PLM(製品ライフサイクル管理)とは?必要な理由や導入メリット、PDM との違いについてわかりやすく解説

  • 8/15/2022
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PLM とは

PLM は、「Product Lifecycle Management」の略称であり、「製品のライフサイクル(製品の生涯)を管理する」という意味で、経済やマーケティングの用語の一種です。

現在、さまざまな場面で語られる「製品のライフサイクル」の定義には大きく 2 つあり、製品の「企画、設計、製造、販売、使用、保守、廃棄」のサイクルを示す「ミクロの PLM」と、製品の「販売開始、市場拡大、成熟、販売終了」のサイクルを示す「マクロの PLM」があります。いずれにせよ、製品のライフサイクルの中での製品の市場規模や投資コスト、利益が変動していくことを示します。

今日における製造業の製品開発においては「ミクロの PLM」を指し、ITシステムでのデータマネジメントの核となる概念の 1 つという位置づけです。PLM により、製品の企画、設計、生産、保守などの情報をひとつなぎにして管理して分析しながら、生産効率や利益率を高められる業務をしていこうという考え方です。

このような考え方に基づき、製品開発のマネジメントを遂行することで、市場投入までの期間短縮、投資コストの低減、品質向上などを叶えながら、利益の最大化を目指します。


PLM が必要な理由やメリット

PLM が必要になる大きな理由の 1 つとしては、市場の変化の激しさが挙げられます。特に近年は、モノがあふれて豊かになり、インターネットの普及により個人で情報収集がしやすくなりました。そうしたことを背景とし、現在の製品市場は、消費者の興味が移ろいやすく、かつ購買したいと考えるものも個人で異なります。

そのため、製品の市場投入はとりわけスピードが求められ、かつ「安く・たくさん作る」大量生産から、「誰かが欲しいものを必要なだけ作る」多品種少量生産にシフトしてきています。つまり、設計・製造における業務の複雑化が加速していることを示します。

その動きに追従し、自社に大きな利益をもたらすためには、人の経験や勘だよりではなく、PLM のような理論的な概念に基づいて、製品ライフサイクルにおける業務プロセスを分析して、「Q(quality:品質)C(cost:コスト)D(delivery:納期)」をバランスよく最適化し、最大限の利益を得られるよう管理していくことが求められます。

品質向上につながる

PLM に流通する情報を活用し、自社の人材や設備の実力を存分に発揮させるための管理を行うことで、品質を向上させます。また、市場に出てからエラーが起こった製品の設計や製造の情報を PLM から取得し原因を分析して改修などに対応するとともに、以後に製作する製品に反映して品質を向上させます。

コスト削減につながる

製品や設計に関する問題が、製品ライフサイクルの後半で発生するほど、コストがかかります。特に市場に出てから大きな問題が発生すると、リコール対応などで多大なコストがかかるとともに、消費者の信用を失いかねません。そのため、設計のできる限り早い段階で問題を徹底的に洗い出し、後工程での手戻り(設計変更の対応など)を極力削減していきます。

リードタイムの短縮につながる

PLM の情報を活用することで、各々のフェーズや工程でのリードタイムを評価し、プロジェクトの進行を妨げる要因となっている「ボトルネック」を発見し、改善策を打ち出します。そうすることでリードタイムを短縮していきます。

製品開発力や企業競争力向上にもつながる

PLM により、上記の QCD を高めるほど、設計・製造現場に余裕が生まれ、製品の改善・改良や、新製品開発など創造的な業務に時間やコストを割きやすくなり、社内の技術者達の働き甲斐にもつながります。それが、開発力向上へつながり、ひいては企業の競争力を高めることになります。


PLM と PDM の違い

PLM とよく似た言葉に「PDM」があります。こちらは「Product Data Management」の略であり、「製品データ管理」の意味になります。ここでいう製品データとは、設計図面や 3D データ、部品表、技術文書など、いわゆる「設計の成果物」のことを指します。PDM は、PLM よりも下位かつ小規模であり、多くは設計業務に特化したデータ管理の仕組みを指します。また、3D CAD とセットのデータ管理システムとすることもあります。

一方、PLM は PDM よりも対象範囲が広く、かつ上位の概念です。そのため、取り扱うデータも、上記のような設計成果物に限定されません。設計フェーズだけではなく、その後の調達や生産、物流、販売などに関するデータなども管理対象となります。
製造業向けソフトウェアのマーケティングの現場では、PLM と PDM の定義の間にはグレーゾーンのようなものが存在し、IT ベンダーの製品戦略や販売戦略の在り方により少しずつ異なるようです。また PLM の中の一部と定義していたり、PLM と PDM を切り離して定義していたりなど、さまざまです。


製品ライフサイクルを管理するシステムとしての「PLM システム」

PLM ソフトウェアは、その名の通り、PLM の概念に基づくデータ一元管理ソフトウェア全般を指します。設計・製造のあらゆる情報を 1 つのソフトウェアプラットフォームで探して活用することが可能になり、それによって情報検索や精査など間接業務にかかっていた大きな負荷を減らすことが目的の 1 つにあります。

例えば、複数のソフトウェアを用いて、それぞれのソフトウェア専用のフォーマットのデータを探すことになれば非常に手間がかかります。また、紙の書類を中心として長年に渡り業務がなされてきた製造業では、書庫にたくさん収まったファイルを 1 つひとつ開き、閉じられた紙から必要な情報を探すことになります。また PDF 化されていたとしても、例えば図面のように、そこに掲載されている図や画像そのものに重要な情報があるデータであれば、テキストベースである PC の検索機能だけでは、検索をかけても結局、ファイル 1 つひとつを確認して精査することが必要です。

