昨今の産業用ロボット・ファクトリーオートメーション(以下、FA)機器業界の設計現場では、技術的な課題として部品の軽量化、トップダウン設計、解析がとくに重要視されています。これらの技術的な課題は、多品種少量生産に対応した高機能・高精度な AI 設計、デジタルツイン、リアルタイムシミュレーションを提供する 3D CAD を導入することで解決可能です。
一般的に、稼働中のロボット・機器に問題が発生した際に、発生時の動きを正確に把握することは難しいとされています。しかし問題発生時の情報をセンサーから収集し、そのデータを3次元で見ることができれば問題の早期解決が可能です。そこで本記事では、Creo が提供するデジタルツインの価値や Creo の技術的強みについて紹介します。
記事の最後で Creo のお客様導入事例もご紹介しておりますので、気になる方はぜひご覧ください。
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産業用ロボット・FA 機器メーカーが抱える設計業務の課題
製造業では、人材不足に伴い工場の自動化が進んでいます。ここでは、工場の自動化を支える産業ロボット・FA 機器メーカーは設計業務においてどのような技術的課題を抱えているのか見ていきましょう。
部品の軽量化
産業ロボット・FA 機器メーカーは、高速化、コストダウン、荷重量アップといったニーズに応えるべく、部品の軽量化に取り組む必要があります。部品を劇的に軽量化できれば、衝突や落下の際にも壊れにくく傷つけにくいため、危険性を減らせるからです。モーターの出力も小さくて済み、省エネルギー・燃費向上を実現できるなど多くのメリットを得られます。
しかし重いものを振り回すと慣性がつくことから、ロボットアームを軽量化しすぎると、ロボットが動いた時にアームがたわんでしまう点に留意が必要です。余計な肉は削ぎ、軽くしつつも剛性をあげたい設計者は、素材や製造方法を適切に組み合わせ、軽量化と強度を両立する最適化された形状を見つけなくてはなりません。
設計の生産性を向上させて市場投入期間を短縮し、部品の軽量化を実現するには、3D CAD の AI 設計、ジェネレーティブデザイン機能などの活用を検討すると良いでしょう。要件と目標をインタラクティブに指定すれば、従来の製造工程を使用しながら旧式の部品を最適化できます。
デジタルツインへの対応
デジタルツインは「インターネットに接続した機器で現実世界の情報を取得し、サイバー空間内に現実空間の環境を再現すること」です。マイケル・グリーブス(米ミシガン大学)によって、2002年に提唱されました。現実世界のリアルタイムなモニタリングやシミュレーションが可能になることから、近年ではDXや業務効率化の文脈でバズワード化しています。
しかしテクノロジーは着実に進化しており、今では具体的なツールとして実践的な活用事例も出てきました。たとえば、設備設計において設計段階からデジタル空間上で仮想運転検証をするデンソーの取り組みが、2024年版ものづくり白書で紹介されています。産業ロボット・FA機器メーカーにおいても、デジタルツインを検討する機運が高まっているといえるでしょう。
ただし、デジタルツインは広い意味を持つため、その定義には注意が必要です。3D CAD Creo におけるデジタルツインの定義および機能については後述します。
設計と製造の連携不足
設計データが製造現場で活用されにくいという現状は、設計と製造の連携不足を招き、作業の非効率化につながっています。部門の壁を超えて 3次元データを全社で活用する体制を整えれば、製品設計、製造、品質評価までを一括管理できるようになります。
そこで必要になるのが、CAD / CAM / CAE の統合です。これにより、3次元データを直接、機械加工機や 3D プリンタで活用できるようになり、加工精度の向上およびリードタイム短縮を実現できます。
ティーチングの困難化
製造業においては、人材不足に伴い工場の自動化が進む中、自動化を支えるシステムも高度化・高機能化しています。新たな自動化システムの立ち上げの際には、ロボットの動作プログラムを生成しなくてはなりません。しかし高度化・高機能化している中、実機を動かしながらロボットに動作を覚えさせるティーチングは難しく、時間がかかるケースが多いのです。
