Steve Shaw is a Product Management Senior Director in the PLM segment and has been with PTC since 2001. He leads the team responsible for Windchill’s core PLM capabilities, including BOM management, change and configuration management, platform structures, supplier management, collaboration, and quality. Prior to joining PTC Steve was a mechanical engineer with the Electric Boat division of General Dynamics. Steve holds an M.S. in Mechanical Engineering from Tufts University and a B.S.M.E from the University of Vermont.
編集注記: このブログの初版が公開されたのは 2023 年 5 月です。2025 年 5 月に新たな情報を加筆しました。
設計変更管理とは？
製造業における設計変更管理 (ECM) の目的は、複雑な工程をできる限りシンプルにして、設計変更の通知やリクエストに迅速かつ効果的、効率的に対応できるようにすることです。これには、規制要件や市場の変化、サプライチェーンの状況、競合会社の動向などに対応しながら、製品設計や BOM（部品表）を適切に調整することが求められます。
設計変更管理が設計プロセスに及ぼす影響
設計変更管理を適切に実施することで、設計エンジニアリングの全体的なプロセスを継続的に最適化することができます。新たに必要とされる要件が明確になると、設計の全体的な方向性が変わることがあります。その場合、変更が小さなものであっても、常に新しい要件に合わせて設計を見直さなければなりません。そして、設計が適切に調整されたことを設計部門全体で共有し、必要な対応として受け入れることが重要です。
設計変更管理が下流工程の関係者に及ぼす影響
特に複雑でカスタマイズ可能な製品を製造する組立製造業者は、設計部門だけでなく、企業全体で設計変更がもたらす影響に対応する必要があります。設計変更が影響を与えるプロセスは相互かつ密接に関連しており、同時進行で進められます。そのため、すべての関係者が、正確かつ最新の情報を適切なタイミングで確実に受け取らなければなりません。設計変更をリアルタイムで企業全体に正確に伝えるためには、堅牢なデジタルスレッドを活用することが不可欠です。
設計変更管理と設計変更リクエスト・通知の関係
設計変更管理は、広範なプロセスと特定の領域に関連しています。変更を開始し、文書化するためには、「変更リクエスト」と「変更通知」という 2 つのプロセスが必要です。これらは通常、連続的に行われ、リクエストが承認されると通知が発行されます。
設計変更リクエストの役割
設計変更リクエストは、既存の設計機能を強化したり、問題に対応したりするために作成されます。このリクエストには、改良に必要な変更や、特定された問題を解決するための変更が詳細に記述されています。また、ビジネス部門や設計部門の意思決定者が、提案された変更を採用するかどうかを判断するための情報も提供されます。
設計変更通知の役割
設計変更通知は、変更リクエストが承認された時点で発行され、変更を実施するために必要な作業を指示します。通知は、システム管理者が設定した権限に応じて、1 つ以上の変更リクエストに関連するものもあれば、変更リクエストと無関係に発行される場合もあります。
設計変更プロセスの段階
設計変更プロセスは、どのように開始された場合でも、一般的に「変更リクエスト」からその実行に至るまでの一連の段階やチェックポイントで構成されています。
1.問題（または機会）を特定し、記述する
問題に最初に気付いた時点で、その問題の特徴的な現象を記録します。この問題を特定できるのは、従業員、顧客、エンドユーザーなど全ての関係者です。また、技術的な問題ではなく、機能強化のための機会があれば、それも将来的な検討事項として文書化されます。
2.正式な変更を検討する
次の段階では、担当者が記録された現象を評価し、それを詳しく調査するか、機能改善を進めるべきかを正式に判断します。
3.問題の原因を特定する
文書化された現象を調査し、適切な分析を行って問題の根本的な原因を特定します。この作業には、関連する設計変更、部品、文書の特定が含まれることがあります。
4.解決策を提案する
問題の根本的な原因が特定できたら、その問題を解説するために一連の作業を提案します。この段階では、解決策を準備するチームや担当者が、変更を正確に反映するために必要な関連部品やドキュメントを特定します。
5.解決策を実行する
変更が承認されたら、最終段階として最適な解決策を完成させて実行に移します。実行にあたっては、変更プロセスに関わる担当者が必要な部品やドキュメントの改訂版を特定します。これには、既存の要素（関連する変更を反映させるためのもの）や新しく作成された要素（変更プロセスに対応するためのもの）が含まれます。この段階で、必要に応じて解決策を生産プロセスに組み込みます。
効率的な設計変更管理 (ECM) プロセスの構築
