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ジェネレーティブデザインと最適化

2025年7月11日 Creo お問い合わせ 無償試用版はこちら

ビジネスデベロップメント
ディレクター

1998 年 PTC ジャパンに入社。アプリケーションエンジニアからテクニカルマーケティング、また Pro/ENGINEER Wildfire(現 Creo)の開発にも従事。入社以来、現在も CAD 関連で活動し、新製品/新バージョンの紹介や、主に設計に対して新しい提案活動を行っている。

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※本ブログは、Creo Chapter Webinarシリーズを記事化したものです。

①最適化

1.2つの最適化

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ジェネレーティブデザインには主に2つの最適化手法があります。1つはトポロジー最適化、もう1つは数値最適化です。

トポロジー最適化は、指定された空間内で、目的や制約条件に基づいて最適なジオメトリ(形状)を自動生成する方法です。この手法は非常に自由度が高く、従来の設計では発見できなかったような新たな形状を生み出すことが大きなメリットです。しかし、トポロジー最適化では、設計者の意図した数値目標や設計基準を厳密に反映させることが難しい場合があります。そのため、設計意図を数値的に追い込むような設計には不向きな側面もあります。

一方、数値最適化は、長さや寸法といった既存のパラメーターを与え、それらを変更することで指定された目的や仕様に合致する最適な形状を生成する手法です。この方法では、設計者の意図や既存の設計基準を維持したまま最適化を進めることが可能です。数値最適化の大きなポイントは、設計者の意図が形状に直接反映される点です。しかし、指定された寸法の方向など、あらかじめ設定された範囲内でのみ形状が変更されるため、トポロジー最適化と比較すると自由度は低い傾向にあります。

ジェネレーティブデザインにおけるこれらの最適化手法は、それぞれ異なる特性とメリットを持っています。どちらの手法を選択するかは、設計の目的や求められる自由度によって決定されます。

2.PTCの最適化ソリューション

PTC-optimization-solutions-Generative-Topology-Optimization-and-Behavioral-Modeling-Extension

PTCは、2つの最適化ソリューションを提供しています。1つはジェネレーティブトポロジー最適化で、Generative Topology Optimization(GTO)と呼ばれるものです。このジェネレーティブトポロジー最適化を使用すると、非常に自由な形状の最適化が可能になります。

もう1つのソリューションは数値最適化で、これは以前からCreoに搭載されているBehavioral Modeling Extension(BMX)と呼ばれるものです。BMXでは、数値を使い、指定された仕様に基づいて形状を最適化します。

たとえば、画像上部にある例のように、軸に対して重心の位置を合わせるために特定の寸法を使用したり、3つのパイプの長さを均一にしたりといったことが可能です。

②Creo Generative Topology Optimization(GTO)

1.GTO ー 主な機能

PTCのソリューションについて詳しく説明します。当社のトポロジー最適化ツールは、最適な形状を提供するジェネレーティブトポロジー最適化の一種です。Creoでは、AIを2種類活用して形状を生成しており、これが非常に高速な処理を実現する要因の一つです。

他社のジェネレーティブデザインやトポロジー最適化ツールを使用しているお客様からも、「非常に速い」と評価されています。そのため、設計者がスムーズに作業を進められる速度を提供していると言えます。

また、ご覧いただいているように、Creoのユーザーインターフェースはそのまま活用できます。これにより、設計者にとって非常に使いやすいツールとなっています。

通常、最適化の結果生成されるジオメトリは、ファセットデータ(STLなど)であることが多いです。しかし、CreoではこれらのデータをCADジオメトリに変換する機能を備えています。これにより、追加の検証や部品の組み付けなどを容易に行うことが可能です。

最初のジオメトリ、例えば動かない部分である保持ジオメトリなどを変更した場合でも、すぐに更新が行われます。現在、最適化においては構造解析と固有値解析が可能です。

今後、熱伝導に関する最適化機能も開発中で、比較的早期にリリースされる予定です。

2.Creo Generative Design Extension(GDX)

