Important Windchill and FlexPLM Security Notice

PTC has identified a vulnerability in Windchill and FlexPLM that requires action

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ブログ ものづくりリーダー必見!設計DXを推進する3つのポイント

ものづくりリーダー必見!設計DXを推進する3つのポイント

2025年7月18日 お問い合わせ Creo無償試用版はこちら

ビジネスディベロップメント
ディレクターフェロー
経営学修士(MBA)

デジタルトランスフォーメーション (DX) に関するエグゼクティブアドバイザー。PTC ジャパン株式会社 ディレクターフェロー。早稲田大学IPS・北九州コンソーシアム 理事。ボンド大学ビジネススクールにて MBA 取得。日本経営工学会より「IoT 時代の PLM システムに求める技術要件とそのビジネス価値に関する考察と提言」で2016 年度の経営システム賞を受賞。

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①ものづくりの現状

1.2025年の崖

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2025年というキーワードから、DXレポート「2025年の崖」について考えてみましょう。国際競争力という点では、日本企業の多くがグローバルに事業を展開しているにもかかわらず、日本の競争力ランキングが過去最低の38位を更新している現状は非常に懸念されます。DXレポートが提起した「2025年の崖」とは何か。レポート発表から7年が経過した今もなお、紙文化、レガシーシステム、人口減少といった不安材料が山積みです。

2025年の崖に関するレポートについて解説します。平成30年9月、経済産業省は「2025年までに既存システムが肥大化・複雑化し、ブラックボックス化する」と警鐘を鳴らしました。IT予算の8〜9割が既存システムの維持費に費やされ、DXへの投資が進まないため、DXが加速しないという問題提起がありました。さらに、運用保守ができる人材の不足も指摘されています。当時第一線で活躍していた技術者が50代、60代となり、システムメンテナンスが困難な老朽化したブラックボックスシステムが残り、不正使用やサイバー攻撃に対して無防備な状態になる可能性があると警鐘を鳴らしました。

多くの企業が設計業務におけるIT活用、すなわち設計DXを推進されている中で、「私たちの設計領域におけるITシステムは大丈夫なのだろうか」という懸念を抱かれることでしょう。

2.デジタルエンジニアリングの現状と危機感

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近年、デジタルエンジニアリング、エンジニアリングチェーンマネジメント(ECM)、デジタルものづくり、設計製造のコンカレントエンジニアリング、フロントローディングなど、さまざまなキーワードが聞かれるようになりました。デジタルエンジニアリングの現状として、「システムが古い」「セキュリティが甘い」「エンジニアがいない」という3つの問題点があります。

「ITシステムが古い」という点では、サポート終了がベンダーやコンピューターメーカー、システムインテグレーターから告げられているにもかかわらず、利用せざるを得ない事情を抱えている企業が多く存在します。約30年前の1995年が「PLM元年」と言われていましたが、当時の3Dデータ主体の設計改革の方針が現在どうなっているのか、という疑問もあります。

システムが古いことは、2つ目の「セキュリティが甘い」という問題に直結します。老朽化したシステムはサイバー攻撃に弱く、自社で管理しているシステムの防御が完璧であるという状態を維持することは限界に近づいています。結果として設計データの漏洩につながる可能性があり、これはシステムの問題だけでなく、人によるデータ持ち出しのリスクも含まれます。この点については後ほど詳しく掘り下げます。

3つ目の「エンジニア不足」については、過去20年間で技術者が120万人減少しているというデータがあります(経済産業省やものづくり白書などのレポートより)。再雇用制度による雇用維持も進んではいますが、物理的にエンジニアの数が減少しているのは事実です。

一方で、生成AIの利用経験が増加しているという動向もあります。システムの問題、セキュリティ、そしてエンジニア不足の3点は、設計DXを進める上で非常に危機感を持って取り組むべき課題です。

