頻度で明確に定義されました。
5. 日常のエンジニアリングが可能 – Windchill+ では新しい設計や変更の検証、公開の俊敏性が強化され、これらにかかる時間が短縮されます。Zamil Industrial 社の設計者はこの効果をすでに実感し始めており、実際に時間とコストを削減し、リスクを軽減しています。このようにクラウドに移行することで、エンジニアリングコミュニティには複数のメリットがもたらされます。ベストプラクティスや標準が組み込まれたクラウドによりソフトウェアの検証や統合にかかる時間を短縮でき、設計やイノベーションにより多くの時間を費やすことができます。
6.スムーズな統合 – Oracle Fusion やほかの技術とスムーズに統合できるため、より多くの業務を自動化できるようになります。Zamil Industrial 社は Windchill+ を工場に拡張することで、製造の効率化を見込んでいます。最終的には、工場の機械をすべて Windchill+ に統合することを IoT ビジョンに掲げています。そのため、まずは設計者にとっての最初のステップとして、1 カ所の工場(製鉄所)で ThingWorx を使用して PoC(実証実験)を行い、それから拡大する予定です。
7.シームレスなコラボレーション – 以前のチームはグローバルライセンスによる制約のため、それぞれの作業が分断してサイロ化されていましたが、Windchill+ なら場所や時間帯に関係なく、コラボレーションが可能です。シングルサインオン (SSO) の実装によって、もはやデータへのアクセスが単一のシステムに限定されることもありません。Zamil Industrial 社では PLM を下流工程のユーザーにも拡張することで、現在では顧客とサプライヤーを含む社内外のチームがいずれも、適切なデータにリアルタイムでアクセスできるようになりました。SSO によって、よりスムーズで安全なユーザーアクセスが保証されます。
大きな達成感
Zamil Industrial 社では製品データに一貫性がなかったため、オンプレミスシステムから Windchill+ へのデータ移行に課題を抱えていました。オンプレミスから PTC クラウドへの移行は困難を伴う作業でありながらも、やりがいのある経験になったと言い、Zamil Industrial 社はこの作業を成功させたことを誇らしく感じています。
移行にあたり、関係者は現在のオンプレミス環境を把握し、移行するデータとアプリケーションを評価する必要がありました。移行後はこのデータが安全で一元化されたリポジトリで保存され、チームが簡単にアクセス、共有、管理できるようになりました。これは Zamil Industrial 社にとって非常に重要なことでした。Windchill+ の製品データ管理により、現在は各バージョンや改訂を確実に追跡し、手作業を自動化しています。
Windchill+ への移行が成功したのは、デジタルトランスフォーメーション (DX) への取り組みに対する Zamil Industrial 社の意欲の表れともいえます。
新しいパートナーとの緊密な連携
移行プロセスでは、PTC と DxP の両チームは、Zamil Industrial 社の IT チームおよび導入チームと連携し、移行プロセスで発生する特別な必須要件や課題に対応し、サポートでしました。DxP Services は、ベストプラクティス、移行方法、推奨されるクラウドインフラ構成を確保し、互換性に関する問題解決も支援しました。
Zamil Industrial 社の今後
Zamil Industrial 社は、企業価値を高める取り組みに努め、将来の成長に向けた魅力的な機会を実現させようとしています。Zamil Industrial 社のほかのシステムと Windchill+ をシームレスに統合することで、さらにほかのシステムへの拡張も可能となります。来年中には製品構造を Oracle Fusion(SaaS ERP ソリューション)から Windchill+ に移行する予定です。Zamil Industrial 社はまた、Windchill+ を工場に拡張し、エンジニアリングと製造間のスムーズなコラボレーションと情報の流れを確保することも検討しています。最終的には工場のすべての機械を IoT で Windchill+ に接続することを目標のひとつにし、最初は 1 カ所の工場(製鉄所)で ThingWorx を使用して PoC(実証実験)を行い、そこから拡大する予定です。これにより生産時間の短縮と手戻りの削減、運用コストの削減を実現します。