Creo Elements/Direct ノンヒストリーのヒストリー(歴史)

執筆者: 財前 紀行
  • 3/2/2022
  • 読み込み時間 : 5min
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今回はCreo Elements/Direct 製品の歴史について紹介します。


事業の歴史

1980 年代前半 HP (Hewlett-Packard) 社で次世代内製 CAD の開発が始まり、それらのビジネスに本格的に参入すべく Mechanical Design Division (以後、MDD)が設立されました。これが現在の Creo Elements/Direct の始まりです。2 次元 CAD ME10(現在の Creo Elements/Direct Drafting)をはじめ、3 次元 CAD ME30 や情報管理システム HP-DMS などを開発/販売してきました。

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HP DesignCenter

1991 年には次世代ソリッドモデリングシステム HP-PE/SolidDesigner(現在のCreo Elements/Direct Modeling)やエンジニアリングデータ管理システム HP-PE/WorkManager(現在の Creo Elements/Direct Model Manager)を発表し、さらに機械系設計環境の生産性向上に貢献していきました。
1996 年、MDD は機械設計と製品データ管理のソリューションにフォーカスする新会社 CoCreate Software として HP 社から独立しました。
「製品にかかわるすべての人々が、その製品が生み出される過程に携わってこそ、製品本来の可能性が引き出される。」というのが CoCreate 社発足当時の Vision です。
社名の CoCreate は、「Co-Creation: 従来のコンカレントエンジニアリングを超える、コラボレーティブで革新的な製品開発を可能にする。」という言葉です。

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(当時 jazz の写真をよく使っていました)

2002 年リリースの Rev.11 から製品名を OneSpace Solution Suite とリブランディングします。ME10 は OneSpace Designer Drafting、SolidDesigner は OneSpace Designer Modeling となります。今でも OneSpace や OSD と呼ばれるお客様が多いです。
そして、2007 年、真の業界No. 1 を目指し、PTC と事業統合します。
パラメトリックとダイレクト両方のテクノロジーリーダーによる事業統合ということで非常に注目を集めました。
2010 年の Creo 製品戦略発表による、Creo Elements/Direct となり現在に至ります。

2 次元 CAD(現 Creo Elements/Direct Drafting)の歴史
Creo Elements/Direct Drafting は、1985 年 HP-ME10 (HEWLETT PACKARD Mechanical Engineering Series 10) という名前で Rev.1.00 がリリースされました。
その後の Rev.1.02 で早くも日本語がサポートされます。
当時のサポートプラットフォームは HP9000 シリーズ 200 の Pascal Workstation という UNIX より古いシステムでした。
余談です: 廉価版の ME5 も存在しました。

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発売当初の ME5/10

発売当初の ME10 の特徴は以下の通りです。
  • 製図板で行ってきた作業をそのままに(下書き線からの作図など)
  • 実際の製品と同様のパーツ・アセンブリ(2 次元でありながら BOM 出力可能)
  • 独自のプロセスをプログラム化(マクロ化)(ME10 といえばマクロ)
これらの特徴は現在も変わることなく引き継がれており、多くのユーザー様に愛されています。

以下は各バージョンのハイライトをご紹介します。
Rev.2: HP-UX のサポート
Rev.3: HP-DMS によるデータ管理、MS-DOS のサポート
Rev.4: 陰線モジュール、パラメトリックモジュール登場。SunOS のサポート
Rev.5: SolidDesigner/WorkManager との統合、Solaris サポート
Rev.6: ME10 for Windows 誕生

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ME10 for Windows

Rev.7: 寸法線アドバイザー
Rev.8: HTML ヘルプ
Rev.9: Windows ネイティブ対応

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Windows ネイティブ対応

Rev.10: Linux のサポート(Rev. 10 のみ)

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ME10 on Linux

Rev.11: 製品名変更 OneSpace Designer Drafting に。Drawing Manager 登場
Rev.12: PDF 出力をサポート
Rev.13: アイコン UI のサポート(UNIX 対応最終版)
Rev.14: Fly-By ハイライト、ハンドルによる操作性、視認性の向上
Rev.15: Unicode 対応。完全な UNDO/REDO
Rev.16: 製品名変更 CoCreate Drafting に。Windchill Workgroup Manager のサポート
Rev.17: 製品名変更 Creo Elements/Direct Drafting に
Rev.18: フルーエント UI

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フルーエント UI(現在)

Rev.19: ネイティブ 64 ビットサポート
Rev.20: UI から設定可能な DXF/DWG トランスレータ
Rev.20.1: テキスト/寸法検索ツール
Rev.20.2: 最新の製図規格をサポート
Rev.20.3: クラシック UI のグラフィックパフォーマンスを向上
Rev.20.4: Windows 10 でのグラフィックパフォーマンスを改善

