設計完了後に「強度不足」が発覚し、大幅な手戻りを経験したことはありませんか?試作段階で問題が見つかり、設計変更に多くの時間とコストを費やしてしまったという経験は、多くの設計者にとって悩みの種です。
もし、設計の初期段階で部品の強度や変形を予測できれば、こうした手戻りは劇的に削減できるはずです。この「設計プロセスを前倒しする」考え方を「フロントローディング設計」と呼び、近年の製品開発においてその重要性がますます高まっています。
「でも、解析 (CAE) は専門知識が必要で、高価な専用ソフトがいるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、高性能 3D CAD「Creo」なら、特別な追加投資をすることなく、使い慣れた設計環境の中でそのまま構造解析を始めることができます。
この記事では、Creo の標準機能である「Creo Simulate」を使い、設計者自身が基本的な構造解析を実行するための使い方を、画像を交えて分かりやすく解説します。
Creo がどのような 3D CAD 解析機能を提供しているか、その全体像を知りたい方は、以下のページもご覧ください。
Creo Simulation:3D CAD解析機能
設計の手戻りを失くす!解析主導の「フロントローディング」とは?
製品開発において、後工程である試作や試験段階で設計上の問題が発覚することは、プロジェクト全体に大きな影響を与えます。特に「強度が足りなかった」「想定外の変形が発生した」といった構造上の問題は、形状の再設計や材料の再選定といった大幅な手戻りを引き起こし、開発リードタイムの遅延やコストの増大に直結します。
こうした課題を根本的に解決するアプローチとして注目されているのが「フロントローディング」です。
フロントローディングとは、開発プロセスの初期段階(フロント)に、後工程で行うべき検証や検討作業を前倒し(ロード)して実施する考え方です。3D CAD 設計の文脈では、設計者がモデリングと並行して構造解析(シミュレーション)を行い、設計の妥当性を早期に検証することを指します。
従来のプロセスとフロントローディングプロセスの比較
| 従来のプロセス (手戻りが発生しやすい) |
フロントローディング (手戻りを未然に防ぐ) |
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従来のように設計が完了してから専門の解析者に依頼するのではなく、設計者自身が設計の初期段階で繰り返し強度計算や応力解析を行うことで、致命的な問題を未然に防ぎ、より確度の高い設計案を後工程に渡すことができます。
この記事では、このフロントローディング設計を、高性能 3D CAD「Creo」を使って具体的に実践する方法を学んでいきます。
PTC では、構造解析がビジネスにどのようなメリットをもたらすかについても、より詳しく解説しています。ご興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
構造シミュレーションおよび解析ソフトウェア
Creo なら標準機能で始められる!「Creo Simulate」でできること
「構造解析を始めるには、高価な専門ソフトや追加ライセンスが必要…」そう考えている方も多いのではないでしょうか。しかし Creo なら、追加のソフトウェアを購入することなく、今お使いの設計環境ですぐに構造解析を始めることができます。
その秘密は、Creo の主要なサブスクリプションパッケージである「Creo Design Essentials (T1)」にあります。このパッケージには、3D モデリングの基本機能に加え、設計検討や製造連携を支援する多彩な機能が標準で含まれています。
Creo Design Essentials (T1) パッケージの機能一覧
| Creo Parametric | 基本機能 |
| Augmented Reality | 拡張現実 |
| Design Exploration | 複数設計案の検討 |
| Collaboration for SolidWorks & Inventor | コラボレーション拡張 |
| Legacy Data Migration | データ移行支援ツール |
| Render Studio Powered by Keyshot | 上級レンダリング |
| Flexible Modeling | ダイレクトモデリング |
| Human Factors | ヒューマンファクター |
| Intelligent Fastener | ねじ締結の設計 |
| Advanced Framework | フレーム構造物の設計 |
| Piping and Cabling | 配線/配管設計 |
| Simulate Elite | 構造解析 |