そこで立ち上げ時間を短縮するために、実機を動かさずにシミュレーション環境で動きを再現するロボットオフラインティーチングが注目されています。モデルベース定義 (MBD) に強く、3D モデルに製品製造情報 (PMI) を付与できる CAD を使うことで、このオフラインティーチング作業の自動化も可能です。
3D CAD で設計した部品データから、CAM を介してロボットの動作プログラムを生成するロボット専用 CAM も登場しつつあります。ロボット専用 CAM を導入すれば、高度なティーチングは不要です。
部門横断的なデータ連携が困難
製造業では設計部門、生産技術部門、工場、購買部門において、それぞれ取り扱うデータのファイル形式等が異なるケースが多いです。データ互換性に問題があり、標準化が進んでいないケースでは、他社との共同開発や部品調達時において、データ変換の手間が発生します。そこで膨大なデータの部門横断的な活用が困難な状況を改善するためにも、データ連携を促進する施策が必要です。
部門横断的なデータ連携を促進するには、3D CAD データをいかに管理し、各部門で活用できる状態にするかが鍵となります。CAM やビューアーを活用した具体的なデータ管理のポイントや、工数を30%削減した企業の事例については、以下の記事で詳しく解説しています。
3D CAD データ管理と CAM・ビューアーの活用 – 工数30%削減を実現した事例も紹介
Creo 導入の目的と期待される効果
3D CAD Creo は、部品の軽量化、解析、トップダウン設計、デジタルツイン設計への対応という産業用ロボット・FA 機器メーカーが抱える設計業務の課題解決に役立ちます。
ここでは、Creo 導入によって期待される効果について見ていきましょう。
ロボット/ FA 機器の軽量化と強度の両立
高速化・小型化が求められる中、ロボット/ FA 機器の軽量化を目的に Creo を導入されるお客様が数多くいらっしゃいます。Creo が提供する解析で設計時に部品の形状を最適化できれば、品質向上と納期短縮を容易に実現できるからです。たとえば、掴む動作を行うロボットアームは、動線に肉付けしていくため、動かしながらの解析が必要になります。
拡張機能の1つである Creo MDO (Mechanism Dynamics Option) を使用すると、機構の動的な動作解析(摩擦、重力、力)を実行できます。バネ、ダンパー、ベルト、ギアのシミュレーションや、干渉やクリアランスの問題検出も可能です。その結果、使い慣れた Creo インターフェースから離れる必要はなくなり、物理的な試作にかかる作業やコストを大幅に削減できます。
熱、振動などの物理的な力に対してモデルがどのように反応するかを予測する有限要素解析 (FEA) も利用可能です。この解析は製品設計サイクルの一部であり、現実世界の様々な力の影響を検証し、故障箇所を把握するために実行されます。
構造解析においては、構造がどのように振動するかを調べる固有値解析もご用意しています。固有振動数、モード形状に基づき、剛性や重量を変更することで、より強度を高めた設計モデルを作成可能です。
▼ Creo が提供する構造解析ソリューションの詳細はこちら
設計品質の向上やコスト削減に貢献する、Creo の構造シミュレーションおよび解析ソフトウェアについて、機能やメリットを詳しく解説しています。
構造シミュレーションおよび解析ソフトウェア
コラボレーションの促進と設計者の負荷軽減
3D CAD Creo の強みは、独自カーネルを採用することにより強い連携性を発揮する点です。そのため、設計変更時の修正漏れゼロを実現でき、設計者の負担軽減に役立ちます。マルチ CAD 設計環境では、異なるソフトウェアで作成された互換性が低いデータの変換を支援する Creo の Unite テクノロジーも威力を発揮します。 これにより、共同開発や部品調達時のデータ変換が容易になるため、従来ありがちであったモデルの作り直しなど、余分な作業が不要になるのです。
▼マルチ CAD 環境の課題を解決する「Unite Technology」とは?
