製品事業部 CAD セグメント シニアアプリケーションスペシャリスト
超音波洗浄機、液晶製造装置等の機械設計を 2D & 3D 共に経験し1997 年に入社。機械設計分野以外に樹脂・板金金型、CAM の担当エンジニア。
※本ブログは、Creo Chapter Webinar シリーズの内容をもとに編集・再構成しています。
「2D CAD での板金設計に限界を感じていないか?」
「度重なる設計ミスや手戻りで、開発リードタイムが伸び悩んでいないか?」
「正確な展開図の作成に多大な工数を費やしていないか?」
製造業、特に機械設計の現場では、このような課題が常に付きまといます。板金部品は、機械装置や筐体など、多くの製品に不可欠な要素ですが、その設計は独特のノウハウを要し、少しのミスが後工程に大きな影響を及ぼします。
本記事では、こうした板金設計の課題を根本から解決するソリューションとして、PTC の 3D CAD「Creo Parametric」が標準で搭載する高度な板金設計機能について、その具体的なメリットと活用方法を徹底的に解説します。これまで当たり前だと思っていた非効率な作業をなくし、設計品質の向上と開発プロセス全体の高速化を実現するためのヒントがここにあります。ぜひご一読ください。
Creo についての詳細はこちら
3D CAD を使っているからといって、必ずしも効率的な板金設計ができているとは限りません。多くの場合、単に厚みのないソリッドモデル、いわゆる「薄板ソリッド」として板金部品をモデリングしているケースが見受けられます。しかし、これでは 2D 設計が抱える問題の多くを解決できません。
形状の違いについて説明します。薄板ソリッドは、部品自体が「板金である」という情報を持ちません。そのため、以下のような限界があります。
一方、Creo の板金専用機能で作成された「板金ソリッド」は、形状データに加えて、板厚、材料特性、曲げ情報といった製造に必要な情報をすべて内包しています。これにより、以下のようなメリットが生まれます。
ここでは、Creo における薄板ソリッドと板金ソリッドの比較を表にまとめました。左側が薄板ソリッド、右側が板金ソリッドです。中央には部品タイプや作成コマンドなど、比較対象の項目が記載されています。
Creo の板金設計機能は Creo のコア機能であり、基本パッケージに含まれている機能です。ウォール(壁)の作成、曲げ、パンチ、ノッチの作成、フランジ、フォーム形状の作成といった操作を素早く行い、正確な 3D 設計を進めることができます。作成したモデルを展開し、後工程で利用することも可能です。
板金設計を行う際、各企業には板金製品に関する独自のルールがあることでしょう。例えば、穴と穴の距離を板厚の何倍にするか、最小の曲げ高さをどのように設定するか、あるいは曲げ部分から穴や切り欠きまでの距離をいくつにするかなどです。設計時には、これらの条件をチェックしながら進める必要があります。
Creo では、このような設定内容や板金の設計規則をシステムに設定することで、設計中にこれらのルールを自動でチェックすることが可能です。
板金部品の設定画面では、板厚だけでなく、「ベンド許容」(曲げ伸び値のテーブルを設定する箇所)や Y 係数、さらに曲げのデフォルトの R(半径)をどちら側にするかなど、様々な設定項目を部品設計時に決めることができます。
ベンド許容で述べた「伸び値のテーブル」、あるいは「曲げ伸び表」と表現されるものは、展開時に生じる伸びる値を正確に定義することで、精度の高い展開形状を作成するために使用されます。
板金部品の設定方法には4つのアプローチがあります。
これにより、自社で正確な展開形状を表現し、後工程へスムーズに渡すことができます。
Creo の板金機能には、設計時のアプローチとして主に2つの方法があります。
このソリッドからの変換機能は Creo の板金機能に含まれており、「板金に変換」コマンドを使用して行います。
板金メニューに入ると、板金専用のコマンド群が表示されます。これらのコマンドでは、フラットな板金形状を作成できるほか、様々な形状のウォールやフランジ、押し出しなどを作成できます。
通常のソリッドモデリングで使うスイープ、スイープブレンド、ブレンド、回転ブレンドといった機能も板金モデリングで利用可能です。
板金特有の形状を素早く作成するために、様々なコマンドが用意されています。ウォールを一つ作成した後、その先端にフランジを追加する際(下部の真ん中のオレンジ色のフランジ形状)、エッジ全体の長さではなく、エッジ端から少し内側にオフセットした形状をドラッグで作成することも可能です。
また、単に板を伸ばすのではなく、曲げが入る部分には「リリーフ」と呼ばれる逃げを設ける必要があります。このリリーフ形状を、四角形、スリット、長円形など、どのような形にするかもメニュー内で設定できます。
「マイタカット」機能もあります。L 字型のウォールを接合する際、そのまま重ねると干渉するため、その部分を45度でカットするなどして適切な形状にします。マイタカットメニューでは、ギャップの有無やその値を指定するといった設定を行い、板金設計を進めることができます。
