ブログ CAPA(是正処置と予防処置)とは?役割と重要性、PLMの活用について詳しく解説

CAPA(是正処置と予防処置)とは?役割と重要性、PLMの活用について詳しく解説

2025年4月30日 PLM お問い合わせ

ジェフ・ゼムスキーは Windchill デジタルスレッド担当副社長です。彼のチームは、ナビゲーション、ビジュアリゼーション、Windchill UI、デジタル製品トレーサビリティを統轄しています。PTC に入社する前は、産業、ハイテク、消費者製品の企業で PLM、CAD、CAE の導入と活用を 16 年間担当し、2002 年には Windchill PDMLink の最初の導入を主導しました。また、PTC/USER コミュニティでも積極的に活動し、Windchill Solutions 委員会の委員長や PTC/USER の理事会メンバーとして、お客様の意見をまとめ、ツールやプロセスについて人々が連携できるコミュニティの形成に貢献しました。レンセラー工科大学およびリーハイ大学で学びました。

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編集注記: この記事の初版が公開されたのは 2020 年 12 月です。2023 年 10 月に新たな情報を加筆し、更新しました。 

CAPA(是正処置と予防処置 ) により、企業は不具合の厳密な調査を計画・実施し、根本原因を発見することで、部品や製造プロセスに対する改善策を実行できます。本ブログではCAPA の概要、重要な理由、仕組み、実行方法をご紹介します。
記事の最後で PLM(製品ライフサイクルマネジメントソフトウェア) のお客様導入事例もご紹介しておりますので、ご興味ある方はぜひ最後までご覧ください。
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CAPA とは

CAPAとは Corrective Action and Preventive Action(是正処置と予防処置)の略称で、製品の不適合や問題の原因を取り除くことを目的とした継続的な改善プロセスのことを言います。CAPA のワークフローを標準化することで、既存の問題を是正して品質改善と規制遵守を実現する手順を確実に開始、評価、割り当て、監視、レビュー、承認できるようになります。近年、PLMソフトウェア(製品ライフサイクル管理ソフトウェア)を活用してCAPAワークフローの標準化を進める企業が増えています。

CAPA が重要な理由

CAPA では、是正処置と予防処置がそれぞれ異なる役割を担います。PLMソフトウェアにおけるCAPA管理機能 では処置の履歴が残るため、関係者は予防策を講じ、変更通知を自動的に生成することができます。品質改善に焦点を当て改善策を継続的に実行し最初に発生した問題に対処することで、企業は製品の不具合が再発するリスクを事前に減らすことができます。

是正処置と予防処置の違い

是正処置は主に監査や苦情などで明らかになった既存の問題に対処し、緊急の問題解決や再発防止に取り組みます。つまり、「事後」の問題解決に対処することを指します。予防処置はリスク評価やトレンド分析などを通じて、問題が発生する前に防止策を講じリスクを減少することを目的としています。つまり、「事前」に問題解決を進めることを指します。いずれも品質とリスク管理には欠かせない重要な要素であり、企業はこれらをPLMソフトウェアで管理することで効率的に高い品質基準を維持しつつ混乱を最小限に抑えることができます。

是正処置と予防処置を実行する理由

現場で製品や設備に不具合が生じた場合、最も重要なのは問題を迅速に診断して解決することです。これにより、次のような悪影響を軽減できます。 

  • 人への危害
  • コストのかかるダウンタイムの発生
  • 欠陥製品の売買
  • 規制や法律違反による罰則

是正処置と予防処置を実行することで、企業は次のようなメリットを得られます。

  • 改善プロセスが体系化され、効果を測定しやすくなる
  • 過去の設計で得た教訓を予防処置に生かす
  • 規制の厳しい業界でもコンプライアンスを遵守できる

多くの製造業でCAPAを品質管理プログラムに取り入れ、製品の品質向上に取り組んでいます。実際、製薬業界における CAPA は製品開発を成功させるために不可欠な要素とされています。

CAPA のプロセスとPLMソフトウェアの活用

CAPA を導入する場合、製品関連の情報を収集・分析し、製品と品質に関する問題の特定・調査したうえで、効果的な是正処置と予防処置を実行するというプロセスを採用し再発防止を図ります。
デジタル技術が導入される前、企業の CAPA 策定プロセスには多くの課題があり、問題がさらに悪化することもありました。データのサイロ化により、必要情報の所在が不明確でプロセスも整理されていませんでした。企業は次のような状況に直面していました。