Creo-Generative-Design-Extension-GDX-Cloud-Computing-Design-Optimization

PTCは、ローカル環境で動作するジェネレーティブデザインソリューションに加え、クラウド上で動作するCreo Generative Design Extensionも提供しています。現在、形状最適化のエンジンはどちらも同じものを使用していますが、クラウドの計算能力を活用することで、複数の設計案を同時に生成できます。

例えば、異なる材料や製造方法(3Dプリンター、パーティングラインを考慮した設計、削り出しなど)を設定し、複数の設計案を一度に比較検討することが可能です。これにより、設計者は生成された案の中から、最大応力や重量などの条件でフィルターをかけ、最適な設計案を選択できます。

クラウド版を使用することで、多様な選択肢の中から、今回の設計目的に最も適した案を効率的に見つけ出すことができます。

③Creo Behavioral Modeling Extension(BMX)

1.BMX ー 主な機能

次に、数値最適化のソリューションであるBehavioral Modeling Extension(BMX)について説明します。BMXの大きな特徴の一つは、パラメーター化を行う点です。

例えば、測定した距離、長さ、角度、面積といったジオメトリ情報や、解析データ(最大応力、動きの反力、流体圧力など)をパラメーターとして使用できます。これらのパラメーターを用いて、「この寸法を1から10まで変化させたときに、最大応力、面積、または重心の位置がどのように変化するか」といった感度解析を実行できます。

また、BMXでは実行可能性・最適化も可能です。これは、例えば「重量を最小化する」という目標を設定し、その際に「重心の位置はここにする」「面積はこの値以下にする」「最大応力はこの値以下にする」といった制約条件を設定します。そして、これらの目標と制約を達成するために使用するパラメーター(寸法など)を指定することで、最適な形状を導き出すことができます。これがBMXの主な機能です。

2.BMX ー 最適化

BMXは様々な場面で活用できます。例えば、バネの設計において「25度にするには最適な半径値はいくつか?」といった計算を、試行錯誤することなく一度で算出することが可能です。また、作成したグラフから断面積の変化などを視覚的に確認することもできます。

最適化機能の応用例として、ゴルフクラブの設計が挙げられます。例えば、特定の面積に設定したり、狙ったサイドスピンを得るために重心位置を調整したりすることが可能です。

シャフトの設計においては、変位や最大応力を最小化しながら、同時に重心位置を中央にするなど、複数の複合的な仕様を同時に満たす最適化も行えます。

3.BMX ー 複数目的の設計検討

Creo-Behavioral-Modeling-Extension-BMX-Multi-Objective-Design-Analysis

次に、少しユニークな機能として複数目的の設計検討があります。これは、数値最適化におけるローカルミニマムやローカルマキシマムの問題に対処するために用いられます。例えば、ある寸法の範囲内で最適な値を探す際、一時的に最適に見える点が実は全体最適ではない場合があります。

この機能では、指定されたパラメーター(距離や強度など)に基づいてランダムに複数のモデルを生成します。その後、これらのモデルをフィルターにかけます。例えば、「距離が〇〇以下」「クリアランスが〇〇以上」「温度が〇〇」といった条件を設定して絞り込むことができます。

これにより、クラウド版と同様に複数の設計案が提示されます。これらの案はすべて設定した条件を満たしているため、設計者は自身の好みや設計意図に最も合致するものを選択することが可能になります。このように、Creoの数値最適化は非常に多くの機能を備えています。

④使用例

1.最適化のフロー

Creo-Generative-Design-Extension-GDX-Flow-Of-Optimization-Process

PTCソリューションの具体的な活用方法についてご紹介します。今回は、設計プロセスにおける設計仕様から最終的な最適化までの流れを例に説明します。

まず、設計仕様として、解析条件や必要な機能などを設定します。次に、この段階で最適な形状のアイデアを得るために、トポロジー最適化(Generative Topology Optimizationまたはクラウド版のGenerative Design Extension)を実行します。これにより、設計仕様や解析条件に合ったおおまかな形状とアイデアを迅速に確認できます。

