BOM 中心のアプローチの確立: データを整理してデジタルリーダーになるための 10 の方法
エグゼクティブサマリー
デジタルトランスフォーメーション (DX) は BOM 管理から始まる
市場投入までの期間の短縮、繰り返し作業のスピードアップ、コストの削減は、製品開発を行うほとんどの企業の目標となっています。製品ライフサイクル管理 (PLM) は、これらの目標を達成するうえで重要な役割を果たしますが、ほとんどのメーカーはすでに PLM を導入しています。では、何が問題なのでしょうか?PLM は広く普及していますが、多くのメーカーは、ビジネスプロセスに対応できない複数の独立したレガシーシステムを抱えています。また、信頼できる情報源となる「正確かつ最新の部品を中心とした部品表 (BOM)」を持っていません。
ここで、システムが互いに独立している状況について考えてみましょう。図面で作業する設計チームは、製造、サプライチェーン、サービス、顧客のために図面の情報を再入力したり図面や CAD からデータを継続的に引き出したりする必要があるためデータ入力が 4 倍になるといった、付加価値のない作業に対応せざるを得ません。データは多くの場所に分散している可能性があるため、変更があったときに適切な情報を見つけることはほとんど不可能です。ボリュームディスカウントを交渉するための優先サプライヤーおよびコンポーネントを決定する手段がないため、購買管理者が間違った部品を発注してしまいます。サプライチェーン管理者が在庫に関して不適切な意思決定を下すことで、部品の再利用率の低下や在庫量の増大を招きます。工場の計画担当者は、製品の発売日に合わせて機械を調整することはありません。組立ラインの設置や作業指示の作成など、プロセスの更新に着手しても、すぐにスケジュールが遅れてしまい、顧客への納品日に間に合いません。テクニカルライターが作成したユーザーマニュアルには誤った指示が記載されており、その結果、顧客からの問い合わせが過剰に発生します。
BOM の変換により企業全体をレベルアップ
適切な BOM 戦略およびシステムを採用することで、企業は製品ライフサイクルのすべての段階で、完全なデジタル製品定義を使用して製品情報を取り込み、構成し、管理できるようになります。高品質で革新的な製品を市場に投入する能力を損なうことなく、効率を向上させることができます。完全なデジタル製品定義は製品のデジタル表現として機能し、すべての関連成果物(CAD モデル、図面、要件、部品構造、その他の関連情報)の単一で正しい情報源となります。データ、プロセス、システム、部門の複雑性を軽減できるため、効率化およびリードタイムの短縮を実現できます。
デジタル図面にとどまらず、全体的な製品定義を行うことで、主要なビジネスプロセスを効果的に最適化できます。簡単に言えば、製品の BOM(部品表)に基づいてコラボレーションすることで、製品開発を企業の戦略的な目標に合わせて行い、業績を向上させることができるのです。
このアプローチは大きな変革をもたらす可能性がありますが、企業で実践されている PLM の全面的な見直しを実施する必要はありません。優先順位とビジネスニーズに応じたデジタル製品定義機能を実装することで、この変革を段階的に進めることができます。
このホワイトペーパーでは、企業が包括的な BOM に移行する過程でデジタル製品定義から即座にメリットを得て、最終的に製品開発の変革を実現するための 10 の方法を紹介しています。
成功事例
医療機器分野
Philips 社は、オランダに本社を置き、画像診断、画像誘導治療、患者モニタリング、健康情報学、さらには消費者向け健康およびホームケア製品を提供する大手ヘルステクノロジー企業です。完全な EBOM を構築して維持し、柔軟性と俊敏性に優れた生産(場所を選ばない設計と製造)を実現しています。Windchill BOM Management のベストプラクティスに標準化することで、市場投入までの期間の予測可能性が高まり、品質の向上とコストの削減が可能になりました。
連邦航空宇宙産業
30 万人以上の現役職員、数百隻の船舶、数千のサプライヤーを擁する米国海軍は、Windchill SaaS を活用して、船舶の保守、サポート、運用に必要なすべての情報(BOM および部品関連文書)を統合されたモデルベースのビューで公開しています。その組織規模のデジタルトランスフォーメーション (DX) プロジェクトでは、艦隊の稼働率と即応性の向上、IT コストの削減、物流やサービスなどの効率的なプロセスの構築が図られます。
工業分野
Nidec Global Appliance 社は大手の冷蔵庫用コンプレッサーメーカーです。製品およびプロセスのガバナンスとトレーサビリティに Windchill BOM Management を活用しています。デジタルトランスフォーメーション (DX) プロジェクトにより、市場投入までの期間が 48% 短縮され、わずか 78% のリソースで大規模プロジェクトの数を 284% 増加させることができました。歩留まり率が改善され、ラインの故障や保証請求が減少したことで、品質不良の全体的なコストが 40% 削減されました。
エレクトロニクスおよびハイテク産業
データストレージの世界的企業である Seagate 社は、3,000 万のレコード(部品、BOM、変更通知、ドキュメント)、35 以上の上流および下流のシステム、複数のビジネスユニットや機能グループ、社内外のサプライヤーを含む全社的なデジタルスレッドのバックボーンとして、Windchill BOM Management を活用しています。BOM を標準化し、設計センターと製品の間で合理化を図ることで、作業の所要時間、不具合の割合、手戻り、情報収集時間を削減し、パフォーマンス(仕事の質)と生産性(効率と規模)を向上させることができました。
自動車産業