3.老朽化した設計ITシステム

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1995年にデジタルものづくりが到来し、3D設計への改革方針を掲げ、実行に移した企業も存在しました。当時の30代・40代の技術者(現在の70代の方々)は非常に積極的で、「3Dモデルを全てシングルデータベースで一気通貫させよう」という目標を掲げました。

これは、構想設計から詳細設計、製図、3D BOM、組立指示書、型設計、そして製造データまでを連携させ、文字通り「3Dデータによる一気通貫」を目指す壮大な計画でした。このキーワードは日本の多くの企業で盛んに使われ、それから30年が経過しています。

しかし、この設計大改革は残念ながら未完成に終わっている、あるいはそもそも実行する余裕がなかった企業も存在します。部分的な導入に留まっているケースも少なくありません。簡略図(現在はMBDなど)、解析評価の3D化、干渉チェック、製造性評価など、個々の領域では3Dが活用されてきています。

デジタル製品データ定義は存在するものの、それが部分的な適用に留まり、互いにつながっていない状態です。組織の分断も依然として残っており、業務プロセスや組織が横断的に連携していません。

さらに、現在のコンプライアンスや各種規制の強化、品質チェック項目の増加により、タイムトゥーマーケットや開発リードタイムの短縮が困難になり、むしろ開発リードタイムが伸びる傾向にあります。そのような中で無理に納期に合わせるという状況も発生しています。

結果的に、30年前の構想が実現できていないため、IT投資も潤沢ではなくなり、徐々に削減されています。このITシステムの老朽化という現状は非常に大きな問題だと言えます。

4.セキュリティ対策の甘さ

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老朽化したシステムは、そのセキュリティの甘さが顕著になります。近年、新聞やネットニュースで報じられたエピソードをいくつかご紹介します。

設計サーバーへの不正アクセスにより、業務データが外部に流出した可能性が否定できず、企業がウェブサイトでお詫びを掲載するケースが増加しました。また、ランサムウェア感染被害では、中小企業でシステム復旧に1億2,400万円もの費用がかかった事例もあり、これは新しいシステムを導入するよりも高額になる場合があります。デザイン会社では、サーバーへの不正アクセスにより1ヶ月分のデータが失われ、ウェブサイトも改ざんされる被害が発生し、デザイン業務が1ヶ月間停止するという事態になりました。

これはシステムだけの問題ではありません。従業員の定年退職や中途退職の際に、設計データが不正に持ち出されるケースも発生しています。本人が不正の意図を持っていたかどうかに関わらず、結果的にデータが漏洩し、損害賠償問題に発展する可能性があります。ある白書によると、1件あたりの想定損害賠償額は平均6億3,767万円とされており、これは極めて重大な事態になりかねません。

これらの事態は日常的に起こるものではなく、設計業務中に常に意識すべきことではありません。しかし、設計データの漏洩や不正持ち出しといったセキュリティの甘さが放置されていると、企業にとって危険な状況を招く可能性があります。

5.人材不足・DX人材の台頭

人材不足、特にデジタルDX人材の確保は、多くの企業が抱える共通の悩みです。

総務省の令和6年度情報通信白書によると、生成AIを利用した個人の割合は、中国56%、アメリカ46%、イギリス39%、ドイツ34%であるのに対し、日本はわずか9%に留まっています。諸外国では新しい発想を持つDX人材が台頭している中で、日本のこの状況は懸念されます。

生成AIのような新しい技術への取り組みという観点から見ると、日本の現状はとても低い数字ではありますが、これは逆に競争力低下からの挽回や成長の余地がまだ大いにあると捉えることもできます。新しいことに意欲的に取り組むべきであり、そのための伸び代は十分にあると考えられます。

②設計DXの3つのポイント

1.3つのソリューション

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DX推進のポイントについて、いくつかの簡単な事例を交えながら3つの主要なポイントに絞って説明します。