効果的な設計変更管理 (ECM) により、開発プロセスの効率化と全体的な生産性向上が可能になります。しかし、プロセスの最適化が不十分な場合や、部分的にしか実施されていない場合、さまざまな問題が生じ、企業にとって価値のある製品の能力が損なわれるリスクがあります。効率的な ECM プロセスを支えるためには、次の 3 つの要素が不可欠です。
- ワークフロー
- トレーサビリティ
- アクセス
1. ワークフローの明確化とシンプル化
通知の開始や変更リクエストに関連するワークフローは、明確でわかりやすく、過度に複雑でないことが求められます。設計変更の承認手続きにおいては、適切なレベルの監視と関係者からの情報提供が重要です。迅速に問題を解決するためには、厳密性を保ちつつも効率的に進める必要があります。
2. トレーサビリティの確保
トレーサビリティは、設計変更管理（ECM） プロセスにおいて決定的な役割を果たします。新しい要件や変更された要件の背景や詳細、根拠は、すべての関係者にとって明確に理解できる状態にするべきです。この情報は、新しいおよび変更された要件がどのように影響を与えるのか、またその影響の大きさを理解するために重要なものとなります。トレーサビリティがしっかりしていることで、関係者全員が正確な情報に基づいて意思決定を行うことができます。
3. 情報のアクセス性と正確性の確保
すべての設計変更のステータスと関連ドキュメントに簡単かつ安全にアクセスできることが、効率的な設計変更管理（ECM ）プロセスにおいて重要です。関係者がそれぞれの役割や職務に応じて適切に対応できるよう、リアルタイムで正確なデータを提供することが求められます。古い情報に基づいて対応すると、作業ミスの発生やコストの増加につながり、プロジェクト全体に影響が及ぶ可能性があるからです。
設計変更管理ワークフローの概要
ここで、一般的な設計変更管理（ ECM） プロセスの段階や構成要素、それぞれの関係をわかりやすく図で示します。設計変更指示ワークフローには、変更通知と変更タスクが含まれています。このワークフローは通常、変更リクエストの調査、提案の提出、分析作業が完了した後でエンジニアによって開始されます。
分析結果に基づく問題の修正
分析によって、問題の詳細や問題の原因を特定した調査結果、問題の解決につながる変更事項（設計変更提案により特定された）が生成されます。さらに問題の原因となるかもしれない関連事項や、提案された解決策に基づいて変更すべき事項も分析によって特定されます。
PLM を使用した設計変更管理
PLM（製品ライフサイクル管理 ) の原則、プロセス、ツールを設計変更管理 (ECM) に適用することが、ECM の目標を実現するための効果的な戦略です。主に PLMソフトウェアを通じて、企業全体でデジタルスレッドを実現することにより、このアプローチの価値は設計部門を超えて幅広い領域にもたらされます。PLM ソフトウェアと ECM を連携させることで、企業全体の成功を左右する、次のような重要な成果を得られます。
- ビジネス上の必要性に合わせて拡張可能で簡単に構成できる変更プロセス
- 適切なタスクを適切なユーザーに割り当てる柔軟なワークフロー
- 変更に対する効率的な対応
- 役割ごとの必要性に応じたわかりやすいレビュー
- ビジネス規則を確実に遵守するための高度な変更検証
- 一括更新、影響度（エフェクティビティ）の設定、代替案の計画
- 詳細かつ正確な変更結果を迅速にレポート
これらの PLM がもたらす成果が一体となり、企業は生産性、可視性、ガバナンス、さらには全体的な企業価値の向上につながるビジネスレベルのメリットを得ることができます。
- 企業全体で変更プロセスに簡単に関与できるため、生産性が向上
- 可視性が向上することで、関係者全員が変更の計画に与える影響を把握して、適切に対応可能
- ビジネス全体での意思決定のスピードと質が向上し、ガバナンスが強化
- 優れた変更分析を通じて企業価値を直接的に向上させ、結果的に廃棄ロスと手戻りが減少
PTC が提供する PLMソフトウェア「Windchill」での変更管理のデモ（英語）を紹介しています。こちらのビデオもご覧ください。
アジリティ（機敏性）を高めるための成功の鍵
設計変更管理は、効率を大きく向上させる機会を提供しますが、同時にコストのかかる設計障害を引き起こす可能性もあります。成功の鍵は、状況や変化に素早く的確に対応するアジリティ（機敏性）です。関係者から提供される情報を反映しながら、変更の評価や実装、運用を迅速かつ正確に実施することが重要です。
製品ライフサイクル管理 (PLM)ソフトウェア に統合された機能である設計変更管理 (ECM) を戦略的に活用することで、この機敏性が実現され、設計開発サイクルや企業全体での改善が進み、利益を生み出すことが可能になります。
PTC では、デジタルスレッドとデジタルツインの概念を組み合わせた、製品データ管理を実現するPLMソリューション「Windchill」を提供しています。ご興味のある方は、こちらもご覧ください。
製品データ管理: デジタルスレッドとデジタルツインの基盤
PLM向け製品データ管理ソリューション”Windchill”を活用し、デジタルスレッドとデジタルツインを組み合わせた効率的で柔軟なシステム運用を実現しましょう。
詳細はこちらPLM お客様導入事例
以下に PTC の PLM ソフトウェア「Windchill」を活用して製品ライフサイクル全体を最適化した企業の導入事例を紹介しますので、こちらもぜひご覧ください。
【導入事例】
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