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デジタルトランスフォーメーション (DX) の価値を見極める

はじめに

デジタルトランスフォーメーション (DX) は今や、世界中の製造業にとって戦略面での最大の課題に挙げられるまでになり、実際、92% の企業がデジタル化におけるいずれかの段階にあります。これらのデジタルプロジェクトは、バリューチェーン全体の物理的なプロセスを変革し、財務面で大きな利益をもたらしています。

McKinsey & Company は、デジタルトランスフォーメーション (DX) は、製造業がオペレーション、作業員、製品、その他産業環境の各要素における課題を克服するための数兆ドル規模となる最適化の機会であると推定しています。

しかし、これらの機会にあたって、どの変革にどの順番で取り組むべきか決定することが、DX プログラムの成否の分かれ目となります。企業が価値獲得への道のりを進もうとした場合、変革を実現しながらリスクを最小限に抑え、業務の継続性を確保し、収益性を促進することが必要です。このすべてを実現しようとした結果、「どこから手を付けるべきか?」という単純な問いに対して、複雑な答えに陥ってしまうことがあります。

多くの企業が、複数の課題に同時に取り組むというあまりにも野心的な答えを導き出してきました。平均して 8 件のデジタルパイロットプロジェクトが開始されていますが、そのうち 4 分の 3 が本採用への展開に失敗し、デジタルプログラムの資金調達と存続が危ぶまれます。

本採用への展開を成功裏に導くことができない原因は、選択肢の過多による決断疲れ(意思決定を長時間繰り返した後に決定の質が低下する現象)と分析麻痺(分析過多により意思決定プロセスが麻痺する現象)であり、その結果として PoC(実証実験)地獄に陥ることになります。

業界の複雑な課題を解決するには、デジタルトランスフォーメーション (DX) とビジネス価値を連携させる必要があります。財務目標や業務上の目標に影響する最も差し迫った問題を特定し、それらを解決することで得られる価値を測定することで、デジタルトランスフォーメーション (DX) の強固な基盤を築くことができます。

価値ライフサイクルプロセス

PTC はこれまでデジタルトランスフォーメーション (DX) プロジェクトに関して数千社もの企業と緊密に連携し、そこで得た深い専門知識を活かして、価値ライフサイクルプロセスを作成しました。PTC の直感的なモデルにより、デジタルトランスフォーメーション (DX) から得られる価値を包括的に把握できます。このモデルでは、バリュードライバーの測定可能な要素を分析することで、関連する財務面での影響を判断します。この評価プロセスそのものは複雑になる場合がありますが、最終的には、DX に取り組む優先順位の決定に役立つ 5 つの基本的な検討事項に絞り込まれます。

価値を見極めるためのステップ

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1. 財務目標との整合性

あらゆる企業が投資家や企業評価に影響を与える財務目標に対する進捗状況を年次報告書に記載しています。製造業の財務目標に影響する主要な項目は、収益、営業利益、設備効率の 3 つです。

2. バリュードライバーの特定

メーカーには主な課題に対応し、財務目標を達成するためのさまざまなバリュードライバーがあります。たとえば、バリューチェーンのコラボレーションを強化することで収益を増加させ、機器の可用性とパフォーマンスを向上させることで営業利益率を改善し、初回修理完了率を向上させることで設備効率を改善します。

3. 価値の高いユースケースの選択

財務目標との関連付け、バリュードライバーの確認の次に検討すべきは、ユースケースの絞り込みです。信頼できる DX パートナーと戦略的なユースケースに取り組むことで、短期間で価値を生み出す効果的な成果を得られるのが理想的です。

4. 運用面での影響の測定

現在のパフォーマンスと予測されるメリットに基づく基準線を設けることで、その後の変更がもたらす実際の影響を測定する準備が整います。より幅広い価値ライフサイクルでは、デジタルプロジェクトが期待どおりの価値を生まない場合にそれらを分析し、将来に向けてプロセスを調整することが重要です。

5. 財務面での成果の判断

業務指標が改善すれば、プロジェクトが成功した場合に見込める明確な利益を財務目標の設定に反映できます。重要な財務指標への影響を示すことは、経営幹部の関与を確実なものとし、DX プログラムを成功に導くうえで欠かせない要素です。