ご覧のように、この中に「Simulate Elite」という構造解析機能が標準搭載されています。つまり、Creo Design Essentials 以上のパッケージをご利用であれば、追加費用なしで、すぐにでも設計者 CAE (Computer-Aided Engineering) を始めることができるのです。
では、この「Simulate Elite」では具体的にどのような解析ができるのでしょうか。
Creo のシミュレーション機能には、目的や解析の深度に応じていくつかのグレードが用意されています。「Simulate Elite」は、その中でも設計者が最初に取り組むべき基本的な解析機能を網羅した、ベースとなるライセンスです。
Creo Simulation のプラン別機能
※上位プランは下記プランの機能を含みます。
※プランのグレードは、Creo Simulation Elite < Creo Simulation Extension < Creo Advanced Simulation Extension の順に高くなります。
| 利用できる解析機能 | |
| Creo Simulation Elite |
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| Creo Simulation Extension |
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| Creo Advanced Simulation Extension |
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Simulate Elite で主に実行できるのは「線形静解析」です。
これは、部品に力が加わったときに、その部品がどのように変形し(変位)、どの部分に力が集中するか(応力)を、有限要素法 (FEA) を用いて計算する、構造解析の最も基本的な手法です。
つまり、設計者自身が「この形状で強度は十分か?」「もっと軽量化できる余地はないか?」といった疑問に対し、設計の初期段階で素早く答えを得るための強力なツールが、Creo には標準で備わっているのです。
【Creo Simulate の使い方】3ステップ構造解析チュートリアル
ここからは、実際の Creo の操作画面を見ながら、構造解析の基本的な使い方を学んでいきましょう。本チュートリアルでは、棚などを支える「ブラケット」のモデルを例に、以下の3つの簡単なステップで解析を進めていきます。
- 解析モデルの準備(材料の割り当て)
- 解析条件の設定(拘束と荷重)
- 解析の実行とレビュー
Creo の公式ヘルプに沿って進めますので、お手元に Creo の環境がある方は、ぜひ一緒に操作してみてください。
Step0:チュートリアルモデルの準備
はじめに、解析に使用する 3D モデルをダウンロードします。このモデルは、こちらのダウンロードページより入手できます。
ダウンロードした zip ファイルを解凍し、任意のフォルダに保存してください。このフォルダを Creo の「ワーキングディレクトリ」として設定することで、ファイルの呼び出しがスムーズになります。
Step1:解析モデルの準備(材料の割り当て)
それでは、いよいよ解析の準備を始めましょう。
1. モデルを開き、解析環境へ移行する
まず、先ほどワーキングディレクトリに設定したフォルダから、モデルファイル「bracket.prt」を開きます。
モデルが表示されたら、上部リボンメニューから「アプリケーション」タブ > 「Simulate」をクリックしてください。これで、Creo が構造解析を行うための専用モードに切り替わります。
(※初回起動時などにプロセスガイドに関するメッセージが表示されることがありますが、今回は「はい」で閉じてください)
2. 材料を割り当てる
次に、このブラケットが「何でできているか」という材料の情報をモデルに与えます。材料によって強度や変形のしやすさが大きく異なるため、これは非常に重要な設定です。
上部リボンメニューの「ホーム」タブ > 「材料」グループ > 「材料指定」をクリックします。
今回のチュートリアルモデルには、あらかじめアルミニウム合金の一種である「AL6061」が設定されています。ダイアログで材料が割り当てられていることを確認したら、「OK」をクリックして閉じましょう。
もし材料が設定されていない場合は、ここからライブラリ内の材料を選択したり、新規に材料物性を定義したりすることができます。
これで、解析を行うためのモデルの準備は完了です。
Step2:解析条件の設定(拘束と荷重)
材料の情報がモデルに与えられたら、次は「この部品が現実世界でどのように使われるか」をシミュレーションに教える、最も重要なステップ「解析条件の設定」に移ります。