システム問題、セキュリティ問題、エンジニア問題という3つの課題について、それぞれ解決策を提示していきます。

③ポイント1:圧倒的スピード感で設計システム刷新

1.設計システムをリニューアル

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まず1つ目のポイントは、圧倒的なスピード感で設計システムをリニューアルすることです。現在、多くの企業で少なくとも15年から20年、あるいは30年もの間、老朽化したシステムがそのまま業務で使われているのではないでしょうか。

この老朽化したシステムを、例えばクラウドへ移行することを検討してみてはいかがでしょうか。クラウド環境は、アカウントを取得すればすぐに利用開始できます。これにより、たとえ試用目的であっても、ゼロからシステムを構築するよりも導入のハードルが格段に下がります。

クラウド環境への移行は、オンプレミス環境との対比で語られますが、様々な導入事例からパフォーマンスが30%向上したという報告も出ています。これは文献でも確認でき、インターネット検索でも多くの情報が見つかります。疑念を抱く方もいるかもしれませんが、事実として報告されているため、大きなメリットがあると考えられます。

特にCADやPLMといったアプリケーションソフトウェアは、クラウドサービスの中でもSaaS(Software as a Service)の形で提供されることが多くなっています。これは、自社でシステムを構築する必要がなく、アカウントやログインパスワードがあればすぐに利用できる形態です。

さらに、SaaSソリューションはサブスクリプション型であるため、ソフトウェアを買い取る必要がありません。これにより、コスト面でのメリットも期待できます。例えば、1年間のお試し利用が可能で、もし合わなければ利用を中止できる柔軟性もあります。このような点から見ても、クラウドへの移行はコスト面でも導入ハードルが低いと言えるでしょう。

2.SaaSの重要性

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業務用ソフトウェアにおいてSaaS(Software as a Service)時代が本格的に到来しています。左側の図に示されているように、オンプレミス型とSaaS型を比較すると、SaaSの優位性が顕著に現れています。

画像右のグラフでは、企業におけるSaaS導入の重要性について、非常に重要だと考えている人が多く、全体の約8割がSaaSやクラウドでのシステム運用に対して高い関心を示しています。このトレンドに疑いの余地はなく、その可能性は非常に高いと言えるでしょう。

3.導入事例 ー ミラボット

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一つ目の事例として、日本国内のミラボットをご紹介します。同社は搬送ロボットの開発においてSaaS版3D CADを活用しています。ミラボット社は、見た目は台車ですが、自動運転機能や、人が軽く押すだけでモーターがアシストするような機能を備えた搬送ロボットを開発しています。自動搬送ロボットをインフラとして、人々の生活を支える社会を目指し、精力的に活動されている企業です。

ミラボットが3D CAD導入を検討する際、PTCはオンプレミス版とSaaS版の両方を提供しました。同社が抱えていた課題は以下の通りです。

IT管理者の負担軽減:環境設定やインストール作業、ライセンスサーバー管理など、IT管理者のサポート負荷を減らしたいという要望がありました。OSのバージョンアップに伴うCADのバージョンアップ作業も避けたいという意向です。

VPNなしでのデータアクセス:VPN環境がなくても、多様な場所から3D CADデータにアクセスしたいというニーズがありました。

遠隔地関係者との連携作業:コロナ禍を経験し、リモートワークでも設計のすり合わせ作業を円滑に行いたいという要望がありました。

これらの課題に対し、ミラボットはSaaS版の3D CADを採用しました。主な成果としては、まず設計データの受け渡しやデータ管理が容易になった点、つまりデータの共有がスムーズに行えるようになった点が挙げられます。

次に、社外からアクセスするエンジニアが増加しても、IT部門が個別にサポートするのではなく、ユーザーを登録するだけで利用可能になったことで、管理負担が軽減されました。また、遠隔地のユーザー間でも同じデータをリアルタイムで共有し、バージョン管理も自動で行われるため、古いバージョンと新しいバージョンが適切に管理されます。これは当社の製品の将来性を示すものでもあり、今後のバージョンアップにも期待が寄せられています。これが、国内におけるSaaS版CAD導入の先行事例となります。