この価値評価を開始した企業は、デジタルトランスフォーメーション (DX) に向けた取り組みのスタート地点に立ったことになります。このホワイトペーパーでは、設計、製造、サービスにおける主要なバリュードライバーとユースケースの概要を紹介することで、この価値評価を実用的なものとしています。複数の部門にわたってこのフレームワークを実践した実例から、獲得可能な価値を示します。これらの評価は、より広範な価値ライフサイクルプロセスの最初のステップであり、企業全体に拡張されたデジタルトランスフォーメーション (DX) がもたらす累積的なメリットを実現するための第一歩です。

エンジニアリング

エンジニアリングの状況

エンジニアリング部門は、より高品質で革新的な製品を短期間かつ少ないリソースで開発し、さらに高い収益を上げるという、とても実現できそうにはない課題に直面しています。これらの課題は、競争上の圧力やサプライチェーンの混乱といった外部的な市場の要因によってさらに難しいものになっています。

顧客中心主義、製品の複雑性、機密性の高い知的財産、業界固有の規制要件、持続可能性を重視したコンプライアンスによって、従来の製品開発プロセスはさらに複雑化しています。その一方、社内では組織的なシステムの分断に起因するブラックボックス化によって、エンジニアリング部門が部品表、要件、ドキュメントなどの重要な製品情報へのアクセスを妨げられ、活用できなくなっています。そのため、効率的に業務を行ってこれらの外部的な要因と社内の障害に対応し、競争の激しい現代市場で高い革新性を発揮する必要があります。

エンジニアリングのバリュードライバー

PTC の One Value Portal では、PTC の顧客 28 社から 172 件の回答を得て、がこれらのエンジニアリングのバリュードライバーを「最高」、「高」、「中」、または「低」のいずれかで評価しています。Q: 次のエンジニアリングのバリュードライバーを「最高」、「高」、「中」、「低」のいずれかで評価してください。

バリューチェーンのコラボレーション

メーカーが、複数の部門、職務、地域を含むバリューチェーン全体で継続性を生みコラボレーションを強化することを目指す場合、一般にエンジニアリング部門がその開始点となると同時に、主要なメリットを享受します。デジタルスレッドに関して PTC が実施した調査によると、エンジニアリングチームが製造部門にデータ(品質データ、BOM、プロセス計画など)をシームレスに送受信することは、企業にとって最も価値ある優先事項であるとされています。また、新しいサービスは、将来の製品開発に影響を与える実際のパフォーマンスや使用データをエンジニアリングにフィードバックするクローズドフィードバックループの機会を提供します。

設計の効率化

設計部門では、新製品の設計に関して 2 つの優先事項があります。それは、より効率的な設計プロセスを活用することと、より効率的な製品を開発することです。製品設計と製造プロセス間が強く結びつくことで、販売製品のコスト、品質上の欠陥、新製品導入 (NPI) に必要な時間を削減できます。エンジニアリングチームは、より少ない材料、より持続可能な材料で、現在と同等以上の性能を発揮する、より革新的な製品を開発することが求められており、これにより設計の効率が向上します。

間接コスト

設計でミスがあった場合のコストは通常、製品開発プロセスの後工程で認識され、修正されます。製品の質が低ければ製造でスクラップや手戻りが発生し、サービスチームではコストのかかる修理が必要になります。必要な変更を行うために作業員の時間が費やされ、製品やサービスを正常に運用するための代替部品のコストが膨れ上がります。

市場シェア

通常、製造企業の経営幹部はエンジニアリング部門を、製品やサービスの差別化によって収益向上を促進し、市場シェアを獲得するための要素であると考えています。市場シェアの変動要素と変動幅は業界によって異なります。たとえば、価格変動による需要の変化が比較的少ない日用品業界では製造量を増やすことが求められ、顧客が価格に関してそれほど敏感ではない業界では高度に差別化された製品やパーソナライズされたサービスが重視されます。設計チームは、より多くの市場シェアを獲得するために、製品を変革するさまざまな手法や技術を駆使しています。




エンジニアリングの主なユースケース

構成管理

近年の製品は物理コンポーネントとデジタルコンポーネントの多様な組み合わせを必要とするようになっており、これらのコンポーネントは、顧客の固有の要件に合わせて同期的に動作する必要があります。この複雑性に対応するには、標準化された緊密な製品開発プロセスが必要です。このプロセスには、要件、特性、バリエーション、ファミリー、設計、プロセス計画、部品などの相互に関係のある製品情報を接続する統合プラットフォームが必要です。構成管理により、動的な部品表が製品の階層構造内の関係とサブコンポーネントまでのトレーサビリティを管理するようになり、他部門との間でこの設計のデジタルスレッドが実現します。

