ブログ 医療機器認証とトレーサビリティの課題を解決!「紙の記録」から脱却する DX

医療機器認証とトレーサビリティの課題を解決!「紙の記録」から脱却する DX

2026年10月16日 Creo お問い合わせ 無償試用版はこちら

Hanna Taller is a content creator for PTC’s ALM Marketing team. She is responsible for increasing brand awareness and driving thought leadership for Codebeamer. Hanna is passionate about creating insightful content centered around ALM, life sciences, automotive technology, and avionics.

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近年、医療機器産業は世界的に高い成長が期待されており、特にグローバル市場で需要が高まっています。この成長の好機を捉えるには、日本の医療機器メーカーにもグローバル市場を獲得する戦略が必要です。

そのためには、安定供給に向けた体制強化はもちろん、高品質な製品を短期間で開発し、グローバルに展開できるよう、医療機器認証やトレーサビリティの課題を解決しなくてはなりません。厳格化が進むコンプライアンスに対応するには、紙の記録から脱却する DX への取り組みも不可欠です。

そこで今回は、医療機器業界向けに、デジタルスレッドの構築に役立つソリューションを紹介します。
PTC のデジタルスレッドソリューションに関してはこちら

医療機器設計の現場が抱える課題とは

昨今では、製造業を取り巻く環境は大きく変化し、多品種少量生産や市場投入期間の短縮が求められるようになりました。医療機器産業も例外ではなく、高い成長率やコンプライアンスの厳格化といった要因を背景に、デジタル技術を駆使したスマートファクトリー化の動きが見られます。

実際に、FDA によると、過去 10 年から 20 年の間に収益および製品技術の両面で医療機器業界は大幅な成長を遂げた一方で、医療機器使用に関連した重大な有害事象報告が、業界の成長を上回っていることがわかりました。分析データによって、製品設計と製造プロセス管理の不具合が根本原因と考えられるケースが半数以上を占めることも明らかになったのです。

これを受け、品質向上に加えて医療機器の安全性への意識が高まり、医療機器認証においてトレーサビリティがより重要視されるようになりました。

ここでは、上記を踏まえて医療機器設計の現場が抱える課題を 2 つの観点から見ていきましょう。

【コンプライアンス厳格化】許認可取得とトレーサビリティへの対応

品質問題や規制対応の遅れは、リコールや業務停止命令といった重大な経営リスクに直結する可能性があります。品質確保に向け、医療機器メーカーには組織的な管理活動の実践が求められており、医療機器の品質マネジメントシステム「ISO 13485」への対応は必須です。

さらに、安全性と有効性の要求は国ごとに異なるため、医療機器メーカーはそれぞれの認証要件にも対応しなくてはなりません。米国では 2026 年 2 月 2 日に Quality Management System Regulation (QMSR) が施行され、ISO 13485:2016 を取り込んだ品質マネジメント要求への対応が必要です。そのため、設計・製造・品質に関する記録を一貫して管理し、追跡可能性を確保することが重要です。

QMSR では、旧 Quality System Regulation で使用されていた DHF、DMR、DHR といった個別の記録名称は規則上維持されていませんが、それらを構成していた要素の多くは ISO 13485:2016 の文書・記録要求等で引き続き管理が求められます。2026 年 2 月 2 日以降の FDA 対応では、QMSR と ISO 13485:2016 に沿った現行要求を確認することが重要です。なお、21 CFR Part 11 は電子記録・電子署名に関する別の要求です。

日本では、許認可・要件等を定めた薬機法や、ISO 13485 も踏まえて発出された「QMS 省令」「QMS 体制省令」を遵守しなくてはなりません。薬機法では疾病の診断・治療等を目的とした単体プログラム(ソフトウェア機能)も、医療機器としての規制対象です。そのため医療機器プログラム開発業者も、薬機法の下位に位置付けられる QMS 省令等を理解した上で、適切に業務を行う必要があります。

【高まる需要への対応】デジタルスレッド構築が急務

医療機器への需要が高まる中、紙記録から脱却できておらず、現場の状況が把握できていないメーカーは機会損失を生みかねません。そこで成長の好機を捉えるためにも、ものづくりの現場において全体最適の前提となるデジタルスレッド(情報連携)の構築が急がれます。競争力の維持・強化には、「組織全体で機能横断的に統合された品質管理組織」が必要です。とはいえ、そもそも記録が電子化されていなければ、品質管理組織を統合することは難しいでしょう。