世界最大級の自動車メーカーである BMW Group は、PLM のバックボーンとして Windchill を活用し、生産や部品表の調達を行っています。Windchill は、世界全体での自動車の構成および製造において重要な役割を果たしています。
はじめに: 将来の成功に向けた基盤を構築する
ほとんどのメーカーでは、社内と広範なサプライチェーン内の複数の専門分野の担当者が製品開発に関するコミュニケーションとコラボレーションに参加しています。製品のライフサイクルに関わるさまざまなチームが作成したデジタルデータは、関係者の数だけ多様性があります。要件設計者、機械設計者、電気設計者、ソフトウェア開発者、テストエンジニア、工場の計画担当者、品質検査員、規制当局、サービス技術者、設計および製造パートナー、営業など、すべての担当者がそれぞれ異なるデータ要件を持っています。これらのデジタルデータは豊富で多様であるだけでなく、時間とともに急速に進化します。各製品が要求を満たし、高品質であることを保証するために、各関係者は最新の製品情報にアクセスする必要があります。
多くの企業で、この製品情報は一般に BOM と呼ばれています。BOM は、製品のライフサイクル全体を通じて、さまざまな関係者によって使用され、変更されます。これらの関係者が上流の成果物にアクセスする際に PLM の外部での作業を余儀なくされる場合、社内のプロセスおよびデータ管理はひどく断片的で効果の薄いものになります。さらに、同じ BOM 情報のこれらのバリエーションやビューが、それぞれ異なるシステムで管理されていることが少なくありません。チーム間でこのような BOM を共有すると、非効率的であるだけでなく、情報が適切に配布されなければ不具合のリスクが生じます。たとえば製品設計が変更された場合、下流のチームはもはや最新ではなくなった情報を使用することになるのです。
このような問題を克服する 1 つの方法は、BOM の使用を最適化し、完全なデジタル製品定義を実現することです。デジタル製品定義は基本的に、最終的なアセンブリ構造から個々のコンポーネントまで、製品に関連したすべてのコンテンツの構成、管理、保管を単一の中央リポジトリで行うものです。「デジタルスレッド」とは、製品定義がこれらの下流のデータセットすべてをどのように関連付けていくかを表す言葉です。デジタルスレッド(デジタルの糸)は、文字どおり、企業内の主要なシステム間をつなぐ糸のようなものです。たとえば、工場の ERP システムでは、設計 BOM が品目マスターになります。
部品の設計も含めるように従来の図面を進化させることで、設計者は製品情報の発信に費やす時間を減らし、製品開発の時間を増やすことができます。部品を中心とした BOM によって製品の正確な構成を確実にできるため、結果的に手戻りや無駄を減らして市場投入までの期間を短縮できます。また、部品は企業内のすべての部門に共通する領域でもあります。正しい部品が分かっている製造技術者が製造 BOM (MBOM) を作成でき、それにより工場の計画担当者は部品の公差に合わせて機械を設定できるようになります。製造技術者は、設計と並行して作業指示を作成することもできます。
部品中心のアプローチを採用することで、設計部門が、より早い段階で、コンプライアンス、パフォーマンス、リスクに関する情報を品質管理担当者に継続的に提供できるようになります。その結果、製品開発ライフサイクルの早期段階で問題を予測し、それらの問題に対するプランニングを行えるようになるため、製品とプロセスの品質が継続的に向上し、問題の件数を減らすことができます。部品に関する正確な詳細が得られれば、調達部門は、優先サプライヤーおよびコンポーネントを特定し、ボリュームディスカウントの交渉を行うことができます。部品の領域に取り組まなければ、設計のレベルを引き上げることはできません。
最善の BOM 管理を実現する 10 の方法
製品情報は開発サイクルの中で絶えず変化しています。中核的な製品情報が格納されている BOM は、製品、その製造に必要な部品、広範な専門分野にわたる関連情報を定義するために使用されます。関連情報には、その製品設計を構成する機械部品、電気部品、組み込みソフトウェアの定義などが含まれます。
部品は BOM 構成の基盤となります。部品は、ボルトなどの単一アイテムを表す場合もあれば、数十万個の部品から構成される民間航空機などの製品全体を表す場合もあります。それらが集まって BOM 全体を定義し、部品の数量、測定単位、その他の主要な製品特性などの重要なデータを提供します。
しかし企業が管理しなければならないものは、BOM だけではなくなっています。製品の電子的、機械的、ソフトウェア的な側面に関するすべての情報を含む、完全な製品定義の管理が必要です。この定義は、製品の開発に貢献する、相互依存関係を含むすべての分野で理解される必要があります。理想的なのは、要件管理プロセスからサービスと使用に至るまでの情報を含む、多次元、多分野にまたがる BOM によって、完全なデジタル製品定義を管理できることです。
デジタルスレッド全体にわたるデジタル製品のトレーサビリティ
ここでは、完全な BOM の変換を行う一方で、デジタル製品定義から即座にメリットを得るための 10 の方法をご紹介します。
1.早期段階から関係者に情報を提供
製品を市場に投入するプロセスでは、さまざまな関係者が多数のタスクを実行して多数の成果物を完成させます。多くの企業は依然として、部品設計、BOM、製造、サプライヤーの情報を図面に書き込む方法に頼っています。組み込みソフトウェアの開発者は、まったく異なるタイムスケールで作業し、ソフトウェアの一覧表などは存在しません。このような情報にアクセスするには、社内全体の関係者が「持久戦」を戦わなければなりません。ソフトウェアの依存関係を理解する前に、図面を待ち、図面のレビューを待ち、図面のリリースを待たなければならないのです。このような方法は問題の連鎖をもたらします。
- 製造、品質規制、サプライチェーン、サービスなどを担当する部門は、図面が公開され、ソフトウェアが更新されるまで前に進むことができません。特に、現地での生産、コンプライアンス、サービスへの適応を行っている場合はなおさらです。