変更管理

従来の製品開発プロセスでは、顧客中心主義による製品のカスタマイズ、製品の複雑化、変化する規制要件への対応に必要な変化のスピードと頻度についていくのは困難になっています。製品エコシステム内の 1 つの機能または設計に 1 つの製品変更を加えるだけでも、後工程に影響を及ぼす可能性があります。変更管理によって適切な関係者に正確かつ効率的に作業を割り当てることで、製品ライフサイクル全体でエンジニアリングデータを確実に管理できます。その結果、手戻りが減少し、歩留まりが改善され、市場投入までの期間が短縮し、製品化が促進されます。

サプライヤーとの協業

市場の混乱(現在のチップ不足など)が悪化する中で、サプライヤーとの幅広いサプライチェーンを統合することが、ビジネスを継続させるうえで不可欠です。サプライヤーと設計プロセスの距離を縮めることで、製品の要件を確実に満たし、製品開発中の変更を迅速に伝達して対応できます。製品ライン、工場、サプライヤー部品、その他の要件の間の関係をマッピングし、リアルタイムに情報を伝達する最新の部品表を維持することで、プロセスが効率化されます。このエコシステム全体で製品のトレーサビリティをモニタリングすれば、確実に規制要件と持続可能性要件を満たすことができます。また、歩留まりの改善、市場投入までの期間短縮、製品化が加速までの時間短縮を実現します。

設計の再利用、コラボレーション、自動化、最適化

多くの場合、製造業にとって、製品の設計情報は最も重要な知的財産です。設計を効率化する鍵は、製品のイテレーションの効果的な再利用、社内外に分散したチーム間での柔軟かつ安全なコラボレーション、ワークフローの自動化によるプロセスの促進、そして、シミュレーションやジェネレーティブデザインなどの次世代技術を活用した製品パフォーマンスの最適化です。

A 社のエンジニアリング

30 億ドル規模の産業機器メーカー(仮に A 社とします)の組織構造は、製品とサービスから収益を上げる 3 つのビジネスユニットで構成されています。そのエンジニアリング部門は 20 億ドルの製品収益を生み出し(総収益の 66%)、研究開発費として 3 億 2,000 万ドルを費やしています。

A 社は、部門間で著しいコミュニケーションミスが発生していること、情報源が複数存在していること、プロセスが同時に進行していないことを把握しました。また、設計データが効率的に共有されないために手戻りが発生し、市場投入までに時間がかかっていました。A 社の試算によって、エンジニアリング部門の内外でシームレスなデータの連続性とコラボレーションを強化すれば、手戻りを 5% 削減できることが分かりました。これにより、市場投入までの期間も短縮され、製品の生産量と収益が 1% 増加することも分かりました。

A 社は、製品ライフサイクル全体で部門間のシームレスな設計データ交換とタスク管理を実現するため、変更管理のユースケースを採用しました。これにより、スクラップと手戻りを削減して推定 400 万ドルのコストを削減するとともに、製品の生産量を増やすことで収益を 2,000 万ドル増加させ、最終的に A 社の純利益が 2,400 万ドル増加すると見込まれました。

製造

製造の状況

製造業の製造工場とそのバリュードライバーは、製造現場内外から直接影響を受けます。たとえば、次のような要因があります。

  • 市場の需要の変動に応じて生産能力を迅速に拡張し、短期間で需要を満たす数量の製品を製造する必要がある。
  • 製品のイテレーションをカスタマイズして頻繁に変化する顧客の要件に迅速に対応するには、柔軟性が必要である。
  • リーン生産方式と直感的に理解できる作業指示により設備と労働力が最適化され、業務効率が向上する。
  • 貿易戦争や世界的な原材料不足によるサプライチェーンの混乱を最小限に抑えるには、機動力が必要である。
  • 「カーボンニュートラル」という企業目標に従って誠実に行動し、規制違反による罰則を回避することで、持続可能性が向上する。
  • 環境保護への取り組みにより、排ガス、エネルギー消費、廃棄物に関する運用コストを削減できる。

製造部門は、インダストリー 4.0 やデジタルトランスフォーメーション (DX) プログラムを活用して製造効率を向上させるために、これらの外部的要因による課題に内部のバリュードライバーで対応しています。

