MBD（Model Based Definition：モデルベース定義）とは？｜2D 図面から3D 設計へ移行

MBD（Model Based Definition：モデルベース定義）とは？

モデルベース定義（MBD）とは、「図面グラフィックシートがなくても効果的に使用できる方法で製品を定義するアノテーション付きモデルおよびその関連データ要素」を指します。従来の2D図面に代わり、3D CADモデルそのものに寸法・公差・注記といった製造・検査に必要な情報を統合することで、モデルを唯一の信頼できる情報源として活用できます。これにより設計精度や効率が向上し、製造現場や品質管理、サプライチェーン全体でのスムーズな情報共有が可能になります。

MBDの基本的な仕組みや導入メリット、Creoを活用した実践方法や事例をまとめたe-bookをご用意しました。短時間で要点を押さえたい方に最適な入門資料です。

本資料では以下の内容をご覧いただけます：

モデルベース製品開発（MBPD）の基本アプローチ
MBD導入メリットと活用事例
モデルベース定義に関する用語解説

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MBD（モデルベース定義）導入で得られる3つのメリット

MBDを導入すると、設計から製造・検査までのデータが一貫して活用でき、部門間の断絶を解消できます。これによりエラーや工数を削減し、開発スピードと品質の向上を実現できます。さらに、幾何公差を含む国際標準への対応により、グローバルで通用する設計データの提供も可能になるでしょう。より具体的に導入のステップや準備、活用事例を知りたい方は、eBook『組織全体でデジタルスレッドを実現する方法』をご覧ください。

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信頼できる単一の情報源による設計効率化

MBDは、3Dモデルに寸法・公差・注記などの情報を集約し、全関係者が同じデータを参照できる環境を実現します。2D図面とモデルの不一致や転記作業によるエラーを回避でき、設計部門は工数を削減。下流工程でも設計意図を正しく理解できるため、全体の効率が大幅に高まり、意思決定の迅速化にもつながります。

製造・検査プロセスの自動化と品質向上

MBDに含まれるセマンティックPMIは、CAMやCMMソフトウェアで自動的に読み取られ、正確な加工や検査の指示に反映されます。従来必要だった手作業のデータ変換や再入力を排除することで、品質不良や再作業コストを抑制。結果として、生産スピードの向上と製品品質の安定を同時に実現し、現場の負担軽減にも貢献します。

国際標準に対応した幾何公差管理

MBDでは、幾何公差を3Dモデルに直接付与することが可能で、設計意図を明確に伝達できます。JISやISOといった国際規格にも準拠しているため、グローバルで通用する設計データを提供可能。海外サプライヤーとのやり取りでも要件の齟齬を防ぎ、国際的な製造ネットワークにおける信頼性と競争力を確保します。

Creo搭載｜モデルベース定義に基づく製品設計・支援機能のご紹介

モデルベース定義（MBD）を活用するには、3Dモデルに正確な公差や注記を付与し、設計から製造・検査までをシームレスにつなげる仕組みが不可欠です。Creoには、このMBDプロセスを支援するための3つの主要機能が備わっています。

Creo GD&T Advisor Extension
Creo EZ Tolerance Analysis
Creo Unite Technology

GD&T Advisorは幾何公差作成をガイドし、EZ Tolerance Analysisは統計的解析によって品質とコストのバランスを最適化。Unite Technologyは他CADとのデータ互換を可能にし、グローバルな設計コラボレーションを実現します。これらの機能を組み合わせることで、MBDは単なる効率化の仕組みにとどまらず、設計情報を正確にデジタル資産として残すことができます。こうした資産化は、熟練設計者のノウハウを将来に継承するうえでも重要です。

詳細は、無料eBook「ベテラン設計者のノウハウを継承 Creo モデルベース定義 (MBD) 機能の進化」で詳しく紹介しています。ぜひダウンロードしてご覧ください。

MBD の導入

Creo GD&T Advisor Extension

幾何公差の作成をガイドする支援ツール。最新規格に準拠し、推奨設定や構文チェックにより専門知識がなくても正確な公差をモデルに付与できます。 [デモ動画を見る]

Creo EZ Tolerance Analysis

統計的な公差解析により、設計の製造可能性と品質を定量的に評価。変更内容は下流工程に自動反映され、設計スピード向上とコスト削減を両立します。 [デモ動画を見る（英語）]

Creo Unite Technology

SolidWorksやCATIAなど他CADフォーマットを直接読み込み、Creoに統合。データ変更も自動反映でき、異なるCAD環境とのコラボレーションを容易にします。 [デモ動画を見る]

