AR ソリューションと IoT プラットフォームの素敵な関係

執筆者: 西 啓
  • 8/7/2020
  • 読み込み時間 : 5min
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Vuforia Studio は短時間で AR コンテンツを作成し、配信できる産業 AR ソリューションである。導入事例で多いのは作業手順の AR コンテンツ作成であるが、その次のステップとして AR コンテンツに動的なデータを組み合わせることで、作業者により効果的な支援ができるようになる。
ここで必要となるのが、産業 IoT プラットフォームである ThingWorx Foundation (以下、ThingWorx )との連携だ。しかし、IoT プラットフォームという先入観のせいか、Vuforia Studio との関係性が分かりにくいという声を聞く。当記事では、Vuforia Studio のシステム拡張となる ThingWorx の役割を説明する。


1. Vuforia Studio のシステムとは

Vuforia Studio は以下の図のような構成になっている。Windows PC もしくは macOS 機器にて動作する Vuforia Studio で AR コンテンツであるエクスペリエンスを作成し、Experience Service にパブリッシュする。Experience Service は PTC によるホスト版と、お客様にて運用するオンプレミス版が存在する。そして作業者が用いるデバイス上で Vuforia View アプリが動作し、ThingMark もしくは QR コードなどで指定されたエクスペリエンスを Experience Service からダウンロードして再生する流れとなっている。

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2. Vuforia Studio と ThingWorx の関係

エクスペリエンス配信に使われる Experience Service は、以下の図のような構成になっている。Experience Service には必ず ThingWorx が接続されており、Experience Service へのアクセス認証を行っている。アクセス権は、ThingWorx 上のユーザに対して設定することとなる。

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ThingWorx のライセンスを保有していない場合、最低限のユーザ登録や管理の機能のみが利用できる機能限定版の ThingWorx が接続されている。オンプレミス版の場合は、機能限定版のライセンスファイルが提供されるので、それを用いて ThingWorx をインストールする必要がある。
ThingWorx のライセンスを保有している場合、単なるユーザ管理だけでなく Thingモデルによるデータの送受信を Experience Service との間で行える。例えば、ThingWorx に接続された機器やサービスの値をエクスペリエンス上で表示する。逆にスマートフォンやタブレットのエクスペリエンス上で入力した値を ThingWorx に送って作業記録として残す、といった使い方が可能となる。また、エクスペリエンスを使って機器の遠隔制御、例えば画面上のボタンをクリックすることで機器を緊急停止させる、といったことも可能である。


3. IoT だけじゃないThingWorx の使い方

ThingWorx は IoT プラットフォームとして広まっているので機器を接続するものだ、という先入観を持たれることが多々ある。実際にはシステム間連携やバックエンドとしての役目を果たすことも多く、Experience Service に対しても同様の働きが可能である。
Thingモデルはテキストや数値だけでなくイメージ(静止画)を取り扱うことができるので、状況に応じた図面をエクスペリエンスに提供することが可能だ。例えば、作業者が現場にて機種に応じた説明図を確認することや、PLMなど他のシステムで管理されている最新バージョンの図面を、ThingWorx 経由で取得してエクスペリエンス上に表示することができる。
また複数の作業者で同一のエクスペリエンスを見ているときに、作業状況を共有することで一人の作業中に他の作業者が待機する、といった指示を確実に管理することも可能となる。このような込み入ったロジックは Vuforia Studio 上ではなく、ThingWorx で管理したほうが実装も運用も容易である。さらには作業者は AR でエクスペリエンスを見て、管理者は IoT によるダッシュボードで管理する、といった適材適所のシステム構築も可能だ。


4. 参考となる情報

Vuforia Studio と ThingWorx の連携については、以下の情報が参考となる。
  • Develop an AR Experience with Raspberry Pi (英文)
    ※日本語版は Vuforia Studio の ヘルプページ にある。
    Raspberry Pi に接続したセンサー情報を ThingWorx で取得し、エクスペリエンスに紐付けて AR で見られるようにするシナリオを体験できる。
  • Qiita記事: Vuforia StudioからThingworxデータ連携
    ThingWorx の Thing モデルの変数やサービスを Vuforia Studio から利用する方法について説明されている。なお記事中には ThingWorx Studio と記載されていることもあるが、これは Vuforia Studio のことである。

おわりに

Vuforia Studio による AR ソリューションに ThingWorx を組み合わせることで、より作業者の役に立つ複雑なエクスペリエンスを効率良く開発し、管理運用できるようになる。IoT だけではない ThingWorx の効能をご理解いただき、より良いシステム構築をご検討いただければ幸いである。
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執筆者について

西 啓

製品技術事業部 プラットフォーム技術本部
製品戦略部 部長

2015年 PTC ジャパン入社し、IoT/AR 製品のプリセールス・プロモーション活動、およびサードパーティとのパートナーシップ構築を担当している。特に IoT については前職から足掛け 10 年以上、M2M と呼ばれた時代から取り組んでいる。 また、中小企業診断士でもある。

AR ソリューションと IoT プラットフォームの素敵な関係
Vuforia Studio は短時間で AR コンテンツを作成し、配信できる産業 AR ソリューションである。また、IoTプラットフォームの ThingWorx と連携することで、より効率的に作業者を支援できる。今回はその構成について解説する。