説明: PTC の One Value Portal では、PTC の顧客 90 社から 238 件の回答を得て、これらの製造のバリュードライバーを「最高」、「高」、「中」、または「低」のいずれかで評価しています。Q: 次の製造のバリュードライバーを「最高」、「高」、「中」、「低」のいずれかで評価してください。

予知保全

計画外ダウンタイムが数時間発生するだけで、数百万ドルもの運用コストの損失につながる場合があります。このような事態が発生しないよう、メーカーは、プログラム、システム、技術に多額の投資をしています。従来の「障害が発生したら修理する」(ブレイク/フィックス)という事後対応では、将来の故障を予測することはほぼ不可能です。保全計画をあらかじめ決めておけば計画外ダウンタイムをある程度は未然に防ぐことができますが、故障が見つからない場合はメンテナンスコストが増加し、不要なダウンタイムが発生することになります。予知保全は、メーカーの新たな目標です。産業 IoT に対応したシステムは、履歴データ(設備の故障、機械の劣化など)、リアルタイムの産業 IoT データ(振動、温度など)、その他の関連情報(技術者の近接性、スペア部品など)の分析に基づいて、発生する可能性のある障害のタイミング、重症度、場所を自動的に特定できます。

拡張現実 (AR) を利用した作業指示とトレーニング指示

設計変更や新製品に合わせて常に変化する工程や作業指示に既存の従業員を適応させることに加えて、新入社員のトレーニングや研修を行う場合、企業にとって重要なのは価値を生み出すまでの時間です。経験の少ない作業員に適切なタイミングで適切な情報を提供できれば、より作業員の生産性が向上します。熟練作業員の専門知識を取り込み、全員で共有できるようにすることで、スキルギャップの拡大により妨げられていた知識の伝達が可能になります。拡張現実 (AR) を利用した作業指示は現場の作業員にとって新たなプラットフォームです。組立指示やサービス指示などのデジタル情報を、作業員の視覚が捉える物理世界の中に表示します。これにより、従来は印刷した作業指示やマニュアルに依存していた複雑な現場作業を理解するための負担が軽減されます。

デジタルパフォーマンス管理

従来の製造現場に導入されている生産状況監視の仕組みは、アナログかつ製造ラインごとに分断されており、市場の変化への対応が収益に直結する現代において、生産の機動力と俊敏性を維持するには力不足です。作業員が自分の作業について適切なタイミングでフィードバックを受け取ることはほとんどありません。機器管理システムは互いに接続されておらず、ボトルネックとダウンタイムの原因となっています。分断されたアナログの産業システムとリアルタイムの業務パフォーマンスデータをデジタルパフォーマンス管理システムによって統合することで、問題の特定と是正措置の提示を行い、工場の設備稼働率とサイクルタイムを改善します。

A 社の製造部門

A 社の製造部門は、運用コストに 20 億ドルを費やしています。20 拠点の工場を擁するこのビジネスユニットでは頻繁に計画外ダウンタイムが発生するため、機器の稼働率とパフォーマンスが低下しています。具体的に言えば、ある工場では運用コストに 1 億ドルを費やしていますが、その生産ラインの設備総合効率 (OEE) の平均は 50% です(85% が世界クラスとみなされます)。A 社の試算では、工場ごとに OEE を 50% から 55% に改善(性能を 10% 改善)することで、運用コストを 500 万ドル削減できます。

A 社は、製造施設の稼働状況を把握して短時間停止の原因であるボトルネックを迅速に特定し、目標とする 10% の性能改善を実現するには、設備をリアルタイムでモニタリングする必要があると判断しました。また、この価値高いソリューションを 20 拠点の工場すべてに導入すれば、1 億ドルの運用コストを削減できると考えました。

サービス

サービスの状況

製品の販売による利益率が次第に厳しくなり、世界的な競争が強まる中、メーカーは従来のビジネスモデルを見直して顧客に新たな価値を提供しようとしています。サービスはもはや「販売に必要なコスト」ではなく「収益源」かつ「将来的な成長の原動力」であるという考え方に変わりつつあります。実際、40% の企業が来年度にはサービス収益が大幅に増加する(10% 以上)と考えており、今後 10 年間で総売上高の大半がサービスから上げられるようになると予定しています。


