工場が存在する限り、製造業は生産性を向上させる方法を模索し続けてきました。この取り組みは、今や業界全体を定義するものとなりました。その結果、一般的に言えば、生産性を着実に、さらには目覚ましいほど向上させたことも明らかです。生産性を向上させるため、メーカーは数えきれないほどの技術や方法、プロトコル、哲学を生み出すことで直接的または間接的に結果を出そうと努め、コストの削減、収益の増加、またはその両方を達成しようと努めてきました。その一方で、分散したデータソースや一貫性のない指標によって状況はより複雑化し、誤解や矛盾した結果を招くおそれがあります。
現在のあらゆる製造業と同じく、お客様は継続的な改善に取り組むだけでなく、実際に取り組んでいることを証明しなければならないというプレッシャーに直面しています。「改善」そのものはさまざまな指標を追跡して方向性を明確にできますが、異なる指標を効果的に比較するのは困難です。測定方法や指標が同じではないという複雑な要因を差し引いてもなお、生産性における「ありのままの事実」を実証するのは簡単ではありません。その結果、何十年もの間、工場の生産性を評価して管理することには経験による「技能」的な側面が伴いました。前述したようなあらゆる形の「知識」が企業に流れ込んできましたが、技術者の直感が、レポーティングフィルターとして機能していたというわけです。しかし、これでは見る人の主観によって「事実」は左右されかねません。
総合設備効率 (OEE) は、製造業務のパフォーマンスを測定する指標として広く受け入れられています。しかし、長年その有用性を発揮してきたにもかかわらず、OEE は生産性向上のエコシステムをさらに複雑にする可能性があります。OEE には複数の計算式があり、それぞれがその設備環境の効率を測るのに有効と見なされているからです。たとえば、簡単で有効な計算式の 1 つに「良品数×理想のサイクルタイム/計画生産時間」という式があります。この式では損失に関連した特定の変数は考慮されていませんが、別の計算式、「稼働率×性能×品質」ではまさにこの要素が中心となっています。
企業は工場の稼働状況を綿密に把握して管理、最適化するために、Six Sigma、リーン生産方式、SCADA から MES まで、次々と考案されるさまざまな方法を導入し続けています。しかし、このようないくつものアプローチを採用すれば、状況がいっそう複雑化するのは当然です(この複雑性に対応するために MESA (Manufacturing Enterprise Solutions Association) が設立されたのは 30 年も前の話です)。このような複雑化は、外から見ればある程度統一されていると思われる同一工場内であっても、データソースや評価基準の不統一を招きます。
さらに、OEE を評価するために測定する項目そのものも性質が異なるため、単位も異なり、従来はすぐには比較できませんでした。たとえば、計画ダウンタイム、計画外ダウンタイム、段取り替えなどの測定には通常、時間が単位として使われます。生産スピードには 1 時間あたりの単位が、短時間の停止やスクラップには、常に絶対単位が使われます。このような不統一から言えるのは、これらの指標は現実世界で比較できる単一の指標には適用できないということです。
一方で、生産エコシステムではミッションクリティカルなデータがさまざまな場所で収集、保存されています。このデータ集約にも課題があります。それは、これらのデータソースは互いに独立しているだけでなく、種類も異なる場合があるということです。ERP システム、MES、PLC、IoT データ、SCADA システムなどがその例です。もちろん、社内のポイントソリューションでも、システム特有の複雑性と特性を一部のチームしか完全に理解できないという状況はよく起こります。
多くの企業では、生産のボトルネックや機会の特定、原因と結果の認識、そして最も効果的な行動を取るための報告は、割合ベースで行われます。ただし、割合ベースの報告そのものが、本質的な誤解を招く場合があります。というのも、報告の元となるインプットは多数の異なるソースから取得されるため、アウトプットの全体像は整合性や正確性に欠け、取るべき最善策を効果的に予測できない可能性があります。あまり重要でない問題の改善率を高めるよりも、たとえ改善率は低くても、より重要な問題解決に当たるほうが最適な選択と言えるかもしれません。さらに、このような報告は回顧的になりがちです。つまり、インプットはある測定が行われた時点のデータのため、前述したような多数のフィルターや計算を介して処理される間に、さらに遅れて表示されることになります。
データはあらゆる場所に存在します。しかし、事実はどこに存在するのでしょうか。競合するシステム、複数の変数、分散したデータソースが非常に複雑に入り組んでいるなら、見極めるのは困難に思えます。複数のデータソースから異なる種類のデータを取得して割合ベースのレポートを作成するという課題がある中、大きな成果が得られる適切な次のステップをオペレーションマネージャーが明確に把握し、優先順位付けをするにはどうすればいいのでしょうか?また、すべてのメンバーが理解できるような言葉を用いて、論理的にどう説明できるでしょうか?
Digital Performance Management (DPM) の導入によって、PTC はパラダイムシフトを実現しました。DPM は、企業が製造の生産性に最も大きく影響する問題を評価し、優先順位を付けて対応できるよう、単一の共通言語を提供するという着想の下に設計されました。現代の生産ラインから得られるデータは定義が複雑ですが、DPM ではこの課題はすべて解消され、「生産時間」という明確で一般的に理解できる 1 つの指標に統合されたことで、論理的な説明も可能になりました。これにより、ありのままの事実、また生産性改善を測定して実証する道筋が、かつてないほど明確になったのです。
生産時間の詳細については、今後のブログ「The common language DPM brings to manufacturing improvement」をお待ちください。
DPM は、デジタルトランスフォーメーション (DX) の実現に必要なインサイトを提供します。