全方位に新しい機能を搭載した Creo 10 がリリース!
執筆者: 芸林 盾
5/26/2023 読み込み時間 : 5min
毎年、4 月に最新バージョンがリリースされる Creo。今年は、Creo 10 が予定通りリリースされました。新しいオプションや、いつもよりも多くの機能が含まれたこの最新リリースのハイライトをご紹介します。


複合材のための設計

複合材の設計を行う機能が新しいオプションとしてリリースされました。多くの企業がサステナビリティ設計を進める中、軽量化の素材として注目されている複合材の設計から製造まで一連のプロセスをサポートする機能が Creo に搭載されました。積層設計として、プライとコアの作成やその遷移、断面などを確認できます。そして、作成したモデルを Creo Simulate、または他の複合材用の解析ソフトと連携し、強度確認を実施できます。製造に対しては、平展開や製造指示などのドキュメント化をサポートします。
(注:この機能は、Creo 10.0.1.0 でリリース予定です)

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電動化のための設計

こちらも EV(電気自動車)などサステナビリティに重要になる電動化に、重要な配線設計に関する改善がありました。電動化に伴い配線が複雑化してくると、チーム設計を行う必要もあるでしょう。Creo の配線機能に新しく分割とマージ機能が追加され、ハーネスを分割することでチームの各担当者が個別に作業できるようになり、スピーディーに配線設計を行うことができます。また、分割したハーネスをマージする機能を使う事で、過去製品からの配線の再利用も容易になり、さらにスピードアップや品質の向上を望めます。また ECAD からのデータ交換も改善しており、ペーストマスクのインポートや、ECAD の穴パラメーターが追加されています。

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人間工学のための設計

Creo 9.0 でマネキン機能が大幅に改善されましたが、今回もより良い操作性が実現しています。Creo 9.0 でマネキンの操作に 3D ドラッガーが出てきましたが、Creo 10 では、数値による変更や、ドラッグしている方向をロックするなどの機能が加わりました。それ以外にも、複数のマネキンのリーチ拘束もまとめて設定できる機能などが追加されています。これらの機能により、より簡単にマネキンの姿勢を制御することができ、検証前の準備にかかる時間を削減できます。また、こちらも Creo 9.0 に搭載された「視角」解析に、反射をする機能が追加されました。例えば、バックミラーなどに反射する視角も表現できるようになりました。

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使い勝手の改善

今回も様々な使い勝手が改善されています。私のお気に入りは、マルチボディのトリムです。Creo 7.0 から導入されたマルチボディですが、分割機能の中にトリムが追加されました。この機能により、ボスとリブ各々をボディ化したボスボディ、リブボディなどを作っておき、トリムすることで、メインの形状に変更があっても壊れにくいモデルにできます。もう 1 つのお気に入りは、単純穴にもパラメーターや穴注記を入れることができるようなったことです。特に 3DA のために使うことが単純穴でもできるようになります。コンフィグ設定でパラメーターを入れるかどうかを設定します。それ以外にも、モデルツリーの表示や順序変更/再構築のミス低減、スケッチャー内での投影の操作性の改善など、日々 Creo をご利用されている皆様が楽になる改善が数多く搭載されました。


モデルベース定義 (3DA)

ここ 10 年近く改善され続けてきたモデルベース定義の機能ですが、今回も入っています。お客様から要望を多くいただいていた、3D アノテーションにシンボルや表面仕上げの関連付けをする機能が追加されました。後から付けることも、関連元のアノテーションをアクティブ化しておくことも可能です。関連付けされると、同じアノテーション平面上に配置され、同時に動いてくれます。その他、GD&T Advisor の使い勝手が Creo に近くなるような改善なども行われています。

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解析駆動型設計

Creo 7.0 でリリースされた、ジェネレーティブデザインと Creo Ansys Simulation。今回で 3 リリース目ということで、多くの機能追加がされています。今回のジェネレーティブデザインの追加機能は、荷重方法を増やしたことと、ジオメトリ拘束に回転対称を追加したことです。多くのご要望をいただいた Creo Ansys Simulation の非線形領域の解析ですが、こちらは、Creo Ansys Simulation Advanced としてリリースすることになりました。Ansys の高精度なソリューションを Creo の中で使用できることになりました。

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付加製造のための設計

海外では多くの事例が出始めた 3D プリンターですが、こちらも機能追加が行われています。3 種類の新しい格子形状が追加され、さらに式駆動型の格子形状の密度を変化させ、より軽量化に寄与できるようになりました。また、3D プリンターのような最新技術ではなく、従来の製造方法、いわゆる除去製造(切削加工)にも実は力をいれています。今回のリリースでも高速加工のための機能追加や使い勝手が改善されています。

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このように、Creo 10 は、最近のリリースの中でも改善が多岐にわたり、より多くのお客様のお役に立つ内容になっています。ぜひ ダウンロード をして試してみてください。

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執筆者について 芸林 盾

ビジネスデベロップメント
ディレクター

1998 年 PTC ジャパンに入社。アプリケーションエンジニアからテクニカルマーケティング、また Pro/ENGINEER Wildfire(現 Creo)の開発にも従事。入社以来、現在も CAD 関連で活動し、新製品/新バージョンの紹介や、主に設計に対して新しい提案活動を行っている。