この生成された形状は、3Dプリンターでそのまま製造することも可能ですが、量産や数値による厳密な制御を考慮する場合、このアイデアを基にモデリングを行うのが一般的です。トポロジー最適化によって得られた「どこが強くなるか」「この位置にするとどうなるか」といった知見を活かし、具体的なモデリングに落とし込みます。

そのモデリングデータに対して、さらに詳細な最適化として数値最適化を実行します。これにより、大まかなエリアが絞り込まれた上で、より精密な最適化が可能となります。この2つの最適化手法を組み合わせることで、設計期間全体の短縮を実現できます。

一連の作業をデモンストレーションでご紹介します。まず、対象となる全体の形状や、ボルト締め部分など動かしてはいけない保持ジオメトリを事前に作成します。透明なエリアはジェネレーティブボディの生成領域、青い部分は形状を固定する領域として指定します。

次に、解析条件を設定します。今回は、大きな箇所を完全に固定し、その先にあるボルト締め部分を下方向に荷重をかけます。複数の解析条件を設定することも可能です。例えば、構造解析の条件を複数設定し、それらを総合的に満たす最適な形状を求めることができます。別の例として、外側に向かって力をかける設定や、逆方向に同じ荷重をかける設定も可能です。

目標設定では、例えば「剛性を最大化し、制限ボリュームを透明なエリアの40%にする」といった条件を設定できます。さらに、中央で対称となるように平面対称の条件も追加します。これらを設定しOKをクリックすると、最適化が開始されます。

AIが常時、条件と形状を生成しながら最適化を進めていく様子が確認できます。今回は剛性の最大化を行っていますが、「安全率をこれ以上にする」といった安全最小化の目標や、「固有値が最も高くなる形状」または「固有値の低い最小重量の形状」といった固有値解析に基づいた最適化も設定可能です。

このデモンストレーションでは、38秒で最終形状が生成されました。これは早送りなどは一切行っておらず、私のラップトップで実行した実際の時間です。一般的に、他のトポロジー最適化ツールでは平均1〜2時間、あるいは一晩かかることもあります。最初に「これで良いか」を判断する初期段階の最適化を、38秒という短時間で実行できるため、非常に迅速に形状を評価できます。

2.制限ボリュームを変化させる

Creo-Generative-Design-Extension-Design-with-Limited-Volume-Changes

最適化された形状は、どこに肉が必要でどこが強いのかを視覚的に把握できるため、設計検討が非常に容易になります。例えば、剛性を最大化する際、制限ボリュームを40%から30%、20%と変化させることで、各ボリュームでの形状の違いを確認し、どの部分が最も重要であるかを特定できます。これにより、フィーチャーベースの設計への移行がスムーズになります。

生成された形状は、初期段階ではファセットデータ(STL形式と同様)ですが、CreoにはこれをCADで使用可能なBREP(Boundary Representation)ジオメトリに変換する機能があります。ワンクリックで再構築が可能で、変換後のCADジオメトリは修正や穴あけ、フィーチャーの追加といった編集を自由に行えます。

これにより、追加の解析(例:流体解析)や他の部品との組み付け検証も容易になります。この迅速なモデリングと検証のサイクルを通じて、もし現状の形状で問題なければ、それをパラメトリックに再構築して最終的な設計へと進めます。

このプロセスでは、リアルタイムシミュレーションやライブシミュレーションを活用し、パラメーターベースで作成した形状の解析結果を確認します。もし最大応力が高すぎるなど課題が見つかった場合は、感度解析を用いて数値最適化を行います。

例えば、ある寸法を11から15まで変更した際の最大応力の変化をプロットすると、多くの場合、線形に近い形で応力が低下する様子が確認できます。このように数値を見ながら設計を進めることで、最適な寸法を見つけ出すことができます。