サービス組織は、スキルギャップがもたらす人材プールの大幅な縮小などに見られるように、限られた人的資産でこれらの野心的な成長目標を達成するというプレッシャーを受けています。顧客から要求や、成果ベースのサービス提供モデルの契約条項を満たすために、メーカーはデジタルトランスフォーメーション (DX) に取り組んでいます。

サービスのバリュードライバー

説明: PTC の One Value Portal では、PTC の顧客 59 社から 237 件の回答を得て、これらのサービスのバリュードライバーを「最高」、「高」、「中」、または「低」のいずれかで評価しています。Q: 次のサービスのバリュードライバーを「最高」、「高」、「中」、「低」のいずれかで評価してください。

平均修理時間

メーカーにとって最悪のシナリオは、顧客の本稼働環境で製品が故障することです。ダウンタイムの時間が 1 分長くなるごとに、OEM と顧客のコストは膨れ上がります。平均修理時間 (MTTR) とは、必要な修理を実施するために派遣された技術者の有効性や効率性を測定するもので、現場外(出張対応、近接性に応じたスキルセット)と現場(初回修理完了率、適切な部品の有無)のあらゆる要素の集大成であると言えます。

作業員の再教育とスキルアップ

複雑な製品のサービスに対応するには、幅広いスキルと経験に基づく知識が必要とされるため、現場に新しく入った作業員が熟達の域に入るまで、少なくとも数カ月はかかることもあります。また、経験豊富な作業員でも、増え続ける製品の複雑性や製品構成、そして変化するサービスプロセスに対応し続けることは困難です。


これらの作業員は、前後関係が欠如した古い紙ベースの作業指示に頼っています。拡張現実 (AR) などの革新的な技術を介して「ジャストインタイム」の情報トレーニングの仕組みを活用することで、重要な作業情報が物理的な作業と関連して表示され、技術者の効率性が向上します。

顧客の問題をリモート解決

出張は 1 回のサービスにつき平均コストは 150 ドル~ 500 ドルで、1 件あたり最大 1,000 ドルになります。多くの場合、「欠陥が見つからない (NFF)」というメッセージが表示され、技術者は完璧に機能している設備を修理するために多額のコストをかけて現場に出向きます。メーカーは、実際に現場に出向いていれば多額のコストがかかっていた出張対応をリモートで行い、技術者の効率性と顧客の動作環境における製品の稼働時間を向上させています。

離職に伴う高額なコスト

業界の離職率は、サービス部門の経験豊富な作業員と経験の浅い作業員のどちらにとっても厄介な問題です。サービスチームの 70 % が、今後 5 年~ 10 年以内に退職する作業員の問題によって負担が増えると考えています。新しい作業員や不足している分野の作業員を採用し、スキルアップを図って既存の従業員のすき間を埋めることもできますが、必要なスキルや専門知識のレベルの高さを考慮すると、多額のコストがかかります。

初回修理完了率

多くの場合、サービスチームの技術者の技量は初回修理完了率で測定されます。これは、技術者が初回の訪問で問題を解決した割合です。しかし、業界平均は 75% に過ぎず、出張対応の 4 回に 1 回は最低でももう 1 回の再訪問が必要になるのです。産業用製品や産業用機器は非常に複雑で、サービスも複雑なうえに予測がつきません。技術者が適切な指示を受けていなかったり、適切なスキルセットや解決に必要な部品を持っていないこともあります。

サービスの主なユースケース

製品と製品群のリモートモニタリング

メーカーやその顧客にとって、稼働中の設備や製品群の動作状態を把握することは難しく、コストのかかるサービスが発生していました。リモートモニタリングは、現場の製品群と機器の基準運用データを生成します。状態基準保全のシステムが、リアルタイムの状態、パフォーマンス、場所データを関連付けます。

製品の状態や特性を可視化することで、サービス業務の実施と技術者の派遣時にガイダンスを提供し、、潜在的な問題を把握することで稼働率を向上させます。

遠隔支援

出張対応のために技術者を派遣することは、特に欠陥が見つからない場合は、サービス組織にとって大きなコストのかかる案件の 1 つです。遠隔支援により、技術者やその他のスタッフが物理的に介入せずに現地の設備の検査と修理をリモートで実施できるようになり、サービスのリスクがより一層緩和されます。また、無線によるソフトウェアの更新や遠隔支援によるトラブルシューティング機能により、多数の製品群に人海戦術で展開する際の運用コストを大幅に削減できます。

