今回は 製造業における図面管理システムの刷新ポイントとして、CAD データ管理を効率化する際に核となる 3DA を紹介します。記事の最後で Creo のお客様導入事例もご紹介しておりますので、気になる方はぜひ最後までご覧ください。
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図面管理とは
図面管理とは、設計図面や技術資料を一元的かつ適切に保存・管理するプロセスです。受注した図面は、正確かつ円滑に生産活動を行えるよう、社内で定めたルールのもと管理されなくてはなりません。
主に管理する図面は、下記の通りです。
- 受注先から提供される図面、仕様書、図面変更通知書、技術資料
- 上記をベースにした部品図、切板図、加工図など社内向け製作図面
- 治具、金型の図面
- 工場配置図、レイアウト図面など設備関連図面
2D 設計による紙図面が中心の時代には、鍵付きのキャビネット等が図面室に設置された上、原図の保管と出図管理が行われている企業が多くありました。社外秘である原図の貸し出しやコピーも、厳重に管理されていたのです。
今ではデジタル化によって、CAD データや PDF 化した図面データが、サーバーやクラウド等に保存されています。業務効率化の観点から、セキュリティーを高めつつ出図と入庫、設計変更、最新版の効率的な図面管理方法を検討することが重要になるのです。
従来の図面管理方法の限界= 2D と 3D が混在した図面管理
2D CAD と 3D CAD の運用が混在した図面管理には、効率面で限界があります。しかしながら、従前通りに続けている企業が多いのではないでしょうか。
例えば、異なるメーカー製の 2D CAD と 3D CAD を社内で運用しており、それぞれのメーカーの PDM を個々に連携している企業もあるかもしれません。PDM がそもそも同メーカーの CAD システムのみとの連携を前提としたアーキテクチャというケースもあるでしょう。その結果、 2D CAD 側の PDM のみが、社内の基幹システムとつながっているという環境も考えられます。
PDM は、複数の製品開発ツールが使用されている環境でも、単一の正しい情報源で製品データを活用することを目的としたソリューションです。しかしながら、肝心の PDM が社内で複数運用されている状況では、本来の目的を果たすことができません。3D CAD 側の PDM が基幹システムと連携していなければ、製造業 DX の実現も望めないでしょう。
2D と 3D が混在した図面管理は、データ連携に大きな課題があります。個別に管理する必要があり、非効率を生むのです。そのデメリットを下記にまとめました。
| デメリット | 非効率の概要 |
| 間接業務が設計業務を逼迫 |
二度手間に関連して、手作業によるミスや修正漏れが多発 (品番の採番や登録、BOM 作成、2Dでの変更を 3D でも実施 など) |
| 2D CAD では大規模複雑モデルに対応できない | 3D CAD でモデルを再作成する必要あり |
| 1つの製品の関連情報が集約されておらず、検索・収集に手間がかかる | 製造や購買などのデータが複数のシステムに分散しており、手作業で検索し情報収集する必要あり |
| 他部門との情報共有やコラボレーション作業が難しい | CAD ソフトが使用できない他部門では、データ展開や修正が不可 |
上記のような非効率をなくし、製造業 DX を実現するためには、「データがつながる」環境づくりが重要になります。
CAD 図面管理における正データ
図面管理方法を考える際に、何を「正データ」とするかがポイントになります。例えば、2D 図面と 3D モデルが混在した図面管理においては、2D 図面を正データとする企業が多いかもしれません。
しかし製造業において、一貫してデータがつながる「デジタルスレッド」の構築が、競争力を強化する手法として注目されています。デジタルスレッド実現の大前提は、3D モデルを正データとする運用です。
厳密に言えば、「アノテーション付きの 3D マスターモデル (3DA)」に情報を集約し、 3DA を全社で活用するのがデジタルスレッドの考え方です。3DA にアクセスすれば、最新版を確認可能です。そのため 3DA は、「信頼できる唯一の情報源 (SSOT)」として製造業 DX の基盤になりえます。