これらの機能は、下部中央の図にあるように、オレンジ色の現在作成中の形状に対して、ドラッグハンドルを使って角度や端面からの距離を直感的に操作し、形状を作成することが可能です。
板金形状は迅速に編集できます。フィーチャーをダブルクリックすると編集モードに入れます。また、作成したウォールをコピー&ペースト(Ctrl+C, Ctrl+V)すると、メニューを再度操作することなく簡単に繰り返し配置できます。
形状を作成する過程で、一度平らな状態から曲げたり、曲げた形状を作成した後に展開した状態でカットや穴開けを行ったりするなど、製造プロセスに似た順序で形状を作成することも可能です。設計の途中でも曲げを展開したり、再度曲げたりできます。
展開時の基準面指定では、緑色の三角形で示された面を指定すると、その面を基準として形状が展開されます。展開は非常にシンプルなコマンドで行え、モデル全体を一括で展開することも、個々の部分だけを展開することも可能です。
板金形状の作成において、ウォール形状だけでなくルーバー、ボス、リブなど、板金特有の様々な形状をCreoで作成できます。
Creoには、パンチフォーム、ダイフォーム、スケッチフォームといったコマンドが用意されています。これらを使用して、ハーフパンチ形状やバーリング形状など、板金で頻繁に使用される特殊な形状を作成できます。
自社で作成したソリッド形状を、まるで貼り付けるような感覚で、これらの特殊フィーチャーとして適用することも可能です。ルーバーの作成も同様に行えます。
Creo の板金機能は、板金製品の作成に必要な機能を一通り備えています。ここでは、これらの機能を使って Creo で板金部品を作成するメリットを具体的にご紹介します。
まず、主なメリットを挙げます。
1つ目のメリットは、板厚を持つソリッドとして扱われる点です。これにより、意図しない板厚の追加や変更を防ぐことができます。
板金ソリッドを作成すると、Creo のグラフィックエリア上部にあるグラフィックツールバーに、板金モード専用のアイコンが表示されます。
このアイコンをクリックすると、「フラットパターンのプレビュー」が表示されます。これは「展開」コマンドを押した際と同じようなプレビューであり、展開可能な板金形状であれば、このように板金展開のプレビューが確認できます。
このプレビューには、外形寸法として縦横の XY 方向の全体寸法が表示されます。シンプルな四角形であればすぐに大きさがわかりますが、複雑な形状の場合でも、この自動表示されるサイズによって大まかな大きさを把握できます。
そのため、例えば定尺板から何個部品を効率よく取れるかといったラフな板取り検討にも活用できるでしょう。
2つ目のメリットは、板金 CAM との連携です。板金展開を実行すると、その展開形状を板金 CAM へ直接渡せます。また、後工程で DXF データが求められる場合も、この展開形状を DXF 形式で出力し提供することで、展開作業の手間を省くことが可能です。
3つ目のメリットは、突き合わせ部分の正確な形状表現です。これにより、オレンジで囲った部分のような形状における間違いを未然に防ぐことが可能になります。
4つ目のメリットは、展開時の自己交差を設計段階で防止できることです。板金形状の作成において、自己交差の検出機能は非常に重要です。例えば特定のデザインガイドラインを満たすために作成された形状のように、意図せず作成されたものであっても、多くの場合すぐに自己交差が発生することに気づくでしょう。
Creo では、板金展開のプレビュー内で自己交差を瞬時に把握できます。これは単に青色でハイライト表示されるだけでなく、「オーバーラップジオメトリが検出されました」というメッセージが表示されることで、明確に自己交差の存在を知らせてくれます。
このように設計段階で自己交差を早期に発見できるため、後の工程での手戻りを防ぎ、効率的な設計が可能です。
設計する際、常に曲げた状態で形状を作成するだけでなく、一度展開してからリブ状のフォーム形状を作成する方が、モデルの作成が容易になる場合があります。その後、これをベンドバック(曲げ戻し)することで、リブ状の形状も正確に曲がります。
5つ目のメリットは、3D CAD ならではの設計方法で、製造手順に近い形状を作成できることです。
ここでは、ソリッド部品から板金部品への変換する流れを説明します。
まず、ソリッドで部品を作成します。例として作成する部品は、最初に基本的な四角い形状を作成し、3つの寸法を設定したものです。この部品に、外側からわずかにオフセットさせた形状で押し出しを行い、通気口用の穴(Creo の曲線描画機能で作成した線のみの状態)を配置しています。
ここから板金部品へ変換します。板金部品への変換方法は3つありますが、今回は「シェル」という方法を使用します。これは、ソリッドの外側から板厚分オフセットさせて内部を空洞にする方法です。開口部の手前の面を指定すると、このような開口部を持つ形状が作成されます。ただし、この状態ではまだ展開可能な形状ではありません。展開プレビューを見ると、展開できない部分が紫色でハイライト表示されます。
