Vuforia Expert Capture リリース

  • 拡張現実
  • 5/17/2019

連休明けの 5月9日に新しい拡張現実のソリューション、Vuforia Expert Capture がリリースされました。

製造の現場や設備の保守点検を行う現場では、増してゆく仕様・生産量に対して労働力が足りておらず、かつ熟練技術者の退職に伴って失われていく技術・知識が問題となっていると、多くのお客様からお聞きます。熟練層から若手の技術者へ、また日本から海外へ、既存の事業から新規事業や買収した組織へ、効率が良く安全な作業手順をどのように伝えていくのか、多くの組織が技術伝承の手法を早急に確立する必要に迫られています。

こうした状況の中、Vuforia Expert Capture(以下 VEC)は、熟練技術者の作業手順を記録・編集して組織全体で共有することで、作業の効率や正確性を向上しつつ同時に安全性も高めることに貢献します。

PTC はこれまで Vuforia Studio という誰にでも簡単にウェブブラウザで拡張現実のアプリケーションが作れるソリューションを提供してきました。Vuforia Studio では主に CAD データから作成した AR モデルを、スマートフォンなどの AR 対応デバイスのカメラが捉えている画像(コンピュータービジョン)に投射するアプリを作成します。

一方、工場やアフターサービスなどの現場では、必ずしも作業対象の装置や部品の CAD データが存在しないこともあります。そんなときに活躍するのが Vuforia Expert Capture です。

Vuforia Expert Capture では三つのステップで拡張現実のアプリを作成して利用します。その三つのステップを簡単に紹介しましょう。

 

1: 撮る - 記録する

熟練技術者がマイクロソフト Microsoft HoloLens(以下、HoloLens) かリアルウェアの HMT-1 を装着し、実際の作業を行います。HoloLens も HMT-1 もいわゆるスマートグラスですから、熟練技術者は両手が使える状態になっており、通常通りの作業が行えます。この工程に使うのが Vuforia Capture です。少し紛らわしいのですが、ソリューション全体の名前が Vuforia Expert Capture、熟練技術者が作業工程を記録するモジュールが Vuforia Capture ですね。

Vuforia Capture では、作業手順をステップごとに分解できます。また動画を撮ったり静止画を撮ったりも可能。これらの指示は HoloLens や HMT-1 の音声認識機能を通じてボイスコマンドで行います。

2: 編む - 編集する

Vuforia Capture が記録した録画データや撮影データを編集する機能を提供します。この機能を Vuforia Editor といいます。Vuforia Editor はブラウザ上で動作し、動画の切り貼りやキャプションの挿入などを行います。編集したコンテンツはそのままパブリッシュできますが、パブリッシュ時には HoloLens などのウェアラブルデバイス、 iPad や Surface などの AR 対応デバイス、そしてマイクロソフト Word 形式のドキュメントといった複数フォーマットのコンテンツが自動的に生成されます。

3: 使う - 利用する

これまでのステップで記録・編集したコンテンツを利用します。この段階では Vuforia View を利用します。Vuforia View は Vuforia Studio で作成した AR エクスペリエンス(AR アプリ)の実行にも使われる、PTC が提供する AR コンテンツビューアーです。Vuforia View は今後 Chalk 機能も内包する予定があり、Vuforia Expert Capture も含めて Vuforia 全体のビューワーとして進化していきます。Vuforia View は動作するデバイスによって利用可能な Vuforia Expert Capture の機能が変わってきます。HoloLens などのロケーション情報を取得できるデバイスであれば、作業者に装置にアプローチする方角や作業位置など、実際の作業状況に応じた位置情報を示せます。


以上見てきたように、Vuforia Expert Capture は Vuforia Capture、Vuforia Editor、そして Vuforia View というみっつのモジュールから構成されています。
現在はリリース直後ということで、いくつか制限事項があります。2019年 5月17日現在のバージョンでは対応しておらず、今後のバージョンアップで対応する機能や制限には下記のようなものがあります。

・パスワードのリセット機能は現在提供していません。
・アップロードしたコンテンツやアセットの削除はできません。
・グループ内のコンテンツはグループ・ユーザー全員から閲覧できます。
・記録した音声はモバイルデバイスでは再生されません。
・音声の自動文字起こしは現在提供されていません。
・動画の編集はクリッピング(前後の切り落とし)に対応してます。

パスワードのリセットやコンテンツの削除、あるいはグループないのさらなるアクセス制限については今後のリリースで対応されます。また、動画の編集は現在クリッピングにのみ対応していますが、これも今後のリリースで再生速度の変更やズームイン、そしてアノテーション(キャプション)の追加などに対応する予定です。

また、Vuforia Expert Capture は SaaS のみの提供形態となっています。コンテンツのパブリッシュと閲覧にはネットワーク接続が必要で、それなりの帯域幅を確保しておくことをお勧めします。

PTC ジャパンでは初夏に向けて Vuforia Expert Capture を適用した際にどの程度の業務効果が出せるのかを測定するための 1日無償ワークショップの提供を始める予定です。

詳細な情報は Vuforia Expert Capture のウェブサイトをご覧ください。

https://www.ptc.com/ja/products/augmented-reality/vuforia-expert-capture

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