製品技術事業部 CAD 技術本部
本部長 執行役員
2000 年の入社以来 CAD/PDM 製品のプリセールス・コンサルティングとして国内の幅広い顧客をサポート。担当した製品は 2D CAD に始まり、3D ダイレクト、3D パラメトリック、SaaS 型等 多岐にわたる。2018 年より CAD 技術本部長に就任し、CAD 製品のエンジニアを統括する。
※本ブログは、Creo Chapter Webinar シリーズの内容をもとに編集・再構成しています。
製造業の設計現場では、設計ミスの削減やリードタイムの短縮、製造部門との連携強化など、日々さまざまな課題への対応が求められています。 こうした課題を解決するため多くの企業が 3D CAD を導入していますが、「操作が複雑で使いこなせない」「既存の CAD では機能が物足りない」といった新たな悩みを抱えている方も少なくありません。
この記事では、そうした課題を解決する PTC の 3D CAD ソフト「Creo(クリオ)」について、特にその「使いやすさ」と「設計効率を飛躍させる機能」に焦点を当てて分かりやすく解説します。
特に次のような課題をお持ちの方は、Creo がどのように貢献できるか、ぜひ本記事でご確認ください。
Creo の詳細はこちらの製品ページから
Creo は、ユーザーの声や市場の変化を反映し、使いやすさと生産性を重視した機能改善を継続的に行っています。ここでは、日々の設計業務における「ちょっとしたストレス」を解消し、作業を劇的にスピードアップさせる Creo の進化ポイントをご紹介します。
日常的に使う基本操作が直感的であることは、設計効率に直結します。
数多くの項目の中から、コマンドサーチのようにキーワードで目的の設定をすぐに見つけ出せます。
ドラッグハンドルの表示が改善され、どの寸法がどの方向に影響するかが視覚的に分かりやすく、誤操作を防ぎます。
複雑なモデルでも、ツリーの展開・折りたたみがレベル単位で可能になり、必要な情報へ素早くアクセスできます。
複雑なモデルでも、目的の箇所を素早く正確に選択できる機能が強化されています。
ボックス選択で表側の形状のみを選択できるようになり、誤って裏側の形状まで選択しまうことを防ぎます。
フリーハンドで囲んだり、なぞったりした面だけを柔軟に選択でき、3D モデルでの色分け作業などにも便利です。
選択時に、サーフェスではなくキルト全体を優先的に選択できるため、作業効率が大幅に向上します。
選択時に 1 本のカーブを選んでいるのか、カーブ全体を選んでいるのかが明確になり、生産性が大幅に向上します。
これまで手間がかかっていたり、失敗しがちだったりした作業も、Creo なら簡単かつ確実に行えます。
新オプションにより、これまでオフセットが失敗しがちだった複雑な形状でも、成功する可能性が格段に高まりました。失敗時にも詳細な診断情報が表示され、問題の特定と解決が容易になっています。
一つの部品ファイル内で、板厚の異なる複数の板金ボディを個別の作成・管理できるようになりました。これにより、複数の板金部品が絡むアセンブリ設計が非常に効率的になります。ソリッドから板金への変換もボディごとに行え、柔軟な設計が可能です。
複数のボディを一つの部品にまとめ、不要な部分を簡単に削除できる機能です。構想設計の段階で、複数のボディを一つにまとめ、個別のボディを別々に管理していた状況を簡素化できます。
ジョイントメンバーとして部品を登録し、溶接工程をグループに分けて管理することで、溶接に必要な情報を整理することができます。また、スポット溶接の情報は XMCF という XML フォーマットに出力することができ、溶接の製造準備に活用できます。
サーフェス同士の接続状態をテーブルで一覧表示し、G1 連続や G2 連続などを直感的に確認・編集できます。これにより、高品質で滑らかな曲面を簡単に作成できるようになりました。
Creo は基本的な使いやすさに加え、電動化や複合材といった最先端の設計課題に対応する専門機能も充実しています。
電動化製品に不可欠な配線設計を効率化します。従来のメニュー形式から、充実したプレビュー機能や「元に戻す・やり直し機能」を備えた新しいユーザーインターフェースに進化しました。また、ケーブリングツリーの情報も詳細になり、選択したケーブルがハイライトされて表示が太くなるなど、視認性が大幅に向上しました。さらに、ECAD 機能の向上により基板情報などの透明度を調整できるようになったため、基板などを確認しながらスムーズに配線を検討できます。
ドローンや次世代モビリティなどで需要が高まる複合材質の設計機能(コンポジット)が大幅に強化されました。積層断面の操作性が向上し、グラフィック領域で直接編集できます。また、手戻り削減に貢献するドレープシミュレーションの精度や成功率が向上し、シミュレーション結果を簡単に確認できるようになっています。
さらに「ゾーンベース設計」により、複数の積層情報を効率的に定義・管理でき、設計時間を大幅に短縮可能です。
設計情報を 3D モデルに集約するモデルベース定義機能がさらに進化しました。テーブル(表)の作成に対応し、注記や部品表などを 3D 空間に直接配置できます。特筆すべきは「セマンティック参照」に対応した点で、テーブルのセルからモデルのサーフェスを直接参照・ハイライト表示させることができ、情報の伝達ミスを防ぎます。
また、幾何公差をアドバイスする GD&T アドバイザー機能も強化され、ISO GPS 22081 に準拠した一般公差へのサポートの追加や、より複雑な形状・特定の表記(皿揉みやざぐりなど)への対応が行われました。これにより、正確で効率的な公差設計が可能となっています。
Creo のモデルベース定義 (MBD) について詳細をまとめた資料は下記よりご覧いただけます。導入や機能のご検討にお役立てください。
設計意図を正確に伝える機能やグローバル規格への対応について詳しく解説します。