「Unite Technology」では、CATIA や SolidWorks など他社製 CAD データとの非互換性の問題を解決できます。中間ファイル不要で設計効率を劇的に向上させる、その具体的な仕組みとメリットを詳しく解説します。
他社 CAD のデータ変換・互換時の設計し直しを Creo で解決!dwg ファイルも簡単に開ける機能とは?
Creo と PLM との連携によってデジタルスレッドも実現できれば、開発工程のプロセスを管理・追跡可能になります。さらにコラボレーションを強化したい製造業のお客様には、SaaS 型ソリューション「Creo+」の導入がおすすめです。PTC 社では、お客様がいつでもクラウド型の CAD および PLM ソリューションに移行できるようご支援可能ですので、ぜひお問い合わせください。
▼ クラウドでコラボレーションを強化する「Creo+」
Creo の全機能に加え、リアルタイムの共同設計やシンプルなライセンス管理を実現する SaaS 型 CAD ソリューション「Creo+」について詳しくご紹介します。
SaaS 型 CAD Creo+
確実な規格遵守
Creo を活用することで、確実な規格遵守が可能になることから、設計者の負担軽減に大いに役立ちます。GD&T Advisor や、EZ Tolerance Analysis などの幾何公差解析ツールを搭載しており、ISO や ASME など主要なグローバル規格への準拠チェックも可能です。Creo は、一般社団法人日本自動車部品工業会(部工会)により認定された、JAPIA 認定ツールでもあります。
【事例あり】JIS など規格準拠チェックも簡単に。Creo が可能にする MBD と幾何公差の最適化
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設計意図を正確に伝えるモデルベース定義 (MBD) や、スピーディな幾何公差解析を実現する Creo の最新機能について、eBook で詳しく解説しています。
Creo:モデルベース定義 (MBD) で設計ノウハウ継承
設計意図を正確に伝える機能やグローバル規格への対応について詳しく解説します。
詳細はこちら【産業用ロボット・FA機器業界向け】Creo の技術的強み
ここでは、とくに産業用ロボット・FA 機器業界向けに役立つ Creo の技術的強みを2つ紹介します。
Creo におけるデジタルツイン機能
Creo では、デジタルツインを次のように定義しています。
| 現実世界で起こったことを「デジタルデータ=3次元モデル」で継承する |
技術革新によって高度な組込みセンサーが登場したことにより、データを収集しデジタルツインを作成できるようになりました。このセンサー情報を使って3次元モデルを動かせる CAD は、実は Creo だけです。
この Creo の技術的強みをご利用いただくためには、パッケージ「Creo Design Essentials」 とデジタルツイン専用のオプション(Creo® Product Insight Extension)が必要になります。
▼ 3D CAD ソフト Creo パッケージ完全ガイド
本文で言及した「Creo Design Essentials」をはじめ、Creo には機能ごとに複数のパッケージが用意されています。各パッケージで利用できる機能の違いや、旧バージョンからのアップグレードのメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
3D CAD ソフト Creo パッケージ完全ガイド:コンカレントエンジニアリング/トップダウン設計、Ansys の最新解析、AI 設計機能まで
部品の軽量化に役立つ AI 設計機能
Creo では、部品の軽量化に役立つ AI 設計機能を2つご用意しています。
1つ目はジェネレーティブデザインです。ジェネレーティブデザインは、ゼロから最適化された形状を生成します。
2つ目は、Behavior Modeling Extension (BMX) です。BMX は、既存の設計を仕上げる際に、より最適化を追求するためのツールとしてご利用になれます。裏でシミュレーションが動いており、CAD ツールの中で自動計算するのです。
パラメトリック CAD である Creo で作成したモデルは寸法を持っているため、前提条件を入力することで、耐久度を保ちながら軽量化するために容器の壁の厚みをいくら減らせるか計算できます。1個の最適化された形状を生成するだけなら、所要時間は10分ほどです。設計変数の組み合わせを設定し、625通りの組み合わせで最適化を実行したところ、1時間4分55秒かかりました。
