課題 カスタマイズされたチタン製肩甲骨インプラントを設計するには、理想的な機能性をもたせるため、骨格構造の再現精度、エンジニアリング上の制約、医療上のニーズの最適なバランスを実現する必要がありました。


課題:

テルアビブ医療センター、PTC、Hexagon のチームは、がんを患う若い患者のためにカスタムの肩甲骨インプラントを作成する方法を見つけ出すプロジェクトに取り組んでいました。このプロジェクトでは問題の複雑さに対応するために非常に高い精度が求められ、チームは解剖学、医学、エンジニアリング、製造、認定それぞれの制約の間で最適なバランスを実現する方法を探り当てる必要がありました。

結果:

チームは、Creo のツールを活用し、付加製造向け設計と高忠実度シミュレーションの設計を行いました。テルアビブ医療センターの専門家による監督のもと、Hexagon のテクノロジーを使用して製造、認定された肩甲骨インプラントを個々人に合わせて作成することに成功し、患者の迅速な回復と運動能力の回復に寄与しました。

使用した製品とテクノロジー:

PTC Creo、Hexagon の Simufact Additive と VGSTUDIO MAX

はじめに

医学、エンジニアリング、テクノロジーの画期的な融合によって、テルアビブ医療センター、PTC、Hexagon から成る世界クラスのチームは、若いがん患者のために完全に個別化され、特別に設計・製造された肩甲骨インプラントという、医学上の飛躍的な進歩を成し遂げました。チームは協力して、個別化医療の新規基準を打ち立て、医療インプラントのデジタルエンジニアリングが秘める可能性の限界を押し広げました。

患者がたどった道のりとカスタムソリューションの必要性

始まりは何カ月にもわたる痛みと運動制限に苦しんでいた若い患者が希少がんと診断されたときでした。MRI 画像により肩甲骨に広範囲にわたる損傷があり、浸潤性の腫瘍が周囲の筋肉に浸潤していることが明らかになりました。肩の機能を可能な限り維持しながら影響を受けている骨を取り除くことが当座の目標となり、患者にとっては困難な道のりでした。

高度なエンジニアリングによる革新的なプランニング

患者は当初、腫瘍を縮小させるための化学療法を受けていましたが、肩甲骨の完全な除去、つまり肩甲骨切除手術が必要な状態が続いていました。手術をすると患者の肩の機能が失われる可能性があったため、チームは別の方法を選択しました。それが患者独自の骨格を反映したカスタムのチタン製肩甲骨を設計し、3D プリントで作成して移植するという方法です。このアプローチは運動能力を回復するだけでなく、今後の複雑な骨格手術向け治療プロトコルの再定義にも貢献します。

革新的なインプラント設計

インプラント設計に伴う要件と課題には、次の点があげられます。
  • 患者の元々の骨格の体積、形状、運動能力を維持する。
  • 重量を最小限に抑えながらインプラントの機械的特性を最適化する。
  • 筋肉の結合のための基準点の最適なセットを提供する。
  • 結合組織と筋肉の成長を促進する高度な格子構造を実装し、Creo の金属付加製造向け設計を活用して補助物とねじれを最小限に抑える。
  • スムーズな関節運動を確保するために実装面を最小限に抑える。
  • 高度な機械的シミュレーションを活用して、肩と腕の動きに対するインプラントの耐荷重能力を検証する。
  • Simufact Additive を活用して、プリント時に部品のねじれを起こす熱加工プロセスをシミュレートして補正することで、インプラントの製造可能性を確保し、プリントの試行回数を減らす。
  • VGSTUDIO MAX を活用して CT スキャンデータを処理し、複雑な構造の品質とプリントされた金属の特性を検証することで、認定を受けられるプリント品質を検証する。

画期的な手術と患者の回復

手術は計画どおりに進み、個別化されたインプラントは患者の骨格にシームレスに適合しました。Creo の設計ツールと Hexagon の認定取得ツールによって実現された精密なカスタマイズ部品は、患者の速やかな回復に重要な役割を果たし、数日のうちに可動性を取り戻し始めることができました。これは、インプラントに組み込まれたエンジニアリングが優れていることの証しです。現在、患者はリハビリを進めており、機能は回復し、生活の質も向上しています。

個別化医療の新時代

このコラボレーションは、デジタルスレッドテクノロジーを統合し、効率的な軟部組織の成長をサポートするソリューションを患者に合わせて作成することで、個別化医療の再定義に貢献しました。複雑な骨のがんに苦しむ患者にとって、これは革新的なテクノロジーと心のこもった医療が融合した新たな夜明けを意味しています。Tel Aviv Sourasky Medical Center の外科技術革新および 3D プリント担当責任者である Solomon Dadia 医師は、この進歩が持つ重要性をそのように強調しました。

「バイオアクティブ・プリント・インプラントは、未来のインプラントです。複雑なインプラント可能プリント材料の開発と、強力な付加製造およびシミュレーションソフトウェアを組み合わせることで、外科の世界にスマートインプラントを導入することができました。このようなインプラントは組織と相互作用して、体内での残存を最適化し、理想的な適合を確保し、組織の成長を促進します。今回の成果は、個別化医療の新たな時代を象徴していると言えるでしょう」

– Solomon Dadia 医師、Tel Aviv Sourasky Medical Center 外科技術革新および 3D プリント部門責任者

コラボレーションチームについて

テルアビブ医療センター: 患者中心の治療をリードし、先駆的な外科手術技術の基準を確立。

PTC: デジタルトランスフォーメーション (DX) をリードし、個別化医療ソリューションの飛躍的進歩を実現。

Hexagon: 医療における安全で認定済みの成果を実現。デジタルツインを使用して製造プロセスを予測し、向上させることで、高品質な構成部品を迅速に提供。

まとめ

この事例は、テクノロジーと思いやりの見事な融合を捉えており、患者の速やかな回復は、個別化医療ソリューションの効果が絶大だったことを物語っています。このプロジェクトは、診断から患者の運動能力の回復まで、Creo と分野を超えたコラボレーションが、患者個人に合わせて作成したソリューションを通じて、次の医療フロンティアをどのように開拓しているかを強調しています。