具体的には、部品が動かないように固定する「拘束条件」と、部品にかかる力を定義する「荷重条件」の2つを設定します。この設定が解析結果の信頼性を大きく左右するため、丁寧に行いましょう。
1. 拘束条件の設定
まずは、ブラケットを壁にボルトで固定する状況を想定して、動かない部分を定義していきます。
- 上部リボンメニューの「ホーム」タブ > 「拘束条件」グループ > 「変位」アイコンをクリックします。
- 壁への固定を模擬するため、ブラケットの右側面のサーフェス(面)を選択します。
- 表示されたダイアログボックスで、Z 方向の変位のみを固定します(チェックを入れる、または該当なしのチェックを外す)。これは、ブラケットが壁にぴったりと接しており、壁から離れたりめり込んだりしない状態を表します。X 方向と Y 方向はフリーのままです。
- 次に、ボルトでの固定を模擬します。再度「変位」アイコンをクリックし、今度はキーボードの Ctrl キーを押しながら、4つのボルト穴の内側の円筒面をすべて選択します。
- ダイアログボックスで、今度は X 方向と Y 方向の変位を固定します。これにより、ブラケットが壁に沿って上下左右にずれない状態を定義できます。(Z 方向は先ほど側面で拘束したため、フリーのままで問題ありません)
側面のZ方向拘束と、ボルト穴のX,Y方向拘束を設定した状態。
現実世界で部品が完全に宙に浮いた状態で使われることはありません。必ずどこかがネジで固定されていたり、地面に置かれていたり、他の部品と接触していたりします。「拘束条件」は、その「動かない部分」をシミュレーションに正確に伝えるための、いわば解析の土台となる設定です。この土台が曖昧だと、荷重をかけても部品がどこまでも飛んでいってしまい、現実とはかけ離れた信頼性のない解析結果になってしまいます。
2. 荷重条件の設定
拘束ができたら、次にブラケットにどのような荷重がかかるかを設定します。今回は、ブラケットの上に置かれた棚から、斜め下方向(重力+手前に引く力)に力がかかる状況を想定します。
- 上部リボンメニューの「ホーム」タブ > 「荷重」グループ > 「フォース/モーメント」アイコンをクリックします。
- 荷重を加えたいブラケットの上面のサーフェスを選択します。
- 表示されたダイアログボックスで、力の種類を「方向ベクトル/マグニチュード」に設定します。これにより、XYZ 各方向の力の比率を指定して、斜め方向の力を簡単に定義できます。
- 今回は、Y 方向(下向き)に-0.8、Z 方向(手前向き)に-0.2の比率で力がかかると定義します。
- 最後に、力の大きさであるマグニチュードを「1 kN(キロニュートン)」に設定し、「OK」をクリックします。
上面に斜め下方向への荷重が設定され、紫色の矢印で可視化されている。
Step3:解析を実行し、応力・変位をレビュー
材料、拘束、荷重という、解析に必要なすべての条件が整いました。いよいよ計算を実行し、ブラケットがどのように変形し、どの部分に力が集中するのかを確認していきましょう。
1. 解析の実行
- 上部リボンメニューの「ホーム」タブ > 「実行」グループ > 「解析および検討」アイコンをクリックします。
- 表示されたダイアログで、「ファイル」 > 「新規 静解析」を選択し、解析設定のウィンドウを開きます。
- 設定ウィンドウでは、先ほど設定した拘束条件と荷重条件のセットが正しく選択されていることを確認し、「OK」をクリックします。
- 「解析および設計検討」のダイアログに戻るので、緑色の旗の形をした「解析を開始」アイコンをクリックして、計算をスタートさせます。
計算が完了すると、ステータスが「完了」に変わります。これで、解析結果をレビューする準備が整いました。
2. 解析結果のレビュー
計算結果は、ダイアログ内にある「結果ウィンドウテンプレートを開く」アイコンから確認できます。
クリックすると、デフォルトで3分割されたウィンドウが開き、解析結果が多角的に可視化されます。
左から「フォンミーゼス応力」「変位マグニチュード」「主応力ベクトル」の解析結果。
それぞれのウィンドウが示す内容は以下の通りです。
- 左(フォンミーゼス応力):
部品全体にかかる応力の分布を色分けで示しています。赤色に近づくほど応力が高く、部品が壊れる可能性が高い「危険な箇所」であることを意味します。 - 中央(変位マグニチュード): 荷重によって部品がどのくらい変形したか(変位)を示しています。こちらも赤色に近づくほど変形量が大きいことを表します。
- 右(主応力ベクトル):力がどの方向にかかっているか(引張か圧縮か)を矢印の向きと色で示しています。
まずは、これらの基本的な表示から、応力が最も高い箇所や、最も大きく変形している箇所を大まかに把握することが、強度計算の第一歩となります。
【ワンポイント解説】解析結果に出てくる「フォンミーゼス応力」とは?
