トップダウン設計と Creo Parametric

執筆者: 古賀 奨
9/28/2021

読み込み時間: 5min

1. トップダウン設計とは

日頃お仕事で CAD を使用して製品設計を行っている設計者の方に「御社ではトップダウン設計を行っていますか?」と尋ねると「あまりやれていないと思います」であったり、「まだ 3 次元 CAD を使いこなしていないのでできていません」であったりといった答えを頂くことがあります。
ただ、「御社では構想設計を行っていますか?」と尋ねると「もちろんやっています」という答えを頂きます。
実はちょっと大雑把な言い方をさせていただくとトップダウン設計とは構想設計を行い、その情報を活用して詳細設計を行うことです。
よって、製品設計を構想設計から始めて、詳細設計を行っているのであればそれは「トップダウン設計で設計を行っている」と言って過言ではありません。
ただし、同じトップダウン設計でも 2 次元設計と 3 次元設計では意識しなければならないことが変わってきます。

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2. 2 次元設計と 3 次元設計のトップダウン設計の違い

私も以前、2 次元 CAD で製品設計を行っていたことがあります。まずは製品全体の構想設計を行い、そこから各サブユニットの構想設計へ落とし、さらには部品設計に落としていました。いわゆるトップダウン設計です。
それでは私が 2 次元 CAD で行っていた方法をそのまま 3 次元 CAD で行えば 3 次元環境でのトップダウン設計ができるのでは?そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。私も最初はそう思っていました。 実際にはできますが 3 次元 CAD ならではの部分を全く考えていないため 3 次元 CAD の良さを台無しにしてしまいます。2 次元 CAD より手間も増えるため作業時間も増えるでしょう、最終的には 2 次元 CAD より設計効率が悪いなんて結果につながってしまうかもしれません。
それでは 2 次元 CAD と 3 次元 CAD(ここでは主に現在主流のパラメトリック 3 次元 CAD)のトップダウン設計の違い、意識しなければならないこととは何でしょうか?それは「3 次元 CAD の情報はそれぞれ連携する」という事です。構想設計の情報は自動的にそれ以下のサブユニットや部品に連携します、構想設計に修正が発生した際は自動的にそれらの情報がサブユニットや部品に伝わるため設計変更の時間が大幅に削減されます。
この連携を活用した構想設計から詳細設計の流れが 3 次元 CAD ならではのトップダウン設計であり 2 次元 CAD では絶対にできない事なのです。

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3. 3 次元設計のトップダウンで意識しなければならないこと

さて、それでは「3 次元 CAD の情報はそれぞれ連携する」という特性を考えた際、3 次元設計のトップダウンではどのようなことを意識すべきでしょうか?まず大事なのは「どの情報を構想設計で持つべきか?」、「どの情報は構想段階では不要か?」という情報の整理です。何もかも構想設計に詰め込んでしまうと頭でっかちで取り扱いしにくいデータになってしまいます。
構想設計のデータには各ユニットの位置や基準情報といった必要最低限の情報を持たせることを意識したほうが良いでしょう。
また、設計変更の可能性に関しても事前に予測できるものは構想設計の情報に含めておいた方が良いでしょう。任意のサブアセンブリの位置は良く変更が発生するという事が事前に分かっているのであればそのアセンブリの位置は移動させやすいようにしておく必要があるはずです。
このように 3 次元設計におけるトップダウン設計は情報が連携することを最大限に活用するために、事前に情報の整理や伝達させる情報のルール化などを前もって行っておくことが重要になります。 この「前もって行う」という事が案外面倒でなかなか本格的に 3 次元設計におけるトップダウンを運用できていないというお話も聞くことがありますが、この面倒が必ず大きな効果につながります。
定期的に現在の構想設計の環境を見つめなおすことも必要かと思いますがいかがでしょうか?


4. トップダウン設計における Creo Parametric の強み

ここまでのトップダウンのお話は 3 次元パラメトリック CAD を使って設計するうえでは一般的な話です。それでは Creo Parametric を使ってトップダウン設計を行った際の特徴とは何でしょうか?
大きな特徴は下記の 2 つです。
  1. データの連携が 100%
  2. トップダウン設計が CAD の機能として存在する
まず、「データの連携が 100%」に関してですが、実はデータの連携の強さは 3 次元 CAD によってまちまちです。強いものもあれば弱いものもあります。これはそれぞれの CAD の特性ですのでどれが正解という事はないかもしれません。ただ、トップダウン設計の事を考えた際、この連携性はとても重要になります。トップダウン設計とは構想設計の情報が詳細設計と連携しています。よって構想設計の情報に変更が発生した時には情報の連携によって詳細設計にその情報が自動的に反映されなければなりません。万が一にでもこの連携がなくなってしまうことがあるのであれば途端に設計データは信用できないものとなってしまいます。Creo Parametric は「データの連携が 100%」ですので設計変更が発生した際においても信頼性を 100% 担保できます。

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次に「トップダウン設計が CAD の機能として存在する」ですが、一般的な 3 次元CAD はこれらを手法として活用します。何か特別なトップダウン設計のための機能があるわけではありません。
しかし、Creo Parametric は 3 次元設計におけるトップダウン設計は非常に重要な要件であることを認識しています。様々なお客様からの要望や経験を活かし、トップダウン設計を CAD の機能として持っています。

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これらが他の 3 次元 CAD と比較した際の Creo Parametric の大きな違いです。
Creo Parametric は 3 次元 CAD の中でも特に、トップダウン設計を高い信頼性をもってサポートできる設計ツールです。


5. さいごに

商用の 3 次元 CAD が世に出始めて既に 40 年以上の時間が過ぎました。3 次元 CAD における製品設計も様々なお客様で既に定着していると思います。今回はそんな中でも製品設計の重要な要素である構想設計から詳細設計の流れを担うトップダウン設計のお話をさせていただきました。既に確立できているお客様もいらっしゃれば、もしかすると少し上手く進められていないお客様もいらっしゃるかもしれません。今回の記事を読んでいただき Creo Parametric のトップダウン設計の機能に興味を持っていただけましたら、些細なことでも構いませんのでご遠慮なく下記までお尋ねください。


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ご参考

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執筆者について

古賀 奨

CAD ビジネスディベロップメントマネージャー

Creo Parametric(Pro/ENGINEE R含む)歴 18 年
PTC の設計ソリューションで実現できることやメリットをお客様に伝え、3 次元データを活用したデジタルツインや AR といった更なる設計環境を使っていただき喜んでいただく事が使命。