製品事業部 CAD セグメント シニアアプリケーションスペシャリスト
超音波洗浄機、液晶製造装置等の機械設計を 2D & 3D 共に経験し1997 年に入社。機械設計分野以外に樹脂・板金金型、CAM の担当エンジニア。
今回は3D CAD アセンブリのエラー対策に役立つ Creo 分析モードについて詳しく説明します。
記事の最後で 3D CADソフトウェア「Creo」 のお客様導入事例もご紹介しておりますので、ご興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
Creoに関する詳細はこちら
分析モードとは、 Creo Parametric 6.0 まで搭載されていた機能で部品形状の作成エラーやアセンブリの参照エラーが発生した際に、Creo がその状態を通知してくれるモードのことです。
Creo 7.0 以降では「分析モード」自体は廃止されていますがエラー発生時に通知する仕組みが別の方法で用意されており、よりわかりやすく対応できるようになっています。本記事ではこれらの機能をまとめて「分析モード」として紹介します。Creo 7.0 以降から Creo を使い始めたユーザーにとっては、旧バージョンの情報を知る良い機会になるでしょう。
エラーが発生した際に適切な対応を取ることで、3D データを中核としたデジタルスレッドをより確実に構築できます。
Creo Parametric はPro/ENGINEER(Creo Parametric の旧名称)の時代から、部品モデルや CAD アセンブリなどでエラーが発生した場合の「分析モード」という通知と修復用のモード機能が備わっていました。前述の通り、このモードは Creo Parametric 6.0 まで存在していました。
分析モードに入ると保存ができなくなり、エラーを修復するまで新しいフィーチャーの作成や部品のアセンブリ作業を進めることができません。一見すると不便に思えますが、これは「モデルのデータ品質を維持して不具合な状態を抱えたまま設計を進めた結果、後工程で発生する不具合や手戻りを防ぐ」ために「関所」のような役割を果たしていました。
余談になりますが今から約 30 年前、私は前職で自社の機械設計を 2D CADソフトウェア で行っていました。1994 年から 2 年ほど自社を離れて取引先企業でゲストエンジニアとして働いていた時に Pro/ENGINEER Release 13 に出会いました。当時は使い方もまだ覚束なく、この分析モードが「出会いたくない敵」のように感じられたものです。(下図は Creo Parametric の画像)
当時の私はエラーが発生するとため息をつき、修復せずに『削除』することが多かったと記憶しています。しかし分析モードによってエラーの原因を把握し、早い段階で修復できることを後になって実感しました。もしエラーが発生したまま設計を続けていたら設計意図に基づいて定義された参照関係が不安定になり、いつどこで問題が起こるか予測できなかったと思います。さらにエラーが記録として残らなければその発生元を予測することも難しくなり、「モデルの不安定さ」や「低いデータ品質」につながってしまいます。
こうしたデータを後工程に渡す場合、IGES や STEP などの中間形式で出力するとジオメトリの不具合が発生したり、3D 金型設計や CAM データ作成時にトラブルの原因になったりします。
Creo 10 のエラー発生から通知センターに表示されるまでの流れを追ってみます。例えば、ラウンドを削除するとそれを参照していた穴がエラーになるケースです。
図 1. 「ラウンド 2」のフィーチャーを削除
図 2. 子の参照がある場合のダイアログボックス
参照している子のフィーチャーの処理。サスペンドは、削除せずに残して後で処置をする状態。
図 4. は、分析モードの画面です。図 5. のメニューマネージャで、次の操作が選択できます。
いずれの場合も、分析モードでは修復、抑制、削除などで対処をしない限り保存することはできません。
次に、Creo 7.0 以降では「従来の分析モード」がありません。Creo 7.0 以降では「従来の分析モード」が廃止されました。
フィーチャーのエラーが発生しても保存操作が可能となり、その状態で保存できます。失敗したフィーチャーと子フィーチャーは次の方法で確認可能です。
UI は異なるものの、従来の分析モードと同じ機能を利用可能です。
Creo10のエラー発生から通知センターに表示されるまでの流れを追ってみます。例えば、ラウンドを削除するとそれを参照していた穴がエラーになるケースです。
図9. では、サスペンドした状態で保存できることがわかります。
通知センターから失敗フィーチャーを選択し、再定義や修復を行うことが可能です。
なおCreo 7.0 以降では「resolve_mode」など、従来の config オプションは廃止されています。
| 値 | resolve_mode は、解決ダイアログが表示され、先に進む前に問題に対処する必要。 no_resolve_mode は、失敗があっても保存可能。 |
上記の config オプションの代わりに「allow_save_failed_model」が追加され、エラーが発生した失敗モデルでも保存できるように設定可能です。
| 値 | prompt:失敗モデルの保存はユーザーが指定。 no:失敗モデルの保存ができない(保存操作はできるが保存されない)。 yes:失敗モデルの保存が可能。 |
以上で、「分析モード」の紹介を終わります。3D CADソフトウェア「Creo 」自体のメリットや機能を紹介する資料についてもぜひご覧ください。
PTCの3D CAD「Creo」が提供する 17 のメリットや機能について紹介します。
詳細はこちら以下に Creo を活用して設計業務を最適化した企業の導入事例を紹介しますので、こちらもぜひご覧ください。
【導入事例】
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