予測サービス

顧客の実稼働環境で設備が故障すると、顧客とメーカーの両方の収益に影響が及び、ビジネス関係が悪化します。現場で故障が発生する前に問題を予測して対応することで、複雑なメンテナンス作業、出張対応、部品交換などの事後コストを削減できます。産業 IoT によって生成されたパフォーマンスデータおよび分析を活用する予測サービスは、将来的にサービス問題が発生する時間、場所、原因を正確に特定すると同時に適宜サービスを実施することで、顧客またはメーカーのダウンタイムを回避します。

拡張現実 (AR) を利用した遠隔支援

限られた技術的な専門知識に適切なタイミングでアクセスできるかどうかは、グローバルな製造業にとって大きな課題となっています。新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う出張規制や作業スペースの制限、経験豊富な作業員の不足といった要因が重なり、リアルタイムで世界中に知識を伝達できるプラットフォームへの需要が高まっています。

拡張現実 (AR) による遠隔支援は、遠隔地にいるエキスパートと現場の技術者をリアルタイムで接続して、まるでその場で実施しているかのようなサポートを行うことで、幅広い知識を伝達し、よりコラボレーションを改善させ、技術者はよく知らない問題や予期しない問題を迅速に解決できます。

サービス診断

特に機器とその修理工程が複雑なものである場合、技術者が設備の実稼働環境で作業に数時間を費やすことはよくあります。メーカーが数百台もの製品をそれぞれ固有の構成で展開していても、技術者の手には 1 枚の紙の指示書しかないこともあります。サービス診断では、故障の原因そのものを選別し、故障に対応するための関連部品とツールやその他の関連情報を特定し、技術者が適切なタイミングで修理を実施できるようにします。

A 社のサービス

A 社のサービス部門は収益全体の 33% である 10 億ドルの収益を生み出し、4 億ドルの運用コストを費やしています。サービス収益の大部分はアフターマーケットサービスによるもので、利益率が高い一方でほぼ成熟しており、A 社にとっては低成長率の領域と予測されています。新たに登場したサービス収益源は技術者によるもので、この分野は現在 2,000 万ドル規模にあり、運用コストは 1,000 万ドルです。

200 名の技術者で構成されるサービスチームは 1 日平均 1.3 件の顧客を訪問し、年間では合計 65,520 件、業務時間として請求可能な時間は 200,000 時間に上ります。チームの初回修理完了率は業界平均の 75% 程度(16,250 件の訪問で 2 回目の訪問が必要であったことを意味します)で、現場で費やす平均時間は 3 時間です。そこで A 社の技術者がもつ専門知識を経験の浅い作業員に拡張して FTFR を改善するために最適なソリューションとして、拡張現実 (AR) による遠隔支援が選ばれました。

サービスチームは、初回修理完了率を 5% 改善すれば運用コストを 200 万ドル削減できると考えていました。これはフォローアップ訪問に必要なリソースの削減(年間で 16,250 件から 12,974 件に)、現場で費やす時間の削減(3 時間から 2 時間)の結果です。また、これらの改善により、技術者は、製品の生産量と 1 日あたりの訪問回数の増加(年間で 3,276 回以上)に伴い、より多くのサービス問題に取り組めるようになります。これにより、業務時間として請求可能な時間が年間 20,000 時間、技術者によるサービス収益が 300 万ドル増加し、合計 500 万ドルの純利益を得られます。

大規模な及ぶ価値主体のデジタルトランスフォーメーション (DX) 戦略

デジタルトランスフォーメーション (DX) によって、エンジニアリング、製造、サービス全体が価値を獲得できることは明らかです。しかし、経営幹部が最終的に目指すのは、企業全体でその価値を認識できる、一貫したデジタルトランスフォーメーション (DX) です。

A 社は、さまざまな部門の主要な課題を解決することにより、その価値をすぐに認識しました。この価値プロセスのロジックを、複数の部門、拠点、人材を含む企業全体に適用すれば、価値は時間の経過に応じて増大し、広い範囲でその重要性を増していくでしょう。

変革によって価値を獲得するための最初のステップは、価値を特定することです。価値主体のデジタルトランスフォーメーション (DX) を今すぐ開始し、将来に向けて企業全体でデジタル技術を活用して物理的な環境を変革する方法については、PTC にお問い合わせください。