CAD システムにモデルベース定義 (MBD) が登場したことで、設計者は 2D 図面で示していたアノテーションを 3D モデルに直接追加できるようになりました。Creo は MBD 機能に強みがあり、最新の ASME 及び ISO の技術規格に準拠した 3DA を作成することができます。 ちなみに 3DA は、デジタル製品技術文書情報(DTPD:digital technical product documentation)にあたり、海外では MBD(モデルベース定義)と表現されることも押さえておきましょう。
図面管理システム刷新のポイント
非常に重要な着眼点は、下記の2点をベースにした 3D CAD ソフトウェアを選定することです。
- モデルベース定義 (MBD) によって「アノテーション付きの 3D マスターモデル (3DA)」に情報を集約させる
- 3DA を製品の設計から出荷に至るまで全社で活用する
上記の2点は、Creo で単一プラットフォームを構築することで容易に実現できます。Creo は、鍵となる MBD 機能の操作性を向上させることに重点を置き、ユーザービリティを強化してきました。非常に使いやすく、設計者の生産性を高められるほか、設計と製造プロセスの効率性も向上できるのです。
ここでは図面管理システム刷新のポイントとして、デジタルスレッド実現に役立つ 3D CAD ソフトウェアに必要な要素を紹介します。
セマンティック定義を基盤とする MBD 機能を持つ 3D CAD
モデルベース定義 (MBD) は、1つの製品にまつわる関連情報を直接 3D CAD モデル内に統合するアプローチです。設計意図を正確かつ柔軟に伝える革新的な手法として、MBD は注目されています。
セマンティック定義に重点を置いた Creo の MBD 機能の強みは、下記の通りです。
- アノテーションや寸法による一貫性確保
- 標準化、ASME 及び ISO の技術規格への完全準拠
上記によって、解釈や手作業での入力を原因とする人為的なエラーが発生する可能性を取り除いています。セマンティック定義を基盤とする MBD 機能は、データの矛盾を許しません。Creo の運用によって、設計から製造・検査へ、スムーズに移行できるようになるのです。
Creo では、MBD 機能を改善し続けています。例えば、GD&T Advisor や EZ Tolerance Analysis などの高度なツールが、Creo には統合されており、設計者は容易に幾何公差設計法を作成、検証、分析できるのです。
セマンティック定義によって、Creo はデータの統合と自動化においても優れたパフォーマンスを発揮します。異なる CAD ソフトウェア、PLM システム、製造アプリケーション間でも、データを統合・共有し、デジタルスレッドを維持します。自動化と組み合わせれば、公差解析やプロセスプランニングといったタスクも効率的に実行可能です。
Creo のモデルベース定義 (MBD) について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
Creo:モデルベース定義 (MBD) で設計ノウハウ継承
設計意図を正確に伝える機能やグローバル規格への対応について詳しく解説します。
詳細はこちら3D CAD の連携性
強固な連携性を保持するためには、シングルデータベースが不可欠です。しかし同じデータを一気通貫で使用するシングルデータベースを実現しているのは、数多くある 3D CAD の中でも Creo しかありません。Creo がシングルデータベースを実現できている理由は、自社開発した独自カーネルにあります。
シングルデータベースを実現している Creo なら、スムーズに製品情報を集約・ルール化できます。各工程で行われた変更も一括反映できることから、修正漏れをゼロにできます。複数の設計者が同時並行で製品開発を進める「コンカレント プロセス」が可能になります。
さらに連携性を強化し、チーム間のリアルタイムコラボレーションを実践したい場合には、SaaS 版 CAD がおすすめです。PTC 社では、未来の製造業のあり方は SaaS によるリアルタイムコラボレーションにあると考え、「Creo+」を発表しました。
Creo+ なら製品開発、製造、サービスなどの全部門、全工程から直接データを操作できます。行われた変更は全てのユーザー間で自動的に同期されるために、タイムラグを気にせず、誰もが最新版の設計で作業できるようになるのです。
3D CAD の信頼性
大規模で複雑なアセンブリのハンドリングに優れた、信頼性の高い 3D CAD ソフトウェアを採用することも重要なポイントです。Creo なら、大規模アセンブリに対応できるトップダウン設計やコンカレント設計を支援する機能が実装されています。パラメトリック系の他の 3D CAD と比較しても、高いパフォーマンスを期待できます。