実際に、医療機器の使用を想定した検証のほか、信頼性や製造加工性を高める設計が可能な 3D CAD を導入することは、品質向上に直結します。製造工程および完成品を仕様と照らし合わせ、工程の状態と結果を記録し、設計や製造へフィードバックすることも品質向上に欠かせません。

ものづくりには材料の調達が不可欠であるため、柔軟なサプライヤー管理プロセスも重要な検討事項です。エンジニアリングチェーン (EC) とサプライチェーン (SC) のシステムを機能横断的に連携させ、データを一元管理すれば、効率化による間接工数の削減と E2E トレーサビリティの確保につながります。

3D モデルと PLM を中核としたデジタルスレッドの構築方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
製造業 DX の成功事例に学ぶ:3D モデルと PLM でつながるデジタルスレッド

ISO 13485 や FDA に準拠しながら設計開発と製造工程の質を高める方法

FDA など当局による種々の規制や、医療機器の品質マネジメントシステム「ISO 13485」に準拠しながら複雑な設計変更に対応し、品質管理も徹底する体制づくりは、どのように実現すればよいのでしょうか?

ここでは、従来の課題を整理した上で、医療機器メーカーが目指すべき姿について紹介します。

従来の CAD データ管理手法と製造業務プロセスの課題

設計開発環境においては、設計データ (E-BOM) を製造準備 (M-BOM、BOP) に活用できておらず、CAD データ管理に非効率が生じているケースが多く見られます。手作業による工数の増加や抜け漏れリスクの増大は、従来の CAD データ管理手法の課題です。

製造業務プロセスにおいても、紙記録から脱却できないケースが少なくありません。たとえばある企業では、1 つの工場で 6,000 枚もの紙を運用しています。これはプロセスバリデーション (PV) を厳格に行い、1 つの部品に対して分厚い記録書を添付するためです。抜け漏れを防ぐために書いたものをチェックする人のほか、スキャンする人も必要になります。紐付けした紙の束を綴じて箱に詰め、倉庫に保管するなど、ハンドリングや記録管理に非常に多くの工数をかけているのが日本における医療機器メーカーの実情です。

トレーサビリティの欠如という課題を抱えながらも、ROI が見合わないことから機械化・自動化できず、手作業のままでものづくりを続けているケースもあります。その結果、必要なモノや情報をすぐに探し出せず、業務が非効率になっています。現場で何が起きているかを把握できないので、ボトルネックがわからず、効果的な対策を打つこともできません。実際の作業時間が不明なので、実際の製造原価も不明です。生産管理に製造実行システム (MES) などを導入しようとしても、PV のやり直しが煩雑すぎてプロセスを標準化できないという課題も抱えています。

医療機器メーカーが目指すべき姿

最新のデジタル技術を駆使してスマート製造を実現する変革は、「Industry 4.0」と呼ばれています。何か問題が発生する前に、その予兆を捉えて未然に防ぐ「Industry 4.0 型」の仕組みづくりは、グローバル展開を目指す医療機器メーカーにとって重要な施策といえるでしょう。

たとえば EC と SC のシステムを連携し、一貫したデジタルスレッドを構築して効率化するとともに、現場のモノの流れや装置の稼働状況をデジタルツインで可視化し、真のボトルネックを見える化すれば、スループット(処理能力)を向上できます。この「Industry 4.0 型」工場の実現には「IT プラットフォームの開発」「オペレーションテクノロジー領域における製造業のデジタル化」の 2 つが必要であり、具体的なステップは次のとおりです。

● ステップ 1:EC をつなぐための PLM 導入
● ステップ 2:ERP/MRP を刷新し、PLM で管理されるデータ構造を活用して SC 全体をつなぎ、連携を強化
● ステップ 3:必要に応じてPLMとERP・MESなどのシステム連携を検討し、設計・製造準備・品質管理に関するデータの活用範囲を拡大

これにより、部門間の情報共有や設計変更時の影響確認を効率化し、製品情報の整合性とトレーサビリティの向上を目指せます。なお、製造設備の稼働状況をリアルタイムに把握するには、現場データを収集する仕組みなどを別途検討する必要があります。