次に、展開時に切断が必要となるエッジ部分を指定します。「リップ」という方法で、ここがカットされる部分であることを指示し、板金部品として成立する形状を追加していきます。さらに、まだ平坦な板ではないため、この部分が切り離されることを指示する必要があります。これを「リップ接続」と呼びます。青い線で示されたリップとリップを接続すると、そこに切れ目が入れられます。今回はこれを4箇所指定することで、展開可能な形状となります。
ここで再度プレビューを使い、展開させてみます。すると、寸法も表示された通り、展開された形状が完成していることがご理解いただけるでしょう。設計段階で展開可能かどうかをプレビューで簡単に確認することで、自己交差がないかも確認できます。また、明示的に展開フィーチャーを作成しているわけではないため、気軽にプレビューの状態を確認しながら設計を進めることが可能です。
これがソリッド部品から板金へ変換する方法です。フラットフランジなど、板金特有のフィーチャーは他にもありますが、それらは他の3次元 CAD の板金機能と大きく変わりません。
このように、Creo では既存のソリッド資産を有効活用して効率的に板金設計を進められます。取引先から受け取った他社 CAD データの扱いや、より高度なマルチボディ設計にご興味のある方は、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。
【技術ブログ】他社 CAD のデータ変換・互換時の設計し直しを Creo で解決!dwg ファイルも簡単に開ける機能とは?
SolidWorks や CATIA など、他社 CAD で作成されたデータをフィーチャー履歴なしでどう編集するか?Creo 独自の「UNITE TECHNOLOGY」と「フレキシブルモデリング」が、マルチ CAD 環境での設計効率をいかに向上させるかを具体的に解説します。
Creo のマルチ CAD 対応を詳しく見る
▼SOLIDWORKS からの移行をご検討中ですか?
もし現在 SOLIDWORKS をお使いで、大規模アセンブリのパフォーマンスや将来的な機能拡張に課題を感じているなら、こちらの比較ページが最適です。Creo が提供する強力なモデリング機能や後方互換性(古いバージョンのデータを開ける)など、SOLIDWORKS からのスムーズな移行をサポートする具体的なメリットをご確認ください。
Creo と SOLIDWORKSの比較を詳しく見る
【技術ブログ】Creo でマルチボディを使いこなす:特徴・操作手順・活用法を紹介
1つの部品ファイル内で複数の板金ボディを個別に管理する「マルチボディ設計」。板厚の異なる部品の混在や、トップダウン設計を劇的に効率化するこの先進的なアプローチについて、メリットから具体的な操作手順、活用法までを網羅的にご紹介します。
Creo のマルチボディ設計を詳しく見る
Creo の板金 CAM で形状を直接利用する場合も、金型の自動選択機能が使えるというメリットがあります。
例えば、金型として丸パンチ、角パンチ、長円形パンチが用意されており、これらはすべてレーザー加工機に登録されている金型として表示されているとします。
まず、展開した板金部品をシートに取り込みます。先ほどの部品とは異なる、複数の種類の部品を取り込んでいるため、ここではネスティングのプロセスも確認できます。
ここで「工具形状」を選択すると、金型として用意されているものが自動的に形状を認識し、金型の割り付けをすべて自動で行います。これはパスのシミュレーションです。これは一部品に対するパスですが、レーザー加工を含めたパスのシミュレーション全体を行うと、パンチ加工後にレーザーで加工するといったパスの作成が可能です。
重要な点は、設計側でパンチやフォームといったフィーチャーを使用して作成を進めることで、Creo の CAM 内でプログラムの自動生成をかなり効率的に行えるようになることです。
本記事でご紹介したメリットの他にも、Creo は設計プロセス全体を加速させる多彩な機能を搭載しています。
特に、インポートしたデータの修正に役立つ「ダイレクト・モデリング」や、複雑な設計をシンプルにする「マルチボディデザイン」は、板金設計においても非常に強力な武器となります。これらの機能詳細や、AI を活用した「ジェネレーティブデザイン」まで、Creoが提供する17のメリットと機能を1冊にまとめた eBook をご用意しました。ぜひご一読ください。
PTCの3D CAD「Creo」が提供する 17 のメリットや機能について紹介します。
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PTC のソリューションは、Creo が持つ板金設計機能を活用することで、より迅速な設計を可能にします。水平方向のドリル掘削機を製造しているAmerican Augersは、板金展開、曲げの解除、フランジ作成といった様々な板金設計機能を使用することで、板金設計を20% から25% 高速化できました。
また、American Augers は、PTCの PLM ソフトウェアである Windchill なども活用し、最先端の取り組みを推進しました。これにより、資産の有効活用や人件費、製品開発コストの削減などを実現しています。
▼なぜ American Augers は Creo に加えて PLM も活用しているのか?