次に、最適化の実行例です。ここでは、重量を最小化することを目標とし、その際に最大応力や重心位置(例えば軸からの距離をゼロにする)などの制約条件を設定します。最適化の対象となる寸法は、先ほど感度解析で用いた11から15の範囲や、内部のサイズも指定できます。Creoは、これらの目標と制約を満たすように、与えられた設計変数を自動で調整し、最適な解を探索します。

実行には多少時間がかかりますが、最適化の収束グラフを通じて、例えば重量がどのように減少していくかを確認できます。今回の例では、6回の繰り返しで最適化が収束し、設定した重量サイズの閾値(今回は5%)以内に収まりました。結果として、初期値が11だった幅が14.04という最適な数値として算出されます。この数値はそのまま図面に反映し、詳細設計に活用できます。

このように、トポロジー最適化で大まかな最適な形状を生成し、次に数値最適化で具体的な数値を考慮しながら設計を進めることで、効率的かつ精度の高い設計プロセスを実現できます。

⑤導入事例 ー Cummins

1.最適化の利用

このようなトポロジー最適化の活用事例はすでに存在します。例えば、Cumminsのエンジン設計チームはトポロジー最適化を積極的に取り入れています。ディーゼルエンジンのメーカーであるCumminsの設計チームは、環境負荷の低減を重視し、「Design for Sustainability」という方針を掲げています。

この方針に基づき、デザインレビューの際にはサステナビリティのスコアリングを実施し、そのスコアによっては特に重点的にレビューを行うことになっています。Cumminsのエンジン設計チームは、CO2排出量削減において材料使用量の削減が最も効果的であると考え、そのためにジェネレーティブデザインを導入しています。

Cumminsのエンジン設計チームでは、最適化の専門家が既存部品や新規設計部品に対して最適化を行い、10%から15%の材料削減を実現しています。これにより、既存の外形を維持しつつ、どこにリブを追加すべきか、どこを肉抜きできるかなどを検討しています。

たとえば、以前は必要だと思われていた箇所のリブが、最適化によって不要であると判断されるケースもあります。このように不要な肉を減らし、軽量化を進めることで、全体の重量軽減に貢献しています。当然ながら、最適化された形状については、最終的な詳細解析を再度実施して安全性を確認することが重要です。

⑥まとめ

1.最適化のプロセス

optimization-process-Generative-Topology-Optimization-GTO-Behavioral-Modeling-Extension-BMX-steps-in-design-process

今回ご紹介した最適化のプロセスは、まずトポロジー最適化で大まかな設計アイデアを得ることから始まります。これにより、初期段階で最適な形状の方向性を見極めることが可能です。

次に、そのアイデアを基にパラメトリックモデリングを行い、さらに詳細な最適化のために数値最適化を実行します。例えば、トポロジー最適化では調整が難しい重心位置なども、数値最適化を用いることで精密に合わせられます。

航空機業界のように3Dプリンターでの製造を前提とする場合は、トポロジー最適化で得られた形状をそのまま活用することも可能です。Creoにはパーティングラインの生成や2.5軸加工を考慮した押し出し形状の作成機能もありますが、製造方法に特化した最適化までは対応していない場合があります。そのため、現在のところは、前述のような段階的な最適化プロセスが最も効率的な活用方法と言えます。

既存のモデルに対して最適化を適用することも可能です。例えば、カミンズエンジンの事例のように、すでに存在するモデルから肉抜きができる箇所を探し、制限ボリュームを徐々に減らしていくことで、どこが無駄な肉であるかを確認し、軽量化を実現できます。

このように、Creoのトポロジー最適化と数値最適化の二つの機能を組み合わせることで、設計初期のアイデア出しから詳細な調整、さらには既存モデルの最適化まで、幅広い設計ニーズに対応できます。

⑦Q&A

Q: 形状の再構成時に、可能な限り平面で再構成させることや、曲面が多い状態で再構成させることは可能でしょうか?