4.導入事例 ー TICO

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次に海外事例として、TICOをご紹介します。同社はターミナル・トラクターを設計しており、非常に部品点数が多く、複雑で大規模な製品を扱っています。TICOは、過酷な条件下で最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、メンテナンス性、耐久性、そしてドライバーの快適性を考慮した設計を行っています。

同社の抱えていた課題は、30年前から指摘されていた「3D設計の一気通貫」が実現できていない多くの企業と共通していました。

具体的な課題は以下の通りです。

CADとPLMの連携不足::CADとPLMシステムが連携しておらず、データの一貫性が保たれていませんでした。

大規模・複雑モデルへのCADの対応不足:使用していたCADシステムが、大規模かつ複雑なモデルの設計に対応しきれていませんでした。与えられたシステムを当然のものとして使用しながらも、本来はこうしたいという潜在的な悩みがあったのです。

パフォーマンス低下による納期への影響:システムのパフォーマンス不足が、実際の設計納期にも影響を与えていました。

内部管理・設定の煩雑さ:先のミラボットと同様に、社内でのシステム管理や設定が煩雑であるという課題を抱えていました。

これらの課題に対する解決のポイントとして、TICOはCADとPLMの互換性・親和性の向上を重視しました。PTCを含む複数のベンダーから、CADとPLMをセットで、しかもSaaS型で提供してくれるソリューションを検討しました。その結果、パフォーマンスが向上し、納期遅延が解消され、ソフトウェア管理も効率的に進められる見込みが立ったため、PTCのソリューションを選択しました。

SaaS化によるコスト削減、例えばサーバー費用やメンテナンス費用といった観点からもベンチマークを行い、PTCのソリューションを選定しました。

成果としては、以下の点が挙げられています。

総合運用性と信頼性の高いCAD/PLMソリューションの導入:設計プロセスが簡略化され、外部とのコラボレーションが改善されました。

仕事の柔軟性向上:SaaSの特性により、場所を問わない働き方が可能になりました。

ライセンスとユーザー展開の容易さ:ライセンス管理とユーザー追加が簡便になりました。

常に最新バージョンでの運用:PTCが常に最新バージョンにアップデートしてくれるため、自社でサーバーハードウェアを保有・管理する隠れたコストが不要になりました。

中小企業と大規模企業、小規模アセンブリと大規模アセンブリの事例を含め、SaaS型のCAD、特に3D設計の一気通貫を目指すシステム刷新の取り組みが活発化していることがわかります。

④ポイント2:ゼロトラスト思考で設計データの異常検知

1.ゼロトラストという考え方

2つ目のポイントは、設計データ管理におけるゼロトラスト思考の導入です。システムを新しくすることでセキュリティ問題が解決される可能性はありますが、さらに一歩踏み込み、PLMやPDMといった設計データ管理をゼロトラストの考え方で進めることを提案します。

「ゼロトラスト」という言葉はインパクトがありますが、これは「信頼をゼロにする」という考え方です。つまり、データやシステム、ネットワーク通信など、あらゆる要素を根拠がない段階では信頼せず、常にゼロの状態から検証を行うというセキュリティモデルです。これはネガティブな発想ではなく、設計業務プロセスにおいてもゼロトラストを適用することで、より強固なセキュリティを確保できるのではないかという問題提起です。

特に設計業務においては、その特性上、ゼロトラストの考え方をどのようにセキュリティに適用するかが重要です。エンジニアリングIT、例えばCADやPDMシステムをクラウドベースにすることで、オンプレミス環境よりもゼロトラストセキュリティを強化しやすくなるという技術的な見解もあります。

PLM導入のポイントとしては、データの一元管理やEBOM、MBOM、CADデータ管理、設計製造連携などが挙げられますが、誤解を恐れずに言えば、「見守り監視機能付きの異常検知の仕組みが組み込まれたPLM」の重要性を強調したいです。

