Nancy White is the content marketing manager for the Corporate Brand team at PTC. A journalist turned content marketer, she has a diverse writing background—from Fortune 500 companies to community newspapers—that spans more than a decade.
あなたがこのブログにたどり着いた理由は 3 つあります。
1. 個人および組織として、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みを開始しようとしている。
2. 組織としてデジタルトランスフォーメーションの導入を試みたが、価値を実現できていない。
3. デジタルトランスフォーメーションへの取り組みが失敗し、リセットしたいと考えている。
このブログにたどり着いた理由が何であれ、デジタルトランスフォーメーション (DX) がどの段階にあろうと、デジタルトランスフォーメーション戦略の定義はプロセスの重要なステップです。
あらゆる規模の企業が、製品とサービスの改善とイノベーション、業務効率の向上、バリューチェーン全体での俊敏性の強化など、素晴らしいビジネス成果をデジタルトランスフォーメーションへの取り組みから得ています。
しかし、価値創出への道のりは、企業固有のビジネスニーズと求める成果に合わせた戦略の定義から始まります。まずは定義から始めましょう。
デジタルトランスフォーメーション (DX) 戦略とは何か?
デジタルトランスフォーメーション戦略とは、フィジカル、デジタル、そして人間世界の融合により生まれた主な課題に企業がどう対処するかを詳しく定めたプランです。デジタル トランスフォーメーションは、それ自体が幅広いビジネス戦略であると言えます。テクノロジーではなくビジネス成果に沿った短期的および長期的なデジタルトランスフォーメーションのロードマップを策定することで、重要な土台が築かれます。
Wipro Digital 社の調査によれば、経営幹部の 3 分の 1 以上が、明確なトランスフォーメーション戦略が欠如しているために、ビジネスでデジタルの可能性を完全に引き出すことができていないと言っているそうです。
この記事ではこのことを念頭に置いて、成功する DX 戦略を策定するための主なステップとベストプラクティスについて紹介します。ゼロから戦略を作り上げていくための手引きとしてお役立てください。
成功するデジタルトランスフォーメーション (DX) 戦略を策定するための 7 つの重要なステップ
1. デジタルトランスフォーメーションの方向性を定める
「デジタルトランスフォーメーション」という用語に関する問題の一部は、多くの人にとって多くのことを意味し、しかもそれがすべて異なっているという点です。多くのリーダーが、デジタルトランスフォーメーションはテクノロジーから始まり、その導入の背景にある理由については後から議論すればよいと信じています。これは逆行的なアプローチであり、失敗するケースを多く目にしてきました。デジタルトランスフォーメーションを成功に導くには、まずビジネスのニーズと目標を特定し、それらに基づいて戦略を策定することが重要です。
まず、組織の戦略的な目標から始めるとよいでしょう。将来に向けた 5~10 年単位のプランです。これによって、テクノロジーから始める場合と比べてかなり異なる(そして効果的な)立場から、デジタルトランスフォーメーションに関する話し合いを開始できます。デジタルトランスフォーメーションを実行するには、説得力のあるビジネスケースと、明確なビジネス価値の定義が必要です。
これと同時に、経営陣での話し合いも始まります。これは、デジタルトランスフォーメーションの成功と密接に関係する文化的なシフトに関して重要なステップです(これについては、後述します)。
例を挙げて説明しましょう。Volvo Group は、高品質な製品とエンジニアリングエクセレンス(技術力の高さ)を重視しています。これを最優先の展望とした場合、それを実現するには、短期的と長期的の両面で何を行うべきでしょうか?この目標に対して効果がありそうなのは、どのようなユースケースでしょうか?