優れた設計データも、部門間で分断されては価値が半減します。American Augers が導入している PLM ソフトウェア「Windchill」は、Creo で作成した 3D モデルや部品表 (BOM) といった製品データを一元管理し、設計から製造、品質管理までの全部門でリアルタイムに共有可能にするデジタル基盤です。データを探す無駄や伝達ミスによる手戻りを防ぎ、開発コストの削減に大きく貢献します。
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その他、Creo の導入によって設計業務の効率化に成功した事例や実際に導入した企業の声を知りたい方は、ぜひこちらもご覧ください。
導入事例をすべて見る
今回は、Creo で薄板ソリッドを使用する場合と板金ソリッドを使用する場合について解説しました。最終的に図面として出力するだけであれば、どちらも同じ、あるいは通常のソリッドで十分ではないか、と考えるかもしれません。しかし、設計品質の向上という観点では、板金部品として作成することで、その品質を高めることができます。
これにより、リードタイムの短縮や手戻りの防止が可能になります。私自身も以前、板金製品の設計に携わっていたことがありますが、特に大型の部品では、わずかな曲げの指示(外曲げか内曲げか)を間違えるだけで、部品が全く異なるものになり、カバーがはまらない、部品がはみ出るなどの問題が発生することがありました。また、自己交差のようなミスも、当時はまだ経験が浅かったため起こりがちでした。
しかし、Creo の板金機能を活用することで、こうした「つまらないミス」を防ぐことができます。年間の製品数や部品点数が多い企業ほど、これらのミスを防止することによるメリットは非常に大きいと考えられます。
【設計者必見】クラウドにも対応。3D CAD「Creo」で設計を効率化する使い方と機能を徹底解説
本記事では板金設計機能に焦点を当てて解説しましたが、Creo は本記事でご紹介した以外にも、設計業務全体を効率化する多彩な機能を搭載しています。Creo の全体像にご興味をお持ちの方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
Creo で設計を効率化する方法を見る
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Q: 薄型ソリッドで作成したデータに対して、自動で製造可能な板金形状を提案する機能はありますか?また、展開できない場合、どのように確認できますか?
A: 現在、薄型ソリッドから自動的に製造可能な板金形状を提案する機能は提供されていません。最終形状を作成することは可能ですが、それを製造可能な形状に変換する機能はまだ実装されていません。また、展開できない場合は、右上のウィンドウにその情報が表示され、どの部分に裂け目を入れると展開可能かを確認できます。ただし、これは展開の可否をチェックする機能であり、完全に自動的に展開可能な形状に変換する機能ではありません。
Q: 板金モードでマルチボディを使うメリットは何ですか?
A: 板金モードでマルチボディを使うメリットは複数あります。例えば、大きな部品を設計した場合、組み立て上一体では入らないことがあります。このような場合、部品を分割して設計することができます。また、製造上の理由で、一度に作るのが難しい部品を分割して製造することも可能です。さらに、板金部品をトップダウンで設計する際、最初は一つの塊で作成し、その後分割するという設計方法にもマルチボディは非常に有効です。
Q: 加工協力会社にデータを提供する場合、加工協力会社側での Creo の専用ソフトの導入が必要ですか?