設計データの漏洩リスクを考慮すれば、PLMは設計データを常に監視・管理する役割を担うべきです。中央司令塔となるPLMデータベースが攻撃されたり、不正な人物にアクセスされてデータが持ち出されたりすれば、甚大な損失につながります。そのため、常に監視が必要であるという視点から、PLMシステムの重要性を再認識することが求められます。

2.ゼロトラスト セルフチェック

設計データ管理におけるゼロトラストについて、皆さんがどの程度実践できているか、自己診断をしましょう。これから挙げる5つのキーワードに対し、ご自身の会社や業務がゼロトラストの考え方に基づいて運用されているか、確認してみてください。

1. 複数の設計メンバーが同じアカウントでシステムにログインしていませんか?
1995年頃にはライセンスを共有したいという考えからこのようなケースが意外と多く見られましたが、現在はさすがに少なくなっていると思われます。

2. 社内ネットワーク(LAN)に接続しているため、本人確認なしに誰でも設計データにアクセスできるようになっていませんか?
社内LAN内だから問題ない、外部インターネットからのアクセスではないから大丈夫、と考えている場合があるかもしれません。

3. 設計者、製造担当、契約社員、外部パートナーなど、役割に関わらず誰もが同じアクセス権限を持っていませんか?
結果的に、本来アクセスする必要のないフォルダやデータにまでアクセスできてしまう状態です。アカウントがあれば全て見えてしまうという状況になっていませんか。

4. USBメモリや個人のハードディスクに設計データを保存したり、持ち出したりできますか?
これはセキュリティ上、非常に問題がある行為ですが、現状としてできてしまっている、あるいは脇が甘い状態になっていませんか。

5. 誰がどの設計データにアクセスしたかのログを取っておらず、リアルタイムな監視もできていませんか?
ここまで高いレベルの監視は難しいと感じるかもしれませんが、現状はどうでしょうか。

以上の5項目で、もし一つでも該当するものがあれば、残念ながら設計データ管理においてゼロトラストは実現できていないということになります。それは設計データ管理が「丸腰の状態」であると認識し、社内でシステムの総点検を行うことを強くお勧めします。

3.導入事例 ー Grey Orange

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Grey Orangeの事例をご紹介します。5年前のパンデミック発生時、多くの企業が在宅勤務への移行で苦労し、業務パフォーマンスが低下しました。設計者にとっては、CADでの設計作業がオフィスでしかできないという問題もあり、困難な状況が続きました。

しかし、Grey Orangeは全員在宅勤務へと移行する中、サイバーセキュリティに強いPLMシステムをクラウド環境で導入し、安全な業務継続を実現しました。

この成功のポイントは4つありますが、特に注目すべきは「データセキュリティの確保」です。PLMにはアクセス制御機能が備わっています。誰が、いつ、どこで、どのデータやフォルダにアクセスし、チェックアウト、チェックイン、移動、削除、あるいはどれだけの量を持ち出したかなど、すべての操作をトラッキングできます。

データが一元的に管理され、個々のローカルディスクに保存されないため、リモートワーク中でも顔が見えなくても、システムによるトラッキングによって安全が確保されます。これにより、互いに信頼し合う「ゼロトラスト」の状態でリモートでの設計コラボレーションを行い、コロナ禍においても納期を厳守できました。

データセキュリティの厳しさだけでなく、設計情報へのリモートアクセスも可能になりました。EBOMや図面などにもリモートでアクセスできる環境が整い、出勤しなくてもオフィスと同じように質の高い仕事ができるようになったのです。これにより、仕事の生産性維持が実現しました。

この事例は、出勤せずとも物理的に同僚が見えなくても、また肌感覚が分からなくても、密なすり合わせができたという点で非常に象徴的です。物流ロボットの分野で、現在の翌日配送を支える製品開発に貢献しています。

4.設計DXで“すり合わせ”が変化する

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5年前のパンデミックを教訓に、多くのグローバル企業が設計DXを加速させ、すり合わせの方法を進化させていることに多くの人が気づき始めています。