Volvo 社は、短期的には、品質保証 (QA) プロセスを第一の目標とすることにしました。手作業による複雑な手順からなる QA プロセスには、十分なトレーニングを受けた担当者と大量の事務作業が必要でした。適切なテクノロジーを導入することで、そのプロセスを変革し、測定可能な結果を示して、ほかの工場やアプリケーションにも転用できるモデルを確立できました。
結論: デジタルトランスフォーメーションは単発のプロジェクトや取り組みではなく、企業を将来に向けて戦略的に位置づけるものです。ビジネスの優先事項と定義済みのビジネス価値から、デジタルトランスフォーメーションの土台を作り上げます。
2. 文化の変化に備える
前述したように、デジタルトランスフォーメーションに対する経営幹部のサポートと熱意は、時間をかけて組織内で進行しなければならない文化的な変化に欠かせません。IT の意思決定者を対象とした最近の調査では、デジタルトランスフォーメーション戦略は経営幹部が策定する、と回答したのは 36 % だけでした。
「デジタルトランスフォーメーションの中核にあるのはテクノロジーではありません。人間です」と説明するのは、PTC のデジタルトランスフォーメーションソリューション担当バイスプレジデントの Nicholas Leeder です。
当然のことですが、変化に対しては抵抗が、「新しいもの」に関しては懐疑心が生まれるため、こうした反対意見に対処できるよう準備してください。経営幹部だけでなく、バリューチェーン全体(IT、OT、営業、マーケティング、設計など)の担当者を集めてチームを作り、意思統一を図ることが、デジタルトランスフォーメーション戦略を実行する強力なガバナンスの出発点となります。組織のデジタルトランスフォーメーションの背後にある展望を理解している、中心的な「チアリーダー」チームがあることは、長期的に見て有利に働きます。
どのような変革にも、そのプロセスには課題が付いて回ることを忘れないでください。リーダーに必要なのは、全員が失敗から学び成功を礎とする文化を築くすることです。
結論:デジタルトランスフォーメーションを導入することで、従業員の日常業務に影響が及びます。(あらゆるレベルの)作業者の効率性、有効性、生産性を本当に改善するプロジェクトを特定することは、デジタルトランスフォーメーションの重要な要素です。
3. 小さく、ただし戦略的に開始する
デジタルトランスフォーメーションは 1 回限りのベントではなく、継続的なプロセスです。このため、最初の「概念実証 (PoC) 」を特定することが重要です。それによって将来の取り組みの準備が整い、リーダーやチームからの賛同を得やすくなります。
「それが『トランスフォーメーション(変革)』と呼ばれているのには理由があります。時間がかかり、すべてを一晩で変えることはできません」と話すのは、PTC のフィールドサービス担当シニアバイスプレジデントの Barry Lynch です。
Lynch はこれまで、実に多くの製造業や工場のデジタルトランスフォーメーションプロセス、特に産業 IoT 戦略を支援してきました。その中で、つまずきや失敗も見てきました。適切なプロジェクトには主に 2 つの特徴があると彼は言います。それは、定量化可能であること、そして価値創出までの期間が短いことです。
それはなぜでしょうか。短期間で ROI を証明できれば、デジタルトランスフォーメーションが勢いづきます。かなり大きい ROI を得られるものの、実現までに 1 年程度かかるプロジェクトもあります。最初の取り組みとして最適なのは、6 カ月以内に開始でき、測定可能な結果を示すことができる「Quick Win」タイプのプロジェクトです。
Lynch によれば、とりわけ製造業を成功に導くアプローチは、デジタルトランスフォーメーションプロジェクトを「モジュール式」に考えることだそうです。たとえば、1 つの工場でプロジェクトをパイロット稼働し、最初の価値実証を得られた後、その他の工場や業務に迅速に拡張していきます。このアプローチでは、獲得する価値を急速に増やすことができます。
結論: 最初のデジタルトランスフォーメーションの取り組みは、価値を証明し、長期的な戦略の成功を確実なものにするという意味で重要です。適切な手順を踏み、適切な時間をかけて、DX への取り組みを本格的に始めるための有効な方法を特定する必要があります。
4. テクノロジー導入を綿密に計画する
リーダーには、成功できないテクノロジー主体のデジタルトランスフォーメーションの公式があります。それは、次のようなものです。
新しいテクノロジー + 古いオペレーション = 高価な古いオペレーション
「企業のプロセスと文化を変えなければ、従業員が高価な新しい何かを使えるようになった、というだけの状況になります」とリーダーは説明します。
これこそ、4 番目の理念でやっとデジタルトランスフォーメーションのテクノロジー面について深く掘り下げようという理由です。つまり、デジタルトランスフォーメーションを成功に導くには、まず、テクノロジーではなくビジネス戦略から取りかかることが重要なのです。
最初の 3 つのステップを土台としたテクノロジーは、目的とする定義済みのビジネス成果を達成するために必要な手段となります。
「展望を持つ必要があります。大きく素晴らしい展望を。それに基づいてデジタルトランスフォーメーションのビジネスケースを作成するのです」とリーダーは言います。「しかし、その後の最初のステップは本当にシンプルなものである必要があります。シンプルで測定可能な結果をもたらすユースケースです」
産業向けデジタルトランスフォーメーションの状況に関するレポートの中で、デジタルトランスフォーメーションを実現するために欠かせない共通のテクノロジーセットを特定しました。
たとえば、次のようなテクノロジーです。
• モバイル
• IoT
• デジタルツイン
• ロボット化
• クラウド
• 人工知能と機械学習
• 拡張現実 (AR)
• 付加製造
これらのテクノロジーのいずれか、または複数が、最初の DX のユースケースの達成に必要になるかもしれません。すでに組織内で利用されているものもあるかもしれませんが、欠けているために真のビジネス価値を獲得できていないというテクノロジーもあります。
テクノロジーを検討する際は、外部のベンダーが必要になることがほとんどで、そうしたベンダーは長期的な戦略を念頭に置いて選定する必要があります。製品と専門知識をバランスよく備えたパートナーを見つけることで、多くの場合、価値実現までの期間が短縮されます。
結論:最初の、そして将来の取り組みに向けてテクノロジーに関する明確なロードマップを策定することは、デジタルトランスフォーメーションの成功に欠かせない土台となります。
5. パートナーと専門知識を探し求める
テクノロジーやテクノロジーパートナーのオプションを検討する際は、将来の展望を念頭に置いてください。主に次のような点について確認します。
• テクノロジーとベンダーは拡張することに対応しているか?