A: 現実的には、加工協力会社が Creo 専用ソフトを導入するのは難しい場合が多いです。多くのメーカーはすでに板金 CAM を使用しており、その場合は DXF 形式でデータを渡すことが一般的です。展開については、協力会社との連携が重要で、例えば、伸び値のテーブルを提供することが必要になる場合があります。正しい形状で展開できるよう、テストを行いながらデータを提供することが求められます。この方法であれば、理論上はトータルのリードタイムを短縮できる可能性がありますが、現実的な課題もあります。
Q: 国内事例の紹介がありませんでしたが、国内企業では板金機能はあまり使用されていないのでしょうか?その場合、利用が進まない理由やデメリットは何ですか?
A: 実際には、国内でも板金機能は多くの企業で使用されていますが、公開できる事例が少ないため紹介がありませんでした。多くは標準機能として利用されており、事例自体は存在していますが、公開可能な事例がまだ国内には少ない状況です。アメリカの事例が公開されているため、それを紹介しました。国内の事例については、今後もっと積極的に相談し、情報を共有していきたいと考えています。また、Creo の板金機能は非常に高く評価されていますので、板金機能に興味を持たれたお客様にはぜひ活用していただきたいです。
Q: 分割部分を溶接フィーチャーで溶接した場合、展開するとどうなりますか?
A: 溶接フィーチャーが適用されている状態で展開を行う場合、曲げが含まれていない部分には問題はないと思われますが、溶接部分に関しては確認が必要です。実際に試してみないと正確な結果はわかりませんので、後日試験を行い、正しい回答をお伝えいたします。いただいた質問はまとめて後で回答をお返しする予定です。
Q: 板金モデルにソリッドモデルをアセンブリして、板金モデルにソリッドモデルをアッセンブリして、ベンドさせてもソリッドモデルが追従するようにすることはできますか?
A: 現在、板金部品モードとソリッド部品モードは一つのモデル内で混在させることはできません。したがって、アセンブリで行っている作業は、マルチボディを使用して共存させることができないため、引き続きアセンブリで作業する必要があります。
Q: Creoの板金モードでの板厚、最大どれぐらいまで取り扱えますか?
A: よく使われる板金部品の厚さ、例えば1mm、1.2mm、1.5mm、2mm、3mm などは問題なく扱えます。さらに、実際に10mm の板金部品としても作成することが可能です。ただし、現実的にその厚さで曲げができるかどうかは別の問題です。実質的に制限はなく、板金モードで取り扱うことができます。
板金部品として面取りを行わなければならない場合、板金モードでは対応できないことがあります。特に、板厚が増した場合、Creo の板金モードでは難しい場合があり、その点は注意が必要です。
Q: プレビューで表示される展開寸法は複雑な形状でも表示されますか?Creoで自動ネスティングはできますか?
A: プレビュー内の外形寸法は、複雑な形状でも四角い形状の最大領域として自動で表示されます。この機能により、複雑な形状でも展開寸法が表示可能です。
Creo には板金 CAM 内にネスティング機能があります。例えば、大きな部品のカバーに小さな部品を配置するようなネスティングも可能です。ただし、この機能を使用するにはオプションとして Creo NC Sheetmetal などの拡張機能が必要になります。
Q: 板金部品設計で圧延方向を定義することはできますか?
A: 圧延方向の定義は直接的にはできませんが、板金 CAM の中で圧延方向を定義することが可能です。強度に影響を与える圧延方向は、板金 CAM 内で部品にグレイン方向を設定することで定義できます。これにより、ネスティングで部品の向きが変わらないように、圧延方向を固定することができます。圧延方向を180度反転させるなど、詳細な制御が可能となります。ただし、これは板金 CAM 機能内での操作となります。
Q: 板金CAMの機能は基本のライセンスパックで使用可能ですか?
A: 板金 CAM の機能は、基本のライセンスパックでは利用できません。Creo NC Sheetmetal という拡張機能が必要です。T5 パッケージにはその機能が含まれているので、T5 を購入すれば板金 CAM 機能が利用できます。ただし、基本的には Creo T1 に加えて、Creo NC Sheetmetal のライセンスを別途購入する必要があります。
Q: 標準金型、長円形や角型などで決まったサイズ、特殊金型について、各社独自の形状を使った設計ができているかどうかチェックすることはできますか?
A: 設計段階でのチェックに関してですが、標準金型や取引先で使用される金型がある場合、そのリストに合致しているかをチェックする機能はありません。しかし、Creo の NC Sheetmetal を使用すると、標準金型を CAM の中で準備し、パスを作成して適用できているかを確認することが可能です。
本ブログで解説した機能は、こちらの動画にてさらに詳しく説明しております。実際に Creo の操作画面もお見せしながらお話ししていますので、ご興味のある方はこちらもご覧ください。