「フォンミーゼス応力」とは、複雑な3次元の応力状態を、材料の降伏(変形が元に戻らなくなる限界)と比較できる1つの数値にまとめたものです。難しい言葉ですが、簡単に言えば「その部品が壊れるかどうかの危険度を表す総合的な指標」と考えると分かりやすいでしょう。応力解析では、このフォンミーゼス応力の最大値が、使用する材料の許容応力(材料が耐えられる力の限界値)を超えていないかを確認することが、強度評価の基本となります。
もっと深く結果を知る!解析結果の高度なレビュー方法
デフォルトの3分割表示は、解析結果の全体像を把握するのに非常に便利です。しかし、設計改善のヒントを得るためには、応力が集中している箇所やモデル内部の状態を、より詳しく調査する必要があります。
Creo Simulate には、解析結果を多角的にレビューするための便利な可視化機能が備わっています。ここでは、特に問題箇所を特定するのに役立つ2つの機能をご紹介します。
等値面(アイソサーフェス)で"危険な箇所"を可視化
まずご紹介するのは「等値面(アイソサーフェス)」機能です。
これは、指定した特定の値(例えば「150 MPa 以上の応力」)を持つ箇所だけを 3D 空間に抽出して表示する機能です。天気図の等高線が 3D になったものをイメージすると分かりやすいでしょう。
この機能を使えば、モデル全体の中から応力が高い"危険な箇所"だけを瞬時に特定することができます。表示する値のレベルを動的に変更することも可能で、応力集中がどの範囲に広がっているのかを直感的に把握するのに非常に役立ちます。
ソリッドカットでモデル内部の応力分布を確認
次にご紹介するのは「ソリッドカット」機能です。
表面の応力解析だけでは、部品の内部で何が起きているかは分かりません。ソリッドカットは、モデルを仮想的に任意の平面で切断し、その断面における応力分布を可視化する機能です。
これにより、応力が表面だけに集中しているのか、それとも材料の内部深くまで及んでいるのかといった、より詳細な状態を確認することができます。断面の位置はマウスで自由に動かせるため、あたかも透明な部品を手に取って眺めるように、モデル内部を隅々までレビューすることが可能です。
これらの高度なレビュー機能を活用することで、設計者は解析結果をより深く理解し、的確な設計改善へと繋げることができます。
解析を"次の一手"に!「もしも」を試す設計最適化
前のステップで、ブラケットの最大変位が約2.97 mm に達することが分かりました。これは、設計上の問題点を特定するという、構造解析の第一の目的を達成したことを意味します。
では、もしこの製品の設計要件が「最大変位を2 mm 以下に抑えること」だったら、どうしますか?
ここからが「設計者 CAE」の真骨頂です。Creo Simulate は、単に問題を「見つける」だけのツールではありません。見つけた問題に対し、設計者が「もし、こうしたらどうなる?」という設計変更の"次の一手"を即座に試すための強力なパートナーとなります。
Creo の最大の強みは、設計と解析が完全に統合された環境であることです。他社製 CAD のように、データを別形式でエクスポートしたり、専門の解析ソフトを立ち上げたりする必要はありません。設計変更から再解析までを、すべて使い慣れた Creo の環境内でシームレスに行えます。
このセクションでは、解析結果を基にした設計最適化の具体的なプロセスを、一般的な例を通して見ていきましょう。
Case1:材料をアルミから鋼材に変えたら、変位はどう変わる?
変位量を抑える最もシンプルなアプローチの一つが「材料の変更」です。一般的に、アルミニウムよりも鋼材の方が剛性(ヤング率)は高く、同じ力がかかっても変形しにくいため、強度計算上有利になります。
1. 材料の変更
操作は非常に簡単です。
「Step1」で確認した「材料指定」のダイアログを再度開き、割り当てられている材料を「AL6061(アルミニウム)」から「SS(鋼材)」に変更します。
2. 再解析と結果の比較
材料を変更したら、あとは「Step3」とまったく同じ手順で解析を再実行するだけです。荷重条件や拘束条件はそのまま引き継がれます。
計算が完了したら、結果をレビューしてみましょう。
結果を見ると、最大変位が約1.06 mm にまで抑えられていることが確認できます。当初の2.97 mm から大幅に変位量が減少し、目標としていた「2 mm 以下」という設計要件を十分に満たすことができました。
このように、Creo Simulate を使えば、材料変更による効果をわずか数分の操作で定量的に評価できます。ただし、材料を鋼材に変更すると、部品の質量(重量)が増加し、材料コストも変動します。次のケースでは、材料はそのままに、形状を変更することで最適化を図るアプローチを見ていきましょう。
Case2:形状と寸法を変更したら、強度と質量は?