PLM ソフトウェアでは、このような製品ライフサイクルにまつわる情報をデジタルデータ化して一カ所に集約し、ソフトウェアプラットフォームで一元管理することで、情報検索の手間を省きます。また、PLM ソフトウェアを介して利用するデータは、ユーザーのアクセス情報や作業履歴も管理されることから、ほかの人の作業状況を確認する、あるいは作業しようとしているデータが最新版であるかどうかも一目で分かるようになります。

さらに PLM ソフトウェアの重要な役割としては、データの可視化や共有、活用があります。例えば、一元管理されたデータを基に、ガントチャートやグラフを作成して共有する、3D データを関連情報と一緒にビューイングするなどです。最近では、AR(拡張現実)や VR(仮想現実)のデバイスを接続して 3D データを閲覧できるようにする機能も含まれます。このような機能は PLM 自身に含まれていることもあれば、PLM と連携可能なソフトウェアで行うこともあります。

上記のような機能で、複数の人や、離れた拠点の人たちと同じデータを見ながら、コミュニケーションを図ることが可能です。このことにより、従来は物理的あるいは心理的壁で隔てられていた部門や企業間の横連携コミュニケーションが可能となり、それが品質・コストの大半を決定する設計初期での問題の洗い出しを可能とします。

PLM ソフトウェアが、製品ライフサイクル中の、どのデータを取り扱うのか、ソフトウェアによって対象の広さが異なります。PTC 製品における PLM ソフトウェアは、設計成果物や生産情報、保守・サービスの情報をメインに取り扱い、PDM ソフトウェアとしての機能も PLM ソフトウェアに包含しています。

PLM ソフトウェアでは、設計成果物について 3D データを中心にして管理することが重要です。そのため、3D CAD の導入が前提で使用されます。3D CAD で作成する 3D データは情報量が多く、さまざまなデータを紐づけやすく、かつ機械図面を見慣れない設計者ではなくても直感的に部品や製品の形状を理解しやすいため、設計以外の工程でも活用・共有しやすいためです。

PTC の PLM ソフトウェア「Windchill」

Windchill」は、自動車や家電、産業機械、半導体など国内外のあらゆる製造業で採用される PLM ソフトウェアです。製品ライフサイクルのデータはクラウドもしくはローカルの DB 上で取り扱い、Web ブラウザベースで簡便で直感的な使い勝手のプラットフォームから、欲しいデータへ素早くアクセスできます。

Windchill は、部品構成、設計変更改訂履歴や品番、購入品や代替品、スケジュールなど、製品ライフサイクルに関連する情報を3Dデータに紐づけて管理します。Windchill はマルチ CAD 対応であるため、管理対象となる 3D データは、PTC の CAD で生成されたものに限らず取り扱うことが可能です。

また、開発製品の業界に特化した機能、あるいは設計・製造にかかわる業務や役割ごとに適した機能をカスタマイズすることも可能です。

導入の際には、既存顧客の活用事例や実際に使用している機能も参考にできるよう、PTC や PTC のパートナーがサポートしています。

PTC の PLMソフトウェア「Arena」

Arena」は、SaaS (Software as a Service) ベースの PLM ソフトです。製品記録管理と BOM 生成、設計変更の管理、チームコラボレーション機能などを備えます。

Arena は SaaS システムであるため、サーバー上にあるプログラムとデータにアクセスして利用するため、ユーザー側の端末では、ソフトウェアやプログラムをインストールしたり、特定の仕様や機能を備えたりする必要はありません。リモートワーク下での設計・製造業務の遂行や、PTC の製品を利用していない社外パートナーとの協業に適しています。

また Arena は PLM と合わせて、品質管理システム (QMS) も備えていることが特色です。ISO や FDA、ITAR といった製品製造にまつわる規格や規制を遵守した製品を効率よく確実に実現するための便利な機能を提供しています。

Arena は 2021 年より、SaaS ベースの 3D CAD システム「Onshape」とともに PTC ファミリーとなりました。近年のコロナ禍を背景に、両ソフトのような、ユーザーの場所にとらわれず業務コミュニケーションができる SaaS システムへの関心が非常に高まっています。


まとめ

製品ライフサイクルを分析し設計製造における業務を最適化し、利益を最大化させる PLM の概念自体は比較的昔からありました。市場の変化が激しく、製品設計が複雑化した今、製品開発においては、PLM がますます必要とされています。

PLM ソフトウェアは、設計・製造にまつわるさまざまなデータを 1 つのプラットフォームから自在にアクセスを可能にすることで、情報検索など間接業務の負荷やストレスを軽減しながら、さまざまな企業や部門、担当者による横連携コミュニケーションをスムーズにします。このような環境が、コストや品質の大半を決めるといわれる設計初期の問題発見を促すことで、後工程の手戻りを大幅に抑制して、製品開発における QCD を最適化します。それが、ひいては自社の利益を最大化させることにつながります。

さらに PLM ソフトウェアは、3D データを核としたデータ統合管理が肝となります。よって 3D CAD を用いた設計のデジタル化も、PLM を合わせて活用することでその真価を発揮します。


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