詳細はこちら
Creo は設計だけでなく、後工程である製造部門との連携を強化する機能も充実しており、コンカレントエンジニアリングを強力に推進できます。
3D プリンタでの製造を前提とした、より高度な設計が可能になります。異なる種類の格子を滑らかに接続する機能や、格子形状をランダム化してバリエーションを生成する機能などが追加されました。これにより、従来は実現不可能だった複雑な軽量・高機能部品の設計が現実のものとなります。
製造現場で利用する NC データ作成機能も進化しています。高品質なツールパスを生成する高速加工オプションでは、四軸回転による荒削りおよび仕上げ加工にも対応しました。
また、標準の Creo NC 機能においても、工具の進入・退避動作を細かく設定できるようになり、工具破損のリスクを低減します。ユーザー定義のリトラクト平面設定により、無駄な工具動作を削減し、加工時間短縮にも貢献します。
設計の初期段階で解析を行う「シミュレーション主導の設計」は、後工程での大幅な手戻りを防ぎ、開発全体のリードタイムを短縮します。
設計変更を行うと、その結果がリアルタイムで反映される画期的なシミュレーション機能です。新たに固体と流体間の共役熱伝達も解析可能になり、電子機器の熱設計など、より幅広い場面で活用できるようになりました。具体的には、モデル内で下部の冷却部分に流体が配置され、その後、固体部分への熱の伝達を計算できるようになっています。また、結果に使用できる変数の種類が増え、モード数も 12 まで選択できます。また、アンシスソルバーのアップデートにより、従来のバージョンよりも構成図の品質が向上しています。
より高度な解析機能では、時間とともに変化する荷重を定義できるようになり、速度条件についても時間の関数として設定できるようになりました。これにより、単純な静荷重では評価しきれなかった、より詳細で現実に近い条件での構造解析が実現できます。
Creo Ansys Simulation の製品ページはこちら
設計要件(荷重、固定箇所など)を入力するだけで、AI が最適な形状を自動で生成する機能です。新たにベアリング荷重に対応し、左右対称形状を維持する機能が追加されました。これにより、より実用的な部品形状を効率的に生み出せます。
以下より、Creo のジェネレーティブデザインについて詳細をまとめた資料をご覧いただけます。詳しく知りたい方はぜひこちらもご確認ください。
ジェネレーティブデザインの概要や解決できる課題、導入事例について解説します。
詳細はこちら
Creo には、クラウドの利点を最大限に活用できる SaaS 版「Creo+」も用意されています。従来の Creo の全機能に加え、SaaS ならではのメリットを提供します。
コントロールセンターを使用することで、管理者は Web ブラウザからユーザーやライセンスを簡単に管理できます。ユーザーも小さなインストーラーで手早く導入でき、必要な機能だけを後から追加することも可能です。
テレメトリー機能を利用することで、ユーザーがどのようにシステムを使用しているかを、管理者がダッシュボードから確認することができます。この機能により、ユーザーの使用状況を詳細に把握することが可能となります。
複数の設計者が、場所を問わずクラウド上で同じデータを同時に編集できます。設計レビューや外部パートナーとの共同作業が大幅に効率化されます。
年に一度のメジャーアップデートを待つことなく、3 ヶ月に一度のペースでリリースされる最新機能をいち早く利用できます。
Q: マルチボディ機能には、追加のオプションライセンスが必要ですか?
A: いいえ、必要ありません。板金マルチボディも含め、基本機能として標準搭載されているため、追加費用なしでご利用いただけます。
Q: Creo+ は Mac (M1 / M2チップ) で利用できますか?
A: 現在の Creo+は、インストールして使用する形式であり、Windows のみに対応しています。将来的にはブラウザで動作するストリーミング版が登場する予定で、実現すれば Mac など OS を問わず利用できるようになる可能性があります。
Q: Creo+のデータ管理には Windchill+ (SaaS版 PLM システム) が必須ですか?
A: いいえ、必須ではありません。ローカルにデータを保存することも可能です。将来的には少人数でも利用しやすい軽量なクラウド PDM の提供も計画されています。
Q: Creo+を導入している日本の企業はありますか?
A: はい、日本の企業様で Creo+を導入していただいている企業はあります。Creo と Creo+の両方を紹介したところ、特にCreo+のコラボレーション機能が好評で、多くのお客様がその機能を利用されています。
本記事では、3D CAD「Creo」の進化した機能、特にその「使いやすさ」に焦点を当てて解説しました。Creo は、以下のような機能を両立、改善していくことで、設計現場が抱える様々な課題を解決します。
Creo を導入することで、貴社の設計業務をより効率化させることができます。
まずは実際に Creo を試してみたいという方は、下記より無料の試用版をご利用いただけます。
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Creo の導入によって設計業務の効率化に成功した事例や実際に導入した企業の声を知りたい方は、ぜひこちらもご覧ください。
【導入事例】
本ブログで解説した機能は、こちらの動画にてさらに詳しく説明しております。実際に Creo の操作画面もお見せしながらお話ししていますので、ご興味のある方はこちらもご覧ください。
Creoの基礎的な操作方法を解説したシリーズ動画はこちら
紹介している操作方法
Creoの使い方、良さ、設計の楽しさなどを紹介するYouTubeチャンネル「クリオの部屋」はこちら