- これらの部門は、図面やソースコードのリポジトリから情報を引き出して、それぞれのシステムで使用する必要があります。その結果、情報のサイロ化が進み、古い情報が増え、メンテナンスにも手間がかかることになります。作業指示書の作成や更新のために、要求の厳しい作業を手動で行うことが必要になります。
- このような状況は、部品の急増や BOM の重複などの問題を生み、さらなるサイクルの遅れ、品質の問題、プロジェクトリスクの増大、再利用の停滞につながります。他のコミュニティに通知することなく、部品の変更や更新が行われます。こうすると事態はすぐに悪化し、管理およびコンプライアンス上、悪夢のような状況に陥ります。
仕掛品管理とリリース管理に 2 つの別々のプロセスを用いるという別のアプローチもあります。この方法での課題は、データの同期をどれだけ早い段階からどのくらいの頻度で行うかを決定することです。部門を越えたコラボレーションを促進し、市場における競争力を維持するには、企業全体の関係者ができるだけ早い段階からこの情報にアクセスできるようにする必要があります。しかし、新製品導入 (NPI) の早期段階は非常に変動が激しいため、この方法では、仕掛品管理とリリース管理に使用しているシステムの頻繁な同期が必要になります。仕掛品管理では、BOM(組み込みソフトウェアモジュールとハードウェア)、視覚的表現、サプライヤー認定、参照ドキュメントなどの間の複雑な関係とともに個々のデータを管理する必要があるため、そのような同期はより複雑なものになります。
一般的な例: サプライチェーン管理の早期関与
製品情報の単一ソースに早期から継続的にアクセスすることで、開発初期段階から、異なる部門に属する設計者間でのコラボレーションが可能になります。完全な可視性と 1 つのグローバルなプロセスにより、関係者は予定どおりに作業を完了できます。また、相互依存関係を十分に理解したうえで変更を加えることができれば、フィードバックも容易になります。
NPI プロセスの早期にサプライチェーン管理 (SCM) を関与させるべきケースについて考えてみましょう。早期段階の情報は、中核的な製品開発チーム以外の担当者を関与させるには曖昧すぎるかもしれません。PLM ソフトウェアは、この段階で SCM の要件に対応し、ライフサイクル管理または成熟度管理の簡単なアクセス制御により、ユーザーの役割に応じて特定の情報だけを共有できるようにします。
設計が下流のチームとコラボレーションできる状態になったと製品開発チームが感じたら、関連する設計データを利用しやすい形で共有することが重要です。デジタル製品定義を使うと、簡単に情報をコラボレーションに適した状態に「昇格させる」ことができます。結果として、製造や設計のパートナーを含めた関係者が、トレース可能で正確な関連データを含む最新情報にアクセスできます。さらに、PLM は、それぞれの役割に応じて関係者に情報を提供することもできます。下図のように、購買担当者は、手元のデバイスから Web ベースのアプリケーションに直接ログインし、必要な部品情報を簡単に確認できます。
2.多様な BOM 構成のサポート
企業が BOM を作成する方法は 1 つではありません。製品開発部門は、BOM の作成と更新に、手動での部品作成、CAD 図面、外部のソース(たとえば Excel)などのさまざまなソースを利用したり、既存の BOM を再利用したりできます。これらのソースの部品を組み合わせて構成したものが BOM となります。
BOM はデジタル製品定義の「レシピ」となり、解析、テスト、製造、販売、サービスを行う対象を企業全体で理解するために使用できます。この「レシピ」の目的は、製品をどのように現実のものとするかを全員が理解することです。
さらに、販売する製品のタイプや、製品の市場投入に使用する営業戦略に応じて、異なる方法で BOM を構築できます。たとえば、見込み組立生産 (Assemble to Stock)、受注組立生産 (Assemble to Orde)、受注開発生産 (Enginner to Order) などがあります。製品開発段階では、BOM でこれらの戦略をサポートできる必要があります。また、BOM はさまざまな形態をとることができなければなりません。たとえば、ワンオフ製品のための専用 BOM や、固有の顧客注文や市場全体に対応するように構成できる BOM などがあります。
製品開発とは、提供する製品を作ることだけではありません。多くの場合、それは顧客の多様なニーズに合わせて製品を提供することを意味します。モジュール式の構成可能な BOM というアプローチでは、要件から導かれたロジックに BOM 構成を結び付けることによって、市場の広範なニーズに合わせて規模を調整しながら構成可能な製品を提供できます。ロジックや機能を管理することで、製品ファミリー内や製品ファミリー間でのモジュールやサブシステムの再利用を可能にし、製品のライフサイクルを通して、製品設計、製造、サプライチェーンを最大限に再利用できます。モジュール式の手法により、設計部門は設計の妥当性検査を迅速に実施し、広範な製品における干渉や環境への適合性を調べることができます。一方で、手作業を減らして製品の品質を向上させ、市場投入までの期間を短縮できます。このモジュール式の設計を下流のニーズに活用することで、製造計画、サービス、およびサプライチェーンのための共通の定義を提供できます。さらに、モジュール式プラットフォームとロジックは、もう多くの Excel のシート中に隠されているものではなくなりました。企業全体で管理され、利用可能な状態になっており、CPQ や ERP などの下流のシステムと共有できます。
