AR (拡張現実) による作業支援で製造スタッフのスキルアップ

1. 機会の特定: AR を試すのは良いことです。ただ、具体的なユースケースを念頭に置き AR を使用して問題解決に取り組む方が、企業にもたらされる価値ははるかに大きくなります。
2. チームとの対話: どの AR ソリューションを採用するにせよ、早い段階から導入に利用者も関与することで、企業にとってのメリットは大きくなります。
3. KPI の特定: AR ソリューションに求める成果を早い段階で把握しておくことで、導入の成否や改善の余地がある領域を追跡できます。
4. ソリューションプロバイダーの特定: 産業用拡張現実 (AR) ソリューションを提供または構築している企業に問い合わせ、自社のニーズや求めているソリューションを伝えます。
5. ソリューションの実装: 自社やソリューションプロバイダーのメンバーと協力して、拡張現実 (AR) を作業現場に導入します。ハードウェア、ソフトウェア、ユーザーサポートの計画を整えます。
6. 監視: 特定した KPI を継続的に追跡し、ソリューションから意図した価値を引き出せているかを確認します。

• タブレット端末やスマートフォン向け AR: ほとんどの AR ソリューションは、タブレット端末やスマートフォンなど、手頃な価格でアクセスしやすく、作業員に馴染みのあるハンドヘルドデバイスで動作します。多くの場合、作業員は業務用タブレット端末をすでに持っています。社内のユースケースによっては、タブレット端末向け AR 技術で十分な場合もあれば、ウェアラブルソリューションが望ましい場合もあります。AR が役立つ作業や使用環境についてよく考えましょう。
• ウェアラブル: 一部の AR ソリューションは頭部装着型デバイスのみで最適に動作します。タブレット端末やスマートフォンで動作するソリューションでも、AR 用 ヘッドセットやスマートグラスと併用すると、より優れたエクスペリエンスを得られる可能性があります。ウェアラブルデバイスは価格が高く、導入に時間がかかる場合がありますが、直感的なディスプレイとハンズフリー設計により、業務によっては理想的なツールになります。多くのハードウェアプロバイダーは、過酷な作業環境の安全要件を満たすために、特別仕様のデバイスやアクセサリーを製作しています。

AR はユーザーの自然な視野にデジタル要素を重ね合わせるため、作業員は自分が行っている作業から目をそらす必要がなく、状況認識を維持できます。AR は安全性の向上にも役立ちます。明確な警告が機械に重ねて表示されるため、作業員は危険な部品や作業を判断できます。

たとえば、サービス技術者が物理的な指示書やイラストではなく、タブレット端末ベースの AR アプリケーションを使用して問題のトラブルシューティングを行っているとします。技術者は、システムとガイドを行ったり来たりする必要はなく、AR フィードに目を通すことで、デジタル情報と物理システムを同時に確認できます。

同じ技術者がウェアラブル AR ソリューションを使用して同じ作業を行う場合、同じ情報にハンズフリーでアクセスでき、すべての情報入力は音声制御で行われます。

ウェアラブル AR デバイスは、ヘルメットや保護眼鏡などの個人用保護具 (PPE) に組み込むこともできます。

使用する AR ソフトウェア、既存のビジネスシステムとその構築方法によって異なります。

コネクティッド・ワークプレイスでは、Vuforia Studio などの AR ソフトウェアと産業 IoT デバイスを接続して、リアルタイムのパフォーマンスデータ、在庫数と納入状況の最新情報、製品安全データシート、キャンパス案内支援などを表示できます。また、Vuforia Studio は、既存の CAD や PLM のデータを活用して AR コンテンツを迅速に構築し、作業員に必要な最新情報で体験の質を高めることができます。

技術的には、すべての AR ソリューションが画像認識、物体認識、環境認識などの視覚タスクに特化した AI を搭載しています。これはコンピュータービジョンとも呼ばれます。

AI や機械学習の進歩に伴い、産業用 AI ツールと AR を統合し、技術者による問題のトラブルシューティング、目視検査中の不具合の検出、レポートの自動提出などに役立てたいという要望が高まっています。Vuforia Expert Capture の Step Check は、AIを活用した目視検査ツールです。部品検査の合否を迅速に判断し、AR による明確なビジュアルで作業員に警告を発します。

また、AR による直感的なインターフェースやグラフィカルなレイアウトにより、AI をはじめとするビッグデータアプリケーションが平均的な作業員にとって利用しやすいものになります。

AR 導入の初期費用は、実装する AR 技術、必要なデバイス、ユースケースによって大きく変わります。

ソフトウェアの初期費用以上の価値として、CAD、PLM、IoT などの既存システムのデータを使用してコンテンツを作成および拡張できます。AR-as-a-service を導入する場合、物理的なデータベースやソフトウェア管理は必要ありません。

ほとんどの AR ソリューションは、企業がすでに使用しているタブレット端末やスマートフォンなどのハードウェアで実行されるため、ハードウェアのコストは非常に柔軟です。一部のソリューションでは頭部装着型デバイスが必要ですが、企業の AR 導入戦略の拡大に合わせて段階的に展開できます。

最初から全面的に取り組む企業もあれば、AR の導入を段階的に進め、ハードウェアとソフトウェアへの投資を時間をかけて積み重ねていく企業もあります。