A: 平面で再構成することは難しい部分もありますが、曲面が多くなる、または少なくなるように設定を調整することは可能です。設定内の「最小半径」を変更することで、形状の滑らかさを調整できます。最小半径を大きくすることで、形状がグニグニとした不自然な曲面にならず、滑らかな形状を作り出すことができます。現在、平面での再構成に関しては対応していませんが、今後の開発で考慮されている部分です。

Q: 必要条件を応力や変形に指定して、制限ボリュームを算出することはできますか?

A: 制限ボリュームを算出するというよりは、応力(例えば最大応力)や安全率を指定することが可能です。安全率は物性値の降伏応力の値に基づき、最大応力を設定します。その設定に基づき、最小形状を求めることができます。応力だけでなく、固有値についても、例えば「モード1が何本以上になるように」という指定を行い、その条件を満たす最小の形状を算出することが可能です。このような最適化の方法を用いることができます。

Q: トポロジー最適化からモデリングを介さず、直接数値最適化へ移行することは可能でしょうか?

A: はい、可能です。BMX最適化は以前から存在しており、トポロジー最適化が登場する前から多くのユーザーに利用されてきた機能です。ジェネレーティブデザインは必須ではなく、この2つの最適化を組み合わせて使うことで、さらに便利に活用できます。ただし、これらの最適化はそれぞれ独立して使用することが可能です。

Q: トポロジー最適化を行い、モデリングでパラメーターを与えずに直接BMX最適化を実行することは可能でしょうか?

A: トポロジー最適化を行った後に直接数値最適化に移行する場合、最適化を行うには一度モデリングを通さなければならないため、完全に自動化されることは難しいかもしれません。保持ジオメトリを変更することで最適な形状が変わるため、手動で処理を進める必要がある場合があります。

Q: 他のCADのジェネレーティブデザインと比較して、GTOの優位性や不足している点はありますか?

A: GTOの優位性として、最も強調できるのは「スピード」です。多くのお客様から、「非常にスピードが速い」とのフィードバックをいただいており、この点に関して自信を持っています。また、GTOはCreoに完全統合されており、Creoユーザーにとっては統合された作業環境が大きなメリットです。さらに、CADのジオメトリを生成できるBREPを作成する機能も強力なポイントです。AI技術を活用しているため、形状における予測が的確で、他のツールとの差別化要素となっています。

不足している点としては、ジオメトリの制限や製造条件がもう少し充実すれば、さらに効果的に活用できると考えています。例えば、板金設計に関しては、現在もう少し改善の余地があると感じています。しかし、現在進行中で開発が行われており、ジオメトリ制限や製造要件に関しては、Creo 11やCreo 12でさらに拡充される予定です。今後の進化に期待してください。

Q: 先ほどの最適化のデモが38秒で終了していたとのことですが、その実行に使用されたノートPCの詳細なマシンスペックを教えてください。

A: 実際に使用されたのは、グラフィックボードとCPUがハイブリッドに使われる環境です。グラフィックボードも非常に高性能なものが搭載されています。具体的には、ノートPCにはVRAM 8GBが搭載されており、これが大きなポイントです。その他のスペックについては特に特筆すべき点はありませんが、デスクトップPCであれば、同様の性能がより通常の状態で実現されると思います。

Q: アセンブリに対して最適化は可能でしょうか?

A: 現状、アセンブリに対する最適化はできませんが、計画はあります。比較的早い段階で対応が出てくることを期待しています。また、BMXに関してはアセンブリに関する特別な制限はありませんが、接触に関しては制限があります。アセンブリの結合部分が動かない状態であれば、力がかかるような表現はCreoのマルチボディ機能を使用して表現できます。現在、制限はありますが、完全に不可能というわけではありません。

Q: 熱伝導に関する予定はありますか?複数部品やアセンブリの開発は予定されていますか?また、いつ頃になりますか?