部門ごとに特定の BOM ビューを用意することで、各ビューが他のビューと関連付けられ、部品間(CAD、電気、機械、ソフトウェアなど)のトレーサビリティが確保されます。デジタル製品定義についての理解が深まることで、遅い段階でのループバックの回数と設計変更の回数が減少して、問題の特定にかかるリードタイムが短縮されます。企業内のチームがすべての製品データを包括的かつ正確に把握することができ、プロジェクト、企業内の部門、製品ラインにまたがるコンカレント設計が可能となります。
プラットフォームの可視化と設計
3.構成の包括的な管理
前述のように、製品情報は製品開発プロセスの中で絶えず変化しています。異なる部門が管理する複数の連携性のないシステムに依存している場合、データのスナップショットを取得することや、プロセスの担当者全員のニーズを適切に把握することは不可能です。また、相互依存関係を理解することもできません。
PLM を利用すると、製品の成熟状態を取り込んだり、設計、製造、サプライチェーンなどの部門にどのようなデジタル製品情報が提供されるかを示したりできます。これにより、担当者が誰でも正確な情報を取得し、その情報に関連したすべてのデータを収集できるようになります。たとえば、製造部門がフレーム溶接のリビジョンを確認する必要があるとします。その場合、CAD 図面、テスト関連のドキュメント、変更通知など、そのリビジョンに関するすべての情報も確認できることが重要です。適切な PLM を使用すれば、現在と過去の適切な情報を簡単に見つけることができます。この情報を企業全体で利用することが可能です。たとえば、最新のリリース情報を現場に提供することで、サプライチェーンは数カ月先、四半期先の BOM にとって何が有効かを把握できます。
構成管理が切り離されているのは、BOM 管理のためだけではなく、相応の理由があります。効果的な製品開発は、「最新」または「リリース済み」のデータを管理するだけでは実現しません。製品に関する履歴情報など、PLM で管理されているあらゆる関係が構成管理の一部とみなされるのは、そのためです。また同じ理由で、関連情報の適切なバージョンへのトレースが可能であることが、BOM そのものへのアクセスと同様に重要となります。
部品、ドキュメント、CAD、ビューデータなどの成果物のつながりは、製品の「トレーサビリティ」と表現されることがよくあり、設計マスターレコード (DMR) や設計履歴ファイル (DHF) の基礎として使用されます。
BOM を基盤としたデジタルスレッドは、規制当局、メーカー、コネクティッド・プロダクツのデータを組み合わせることで、「クローズドループ型」のライフサイクルシステム統合を実現します。上流の定義からの構成フローは、関連づけられたコンセプトに基づき、下流の構成済み BOM に自動的に組み込まれます。
製造(および市場投入)までの期間を短縮
4.広範囲にわたる可視化の実現
「百聞は一見にしかず」と言うように、企業全体で製品情報を共有する場合には製品に関する視覚情報が非常に重要になります。部品番号や暗号のような分かりづらい構造は、製品の設計作業に深く関わっていないユーザーにとっては、ほとんど価値がありません。また、スナップショットや派生イメージでは、複雑な製品開発を十分にサポートできません。デジタルモデルは大きな影響力をもちますが、前述の BOM に似た高度な構成管理を必要とします。簡単に言えば、信頼できないモデルやビューデータは使用できないということです。
可視化を広範囲に浸透させることで、可視化/デジタルモデルを製品開発プロセス全体で利用できるようになります。
可視化は、部品の認識に役立つだけでなく、製品開発全体でのデジタルモデルの活用や、下流のプロセスおよび成果物の最適化も可能にします。関係者は、デジタルの状態で部品に「触れる」ことができるだけでなく、バーチャルプランニングの段階で、製品をどのように構築し、そのサービスをどのように提供できるかを仮想的に理解し、検証できます。
可視化は企業を一変させる可能性がありますが、可視化の価値を企業全体で最大限に引き出すには、表現する対象のデータが正確かつ完全でなければなりません。これは基本的なことですが容易ではありません。なぜなら、製品データは絶えず変化しており、役割によって必要となる構成が異なるためです。
適切に管理されていない可視化は、驚くほどのスピードで誤った情報を広めます。
例: アセンブリの 3D および拡張現実 (AR) による可視化:
多くのアセンブリで使用されている 1 つのコンポーネントがあるとしましょう。このコンポーネントに変更があった場合は、そのコンポーネントを使用するすべてのアセンブリに変更を反映しなければ、不適切な古いデータを使用して作業することになります。
「スナップショット」のアプローチを採用している PLM では、変更が生じた場合の「トリガー」が必要であるとともに、影響分析のために「使用箇所」の完全なトレーサビリティも必要となります。さらに、適切なトレーサビリティを保証するために、変更の影響を受けたすべてのアセンブリを再度パブリッシュする必要があります。ERP システムで行われるように、リリース時にスナップショットを引き渡す場合は、それ以降もデータが正確であることを保証するために、データをレビューしロックしておく必要があります。
しかし、仕掛品が絶えず変化している NPI または再設計の早期段階では、それは現実的ではありません。デジタル製品定義を使用すると、CAD 図面の更新に応じて、すべてのユーザーが製品開発プロセス全体で最新の可視化を活用できます。関係者が早期段階から情報を把握できるようにする、構成を包括的に管理する、完全なトレーサビリティを確保するなど、PLM のさまざまな側面において、包括的な可視化は不可欠です。また、それにより下流の主要なプロセスも有効になります。
例: 視覚情報による意思決定、作業指示、品質検査の改善:
CAD から生成されたビジュアルコンテンツは、BOM で常に最新の状態に保たれており、拡張現実 (AR) でも利用できるため、製造工程の下流で利用されたり、サービスマニュアルなどのテクニカルイラストレーションの作成に利用されたりしています。AR は、製品定義に関与し、それを中心にコラボレーションを行うための新しい手法です。ライフサイクルの状態や設計レビューの有効性などでフィルタリングされた製品バリエーションを視覚的に操作することで、実物大のデザインを現実世界に重ね合わせて見ることができます。また、AR は、既存の BOM や関連する CAD データを詳細なエクスペリエンスに変換し、トレーニング、品質検査、修理など、現場の作業員が最も必要とするときに最も必要な場所で重要な情報を提供します。
5.コンポーネントとサプライヤーの管理の強化
新しい部品には、数千ドル、場合によっては数万ドルのコストがかかる場合があります。このため、コストを削減し、企業全体の効率を高めるうえで、部品の再利用が重要な推進力となります。たとえば、M6-1.0 x 25mm のボルトをどのバージョンにするか、あるいはどのサプライヤーにその部品があるかを判断する際に、部品の再利用によって在庫の複雑性を軽減し、サプライチェーンの稼働率を高め、アフターサービス提供の複雑性を軽減できます。
ある企業が、毎年大量の部品を製造しているとしましょう。部品の重複が少ない場合でも、次の式が表すように、再利用によるコスト削減の機会が多くあります。
Pi x 12 x D% x Pic = $2,880,000 / 年
- Pi - 部品導入率 (3000)
- 12 - 期間(月)
- D% - 重複する部品の割合 (2%)
- Pic - 新規部品導入コスト ($4000)
PLM では、企業での部品の再利用の課題に対応するための 2 つのアプローチをサポートしています。その 1 つは「分類」と呼ばれます。分類では、部品をカテゴリ別に区分しやすくするために、部品の説明に付加的な情報を追加します。このカテゴリには、ハードウェア、電気、調達部品などがあります。
たとえば、ハードウェアのカテゴリで、あるボルトが「六角頭、ヘビー」に分類され、長さ、ねじピッチ、仕上げなどの属性が設定されていたり、あるコンデンサが「フィルム、表面実装」に分類され、静電容量、電圧、温度定格などの属性が設定されていたりします。
このような情報があると、ユーザーは自分の設計に合った既存の部品を簡単に見つけることができ、新たに部品を作る必要がなくなります。このような情報は、製品を設計するチームだけでなく、そのデータを必要とする下流のチームにも価値をもたらします。これにより、サプライチェーンは利用可能な部品についてのコミュニケーションを向上させることができます。同時に、製造部品は適切なツーリングや検証を用意し、サービス部門はフィールドサービスの計画を立てることができます。
部品のライフタイムバリュー
製品の再利用をより効果的に管理するもう 1 つの方法は、サプライヤー管理によるものです。多くの部品が外部のサプライヤーから調達されることがよくあります。多くの場合、同じボルトやコンデンサを、地域、在庫、コスト、コンプライアンスに応じてさまざまなサプライヤーから調達できます。製品の再利用を最適化するには、製品の定義時に、どの部品がどのサプライヤーから調達可能であるかを把握している必要があります。
PLM では、ベンダーやメーカーと、それぞれが提供する部品をリストアップしてトラックできます。上記で例に挙げたボルトが 3 つの会社から調達可能であるとします。製品定義の理解を深めるために、BOM で部品とサプライヤーの関係を示すことができます。BOM には、カットシート、仕様書、コンプライアンス証明書など、各サプライヤーに関連した特定の情報を含めることもできます。ユーザーは、関連する製品情報を活用し、製品要件、CAD 図面、関連するサプライヤーのドキュメントなどから部品の詳細情報を入手できます。さらに、推奨されるサプライヤーまたは承認済みのサプライヤーを示したり、場所に応じてそれを定義したりすることもできます。米国内の工場では特定の承認済みサプライヤーを利用し、ヨーロッパの工場では別のサプライヤーを利用する、といったことも可能です。
以下の例は、企業が PLM を使用してサプライヤー部品とそのステータス(「承認済み」や「使用しない」など)を BOM に関係付けるプロセスを示しています。
分類とサプライヤー管理を PLM 内で組み合わせることで、部品の再利用を促進できます。これにより、企業は使用している部品についてさらに有用な情報を得ることができるため、ユーザーは必要な部品をすばやく見つけられるようになります。
6.完全な変更管理とトレーサビリティの保証
現代の環境にある製品は急速に進化しています。ユーザーは、製品定義に対する変更を簡単に管理し、その変更を企業全体で共有する方法を必要としています。製品開発チームは BOM に変更を取り込む傾向がありますが、これは BOM が開発中の製品の記録文書とみなされているためです。しかし、実行時に先を見越してすべての変更を検討し管理するには、複数の部門にまたがる成果物に、製品開発における変更をすべて反映する必要があります。このため、関連する情報への体系的なアクセスと適切なバージョンおよび構成へのアクセスが重要となります。
デジタル製品のトレーサビリティは、変更管理と密接に関係しています。製品開発の成果物全体に対するトレーサビリティは、設計全体に変更を反映させるための管理階層を確立します。これにより、チームは孤立して作業することなく、サブアセンブリ間で設計意図を共有し維持できます。設計、サプライチェーン、製造など、どこで変更が発生したかに関係なく、製品変更は部門を越えたさまざまな成果物に波及します。
しかし、情報が複数のシステムに分散している場合、主要な成果物の開発とモニタリング、1 つの成果物の変更がほかの成果物に及ぼす影響の分析は、ともすると非常に困難になります。情報の集約を手動で行っていては、戦略的な作業から注意が逸らされるだけでなく、ミスやそれに伴うコストが発生する確率が高まります。特定のバージョンにレッドラインが入っている場合、それは古くなっている可能性があります。変更意図の計画機能により、レッドラインは自動的に最新の繰り返し作業に更新され、常に最新の状態に保たれます。ユーザーがリビジョンを作成する前に計画と承認を行えるようにすることで、変更の質が向上し、ストレスが緩和され手戻りが削減されます。
