デジタル トランスフォーメーションや産業用モノのインターネット (IIoT) への取り組みについて議論する際に、必ず注目されるトピックの 1 つに、作業指示のデジタル化があります。その理由は明らかです。紙ベースの指示書は、扱いが面倒で非効率的なだけでなく、今日のデジタル指向の世界ではしばしば遺物のようにさえ感じられます。一貫性がなくて混乱を招くような紙ベースの作業指示書で苦労したことのあるオペレータや、自分の作成した指示書が数時間のうちに古くなるのを目の当たりにしたことのあるエンジニアは皆、より良い方法を切望しています。
作業指示は、デジタル トランスフォーメーションの手始めとして取り組みやすい領域であり、すぐに具体的な結果を得ることができます。仕事のためのより効果的なツールをオペレータに提供することは、より多くのデジタル志向の取り組みへの賛同を得るために役立ちます。また、それを通じて、今日の IIoT がすぐにどのような影響をもたらすかを実証できます。その影響は収益面だけではありません。トレーニングがより容易になり、作業者の不満が減ることで、作業者のモラルにも影響します。
作業指示のデジタル化が御社の工場にもたらすメリットについて検討する際は、次の 3 つの基本的な質問を念頭に置く必要があります。デジタル トランスフォーメーションのプロセス全体にわたってこれらの質問への答えを再評価することが、労働力の効率化に向けた短期間の目標を達成し、企業全体の変革を成功させるための基盤を構築する助けとなります。
最も効果的なのは、各手順を最も基本的な要素に分割し、製造プロセス全体を簡潔明瞭に説明する製造作業指示書です。ERP、CAD 図面 (2D および 3D を含み、画像の位置を変更したり、部品ジオメトリの接続を確認したりできる)、PLM データ、マシン データが統合された作業指示を、1 つの統一されたビューで提供することで、作業者はすべての必要な情報を 1 カ所で入手できるようになります。
作業指示の統一化にとどまらず、最初から最後までのプロセス全体をデジタル スレッドで 1 つにまとめ、コンテキストに応じたビューをオペレータに提供することを検討しましょう。
多くの場合、作業指示をデジタル化する際の最初の目標は "ペーパーレス化" ですが、それは最大の目的ではありません。紙を排除する方法は多数存在します。それが最終目的である場合、コストを削減し、指示書をタブレット上の PowerPoint ビューに移行すれば、それで終わりです。
画面は、それだけではソリューションとはなりません。最も効果的なデジタル作業指示は、製造プロセスをスマート化します。その実現には、スマートなツールの組み込み (双方向のやり取りを含む)、リアルタイム データ、コンプライアンス、品質検証による変更管理の合理化、デジタル スレッドによる製造プロセス全体の動的なオペレータ支援といった方法があります。
作業指示のデジタル化はデジタル トランスフォーメーションの重要な一部です。オペレータ、エンジニア、IT、経営幹部などの関係者は、スクラップの削減、品質の向上、イノベーションの促進をはじめとする、このデジタル化が作業者全体にもたらす具体的なメリットを目にするうちに、IIoT によって自分たちの生活をより楽にする方法をほかにも探し始めるでしょう。これは IIoT のすばらしい点であると同時に困った問題も招きます。必ずや、部門、戦略、または製品の壁を超えた、より多くのチャンスが開かれます。適切な IIoT プラットフォームを使用すれば、スケーラビリティをたやすく実現できますが、不適切なものを使用すれば、サイロ化を増大させ、新しい問題を招きかねません。
より広範囲のデジタル トランスフォーメーションへの影響を明確に把握したうえで、作業指示のデジタル化に取り組む必要があります。ここからどこへ行くのかがわからなくても、信頼できる地図と頑丈な方位磁石となる、経験豊富で機敏で力になってくれる IIoT プロバイダを利用することで、将来のどのようなデジタル化の取り組みにおいても適切な道を進むことができます。
製造作業指示は、どのプラントにおいても、作業の遂行方法のベースラインとなります。明瞭かつ詳細でタイムリーなデジタルの作業指示により、作業者は、自分の仕事を効果的かつ効率的に把握できます。デジタルな作業指示が、従来の紙の作業指示書から脱却し、将来のデジタル トランスフォーメーションに集中するためにどのように役立つかについては、こちらをご覧ください。