• ベンダーとチームは、デジタルトランスフォーメーションに関して、同じビジョンを共有しているか?
• 自社の長期的な戦略を支援できるか?
• 既存のテクノロジーにどのように統合されるか?
• 固有のユースケースと業界に適したテクノロジーと専門知識を有しているか?
• 類似したユースケース / アプリケーションおよび類似した企業について、どのような成果を上げているか?
「完璧なテクノロジーを見つけることができても、それを導入するための適切なパートナーが見つからないこともあります」と Lynch。「手伝ってくれる人材が、アプリケーションに関する経験、知識、バックグラウンドを持っていなければ、苦労が待ち受けているでしょう。専門知識のある人材は、以前のクライアントから、あらゆる禁止事項を学んでいます。それは、デジタルトランスフォーメーション戦略を実行するうえで非常に貴重な情報です」
このステップのもう 1 つの側面は「スポットソリューション」の回避です。つまり、1 つの部署の問題点は解決できるけれど、企業全体には適していないソリューションやテクノロジーは導入しない、ということです。各部門の最高責任者を DX のテクノロジーに関する意思決定に関与させることで、全社規模の戦略的展望が失われることがなくなります。
結論: 自社の強みを引き立て、自社のビジネスを理解してくれるパートナーを探すことで、コアコンピテンシーを強化することを目指しましょう。短期間で結果を出し、将来に向けて取り組みを促進してくれるパートナーを見つけることは、デジタルトランスフォーメーションで成果を上げるために不可欠です。
6. フィードバックを集め、必要に応じて改善する
ここまでで、デジタルトランスフォーメーションを成功に導くための展望、それを支える広範囲に及ぶ連携体制、戦略的なユースケース、テクノロジーロードマップ、パートナーを見つけました。さらに次に進む前に、各プロジェクトの主要業績評価指標 (KPI) を明確に定義しておきましょう。プロジェクトを成功と呼ぶには何を実現しなければならないかについて、全員が理解し、責任を負わなければなりません。
同時に、ステークホルダーとの強力なフィードバックループを作り、デジタルトランスフォーメーション戦略が進んでいく中で全員が確実に経験から学ぶことができるようにします。
デジタルトランスフォーメーションがプロセスであることを理解し、Lynch が「通過点」と呼ぶものを設定することで、進捗を確認し、調整し、改善するための手段が手に入ります。
「新しい目標が生まれるかもしれませんが、それも構いません。テクノロジーには、それに対応できるだけの柔軟性と俊敏性が必要です」と Lynch。「デジタルトランスフォーメーションでは、物理的な箱に閉じ込められることはありません」
結論: デジタルトランスフォーメーションを実現している組織の特徴の 1 つは俊敏性です。戦略的なロードマップを策定することは重要ですが、結果に応じて調整する意思と能力があることは成功に欠かせない要因です。
7. 拡張し変革する
この段階では、デジタルトランスフォーメーション戦略に示されていた最初のユースケースから結果が出始めている頃でしょう。この成功を活かして弾みをつけ、次のステップに関するコラボレーションと長期的な戦略に目を向けていきます。
デジタルトランスフォーメーションが進行していく中で、製品、プロセス、人材のつながりを改善するための新たな手段が登場します。類似した戦略を複数のロケーションに適用することで水平的に拡張することも、追加のテクノロジーをつなぎ合わせることで垂直的に拡張することもできます。
結論: トランスフォーメーション(変革)は組織によって異なります。このため、デジタルトランスフォーメーション戦略が非常に重要となります。それは、組織内のどこで変化を起こすのが最も効果的であるかを示す、組織ごとに異なるロードマップです。
まとめ
デジタルトランスフォーメーションに関する誤解の 1 つは、それが目的地であるという考え方です。「x」を行ったら、あるいは「y」を達成したら終わりで、次はほかの何かに移る、というものではありません。業界とビジネスが進化を続ける中、フィジカルとデジタルを融合させるデジタルトランスフォーメーションは、競争力を維持し、製品とサービスを差別化し、効率を高めるためのビジネス戦略の重要な要素であり続けるでしょう。