PLM と包括的な構成管理は、変更プロセス全体のトレーサビリティを確保するうえで大いに役立ちます。PLM により、デジタル製品定義で、すべての分野にわたる変更を特定、収集、実行することが可能になります。同じく重要なのは、これらの変更を PLM によって ERP や製造実行 (MES) などのエンタープライズシステムに適用することで、製品開発を簡略化し強化できる点です。
例: BOM を活用して変更を最適化:
製品変更が発生した場合、技術面およびビジネス面の影響を分析することが必要になります。たとえば、フレーム溶接が変更された場合は、CAD 図面や要件文書など、ほかにどのような変更が必要になりそうか見極めなければなりません。さらに、そのフレームがほかの 2 つのアセンブリで使用されている場合は、それらに関連するすべてのドキュメントも更新が必要になります。このため、変更を行う場合は、従属データや関連データを収集して分析する機能が必要です。また、変更とその影響の規模を適切に判断できるように、サプライチェーンや製造など、変更に関わるべき担当者を特定できることも必要です。
影響分析により、変更のすべての側面を考慮し、企業全体で変更を適切に実行できます。企業の変更プロセスの一部として、結果的に生じる変更を簡単に特定し、計画し、それについて説明できる場合、影響分析は最も効果を発揮していると言えます。下図のように、レッドラインのようなツールを使ってユーザーが変更を計画し、それを企業全体でレビューして理解できるようにすることは、最初から質の高い変更を提供するための鍵となります。
効果的な影響分析を実現するには、製品構成の理解に基づいてすべての関連データを収集することで、適切なバージョンのデータを使用しているという確信が持てるようにする必要があります。デジタル製品定義を使用すると、信頼できる構成管理手法により、適切な関連情報に確実にアクセスできます。
次ページの図は、各種の情報を簡単に収集するために、さまざまなタイプの情報や関係を利用している完全なデジタル製品定義を示しています。このような「収集」によるアプローチは、変更の影響分析やコラボレーションなど、その他のさまざまな領域でも活用できます。
7.下流での利用の最適化
上流および下流の成果物のデータの正確性と構成を保証するための手助けができる PLM を使用することで、企業全体のワークフローやプロセスの最適化が可能になります。部門を越えたコラボレーションと並行プロセスの実行には、消費可能な情報を早い段階から把握できることが必要です。早い段階で情報にアクセスできることで開発時間の短縮が可能になりますが、それだけでは並行作業には十分ではありません。
設計 BOM のデータを使用して、サプライ管理、製造計画、サービスなどの下流工程の各プロセスの成果物を並行して作成することで、これらのプロセスを迅速化できます。可視化は、下流での作業をより効率的かつ効果的に行うための最適な方法です。たとえば、正確で完全な可視化により、下流で製造チームが工場特有の MBOM や作業指示などの成果物を作成したり、製品サポートチームがテクニカルサポートの情報や手順を開発したりすることが可能になります。
「デジタルスレッドは、多くの場合、製品設計データに注目し、デジタルエンジニアリングコンテンツを効果的に管理することから始まります。この基盤が整うと、プロジェクト、部門、パートナー、顧客の間での情報アクセスを拡張することで、企業は大きな価値を実現できます」
その結果として得られるメリットは絶大です。下流の成果物にデジタル製品定義が利用されているため、手戻りが劇的に削減され、製品開発のリリースサイクルがスピードアップして、市場投入までの期間が短縮されます。
例: 可視化を活用した製造計画とサービス計画:
多くの企業は「場所を選ばない設計と構築、あらゆる場所でのサービス」という戦略を推進しています。そのためには、製品、製造、およびサービスの各エンジニアリング部門の緊密な連携が必要です。この 3 つの部門は一般に製品開発の異なる側面に重点的に取り組んでいます。製品エンジニアリング部門では、形状、適合性、機能に関するエンドユーザーの要件に合った製品を設計することに重点が置かれます。製造エンジニアリング部門は、企業がどのようにして物理的な製品を作り、組み立て、製造するかを計画することに重点を置いています。サービスエンジニアリング部門は、現場での部品調達や物理的な製品の修理方法を計画することに重点を置いています。このような類似しながらも異なる目標を達成するため、これらの 3 つの部門ではデータの編成方法が異なることがよくあります。
3D による可視化は、完全なデジタル製品定義の一部として、これらの部門の間をつなぐ有能な「翻訳機」の役割を果たします。製品エンジニアリング部門が製品構造(つまり BOM)をどのように編成していても、製造エンジニアリングおよびサービスエンジニアリング部門は 3D 設計を簡単に表示し理解できます。製造エンジニアリングおよびサービスエンジニアリング部門が製品エンジニアリング部門の成果物と情報を利用して自分たちの成果物を作成する場合、PLM がそれをトラックします。この「等価性」により、上流での変更を下流の成果物に簡単に取り込むための関係付けが構築されます。上流/下流の構造の可視化と完全な構成管理は、それを可能にするメカニズムとなります。このような下流の変換プロセスを、サポート部門がテクニカルイラストレーション、部品リスト、手順の作成に使用することもできます。
下図は、上流および下流の構造を管理し、2 セットのデータ間の「アソシエティビティ」を維持するうえで、可視化がどのように重要な役割を果たすかを示しています。可視化に重点が置かれた PLM ツールでは、ユーザーが 3D ビューアからデータを選択して操作し、下流工程のチームのニーズに対応できます。