Case1 の材料変更では、変位量を目標値以下に抑えることができましたが、一方で部品の質量(重量)が増加し、材料コストが上がるというトレードオフがありました。
では、材料は元の「AL6061(アルミニウム)」のまま、設計者本来のアプローチである「形状と寸法の変更」で設計最適化を目指したらどうなるでしょうか。今回は、不要な部分を削って軽量化を図る「肉抜き」と、力が集中する部分を太くして強度を確保する「補強」を同時に行ってみます。
1. 形状と寸法の変更
Creo の強みは、設計と解析が完全に統合されている点です。解析モードからシームレスに設計モードに戻り、通常のモデリングと同じ操作で形状を編集できます。
- 形状変更(肉抜き):
ブラケットの側面と上面に、「押し出し」機能を使ってカットを入れ、強度への影響が少ない部分の材料を除去します。 - 寸法変更(補強):
解析結果から応力集中が予想されるリブ(補強部)の付け根部分を太くして、強度を高めます。今回は、リブの直径寸法を10 mm から13.5 mm に変更しました。
この変更を加えた上で質量を確認すると、肉抜きと補強を同時に行った結果、元の設計とほとんど変わらない質量に収まっていることがわかります。
2. 再解析と結果の比較
形状と寸法を更新したモデルで、再度解析を実行します。
結果は一目瞭然です。最大変位は0.52 mm となり、初期設計の2.97 mm から約82 % も変位量を削減することに成功しました。これは、材料を鋼材に変更した Case1(約1.06 mm)よりもさらに良い結果です。
このことから、単純に材料を強くするだけでなく、力の流れを考慮して形状を少し工夫することが、いかに強度計算において効果的であるかが分かります。
【比較表】設計変更による効果
これまでの3つの設計パターンの結果をまとめてみましょう。
| 設計パターン | 材質 | 最大変位 (mm) | 質量 (ton) | 評価 |
| 初期設計 | AL6061 | 2.97 | 0.000211 | △要件未達 |
| Case1: 材料変更 | SS(鋼材) | 1.06 | 0.000589 | 〇要件達成 (重量増) |
| Case2: 形状・寸法変更 | AL6061 | 0.52 | 0.000216 | ◎最適案 |
このように、Creo Simulate を活用して「もしも」のシナリオを素早く繰り返すことで、複数の設計案を定量的に比較し、強度、質量、コストといった複数の要件をバランスさせた最適な設計案を、論理的に導き出すことが可能になります。
設計最適化のさらに先へ:AI とリアルタイム解析がもたらす革新
今回ご紹介したように、Creo Simulate を使えば、設計者が自ら「もしも」のシナリオを素早く検証し、論理的に設計最適化を進めていくことが可能です。
では、さらに一歩進んで、「最適な形状そのものを AI が提案してくれたら?」、あるいは「設計変更の結果がリアルタイムで瞬時にわかったら?」どうでしょうか。
Creo のプラットフォームは、こうした未来の設計プロセスを実現する、さらに先進的なソリューションも提供しています。
その中核となる技術が、AI が力学的に最も効率的な形状を導き出す「トポロジー最適化(ジェネレーティブデザイン)」です。これは、荷重や拘束条件といった設計要件を入力するだけで、Creo が強度を維持したまま最大限に軽量化された形状案を自動で生成する革新的な機能です。
Creo のトポロジー最適化がどのように機能し、設計プロセスをどう変えるのか。その具体的な使い方と秘訣については、こちらの記事で5つのステップに沿って分かりやすく解説しています。
Creo のトポロジー最適化で設計を革新!軽量化と高剛性を両立する秘訣とは?
そして、このジェネレーティブデザインやリアルタイムシミュレーションを駆使して劇的な成果を上げているのが、世界的な電力リーダーである Cummins 社です。同社は、Creo の先進的な解析機能を活用することで、強度を確保しながら部品に使用する材料を最大15% も削減することに成功しました。
この記事で学んだ「設計者による解析」が、実際のトップ企業の現場でどのように活用され、コスト削減やサステナビリティといった経営課題の解決にまで貢献しているのか。その具体的なストーリーを、ぜひこちらの導入事例でご覧ください。
よくある質問 (Q&A)
Q: Creo Simulate は、Creo のどのパッケージに含まれていますか?追加費用はかかりますか?
A: 本記事でご紹介した線形静解析は、Creo Design Essentials (T1) パッケージ以上に標準で含まれており、追加費用はかかりません。より高度な解析(非線形解析や熱解析など)を行いたい場合は、Creo Advanced Simulation Extension などのオプション製品がございます。
各パッケージに含まれる機能の詳細な比較については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ一読ください。
3D CAD ソフト Creo パッケージ完全ガイド:コンカレントエンジニアリング/トップダウン設計、Ansys の最新解析、AI 設計機能まで
Q: 解析の精度はどのくらい信頼できますか?