コロナ禍において、ブラウザを通じて社内外の設計すり合わせが行われるようになりましたが、このような設計プロジェクトが本当に安全なのかという懸念もあります。PTCの製品事例で見ていきましょう。ブラウザからログインすると、クラウド上にデータをアップロードすることで、ハイパフォーマンスコンピューティングによる多岐にわたる計算が可能になります。

一方、管理者ツールから見ると、プロジェクトの状況を把握できます。PTCの社内プロジェクトを例にすると、どのファイルに多くアクセスし、誰が多くの時間を費やしているかがダッシュボードで視覚的に分かります。

これは、特定の人が頻繁にアクセスしているといった情報も明確に把握できるということです。プロジェクトやファイル(青で表示)に対して、どのユーザーがアクセスし、作業を行っているかを確認できます。これにより、意図しない人物がアクセスしていないかなども把握可能です。

このような情報は、アクセスを制限するだけでなく、何が起きているかを毎日リアルタイムでダッシュボードから瞬時に確認できます。

リモート環境や分散型、国際分業型のコラボレーションが主流になる中で、個々の作業状況が把握しづらくなりがちです。しかし、このように作業状況を見える化すると、誰に作業負荷が集中しているかといった情報を把握できるため、負荷の偏りの抑制に繋がる可能性があります。

⑤ポイント3:AIは頼れる相棒に!スマートな設計術

1.AIのスマートな設計術

3つ目のポイントは、エンジニアの問題です。近年、AIに関する議論は避けて通れないテーマとなっています。昨年まではAIに対して懐疑的な見方も存在しましたが、今やAIは頼れる相棒として、スマートな設計術を身につけるための重要なツールになりつつあります。AIを活用して設計業務を効率化することを提案します。

例えば、生成AIを搭載したCADが登場しており、これによって設計時間が20%短縮されたり、部品重量が50%削減されたりする事例も報告されています。既存部品の重量を50%削減するというのは人間には難しい発想ですが、AIは大胆かつ思いがけない解決策を提示することがあります。

また、知識検索やナレッジの活用においてもAIは大きな役割を果たします。これまでは、人間が自身のキーワードで検索するしかなく、検索範囲も限定的になりがちでした。しかし、生成AIを用いることで、過去の設計データや変更履歴から斬新なアイデアを引き出せる時代が到来しています。

このようなAIの活用は、エンジニアリングにおける新たな可能性を広げ、設計プロセスを大きく変革していくでしょう。

2.各国の生成AI活用方針

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企業が業務で生成AIを活用するためには、会社として明確な活用方針を掲げる必要があります。積極的に生成AIを活用するという方針を持つ企業の割合を見ると、個人利用の生成AIと同様に、国によって大きな差があります。

中国は71%、ドイツは30%、アメリカは46%であるのに対し、日本はわずか15%に留まっています。このデータからは、日本企業が業務における生成AIの活用に対して、いまだに躊躇している様子が伺えます。

また、グラフからは、日本では「分からない」という回答が11.7%、「方針を明確に定めていない」という回答も多く、この曖昧な状況が顕著であることが分かります。中国では「分からない」が0%であることと比較すると、日本の現状は対照的です。

この「分からない」という回答が多い点は、課題であると同時に、見方を変えれば今後の大きな伸び代であるとも言えます。企業が生成AIの活用方針を真剣に検討し、積極的に取り組むきっかけになることを期待します。

3.導入事例 ー カミンズ

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生成AIの活用事例として、ジェネレーティブデザインをご紹介します。ある企業では、AIを活用して23%の軽量化に成功しました。これは、AIが不要な部分を自動で除去し、穴を開けることで実現されたものです。

この取り組みは、今日の主要なキーワードではありませんが、「デザイン・フォー・サステナビリティ(Design for Sustainability)」という戦略とも密接に関わっています。海外の企業では、地球の未来を見据え、必要以上の材料を使わない、環境に配慮した部品を選択する、繊維のリサイクルや再製造を徹底してエネルギーや水の使用量を最小化するといった取り組みが進んでいます。もちろん、軽量化は輸送時のエネルギー削減にも繋がります。