3D による可視化は、単一の BOM や設計にだけ対応するのではありません。これを拡張し、構成可能なモジュール式製品の 3D を簡単に提供することもできます。構成可能なプラットフォームは、多様な製品の提供に役立つだけではありません。構成可能なプラットフォームの正確な 3D ビューデータにユーザーがアクセスできるようになります。設計用の正確な 3D ビューデータを得るために CAD 設計者を探す必要はもうありません。必要な構成を選択することで、部品が正しく配置された 3D モデルを取得できます。さらに、ファミリー製品の場合、企業はどのような構成であっても必要なものにアクセスできます。3D ビューデータもこれに含まれます。この情報は、CAD で正しい構成を開くためにも利用できます。3D による可視化を利用することで大幅に時間を節約でき、幅広い製品で正しい構成が可能になります。
8.効果的なコラボレーションと IP 保護の実現
新製品導入の製品開発プロセスには社内外両方の担当者が関与します。これらのリソースの生産性を最大限に高めるには、関連する正確で最新のデータを共有することが重要です。またそのデータは、最小限の手戻りでアクセスおよび使用できる必要があり、知的財産 (IP) の保護も同時に必要になります。
内部コラボレーションは、通常、すべての担当者が PLM に直接アクセスできるため、外部コラボレーションよりもシンプルに見えます。しかし、その場合でも、IP ポリシーを配備して、アクセス権限と規制やその他のポリシーの整合性を確保する必要があります。
IP 喪失のリスクをもたらすことも、規制要件への準拠を怠ることもなく、コラボレーションを最適化することを望むグローバル企業にとって、IP 保護は非常に重要です。包括的な IP 保護では、複数の次元の基準に対応し、オブジェクトにアクセスするためのさまざまなルールやアクセス許可を効果的にサポートする必要があります。次元アクセスというコンセプトがすべての製品開発データに拡張されると、従来のアクセス制御リスト (ACL) のポリシーまたはフォルダベースのアプローチは持続が難しくなります。
さらに、データアクセス方法(ユーザーインターフェース、コラボレーション、API など)を問わず、IP 保護をセキュリティモデルの基盤として、必須ポリシーに確実に従う必要があります。しかし、複数のアクセスポイントに標準の IP ポリシーを適用することが非常に難しい場合があります。アプリケーションごとに IP ポリシーの管理方法が異なる可能性があります。複数のシステム間のポリシー同期を維持することは、複雑で、時間を要し、不具合が発生しやすい作業です。IP 保護は問題が 1 カ所でも発生すればそれまでです。
外部の担当者との合理的で効果的なコラボレーションを実現するには、関連データを収集し、そのデータへのアクセスを提供する必要があります。この目的のためのデータ収集を手動で行う場合、どれだけの時間がかかっても、初期段階で意思の疎通を図るため、そして外部の担当者とのコラボレーションプロセス全体を通じて、それを遂行する必要があります。情報が古くなれば、担当者は、適切な情報に基づく意思決定や提案を行うことができません。
効果的なコラボレーションを実現するには、ネイティブ形式で使用可能なフォーマットで情報を共有する必要があります。たとえば、詳細設計では、設計の共同開発や関連成果物の作成のために、CAD フォーマットでの直接作業が必要になることが珍しくありません。
PDF 形式のスナップショット、派生的なビューデータ、または図面を提供するだけでは、下流の担当者が各自の目的に合ったデータを再作成しなければならなくなります。これらのような CAD アセンブリもまた、すべてのコンポーネント、ファミリー部品、図面を含む要件や仕様などの関連文書がなければ、コラボレーションではあまり役に立ちません。
リスクを最小限に抑えながら最適なコラボレーションを実現するには、アクセス制御ポリシーおよび IP ポリシーに従いながら、あらゆるタイプのデータを簡単に収集して適切に共有できる必要があります。コラボレーションのすべての要素を効果的に管理できる PLM ソリューションを利用すると、サイロ化されたデータの重複や、手戻り、スクラップ、IP の喪失に伴うコストの発生を防ぐことができます。
知的財産の確実な保護
9.BOM ベースのレポートの作成
前述したように、製品開発は変動が激しく、絶えず変更が発生します。企業全体のユーザーが、さまざまなニーズのために、デジタル製品定義から情報を取得する必要があります。多くの場合、これはレポートという形式をとります。または、単に、BOM を表示するときにどの情報を表示するかをユーザーが制御できるようにします。
製品情報を効果的に管理して企業全体のさまざまな役割や担当者に提供することができるよう BOM をカスタマイズすることで、BOM から最も大きな価値を引き出すことができます。
デジタル製品定義が成熟する中で、(さまざまな部門の)関係者が設計を把握できることと、設計をそれぞれの職務に統合できることが重要になります。標準のユーザーインターフェース、特別レポート、3D のビジュアルレポート、管理者によって作成された詳細レポートなど、さまざまな方法で製品のデータや設計を共有できます。
PLM で重要な役割を果たすのが、各部門向けに広範なレポートを提供する機能です。これらのレポートにより、ユーザーはデジタル製品定義の理解を深めて、特定の情報のクエリーや検索を行い、パターンを理解し、製品を解析できます。この情報は、PLM ツールを通じて提供できます。また、解析、レビューの提示、他者との共有が必要な場合にオフラインでアクセス可能なレポートとしても、この情報を提供できます。
