製薬業界の課題とAR(拡張現実)の取り組み

執筆者: 西 啓
  • 4/7/2020
  • 読み込み時間 : 5min
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製薬業界の現状と AR

製薬業界を脅かすトレンドが 3 つある。1 つ目はリスクとコストの圧力である。米デロイト社の調査では 2018 年から 2024 年にかけて、2,510 億米ドルの医薬品収入が特許満了の危険にさらされており、確立された製薬大手はジェネリック医薬品との競争に苦しむ可能性が高い。2 つ目はデジタルディスラプションだ。米マッキンゼー&カンパニー社によると、医薬品などの従来の業界では成功率が 4 ~~ 11% 低下するなど、デジタルトランスフォーメーションはさらに困難である。3 つ目は製薬業界特有の厳しい規制に対応するための負担だ。米 Parenteral
Drug Association のレポートによると、一般的な製薬会社は CGMP (現行の医薬品適正製造基準)が必要とする SOP (標準業務手順書)を平均 1,250 枚管理しなければならない。1 社あたりの平均メンテナンス時間は 15,000 時間にものぼっている。
そこで注目されているのは、トレーニングや作業手順書を AR (拡張現実)で提供することである。AR は対象となる場面で必要となる情報を、2D および 3D で視覚にうったえることで直感的に理解を促すことが期待できる。この AR を医薬品製造に適用した際のメリットは、迅速かつ効果的なトレーニングの期間とコスト削減、マシンの迅速な変更とメンテナンスによる予定外のダウンタイムの削減、状況に対応した作業指示によりヒューマンエラーを減らすことでスクラップと廃棄物を削減、そして作業指示の改善に伴う GMP コンプライアンス尊守の向上である。

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PTC の製造業向け AR ソリューション

PTC では製造現場のトレーニングや作業手順書といった AR コンテンツを作成するために、Vuforia Studio、Vuforia Expert Capture といった製造業向け AR ソリューションを提供している。Vuforia Studio はマウス操作を中心としたグラフィカルな UI を操作することで、スマートフォン、タブレットさらにウェアラブルデバイスを対象とした AR コンテンツを作成し、配信できるソリューションだ。Vuforia Expert Capture はマイクロソフト社の HoloLens (1/2)、RealWear 社の RealWear HMT-1 を使い、エキスパートによる操作手順を簡単に AR ストーリーとして記録し、各種デバイスで再生できるコンテンツとして配信できるソリューションである。

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製薬会社への AR の導入

既に大手製薬会社の製造プロセスにて、機械操作のための作業指示コンテンツ作成のためにVuforia Expert Capture が導入されたケースがある。導入前は複雑で長時間にわたる機械の交換手順が存在し、ごく少数のエキスパートのみが知る暗黙の知識を捕捉し他の作業者と共有する手段がない、といった課題を抱えていた。Vuforia Expert Capture の導入により、ウェアラブルデバイスで作業手順を 2D および 3D の AR で提供できるようになり、トレーニング方法が一新し、その成果により機械の運用効率が向上し、労働生産性も向上、といった成果が上がっている。

 

 

まとめ

激しい競争の中で生存するためには、新たな技術への積極的な取り組みが重要となる。AR は製造現場作業への一つの武器となるであろう。ぜひ PTC の製造業向け AR ソリューションをご検討いただければ幸いである。

 

 

 

参考ページ

製造業向け産業用AR

https://www.ptc.com/ja/products/augmented-reality/solutions-for-manufacturing

Vuforia Expert Capture 紹介
https://www.ptc.com/ja/products/augmented-reality/vuforia-expert-capture

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執筆者について

西 啓

製品技術事業部 プラットフォーム技術本部
製品戦略部 部長

2015年 PTC ジャパン入社し、IoT/AR 製品のプリセールス・プロモーション活動、およびサードパーティとのパートナーシップ構築を担当している。特に IoT については前職から足掛け 10 年以上、M2M と呼ばれた時代から取り組んでいる。 また、中小企業診断士でもある。

製薬業界の課題とAR(拡張現実)の取り組み
製薬業界の現状とそこで活用されるAR について実際に使用しているケースも併せて紹介する。