このように、DX の実現には PLM、ERP、そして前述の MES といった複数のシステムが関わります。それぞれのシステムの役割と連携メリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
PLM、ERP、MES の違いとは?製造業システムの役割と統合メリット

医療機器業界の「デジタルスレッド」を実現する PTC のソリューション

医療機器の設計・開発では、設計データや部品表、品質関連文書が部門ごとに管理されることで、設計変更の影響確認や、規制対応に必要な記録の追跡に時間がかかる場合があります。

こうした課題を解決するには、個別のシステムを導入するだけでなく、設計から製造までのデータを一貫してつなぐデジタルスレッドの構築が欠かせません。ここでは、ツールを組み合わせてデジタルスレッドを構築できる PTC のソリューションについて見ていきましょう。

CAD × PLM × ALM のメリット

PTC の強みは、次のようなツール群を展開し、それらを組み合わせてデータをシームレスに連携できる点です。

ツール 概要
3D CAD 3D モデルを核とした製品データを生成するソフトウェア
ALM ソフトウェアを含めた製品開発の要件、品質テスト管理などを効率化するアプリケーションライフサイクル管理ツール
PLM 3D CAD や ALM、その他システム、ERP など製品ライフサイクル全体のデータを一元化する管理ツール(PDCA サイクルを回す際に核になる)

3D CAD においてはデータ連携を 100% 保証するなど、データの信頼性が高いことも PTC の強みといえます。システムの停止や動作不良、応答速度の低下といった不具合が少なく、ツールの信頼性が高い点もポイントです。

CAD × PLM × ALM のようにツールを組み合わせ、デジタルスレッドを構築するメリットはなんでしょうか?まず、医療機器の設計の要求から製造準備までの工数を削減できるようになります。トレーサビリティを確保でき、製品品質も向上するなど、FDA からの要求に対応できるようになる点も大きなメリットです。

どのスキルを持つ担当者を、いつ、どこに、どのルートで配置すれば効率的かを把握できる ServiceMax も、作業管理や予防保全を強化したい医療機器メーカーに選ばれています。Windchillでは、設計データや部品表、技術文書、変更履歴、品質関連情報などを関連付けて管理でき、紙や個別ファイルに分散していた情報の一元化を支援します。さらに、CADやALMと組み合わせることで、設計から検証に至る情報のトレーサビリティ強化につながります。

PTC の各ソリューションについては、下記よりご覧いただけます。
● 3D CAD ソフトウェア「Creo」
● PLM ソフトウェア「Windchill」
● ALM プラットフォーム「Codebeamer」
● 設備中心のフィールドサービス管理「ServiceMax」

PTC のソリューション導入効果、導入事例

ここでは、PTC のソリューションを導入した効果や事例を紹介します。

Medtronic

ヘルスケアテクノロジーの革新をリードする Medtronic は、アプリケーションライフサイクル管理とアジャイルソフトウェア開発を統合するために、ALM「Codebeamer」を採用しました。同時に実装することで拡張性の高い環境を構築し、FDA Title 21 CFR Part 11 への準拠を実現しています。
Medtronic の事例について詳しくはこちら

オムロンヘルスケア

世界中で 5 つの生産拠点をもつオムロンヘルスケアは、クラウドサーバー上で動かせる PLM「Windchill」に技術情報を集約することで、各国拠点が同じデータを見られる環境を整えています。さらに、PLM と MES も連携しました。

これにより、製造・品質に関する記録などから、製品の製造計画を迅速に最適化できるようになったのです。同社では「Windchill medical package」を利用しています。
オムロンヘルスケアの事例について詳しくはこちら

「統合されたデジタルデータ管理」が医療機器業界の未来を支える

高品質な医療機器を短期間で開発し、グローバルに展開するためには、安全性と有効性を追求する医療機器認証やトレーサビリティの課題を解決する必要があります。課題解決の鍵は、EC と SC のシステムを統合し、一貫したデジタルデータ管理を実施することです。

PTC では、デジタルスレッドを構築できるツール群をご用意しています。PTC の医療機器業界向けソリューションで、医療機器のトレーサビリティを確保しませんか?まずはお気軽にご相談くださいませ。

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Hanna Taller

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