MDB（モデルベース定義）に基づくDXお客様事例

デジタル技術が進化する中で、CADとMBDは製品開発サイクルにおけるシームレスなデジタルスレッドを維持する要となっています。スピードと品質への要求に応えるため、企業はCADとMBDを活用した効率的なプロセスを整備し、設計から製造、検証に至るまでの業務を合理化しています。さらに、PLMソリューションであるWindchillと組み合わせることで、部門横断のデータ管理とコラボレーションが強化され、MBD導入の効果を最大化できます。ここでは、導入事例を通じ、その成果の一部をご紹介します。

GE Appliances 社、Creo MBD 活用でエラー率を 50％削減

世界的な家電メーカーである GE Appliances 社は、Creo を活用した MBD（モデルベース定義）の取り組みに注力していました。人が視認できる「ヒューマンリーダブル」な 3D アノテーションから開始し、機械が自動処理可能な「マシーンリーダブル」なアノテーションへ移行。成熟度マップを策定しながら取り組みを体系化しました。これにより、設計から製造へのデータ伝達を効率化し、PPAP レポート作成などの手作業を削減。結果として、エラー率を 50% 削減し、設計品質と業務効率を大幅に改善しています。

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Cummins 社、モデルベース製品開発とジェネレーティブデザインで材料使用量を最大 15% 削減

世界的な電力リーダー企業Cummins社は、Creoを基盤としたモデルベース製品開発を導入し、設計と解析の一元化を実現しました。ジェネレーティブデザインとライブシミュレーションを活用したデジタルプロトタイプにより、エンジン部品の軽量化と材料使用量の10〜15％削減を達成。ワークフローの効率化と環境負荷低減を両立し、持続可能性の目標達成に貢献しています。

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HPE COXA社、モデルベース製品開発で設計・製造期間を50％短縮し俊敏性を向上

イタリアの高性能自動車部品メーカーHPE COXA社は、複数ソフトウェアを切り替える非効率な設計プロセスに課題を抱えていました。Creoに設計・シミュレーション・付加製造を統合したことで、ワークフローを合理化し、設計時間と生産時間を合計30％削減。さらに構想から納品までの期間を半分に短縮し、顧客の要件変更にも迅速に対応できる俊敏性を獲得しました。

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Volvo Group｜デジタルスレッドで検査時間短縮と品質強化を実現

Volvo Groupは、エンジン検査の40項目・200バリエーションを8分で行う厳格な品質管理をデジタル化。CreoやWindchill、ThingWorxを連携させ、検査手順の更新時間を2日から1時間未満に短縮しました。さらにトレーニング期間も5週間から2週間未満へ大幅短縮し、20工場でのコスト削減と「100万個中ゼロ不具合」の品質目標に挑戦しています。

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PLM ソフトウェア｜Windchillでデジタルスレッドを実現しませんか？

設計データを正しく流通させるには、PLM（product lifecycle management：製品ライフサイクル管理）の存在が欠かせません。Creo と連携する Windchill なら、変更管理やグローバル連携を効率化し、モデルベース製品開発を飛躍的に推進させることができます。

Windchill（PLM）の詳細を見る

MBD関連・無料eBook ＆お役立ち記事

MBDの導入を検討している方から、すでに実践を進めている方まで、実際の企業事例や最新のベストプラクティスをまとめた資料・記事をご用意しています。効率化や品質向上の具体的な成果を短時間で把握することができます。社内での検討や推進にご活用ください。

無料eBook：Creo モデルベース定義（MBD）で設計ノウハウを継承

ベテラン設計者の公差情報や解析データをMBDでデジタル資産化。バージョンアップ時もデータ劣化ゼロで、設計品質と効率を維持しながらノウハウを次世代へ継承できます。

無料eBook：CADと製品設計に関するエンジニア向けガイド

モデルベース定義、マルチCAD、付加製造、コンカレントエンジニアリングをはじめ、リアルタイムシミュレーションやジェネレーティブデザイン、拡張現実など、設計現場で押さえておくべき技術を網羅。エンジニアが今知っておくべき最新動向を効率的に学べる一冊です。

無料eBook：CAD×MBDで実現するデジタルスレッド実践ガイド

設計から製造、品質管理までを一気通貫でつなぐデジタルスレッド。その基盤となるCADとMBDの活用方法を、LIXIL、Bosch、American Standardといったグローバル企業の事例を交えて解説します。コスト削減・スピード向上・不具合低減を実現する具体的なアプローチを短時間で学べます。

無料eBook：LiveWorx 2023で紹介されたCreo導入事例集 ― MBDから解析・付加製造他

GE AppliancesやLIXIL社によるMBD（モデルベース定義）の取り組みをはじめ、流体解析や付加製造など幅広いCreo活用事例を収録。設計の効率化や新しいアプローチを知るための事例集です。