このような取り組みを進めるために、企業はスコアカードを作成し、進捗状況をフェーズごとにチェックしています。具体的には、全ての部品に対してジェネレーティブデザインを適用し、一律10%から15%の軽量化を目指すといった思い切った目標を設定しているケースもあります。

また、ある企業では「解析のエキスパート」として、ジェネレーティブデザインのみを専門に行う人材を新たに採用しています。彼らは一日中ジェネレーティブデザインに取り組み、その結果得られた設計案を設計者に提示することで、設計者はその案を基に開発を進めます。

これにより、AIを活用して設計の手戻りを削減したり、トレーニングマニュアルを整備したりすることで、取り組みが非常に効率的に進められています。お客様からは、「設計の自由度が大幅に向上し、AIが多様な検討を繰り返してくれるため、妥協することなく満足のいく製品が設計できるようになった」というコメントが寄せられています。

実際に生成された形状は、奇抜というよりも、最終的に必要な部分だけが残された非常に合理的なものです。人間ではなかなか設計できないような形状ですが、インターネットを介して計算することで、どのリブが必要かといった情報も明確に把握できます。このような形でAIを活用した設計が進んでいます。

AIが生成する形状は、時に予測できないような、あるいは独創的なものが現れることがあります。これらの形状が必ずしも既存の標準部材で調達できるとは限りませんが、人間が斬新なアイデアを提示されることで、新たなひらめきが生まれる可能性も秘めているでしょう。

4.AIを設計要件のアドバイザー役に

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CADやPLMに蓄積されたデータを活用することで、生成AIは「設計要件の分析アドバイザー」として機能します。AIによるウェブ検索のように、設計に関するあらゆる情報が検索対象となります。これにより、トラブルシューティングや過去の問題解決策の提示が迅速に行われます。

例えば、特定の設計における問題点をAIが分析し、解決策を提案してくれます。また、現在の要件管理で注目されているように、元となる文書をAIに与えることで、要件書のひな形を自動で作成することも可能です。既存の情報を検索し、それを基に新たなひな形を生成するといった使い方もできます。

設計データ、技術文書、部品情報などの検索機能も大幅に向上します。AIは単にテキストを検索するだけでなく、画像を生成したり、画像の比較を行ったりすることも可能です。これにより、現在の検索よりもはるかに高速かつ効率的に必要な情報を見つけ出すことができます。

これらの機能を通じて、生成AIは設計プロセス全体の効率化に大きく貢献するでしょう。

5.AIをQ&A対応時のフロント役に

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次に、フィールドサービスでのAI活用について説明します。本日は設計を中心に話を進めていますが、現場のサービス担当者がスマートフォンなどを使って問い合わせを行う際、その問い合わせ先が設計者になるケースがあります。

お客様の元で急な対応を求められる状況において、設計者は迅速な回答を迫られます。そこで、AIが一次回答を提供することで、設計者に直接問い合わせが来る前に、ある程度の情報を提供できます。これにより、設計者への問い合わせ数を減らし、フロントエンドのサービス担当者の作業時間も短縮できます。

また、AIは空いているサービス担当者を見つけてスケジュールを調整したり、修理手順を案内したりすることも可能です。さらに、顧客の作業履歴に基づいて修理見積もりを作成するといった機能も提供されます。

6.AIを形状作成のコーチ役に

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CADでのAI活用事例をご紹介します。CADでは様々な形状を作成する際に複数の方法がありますが、もし作りたい形状や行いたい作業に対してコマンドを忘れてしまった場合でも、AIがサポートしてくれます。

これまでは自分でコマンドを探す必要がありましたが、AIに質問を入力するだけで、AIが最適なコマンドを提示し、関連するヘルプや学習システムへの案内も行います。このように、AIはCAD操作における効率的な支援ツールとして活用されています。

