稼働データを生け捕るために、小さいけれど大切なソフトの話

執筆者: 西 啓
  • 12/18/2020
  • 読み込み時間 : 3min
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IoT がデータの可視化や利活用の手段であることは、さすがに浸透してきていると思います。特に工場内の設備のデータ取得は比較的実現しやすいため、IoT の着手も進んできております。一方で、開発した装置がフィールド、すなわちお客様の稼働場所でどのように使われているのか、という方の IoT の実現はなかなか進みません。

フィールドで稼働する装置の IoT について、投資対効果といったビジネス面を検討する上でも課題となるのは、実はデータを採取してサーバーに送る手段の実装方法です。工場設備のようにある程度筐体が大きく安定した電源を取ることができれば、エッジゲートウェイと呼ばれる Windows OS が稼働する工業用 PC 装置を利用できるのでデータの収集やサーバーとの通信は比較的容易に実現できます。PTC はそのような Windows OS の PC 向けに ThingWorx Kepware Server を提供しております。

しかしフィールドで稼働する装置は大きさも電源も千差万別です。空調装置や給湯器など元々 IT とかかわりの薄い装置に組み込まれているマイコンボードは、Windows OS が稼働する PC のようなリッチな能力を持ち合わせていません。CPU は非力でメモリーは少なく、供給される電力もかわいいものです。また Windows OS のような標準的な OS もあまり採用されていません。なぜなら、本来の機能のために最小のコストで実装し、稼働することを求められているからです。

そこで登場するのが組み込みソフト専門の開発会社です。携帯電話、カーナビやゲーム機といった近年の機器の発達に伴い、限られた能力の CPU や少ないメモリーでいかに本体機能を邪魔せずにネットワークに接続できるか、というノウハウを習得した開発会社が、この厳しい競争の中で頭角を現してきています。組み込みソフト開発の大変さに少しだけ触れます。その昔、筆者は新卒で携帯電話端末メーカーに入社し、そのソフトウェア開発に要求されるシビアさに痺れたものです。1 バイトでもメモリーやストレージ消費の無駄を減らし、少しでも無駄な動作を削る、まさに職人の世界でした。また開発以上に手間がかかるのが、ソフトの動作検証です。開発と同じくらいコストと工数がかかっていました。これが組み込みソフト開発に、新しい機能を取り入れる難しさの原因です。

PTC は IoT プラットフォーム ThingWorx を提供していますが、1 社だけで組み込みソフトの多様なご要望にお応えするのは困難です。そこでいくつかの組み込みソフト専門の開発会社とパートナーシップを結ぶことで、お客様の IoT 実現を推進しています。今回はパートナーの一つ、ユビキタス AI コーポレーションを紹介します。
ユビキタス AI コーポレーションは、OT 分野を強みとして産業機器向けに多くの組込みソフトウェア製品を提供してきました。PTC とのパートナーシップにより ThingWorx Edge SDK(C 言語)を使用してマイコンボードと ThingWorx の接続ソフトウェアの実装も可能となりました。

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<IIoT システム連携イメージ>


まとめ

フィールドで稼働する装置のデータ収集を実装するためには、多種多様なマイコンボードに必要なネットワーク機能を実装するため、組み込みソフト開発のノウハウを持つ専門会社との連携が欠かせません。
専門会社と連携により迅速にデータ収集を実現してこそ、リアルタイムでのリモート状態モニタリングやデータ分析による事前対応型サービスが可能となります。ぜひご検討ください。


参考に

PTC ではフィールドで稼働する機器のサービスを最適化するために、IIoT プラットフォーム ThingWorx を中心としたソリューションを提供しております。Web ページ「サービス最適化ソリューション」をご参照ください。

株式会社ユビキタス AI コーポレーション プレスリリース
ユビキタス AI コーポレーションと PTC ジャパンが協業、組込みソフトウェアと IIoT プラットフォームの連携で産業機器の IoT 化を支援

■ 株式会社ユビキタス AI コーポレーション URL: https://www.ubiquitous-ai.com/
TEL:03-5908-3451
製品についてのお問い合わせ: https://www.ubiquitous-ai.com/contact/product/


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執筆者について

西 啓

製品技術事業部 COE/製品戦略本部
本部長

2015年 PTC ジャパン入社し、IoT/AR 製品のプリセールス・プロモーション活動、およびサードパーティとのパートナーシップ構築を担当している。特に IoT については前職から足掛け 10 年以上、M2M と呼ばれた時代から取り組んでいる。 また、中小企業診断士でもある。