A: Creo Simulate は、設計の初期段階で方向性を判断するための「設計者 CAE」ツールとして十分な精度を持っています。最終的な製品保証には専門の解析者による検証が必要な場合もありますが、設計上の大きな問題点を早期に発見し、手戻りを大幅に削減するのに非常に有効です。
Q: 解析には専門知識が必要ですか?学習は難しいでしょうか?
A: Creo Simulate は設計者が直感的に使えるように設計されています。本記事でご紹介したように、基本的な静解析であれば3つのステップで実行可能です。PTC では、さらに学習を深めたい方向けのトレーニングやチュートリアルもご用意しております。
チュートリアル動画の再生リスト
3D CAD ソフト「Creo」の使い方解説:「クリオの部屋」シリーズ
Q: リアルタイムで解析結果を確認できる機能はありますか?
A: はい、ございます。Creo Simulation Live という製品をご利用いただくことで、設計変更を行いながらリアルタイムで応力や変形をインタラクティブに確認できます。設計の試行錯誤をさらに加速させたい方におすすめです。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
なぜ Creo はリアルタイムシミュレーションで選ばれるのか?機能・連携・最新動向を完全解説
まとめ:設計プロセスで Creo Simulate を活用し、競争力を高める
本記事では、高性能 3D CAD「Creo」の標準機能である「Creo Simulate」を使い、設計者自身が構造解析を実行するための基本的な使い方と、その結果を活用した設計最適化のプロセスを解説しました。
今回のチュートリアルでご理解いただけたように、Creo Simulate はもはや一部の専門家だけが使う特別なツールではありません。
- 追加投資不要で、使い慣れた Creo の環境ですぐに始められる手軽さ
- 材料・拘束・荷重といった基本的な条件を設定するだけの直感的な操作性
- 応力や変位の結果を基に、材料変更や形状変更の効果を即座に検証できる迅速性
これらの特長を持つ Creo Simulate は、設計の初期段階で強度に関する課題を洗い出す「フロントローディング設計」を実践するための、すべての設計者にとって強力な武器となります。
設計者自身が解析を繰り返すことで、後工程での大幅な手戻りを削減し、開発リードタイムを短縮するだけでなく、製品の品質向上や、軽量化によるコストダウンにも直接的に貢献します。
ぜひこの機会に、設計プロセスに Creo Simulate を取り入れ、製品開発の競争力を一層高めてみてはいかがでしょうか。
Creo Simulate で設計プロセスを効率化しませんか?
この記事でご紹介した、設計と解析をシームレスに統合する Creo の効率的な環境を、ぜひご自身の PC でご体感ください。PTC では、お客様のニーズに合わせて2つのステップをご用意しています。
まずは Creo を無料で試してみる
「まずは自分で実際に操作してみたい」という方のために、Creo Parametricの機能を30日間無料でお試しいただける試用版をご提供しています。
もちろん、この記事でご紹介した構造解析機能「Creo Simulate」も、追加費用なしでご利用いただけます。ご自身の設計データを使って、その直感的な操作性と迅速な解析スピードをぜひ体験してください。
3D CAD Creo 無料体験版
Creo Parametric のフル機能を試用開始後すぐにご利用いただけます。
詳細はこちら導入に関するご相談・お問い合わせ
「自社の製品開発で、Creo の解析機能をどのように活かせるか具体的に知りたい」
「チームの設計プロセスに組み込むための最適なライセンス構成は?」
「この記事で紹介された機能について、より詳しいデモを見てみたい」
このような具体的なご要望やご質問には、PTC の専門スタッフがお応えします。お客様の課題をヒアリングし、Creo を最も効果的に活用するための導入プランのご提案や、機能の個別デモンストレーションを実施します。まずはお気軽にご相談ください。
3D CAD Creo お問い合わせ
Creo エキスパートにお気軽にお問い合わせください。
詳細はこちら
参考動画:「3D CADソフト Creo の使い方」シリーズ
本記事の元となった動画「設計者でもスピーディな構造・強度解析が可能!Creo Simulate チュートリアル | 3D CADソフト Creo の使い方」では、ご紹介した新機能を実際の操作画面とともにより詳しく解説しています。テキストだけでは伝わりにくい機能の操作感などを、ぜひ動画でご確認ください。