当初の設計意図が変更されると、その変更が個別の部品や組立品にも自動反映されるため、生産性が向上します。スケルトンモデルによって設計意図や製造構造を定義できる点も Creo の強みです。スケルトンにおけるジオメトリのマスター定義は、コンカレント設計を可能にし、複数の設計者は同時に詳細作業に取り掛かれるようになります。
設計エンジニアは、何十万個の部品を含む複雑な製品も扱うこともあるでしょう。アセンブリから簡略化パーツを作成する、エンベロープやシュリンクラップが提供されている点もポイントです。自動表示機能なら、部品点数が膨大でも「軽量感」を感じながら、大規模アセンブリを操作できます。表示データの軽量化は、ファイルの読み込み時間と応答時間という待機時間の低減につながり、設計者は操作に集中できる時間を増やすことができます。
PLM の活用
PLM(製品ライフサイクル管理)ソフトウェアを 3D CAD と連携すれば、データ管理のハブを構築できます。3D CAD と PLM の連携によって、Excel や Word などの帳票や製造や調達部門の情報をひも付けられます。これにより、製品データの管理、共有や設計レビューに役立ちます。PLM との連携によって、設計データが変更されると、3D モデルや 2D 図面だけでなく、加工データや BOM リストなどに自動的に変更を反映することができます。部品を簡単に探し出して再利用もしやすくなるために、設計者は検討時間を節約できます。
そこで Creo のデータを PLM に連携させていく考え方も、図面管理方法を検討する上で重要になってくるでしょう。PTC は、製品データ管理 (PDM) と製品ライフサイクル管理 (PLM) ソリューションである Windchill を提供しています。Windchill なら、さまざまな形式の CAD データや Excel 帳票などすべてのコンテンツを一元管理し、製品情報管理の悩みを解消できます。EBOM から MBOM の自動生成や、作業指示書の自動作成なども可能です。
ボルボ・トラックでは Creo と Windchill を連携させ、設計から製造までのモデルベースデジタルスレッドを構築しました。製造業の持続的な成長を考えると、製品とその開発プロセスがデジタルで一体となった仕組みづくりは、デジタルものづくりの理想です。
3D CAD ビューアの活用
設計データを作成した CAD ソフトがない関係者が、3D モデルを閲覧できる環境づくりも、図面管理システムを刷新する際には検討したいポイントの1つです。3D CAD データビューアを活用すれば、組織外のパートナーやサプライヤーとも 3D データを共有できるので、比較と検証のプロセスが容易です。
3D CAD はデータ容量が大きいことから、3D CAD ビューアが登場しました。軽量かつ正確な3次元フォーマットに変換でき、付与された権限ごとにデータ閲覧・確認・修正を簡単に行えるツールです。
PTC は、閲覧のみ可能な Creo View Express のほか、データの編集・変更も可能な Creo View Lite と Creo View MCAD の3つのエディションを提供しています。Creo View を使用すると、CAD ソフトウェアがない部門や管理者でも、以下のようなデータの閲覧や編集、コメント追加などが可能です。
- 3D モデル
- 2D 図面
- 電子基板、電子回路図
- PDF 文書
- 設計変更レビュー
CAD データ管理や共有を効率化 3D CAD「Creo」お客様事例
Creo は、セマンティック定義を基盤とする MBD 機能を実装し、高い連携性と信頼性を備えた 3D CAD ソフトウェアです。CAD データ管理や共有を効率化し、設計者の生産性を高められるほか、設計と製造プロセスの効率性向上にも寄与する CAD として、注目度が高まっています。
以下に Creo を活用して設計業務を最適化した企業の導入事例を紹介しますので、こちらもぜひご覧ください。
【導入事例】
- UD トラックス | 3D データで、意思決定を迅速化
- シンクロン|過去データの継承と採番・BOM作成など業務効率アップを実現
- パナソニック|照明設計をCreoに統一。データ共有の質を向上
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