⑥DXレポート2.2が示唆していること

1.DXレポート2.2について

AIはまだ開発途上の部分もありますが、多くの機能がすでに実用化されており、設計者の頼れる相棒となる時代が到来していると感じています。

最後に、経済産業省が発表した「DXレポート2.2」についてご紹介します。これは、7年前の「2025年の崖」問題が古くなったことを受けた続編として、令和4年に発行されました。DXが単なる業務効率化に留まり、具体的な成果を出している企業が少ない、あるいは進め方が分からないというフィードバックが経済産業省に寄せられ、その課題意識から作成されたものです。

DXレポート2.2のポイントは、よりビジネス戦略的な視点が盛り込まれている点にあります。デジタル化は省力化や効率化だけでなく、収益向上という今後の成長戦略と結びつけて考えるべきだと提言されています。また、DX推進においては、単にビジョンや戦略を掲げるだけでなく、具体的な行動指針(ロードマップ)を示す重要性が強調されています。

さらに、レポートでは「同じ価値観を持つ仲間を集める」ことの重要性が指摘されています。これは、一人で悩むのではなく、自部署内だけでなく部門間、さらには企業間で連携し、新しい関係性を構築していくことが大切だということです。AIなどの新しい技術が登場する中で、この提言を設計DXという文脈でどのように解釈し、行動に移していくかを考える必要があるでしょう。

2.PTCのソリューション

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PTCでは、デジタルトランスフォーメーション バリューロードマップ 2.0を提供しています。これは、収益向上のポイント、どのITテクノロジーをどのように活用するかといった行動指針、そして仲間を集めるための「早見表」として活用できるものです。

このロードマップを使ったワークショップも企画しています。このロードマップはA面とB面があり、大きなポスターサイズで用意されており、ワークショップで実際に使用しています。

今日のCAD、PLM、AIといった話題もこのロードマップに組み込まれています。これらは、ビジネス戦略、業務プロセス、現場の課題、そしてテクノロジーがどのように連携するのかをマッピングする上で重要な要素となります。

⑦まとめ

1.設計DXの課題とポイント

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今回は、次世代のものづくりリーダーの皆様に向けて、3つの重要なポイントを解説しました。

最初の着眼点は、2025年を迎え「2025年の崖」問題への対応です。システムが老朽化していないかを確認し、今こそ刷新に取り組むべきです。

次に、設計データ管理においては、PLM(製品ライフサイクル管理)をゼロトラスト思考で構築することが重要です。

そして最後に、AI時代におけるエンジニア人材の不足に対しては、AIを頼れる相棒とし、スマートな設計術を実現していくことが求められます。

⑧Q&A

Q: DXで成果を出している企業と出していない企業の違いは何だと思いますか?

A: 成果を出している企業と出していない企業の違いは、スピード感にあると思います。DXという言葉がまだ一般的でなかった頃から、デジタルを活用して仕事をどう改善するかを考えてきましたが、重要なのは「やってみること」です。まず一歩を踏み出し、試してみることが成功への第一歩となります。

企業の上層部が現場の意見を積極的に取り入れ、現場のやりたいことを支援することも大切です。スピード感を持って、情報を集めるだけでなく、実際に手を動かして試行錯誤することがDX推進において重要です。また、上層部もこのスピード感を認識し、恐れずに相談しながら進んでいくことが成功の鍵となります。

トピック デジタルトランスフォーメーション (DX) 製造の生産性向上 シミュレーション
後藤 智

ビジネスディベロップメント
ディレクターフェロー
経営学修士(MBA)

デジタルトランスフォーメーション (DX) に関するエグゼクティブアドバイザー。PTC ジャパン株式会社 ディレクターフェロー。早稲田大学IPS・北九州コンソーシアム 理事。ボンド大学ビジネススクールにて MBA 取得。日本経営工学会より「IoT 時代の PLM システムに求める技術要件とそのビジネス価値に関する考察と提言」で2016 年度の経営システム賞を受賞。

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