  • 事後対応が中心で、事前の対策が不十分
  • 根本原因が不明確
  • 部門間の連携が欠如

近年PLMソフトウェアの登場により、関係者はあらかじめ定義された構成可能なワークフローと部品表 (BOM)、部品、ドキュメントを統合し、品質関連の全情報を簡単に一元化できるようになりました。複雑な CAPA プロセスから統合レポート、有効性の確認までさまざまなアクションが連携されることで、企業は潜在的な問題に関する正確な知見を迅速に得ることができるようになりました。

CAPA の実行方法

製品の不具合や顧客からのクレーム、偏差への対応は、製品の問題を解決するために重要な要素です。現在、多くの企業はこうした対応プロセスのデジタル化を強化し、CAPA をリアルタイムで管理できるようにしています。これにより、関係者が効果的かつ正確な対応を迅速に行うことが可能になります。 
業界をリードする PLM ソフトウェアである PTC の Windchill を使用すれば、企業は情報をデジタルデータで一元管理しCAPA(是正処置と予防処置)にデータを効果的に活用できます。これにより、効率的かつ合理的にプロセス全体の透明性と品質を高めることができます。

CAPA の原則を用いるべき場面

CAPA の原則は品質管理や規制遵守、PLM プロセスにおける問題の特定、調査、対応が求められるあらゆる場面に適用できます。品質、安全、規制遵守、プロセス改善など、さまざまな分野においてCAPA の汎用性は高いです。CAPAはヘルスケア、製薬、食品、飲料、製造、IT、エレクトロニクス、インフラ・公共設備などさまざまな業界で事業を展開する企業にとって、非常に価値のあるアプローチと言えます。

CAPA に関するよくある誤解

トレーニングにコストがかかる

CAPA の導入には 社員トレーニングなど初期投資が必要な場合もありますが、長期的にはその投資以上のメリットが得られます。長期的にはコスト削減、リスク低減、規制遵守、全体的なビジネス改善などの効果があります。社員のエンゲージメント向上、業務効率の改善、競争力の強化にもつながり、結果として高品質な製品とサービスを一貫して提供できるようになります。

CAPA さえやっておけば、品質を確保できる

CAPA は品質問題に対応し必要な改善を行うために欠かせないプロセスですが、それだけでは十分ではありません。より品質を高めるためには、CAPAを広範な品質管理フレームワークに統合する必要があります。PLMソフトウェア を基盤とする包括的な品質管理で企業は製品の問題解決と予防を行いながら、一貫した品質水準を保ち製品の優位性を維持できます。

仕事が増える

CAPA を導入するには トレーニングやプロセス開発、ドキュメント作成、リソースの割り当て、変更管理などの事前準備が必要です。しかしこの準備を行うことで得られるメリットは、その作業量を大きく上回ります。CAPA は効果的な品質管理と継続的な改善に欠かせない要素です。問題の根本原因に対応することで、企業は再発による作業負担を減らし、より効率的に問題を解決できます。

まとめ

CAPA は企業が製品の問題に対応しその再発を防止するための重要なフレームワークです。その包括的なアプローチで品質管理と継続的な改善を実現します。加えてさまざまな業界に適用できる汎用性があり、企業は効果的に問題の特定、調査、対応ができるようになります。
 PTC の品質管理ソリューションについて詳しくは、PLM 品質管理のページをご確認ください。
デジタルスレッドで製品データ管理・活用を推進することでトレーサビリティを向上させたい方は、以下の資料もご覧ください。

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ジェフ・ゼムスキー(Jeff Zemsky)

ジェフ・ゼムスキーは Windchill デジタルスレッド担当副社長です。彼のチームは、ナビゲーション、ビジュアリゼーション、Windchill UI、デジタル製品トレーサビリティを統轄しています。PTC に入社する前は、産業、ハイテク、消費者製品の企業で PLM、CAD、CAE の導入と活用を 16 年間担当し、2002 年には Windchill PDMLink の最初の導入を主導しました。また、PTC/USER コミュニティでも積極的に活動し、Windchill Solutions 委員会の委員長や PTC/USER の理事会メンバーとして、お客様の意見をまとめ、ツールやプロセスについて人々が連携できるコミュニティの形成に貢献しました。レンセラー工科大学およびリーハイ大学で学びました。

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