製品開発業界の未来: SaaS のリーダー、ジョン・ヒルシュティックによる Q&A
執筆者: Stacy Thompson
1/30/2020 読み込み時間 : 5 分

2019 年 11 月 1 日(金)は、製品開発業界にとって重要な 1 日となりました。この日、PTC が Onshape の買収を完了したためです。Onshape は業界初の純粋な Software-as-a-Service (SaaS) 製品開発プラットフォームであり、強力なコンピューター支援設計 (CAD) ソフトウェアと高性能のデータ管理およびコラボレーションツールを組み合わせています。

製品開発業界で SaaS が幅広く導入されるようになるのはこれからです。しかし PTC では、SaaS CAD の転換期があると予測しています。ちょうど、一世代前に SOLIDWORKS の登場に続いて Windows ベースの CAD の転換期があったように。CAD 市場では SaaS ツールのメリットを活かすことを目指す企業が増えていますが、そうした企業に Onshape SaaS ソリューションは最適です。

PTC にとって、この買収は画期的なものです。Onshape が PTC にもたらすものは、既存のお客様が将来的に従量制の SaaS モデルへの切り替えを希望した場合にも対応できる、純粋な SaaS 製品イノベーションプラットフォームだけではありません。経験豊富な製品開発業界のベテランたちから構成されるチームが PTC のリーダーシップに加わることにもなりました。

PTC による Onshape 買収の影響について掘り下げるために、PTC の SaaS 担当 EVP 兼プレジデントであるジョン・ヒルシュティックにインタビューを行い、製品開発業界の未来について彼の意見を聞きました。ぜひご一読ください。

CAD 市場でのあなたの経験について教えてください。PTC の SaaS への取り組みにより、ご自身の進む道はどのように進化しますか?

CAD 市場での私の経験は 1981 年にさかのぼります。この年に入社した Computervision は、その後 PTC に買収されました。ソフトウェアを記述するインターンとして Computervision で勤務した後、MIT の CAD Lab で学生として働きました。

1993 年、SOLIDWORKS を起業し、CAD を Windows という、まだその価値が証明されていなかった新プラットフォームに取り入れました。最終的には SOLIDWORKS を Dassault Systemes に売却し、同社に 18 年間勤務しました。2012 年に Onshape を起業し、2019 年に PTC の一部となりました。

同じ問題について 38 年間取り組んできましたが、CAD ユーザーのために必要なものに関してはまだ道半ばです。PTC のツールセットは非常に強力ですが、新しいクラウドソフトウェアや新しい SaaS 展開モデルを利用すれば、まだまだ改善の余地があります。

SaaS は、新しいホスティングプラットフォームであるだけではありません。SaaS のおかげで、新たなタイプのツールを提供できるようになり、さらに旧式のツールをユーザーのために活用することもできます。PTC は SaaS が将来的に重要な役割を果たすようになると宣言していますが、それは、PTC のテクノロジーとビジネス面での強みを活かしてより優れたソリューションを追及するための大きな一歩と言えます。

Onshape が PTC の一部となることの意味は何ですか?この買収が製品開発業界に与える影響はどのようなものですか?

Onshape にとって、PTC の一部となることには複数のメリットがあります。第一に、市場参入の範囲を大幅に広げることができます。PTC が Onshape の認知度と信頼性を高めてくれるので、より多くのお客様にソリューションをお届けできるようになります。また、PTC の素晴らしい営業力は大きな味方になってくれます。

もう 1 つの大きなメリットは、Onshape プラットフォームで提供されているサービスの範囲を拡大できるという点です。ジェネレーティブデザインなどのテクノロジーは、Onshape のツールにより、クラウド内の SaaS プラットフォームに展開できると考えています。

製品開発業界にとっては、より多くの人々に、より優れたツールを提供できるようになるため、よいニュースと言えます。最終的に、成功は獲得したユーザー数によって測定されるものですが、真の最終目標は、私たちの顧客によってより優れた製品が市場に投入されるのを目にすることです。お客様が Onshape によって優れた製品を開発できれば、それで驚異的な差別化を実現できていると言えます。

SaaS ソフトウェアとオンプレミスソフトウェアの違いを教えてください。SaaS プラットフォームのメリットは何ですか?

