製造実行システム (MES) を超えて
執筆者: Jordan Coffman
8/2/2022

読み込み時間: 3 min

製造における明確な特徴: すべてがユニーク

現在稼働しているすべての製造施設は、それぞれが独自の製造施設として存在します。企業内の大規模な工場ネットワークの一部であっても、単独でのオペレーションであっても、その機能は同じではありません。各施設を効果的に管理するには、製造する製品に適したシステムだけでなく、場所、従業員、サプライチェーン構造、規制機関など、固有の要件に沿ったシステムを組み合わせる必要があります。  

このように、業務を円滑に運営するにはいくつもの独自要件を満たした物流システムと製造システムが必要ですが、これらを統合するのは難しく、コストもかかります。このような状況では、各プロセスの必要性を反映しようとした結果、結局は同じくらい複雑な情報システムが構築される懸念が生じます。急速に進むシステム統合に一定の標準規格を設けるため、20 年以上前、国際計測制御学会 (ISA) は製造オペレーションを構成する異なるシステム間の通信の課題に対応するために、アクティビティベースの ISA-95 規格 (IEC 62264) を開発しました。  

進化する製造システム

過去のブログでご紹介してきたように、この数十年で、生産性を向上させるための工場業務全体が大きく複雑化し、製造実行システム (MES) が注目されるようになりました。MES とは工場で生産される製品を監視および追跡するシステムで、1992 年に AMR Systems 社によって名付けられました。MES システムは、納期の遵守、品質の向上、最終収益の向上などのメリットをもたらすことがすでに証明されています   

しかし、このようなシステムが製造業全体にとって洗練されて高性能になるにつれて、競争優位性を確保できるメーカーも限られてきます。MES をうまく調整して技術スタック全体に統合すれば、それだけでまた市場で優位に立てるでしょうか?製造オペレーションを改善し、競合他社に打ち勝つ次の機会はどこにあるのでしょう?  

DPM の優位性

PTC が 2021 年に発表したThingWorx Digital Production Management (DPM) は、製造実行システム (MES) を補完し、意思決定向上のための可視性とインサイトを提供する、革新的な統合ソリューションです。DPM と MES はいずれも工場でのオペレーションに焦点を当て、企業のビジネス成果を向上させることを目的とします。そこで、製造業の多くの企業にとってまず気になるのは、「何が違うのか」ということでしょう。これはもっともかつ、理にかなった疑問です。  

同一市場での異なる立場

その違いを説明しましょう。MES の目的は、スケジュールを重視した作業を効率的に実行することです。もちろん、ERP でもスケジュールは作成できます。しかし、MES が発展した背景には、今日の作業現場があまりに複雑かつ変化の多い環境であり、ERP を効果的に現場に根付かせ業務の処理や管理をするのは難しいという認識があったからです。MES なら ERP の範囲を超えたレベルの変化や重要な細部を考慮できます。 

DPM は MES の機能に基づいて、パフォーマンス、生産能力、生産性をさらに最適化します。それぞれが固有のシステムで、ほかのシステムを補完します。MES のデータは、DPM システムにとって重要なインプットなのです。DPM の核となる特性は、オープン性です。つまり、現在の技術スタックと効果的に統合し、PLC、SCADA、ERP、MES といった構成システムの価値を総合的に向上できます。  

実装方法

一般的に MES システムは「総入れ替え」が必要ですが、DPM は構成上、既存のシステムに追加して拡張できます。比較すると、DPM は迅速かつ簡単に導入できるため、リスクも非常に低いです。設備投資の観点からは、MES の場合は何カ月も、時には何年もかかる可能性があるのに対し、DPM は数週間から数カ月で価値を創出できます。

  

機能の優位性を増幅

DPM と MES は完全な補完関係にありますが、両者の特性ははっきりと異なります。それぞれに特有の中核機能の概要を以下の表で示します。  

 

DPM

MES

ボトルネックの特定、優先順位付け、追跡

生産スケジュールの設定と命令の実行

セルとプロセスのパフォーマンス分析

プロセス内の品質管理

生産時間のロスの追跡

マシンデータの収集

改善機会の定義

在庫レベルの監視

損益と関連付けられた生産処理能力の向上度合いの追跡、測定、確認

規制要件を遵守するための追跡およびトレース機能の実行

プラスの効果を迅速にもたらす

両システムはコスト、難易度、リスク面でのシステムプロファイルは異なりますが、DPM は 5% から 20% の効率向上という、MES に匹敵するビジネス成果をもたらします。DPM は クローズドループ型のアプローチ により、時間に基づくインサイトを活用して業務をリアルタイムで可視化します。これにより、現場レベルでの意思決定がこれまで以上にビジネス成果に影響を与えます。 

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Tags: 産業用モノのインターネット (IIoT) 製造の生産性向上
執筆者について Jordan Coffman

Jordan Coffman is the IoT Director of Sales and Strategic Initiatives. Jordan creates integrated solutions to accelerate digital transformation for customers in the manufacturing industry. She empowers customers to redefine how they manage physical processes, products, and people with powerful technologies such as IIOT and AR.

Before joining PTC, Jordan held various positions at General Electric where she was responsible for delivering software solutions from ideation to implementation, supporting a range of Brilliant Factory initiatives. Her experience at GE has given her foundational knowledge to several manufacturing verticals, in a global environment. She has a Bachelor’s Degree in Business Information Systems and an executive degree in Business Administration from the Kelley School of Business at Indiana University.