A: 熱伝導に関しては、具体的な予定はまだはっきりしていません。開発はすでにスタートしていますが、完了時期についてはまだ分からないため、詳細についてはお伝えできません。ただし、開発プロジェクトはすでに始まっており、完了すれば比較的早く開発が進むと期待されています。アセンブリに関しては、もう少し先の話になるかもしれません。例えば、2026年ということはないと思われますが、開発リストの比較的上位に位置していると考えられます。

Q: トポロジー最適化されたモデルからパラメトリックモデルを作成するときに、作業者によってブレのない設計を行うために、Creoの連携機能やツールはありますか?

A: 専用の機能は現状では提供されていません。とはいえ、今回のデモで示したように、BREPを構築することや、STLを使用して部品の中で半透明に表示させながら作業を進めることが可能です。この方法により、個人によるバラつきは発生する可能性がありますが、その結果を確認しながらできるだけ近い形を作る方法はあります。

Q: スピードはPCのスペックに影響しますか?

A: はい、スピードはPCのグラフィックメモリやグラフィックボードの性能に影響します。特に、グラフィックボードの性能が高ければ、スピードが向上します。PTCでも、ハードな問題が発生した場合には、高価なPCを使用することがありますが、一般的には高価なマシンでなくても十分なスピードが得られます。CPUだけでも、かなりのスピードを発揮することができます。

また、解析結果を早く出すためには、精度を少し荒く設定することも可能です。精度を粗く設定し、いくつかのパターンを試した後で、最適なパターンが見つかれば、その後精度を細かくしていくこともできます。

Q: BMXでGTOの保持ジオメトリの条件を変えつつ結果を得ることは可能か?

A: 現時点では、保持ジオメトリの条件を変えながら結果を得る方法を試したことがないため、実際にできるかは確信が持てません。ただし、GTOにおいて自動的に回転しなかったように感じています。試してみる価値はあるかもしれません。保持ジオメトリに関しては、寸法を保持しつつ結果をパラメーター化することが難しい可能性がありますが、形状の重量や体積を基に結果を評価することはできるかもしれません。

例えば、保持ジオメトリを使って体積を一定に保ちながら形状を変えるといった方法が考えられます。保持ジオメトリの肉厚を変えることで、形状を異なる方法で作り直すことが可能かもしれません。

Q: 解析のモデルがアセンブリで、アセンブリ全体の固有値の判定時に、アセンブリ内の特定の部品について形状最適化を行うことはできますか?

A: 現時点では、GTO(ジェネレーティブデザイン)では、アセンブリ全体の形状最適化ができません。形状最適化がどのように行われるかが関わっているため、ジェネレーティブデザインでの形状最適化はアセンブリに対応していない状況です。しかし、BMX(ボディモデリング機能)を使用すると、アセンブリ内の特定の部品について形状最適化を行うことは可能です。

数値的な最適化は可能であり、形状自体の最適化はBMXにおいて実行できます。

Q: トポロジー最適化は勾配法でしょうか?局所最適解に陥りやすいため、数値最適化と組み合わせる必要があるという理解で合っていますか?

A: はい、確かにトポロジー最適化は勾配法を使用していると思われます。局所最適解に陥らないようにするためには、数値最適化と組み合わせて使用することが有効です。ただし、トポロジー最適化と数値最適化は同時に使用しないことが多いため、局所最適解を避ける方法については、まだ明確ではない部分があります。これについてはさらに調査が必要です。

芸林 盾

ビジネスデベロップメント
ディレクター

1998 年 PTC ジャパンに入社。アプリケーションエンジニアからテクニカルマーケティング、また Pro/ENGINEER Wildfire(現 Creo)の開発にも従事。入社以来、現在も CAD 関連で活動し、新製品/新バージョンの紹介や、主に設計に対して新しい提案活動を行っている。

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