オンプレミスソフトウェアの場合、ユーザーの会社のコンピューターにソフトウェアをインストールします。会社では、通常はユーザーごとにソフトウェアがインストールされます(各ユーザーが自分のコンピューターにソフトウェアをインストールします)。

SaaS の場合、ソフトウェアがクラウド内で PTC のような企業によって一元的に実行され、多くの顧客に提供されますが、各ユーザーのコンピューターには何もインストールする必要がありません。

SaaS のメリットは多数あります。たとえば、コスト削減、アクセスしやすさ、スピード、コラボレーション、イノベーションなどです。こうしたメリットは、ユーザーが場所や時間を問わず製品イノベーションに取り組めるようにする数々のデバイス(携帯電話、タブレット端末など)が登場する中、飛躍的に拡大しています。

製品開発に関しては、計算強度の面で SaaS から特別なメリットをいくつか得られます。たとえばジェネレーティブデザインの場合、SaaS ならクラウド内の計算能力を利用でき、エンジニアはデスクトップコンピューターのリソースを無駄にせずに済みます。

さらに重要なのはコラボレーションです。製品開発とは、1 人のユーザーが 1 つのファイルで作業する、というものではありません。通常、数千ものファイルがあり、無数のユーザーがそれらを使って作業しています。

SaaS はエンジニアに単一で正しい情報源を提供します。つまり、全員が同時に同じマスターモデルを使用し、全員が同じデータを同時進行で編集しているということです。これにより、チームでの作業が迅速に進むようになり、作業を進めながら複数のアイデアを試すことができるため、革新的な成果をより多く上げることができます。

SaaS は CAD と PLM の将来にとってどのような意味を持ちますか?

第一に、前述したメリットすべてが手に入ります。つまり、イノベーションが加速します。業界ではかつて経験したことにない速度で、ソフトウェアに機能を追加できます。

私たちが SaaS への取り組みを開始した頃、よくこう聞かれました。「SaaS を使用して CAD と PLM を実行するなんて、どうすればできますか?SaaS でパフォーマンスの問題を解決できますか?セキュリティはどうなっていますか?」と。

将来は、こう聞かれるようになるかもしれません。「SaaS なしで CAD と PLM を実行するなんて、どうすればできますか?」と。

PTC の一部となった Onshape に関して、将来のビジョンはどのようなものですか?

PTC の一部となり、私たちがすでに構築している SaaS およびクラウドプラットフォームと、PTC の市場参入能力およびテクノロジーを組み合わせることで、より多くのユーザーに、より多くのメリットを届けることができます。より多くのユーザーの能力を強化し、最終的には、より多くのイノベーションを実現して高い成果を上げることができます。

お客様が製造する製品がさらに良いものになれば、地球上に住むすべての人々の生活を改善するチャンスが生まれます。私たちの生活は、製造される製品(自動車、医療機器、コンピューターなど)が改良されるたびに向上するものです。

Onshape と PTC は力を合わせて、製品開発の世界に比類なきイノベーションをもたらします。
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業界リーダーである Onshape が PTC のチームに加わったことで、PTC はリアルタイムシミュレーション、ジェネレーティブデザイン、付加製造、IoT と AR の統合など、CAD 機能と PLM 機能を強化し、オンプレミスと SaaS のどちらの展開モデルでも業界をリードする製品を開発することができます。

2020 年以降も、製品に関する最新情報をお見逃しなく!

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Tags: CAD リテール・小売 コネクティッドデバイス
執筆者について Stacy Thompson Stacy Thompson is the Director of Corporate Content Marketing at PTC. She has more than a decade of experience in content, SEO, and social media development, B2B and B2C communications, demand generation campaigns, and analytics/content measurement. She is also a Professor of Content Strategy in Kent State University’s User Experience Design Master’s program.