PLM により、データを理解し使用するための、よりインタラクティブな方法に対する需要を満たすこともできます。テーブル形式のデータとグラフィックデータの両方を提供することで、ユーザーは、より簡単で強力な方法でデジタル製品定義を深く理解できるようになります。これにより、開発プロセスにおいて、たとえば、製品のどの領域に重点的に取り組むべきかを判断したり、コスト削減の機会を見極めたりする際に、より適切な情報に基づく意思決定が可能になります。
レポートとドキュメント管理
10.BOM の変換の実現
BOM は企業全体にさまざまなメリットをもたらしますが、部門ごとに、それぞれ異なる構造で BOM を参照する必要がある場合があります。
多くの企業は、BOM の 1 つのビュー(エンジニアリングビュー)のみに頼っているため、製品開発以外の部門の担当者は、BOM を手動でコピーして各自のニーズに合わせて再構築することを強いられています。これにより古いデータが生じ、上流と下流の両方で変更を調整するために労力を要するプロセスが必要になります。
システム部門や設計部門向けの BOM の構成が、製造部門やサービス部門にとっては意味をなさない場合があります。製造部門は生産計画と検証を効率的に行えるような BOM 構成を望み、サービス部門はサービス計画に役立つような構成を望みます。
PLM には BOM の変換というコンセプトがあります。つまり、各グループが、自分たちの作業に適したビューになるように元の BOM を操作できます。たとえば、製造部門は生産計画用にエンジニアリングビューを操作し、サービス部門は自分たちのニーズに合わせて操作します。
デジタル製品定義の段階に到達した企業では、等価性のコンセプトによってこの変換が可能になります。これにより、新しいビューに変換された部分は、元のビューで何と同等であったかを認識できます。また、製造やサービスなどの下流のユーザーは、設計部門が図面を仕上げるのを待つのではなく、プロセスのより早い段階で BOM を計画できるようになります。つまり、設計 BOM が進化している間に、自分たちの作業の計画を始めることができます。
このような BOM の変換により、製造部門は、1 つの計画だけでなく、異なる生産工場向けに、または同じ工場内の異なるライン向けに、複数の計画を策定できるようになります。これらの下流での計画は、エンジニアリングビューに関連付けられているため、上流でのすべての変更を下流のビューで簡単に理解、反映、およびトラックできます。これにより、上流と下流の両方のユーザーの時間を節約し、さまざまな計画を最新の状態に保とうとする際に不具合が生じる可能性を低減できます。
包括的なデジタル製品定義により、BOM の構成と可視化の両方を簡単に変換して、適切に整理できるようになります。これにより、有用な視覚的フィードバックが得られ、製造技術者やサービス計画担当者は、自分たちのタスクをより深く理解できるようになります。また、堅牢なデジタル製品定義により、BOM 変換を実行する際に不一致の確認とトラックが簡単になります。
BOM 変換は設計部門と製造部門のためだけのものではありません。サービス部門がサービス BOM や部品リストを計画するために使用する製品ビューを作成する際にも、同じコンセプトを適用できます。それにより、サービス部門は、製造部門が同時進行のプランニングとフィードバックから得ているものと同じメリットを享受できます。
BOM 変換は、シミュレーションやマテリアルコンプライアンスなどの検証活動のために BOM の分析ビューを作成するなど、他のニーズにも利用できます。BOM 変換により、BOM データの整合性や一貫性を保証しながら、異なるユーザーにそれぞれのニーズに合った BOM を提供できます。さらに、より早い段階でデータにアクセスし、設計とフィードバックの真の同時進行を実現し、より品質の高い製品をより短期間で市場に投入できます。
長期的なビジョンを段階的に実現
どのような変換も、継続的なプロセスであると言えます。完全なデジタル製品定義とより多くの製品開発機能の実現を目指す企業は、この継続的なプロセスを管理しやすい段階に分けて進めることができます。
デジタル製品定義の実現に向けて小さな一歩を積み重ねていく場合も、すぐにその効果が表れ始めます。たとえば、EBOM 内の製品データをより効果的に整理できたり、外部の関係者のための関連情報を簡単に統合できたりします。
BOM をデジタルスレッドの基盤としたうえで、MBOM、SBOM へと進んでいきます。PLM への信頼を高めてその導入を促進するために、すばやく成果を得られることは重要ですが、実現可能な長期的ビジョンを念頭に置くことを忘れてはいけません。理想的なのは、最適なバランスをとることです。ベストプラクティスに 1 つずつ取り組んでいく場合、長期的ビジョンの実現は難しいと感じるかもしれませんが、長期的な価値を制限することになるような短期的な意思決定は避ける必要があります。つまり、PLM 導入の価値と ROI を最大化するには、短期的なニーズと長期的な目標をサポートするデジタル製品定義を作成できなければなりません。
このホワイトペーパーで取り上げている PLM のベストプラクティスのうちの 1 つまたは数個で、最初から勢いをもって進んでいくことは難しいかもしれません。しかし、1 つが成功するたびに企業は具体的なプラスのビジネス成果を確認でき、社内の信頼向上に役立ちます。これらのベストプラクティスを実践することで、完全なデジタル製品定義と包括的な BOM を中心に展開する PLM への成熟したアプローチを採用するための準備が整います。
忘れてはならないのは、有意義な変化は簡単には起こらないという現実です。目標を設定し、忍耐力を持ち、PLM とデジタル製品定義によって最終的にデジタル時代に突き進むことができることを心に留めておく必要があります。
PTC は、構想から現場まで、製品ライフサイクル全体を通じて、複雑なデジタル製品データを十分に維持しながら単一で正しい情報源を提供しています。詳細については、www.ptc.com をご覧ください。