想像してみましょう。貴社の製造施設では、導入予定の新しい製品ラインに向けて生産能力を増強しているところです。しかし、最初の週が終わったところで、ラインから上がってきた製品が、システム内の最新承認バージョンではなく、初期の設計段階でワークステーションに固定された図面と一致していることに品質担当エンジニアが気づきます。このように製造と設計を分断する紙ベースの旧式な印刷物に依存していると、製造の時間が失われ、コストが増大し、市場投入が遅延するという結果を招きかねません。重要な部門間での企業規模のコラボレーションが欠けていることで、結果的に品質問題につながるミスが発生してしまいます。
特に大企業では、設計部門による複雑な製品設計から製造部門による最終製品の構築へと移行するプロセスは複雑で、実行に高いコストがかかります。製品のアイデア創出から、製造、デバイスの接続性、フィールドサービスに至るまで、人とプロセスの間のシームレスなオンラインコラボレーションがこれまで以上に大切になっています。短くなる一方のプロジェクトの納期に直面するユーザーにとって、製品データや企業データに、それぞれの慣れ親しんだ環境と分野で簡単にアクセスするというニーズの重要性がさらに増しています。
デジタルスレッドは、設計や製造のような部門間で一貫性、コラボレーション、連携を確保するための単一で正しい情報源としての役割を果たします。上流および下流の関連情報をリアルタイムで同期し、企業全体に拡張可能な誰でも利用できる共通のデータセットを作成することで、製品、プロセス、人材間の継続性を確保します。デジタルスレッドには多数のデータソースを含めることができますが、まずは製品設計と PLM から始めましょう。
PLM(製品ライフサイクル管理)は、設計から計画を経て、製造現場に至るデジタルスレッドのバックボーンです。製品データが上流に移動したり下流に移動したりする中で、デジタルスレッドをさまざまな視点から捉える必要があります。作業現場で製造に従事する役割の場合、製品設計または図面をその環境に応じた視点から把握できなければなりません。このような役割は、デジタルスレッドの 2 次的または下流の PLM 参加者であるとみなす必要があります。PLM コンテンツに頻繁にアクセスする必要がありますが、製品設計が作成された専門システムを操作するためのフルライセンスコストを支払ったりトレーニングを実施したりするほどの必要性は認められません。
現代の多くの製造業では、工場内のワークステーションに配布する必要がある、設計からの手動でのエクスポートや紙のプリントアウトを定期的に要求しているという実態があります。PLM ソフトウェアにオンラインでアクセスできれば状況は改善されるかもしれませんが、工場の作業員のトレーニングにかかる膨大な労力や高額なライセンスコストが障害になっていることが一般的です。結果的に、前述した想像のシナリオのように、設計エンジニアがすでに新しい部品のイテレーションをリリースしているにもかかわらず、ソースの PLM ソフトウェアから分断された古い図面や設計が製造の現場に残ってしまうことになります。
もともと存在するこの問題が、地理的に分散した製造施設および設計センターによって深刻度を増すことも珍しくありません。特にリモートワークが増加する中、既存のサイロやコラボレーションによる障害がさらに目立つようになっています。
製造チームに適切なタイミングで適切なデータを提供できるとしたら、どうでしょう?可視化を高めることにより、設計と製造で同時に業務を進め、ギャップを埋めることができます。その結果、時間の節約、コストの削減、品質の向上、市場投入までの時間の短縮を実現できます。
ThingWorx Navigate は、工場内のこのような 2 次的な PLM 参加者に対して、最新の PLM コンテンツを参照するためにオンデマンドで利用できる一連の使いやすい役割ベースアプリを提供するデジタルスレッドソリューションです。ThingWorx Navigate の役割ベースアプリにより、作業現場のユーザーは状況に合った情報を参照し、職務の遂行と意思決定に役立てることができます。
特別な設定は不要で、以下の機能を利用できます。
ThingWorx Navigate により、設計および変更に関与するすべての役割が同じデジタル情報を使用して同時に作業できる一方、作業現場のスタッフは部品表で最近リリースされた部品、図面、変更を即座に確認できます。
複雑なエンタープライズシステムの障害を軽減することで、設計と製造の同時進行によるコラボレーションが可能になります。ThingWorx Navigate を使用して、製造部門が必要な時にいつでも最新の PLM 情報を入手できるようになります。詳細については、こちらをご確認ください。
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次回のブログでは、Welbilt 社の一部署である Frymaster 社が、工場長とライン作業員の可視性をいかに高めているかをご紹介します。