Rev.1 と変わらぬ旧 UI からフルーエント UI まで全ての UI も引き続きサポートされますので、ご安心ください。


3 次元 CAD(現 Creo Elements/Direct Modeling)の歴史

3 次元 CAD は、ME10 と同時期に ME30 としてスタートします。一番の特徴は世界初のダイナミックモデリング、いわゆるダイレクトモデリング、ノンヒストリーです。
ME10 は製図板と同じ感覚、ME30 は 2 次元と同じ感覚、使いやすさを追求し、直ぐに生産性を向上することができるというが共通のコンセプトでした。その姿勢は現在の Creo Elements/Direct に引き継がれています。

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ME30

1991 年、オープンで柔軟なアーキテクチャでダイナミックモデリングを進化させた次世代製品 SolidDesigner が発表されました。これが現在の Creo Elements/Direct Modeling です。

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発売当初の SolidDesigner

オープンとは、パートナー製 CAE/CAM 製品とつながりやすいという事です。ACIS カーネルを採用し、C++ でプログラミングされ拡張性に優れるという当時の最先端のテクノロジーを採用していました。
(注意:現在のカーネルは ACIS を独自に拡張した K2 と呼ばれるものです。)

以下は各バージョンのハイライトをご紹介します。
Rev.2: パフォーマンスの向上
Rev.3: SheetAdvisor、Mentor PCB リンクをリリース
Rev.4: Integration Kit(Lisp によるカスタマイズ)登場。WorkManager との連携
Rev.5: Windows NT をサポート。Design Advisor (CAE) をリリース
Rev.6: インポートデータのハンドリングを改善。(接線連続、フィレットの自動認識)。3D 曲線機能
Rev.7: Pro/ENGINEER、CATIA、Unigraphics ダイレクト I/F の登場
Rev.8: Windows ネイティブ対応。ダイナミック干渉

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Windows ネイティブ対応

Rev.9: 3D コパイロット(ドラッガー)登場
Rev.10: 欠番(全製品でバージョン共通化のため)
Rev.11: 製品名変更 OneSpace Designer Modeling に。Model Manager 登場
Rev.12: 3D フィレット機能の大幅の改善
Rev.13: MS-Office 2003 スタイルの UI。曲率連続などサーフェス機能の大幅な拡張(UNIX 対応最終版)

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OneSpace Designer Modeling 2005 (13)

Rev.14: 64bit システムのサポート
Rev.15: Unicode 対応。断面線からのダイレクト編集をサポート
Rev.16: 製品名変更 CoCreate Modeling に。パターンの拡張、3D 曲線、サーフェスのパラメトリック編集
Rev.17: ミニツールバー(ライブツールバー)、製品名変更 Creo Elements/Direct Modeling に
Rev.18: フルーエント UI、Creo Apps との相互運用、Windchill Workgroup Manager のサポート

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フルーエント UI(現在)

Rev.19: マルチ CAD コラボレーション、Workgroup Manager のサポート
Rev.20: アセンブリハンドリングの改善
Rev.20.1: テキスト/寸法検索ツール
Rev.20.2: 拡張現実出力をサポート
Rev.20.3: 補助ビューによる操作性の改善
Rev.20.4: 選択のキャプチャと再利用

ダイレクトモデリングをキーコンセプトとし、更なる操作性の改善を継続。そして PTC 製品との連携で高度な機能を提供し 3D データの活用を促進しています。


最後に

Pro/ENGINEER で始まった PTC の CAD 事業ですが、パラメトリックモデリングだけでなく、2 次元、ダイレクトモデリングに関しても 30 年の歴史を持っています。
長い歴史=多くのノウハウ、多くの成功事例です。今後これらの手法は高度に連携し更に進化していきます。


お問い合わせ

この記事を読まれて、詳しい説明のご希望やご質問がございましたら、下記へお問い合わせください。
https://www.ptc.com/ja/contact-us


ご参考

  • 【ブログ】Creo Elements/Direct 20.5 の新機能 こちら
  • 【YouTube】Creo Elements/Direct Drafting(旧称:ME10)は こちら
  • 【YouTube】PTC の 3D CAD「Creo Elements/Direct Modeling」のご紹介は こちら
  • 【YouTube】Creo ブラザーズ Presents 「クリオの部屋」は こちら
  • DX を加速させる 3D CADソリューション: 日本語特設ページは こちら
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執筆者について

財前 紀行

製品技術事業部 CAD 技術本部
本部長 執行役員

2000 年の入社以来 CAD/PDM 製品のプリセールス・コンサルティングとして国内の幅広い顧客をサポート。担当した製品は 2D CAD に始まり、3D ダイレクト、3D パラメトリック、SaaS 型等 多岐にわたる。2018 年より CAD 技術本部長に就任し、CAD 製品のエンジニアを統括する。