ブログ: 幾何公差とMBDで進化する設計DX実践ガイド

幾何公差規格の最新動向（JIS・ISO対応）から、Creo GD&T Advisorによる効率的な公差入力・検証、さらにGE AppliancesやBlue OriginなどのMBD導入事例まで網羅。設計品質の確保、コスト削減、国際競争力の強化につながる実践的なアプローチを学ぶことができます。

ブログ：幾何公差の基礎 — JIS/ISO対応と3DA時代の実務ポイント

幾何公差とサイズ公差の違い、形体/姿勢/位置/振れの分類、記入ルールやデータムの優先、よくある誤記までを実務目線で解説。JIS・ISOの動向と3Dアノテーション（3DA）/MBDへのつながり、GD&T Advisorの活用例も多数紹介します。

モデルベース定義に関するご質問 (FAQ)

MBD（モデルベース定義）を導入するには、どのような取り組みから始めればよいでしょうか？

最初のステップは、従来の2D図面作成からMBDオーサリングへの切り替えです。セマンティックPMI（機械可読な製造情報）を組み込むことで、後工程での手戻りや遅延を防ぎ、効率的に活用できます。

関連ページ：MBD（モデルベース定義）の導入を成功させる方法とは？

MBDは設計部門だけでなく、他の部門でも活用できるのでしょうか？

はい。調達部門ではサプライヤーへのRFQ精度を高められ、製造や品質部門ではCAMやCMMでの自動処理に役立ちます。作業指示部門でも、単一の3Dモデルから詳細で正確な指示を作成できるメリットがあります。

関連ページ：MBD（モデルベース定義）の導入を成功させる方法とは？

MBD導入時にサプライヤー対応は必要でしょうか？

サプライヤー向けにも十分なトレーニングやサポートを提供することが大切です。スムーズな移行はメーカー側だけでなく、サプライヤーにとっても大きなメリットにつながります。

関連ページ：MBD（モデルベース定義）の導入を成功させる方法とは？

MBD（モデルベース定義）は図面と何が違うのですか？

従来の2D図面ではなく、3Dモデルに寸法や注記を集約する仕組みです。設計から製造まで同じモデルを活用できるため、設計DX（デジタルトランスフォーメーション）の推進に直結します。
関連ページ：Creoで幾何公差

CreoのGD&T Advisorを使うと何ができるのですか？

幾何公差の作成・検証・教育をサポートし、正しく公差を入力できるようガイドします。誤入力を防ぎ、生産性を高めるだけでなく、無駄なコストの発生も抑えられます。

3次元モデルに幾何公差を入力するメリットはありますか？

JIS B 0060に基づき、3Dモデルへ直接公差を入力することで設定が早く正確になります。モデル内に情報を集約できるため、後工程での活用や検証も効率的です。

MBDには「モデルベース開発」と「モデルベース定義」の2つの意味があるのですか？

はい。同じ「MBD」という略語でも、文脈によって意味が異なります。一般的に「モデルベース開発（Model Based Development）」は、自動車や制御システム分野で、モデルを使ったシミュレーションや設計検証の手法を指します。一方、PTCが提供するCreoにおける「MBD（Model Based Definition）」は、設計図面の代わりに3Dモデルへ寸法・公差・注記などの情報を集約する仕組みを意味します。

PTCのMBD（モデルベース定義）はどのような場面で使われますか？

CreoにおけるMBDは、設計情報を3Dモデルに直接埋め込み、設計から製造、品質管理まで幅広い工程で活用されます。2D図面と違い、情報の抜け漏れを防ぎ、グローバルに通用する製品設計を実現できるのが特長です。

MBD（モデルベース定義）、MBPD（モデルベース製品開発）、MBE（モデルベースエンタープライズ）はどう違うのですか？

それぞれ範囲や目的が異なります。

MBD（Model Based Definition／モデルベース定義）は、図面がなくても製品を定義できるように、寸法・公差・注記などを3Dモデルに直接埋め込む方法を指します。
MBPD（Model Based Product Development／モデルベース製品開発）は、MBDを含めて製品開発全体にネイティブCADモデルを活用するプロセスです。設計、検証、製造まで一貫してデジタルモデルを利用します。
MBE（Model Based Enterprise／モデルベースエンタープライズ）は、さらに広い概念で、製品の設計から製造、運用、サービス、廃止までのライフサイクル全体にMBDを活用する取り組みを指します。

関連資料：開発方法を大きく変えるモデルベース製品開発

MBD（モデルベース定義）とは？ 2D図面から3D設計へ