大規模言語モデルを活用し、エラーの分析を実行する AI アシスタント機能もご利用になれます。「ワンクリックエラーサーチ」が搭載された Creo +13 がリリースされると、エラー発生時に AI アシスタントボタンを押すと、エラー分析を Copilot ができるようになるのです。ブラウザの性能を拡張する「Web.Link」を活用し、関数・コードを Copilot で自動生成することもできます。
▼AI 設計による最適化をさらに詳しく
本文で紹介した「ジェネレーティブデザイン」と「BMX」という2つの AI 設計機能について、それぞれの違いや、両者を組み合わせて設計プロセス全体を短縮する具体的な手法を、こちらの記事で詳しく解説しています。
Creo でここまでできる!ジェネレーティブデザインとトポロジー最適化設計の事例と設計プロセス
成功事例|産業用ロボット・FA 機器メーカーの設計改善
設計初期に、Creo Simulation Live (CSL) を使用して解析し、コスト軽減と品質・信頼性を向上させた産業用ロボット・FA 機器メーカーの事例を紹介します。当事例では、複雑なアセンブリにおいて、物理プロトタイプではなくデジタルプロトタイプを初めて使用しました。
メーカーが抱えていた課題は、物理プロトタイプの量、コスト、時間を削減しつつ、プロトタイプの数を増やすことで、より優れた設計の実現を目指すというものです。そこで CSL を導入し、ライブフロー解析のための計算をデジタルプロトタイプに組み込み、設計変更の影響をリアルタイムで評価することで、物理プロトタイプへの依存を最小限に抑えることにしました。
結果として、デジタルプロトタイプの使用によって、物理プロトタイプ作成1件あたり8時間かかっていたコストと時間を最小限に抑えながら、品質と信頼性の向上を実現しています。さらに段階的に製品を改善しながら開発を進めていく反復型開発を容易にし、最新技術や機能の実現可能性の検証がしやすくなったのです。
ちなみに、この事例で活用された「Creo Simulation Live」が、なぜリアルタイムでの解析を可能にするのか、その技術的な仕組みや具体的な機能については、こちらの記事で詳しく解説しています。
なぜ Creo はリアルタイムシミュレーションで選ばれるのか?機能・連携・最新動向を完全解説
Creo の操作性の高さと導入後のサポート体制
ここでは Creo の UI および操作性の特徴と、導入後のサポート体制について紹介します。
Windows 準拠の使いやすい UI
Creo の UI は、Windows 準拠です。非常にシンプルなデザインであるため、設計者の思考を妨げることはありません。設計者によって「使いやすさ」の定義は異なるものの、Microsoft Office 製品に慣れている方であれば、使いやすいといえるでしょう。
習得に向けたサポートが充実
PTC 社では無料のチュートリアルをご用意するなどして、Creo のスムーズな習得ができるよう、サポート体制を充実させています。日本語では、動画で学べる「Creo の部屋」を提供していますので、ぜひご覧ください。
英語のみとなりますが、年間受け放題の PTC University (LEARN Online) もございます。
まとめ|Creo で広がるデジタルツイン設計の可能性
本記事では、工場の自動化にまつわる設計課題を抱えているご担当者様に向けて、Creo が提供するデジタルツインや技術的強みを紹介しました。この機会に Creo で産業用ロボット・FA 機器のデジタル設計に挑戦してみませんか?
まずは Creo を無料で試してみたい方へ
本記事でご紹介した Creo の無料試用版もご用意しておりますので、まずはお気軽に弊社までご相談くださいませ。
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詳細はこちらさらに情報収集をしたい方へ
以下に Creo を活用して設計業務を最適化した企業の導入事例を紹介しますので、こちらもぜひご覧ください。
【導入事例】
● UD トラックス | 3D データで、意思決定を迅速化
● シンクロン|過去データの継承と採番・BOM作成など業務効率アップを実現
● パナソニック|照明設計を Creo に統一。データ共有の質を向上
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