【オンデマンド配信開始】DX 座談会 「産業 DX がなぜうまくいかないのか ~先進企業の DX の進め方と勘所~」と Q&A ご紹介

  • 6/18/2021
  • 読み込み時間 : 7min
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デジタル技術を活用しさまざまなビジネス変革を実現する DX(デジタルトランスフォーメーション)への関心が高まっています。ただ、多くの企業が取り組みを加速させている一方で、成功している企業はまだまだ少ないのが現実です。
こうした中で先進企業は具体的にどういうことに悩み、どういう課題を乗り越えて形にしてきたのでしょうか。

今回、PTC ソリューションを活用して DX を積極的に推進し成果を生み出し続けている鹿島建設様、JRC 様、住友ゴム工業様、武田薬品工業様(五十音順)をお招きし、DX の進め方と勘所についてパネルディスカッション形式の座談会を開催いたしました。

本座談会には多くのお客様にご参加いただき厚く御礼申し上げます。

今回はこちらの座談会のオンデマンド配信が決まりましたので、そのお知らせと、開催時にいただきました多岐にわたるご質問と回答を共有させていただく記事です。

DX 座談会
産業 DX がなぜうまくいかないのか ~先進企業の DX の進め方と勘所~
オンデマンド配信

以下に座談会内でいただいたご質問とそれに対するパネリスト企業様の回答をご紹介します。
なお、質問は適宜、一般化しています。


質問: 現行システム利用者がすべて抵抗勢力になると思いますが、うまく進めるやり方はないのですか。メリットを地道に説明していくだけでは時間がかかるだけでうまくいくとは思えないのですが、やはりトップダウンで進めるのがいいのでしょうか。

回答(鹿島建設様): 「トップダウン」を「トップの理解」と読み換えるのであれば必ず必須かと思います。
うまい進め方ですが、可能であればスモールスタートという形で小さく始めて成果を出し、その成果をもって関係者に説明していくというのがスムーズな導入になるかと思います。
スモールスタートとはいえ、自社の工場での活用や他工場へのシステムの展開も含めた、将来の拡張性に配慮したシステムの構築が必要だと思います。
費用を考えなければいけないポイントであり、イニシャルコストと同様、システム使用料などのランニングコストの両方を考える必要があると思います。

回答(JRC 様): 私もきちんとうまくできているわけではないですが、作り上げた仕組み、慣れ親しんだ仕事の仕方を変えるのは非常に大変で、抵抗があるのは当たり前のことだと聞いたことがあります。
一方で、DX という言葉に関係なく、道具を新しく便利なものに変えていくということは、これも当たり前のことで、5 年後、10 年後もこの会社で働きたいという若い人のためであるのかなと思っています。
経営の意思、トップの意思であると思うので、それをわかりやすく伝えることが大事だと思っています。
例えば、スポーツの世界でもハーフタイムにデータを分析して戦術を変えるなど、データを用いた方法に変わってきているので、会社の経営、オペレーションも変えていかなければいけないということをわかりやすく伝えていく、地道な啓蒙活動が大事だと思っています。

回答(住友ゴム工業様): 抵抗勢力という言葉でいうと、現行システムから変えたくないということだと思うのですが、その理由は色々あると思います。
単純に「わからない」のか、あるいは「忙しくてやっていられない」とか、または「わかっているけれどもやる意味がない」と思っているのか。それぞれの理由に対して個別に解決していくことが肝要かと思います。
「わからない」とか「忙しくてやっていられない」という場合は、百聞は一見に如かずということで、スモールスタートで、言っていることが実現していく姿を見せる、というのもひとつの手段です。見てもらって、「あ、本当だ」という腹落ちをしてもらう体験は非常に効果的と思っています。
一方で、「やる意味がない」と思っている人にとっては、それを見せても「意味がない」と言われる可能性があるので、例えば別の部署で進めて具体的な効果を出す、あるいは別の事例で示すなど、少しずつわかっていただくようにすすめていくしかないかもしれません。つまり、抵抗勢力が提示する、それぞれ違う”理由”にあわせて個別に対応していくのが良いのではないかと思います。

回答(武田薬品工業様): システム、デジタルに限らず、新しいものを入れるという時には、抵抗勢力は大前提としてあると思います。ですので、抵抗をどのようにマネジメントするかをちゃんと計画の一部として考えるべきだと思います。コミュニケーションとバックアップ体制が大切だと思います。
コミュニケーションは目的や意義だけでなく、このまま古いシステムを使い続けることの課題やリスクをきちんと伝えるべきだと思います。
そのうえでバックアップという意味ではスモールスタートや移行期間を重複してもつということもあるでしょうし、万が一使えない人のためにはどうするかという状況への対応も考えておくことが大切かと思います。


質問: 投資効果への要求が厳しく、「トライ&エラー」的な取り組みは理解が得られないのですが、活動を進めるコツなどありましたら教えてください。

回答(鹿島建設様): 可能であれば確実に成果が見込める分野に絞ってスモールスタートし、その成果を関係者に示すことで理解と期待を得ることが有効かと思います。机上の計画には必ず不確実性があり、採用しない理由はいくらでも思いつくかと思います。実際に得られた成果は否定されにくく、次の投資につなげやすいと思います。

回答(JRC 様): トライ&エラーの理解が得られない場合は、明確な効果を定義しなければなりません。その際、単に工数削減や人員削減ではなく、間違いが無くなるということや、将来熟練者がいなくなっても、安価な人件費で業務が継続できる仕組みになること、より定量的な分析等をもとに正しい判断がタイムリーにできる基盤になることなどの効果について理解していただくことが重要だと思います。中長期的な効果や土台・基盤になる話は、当期の予算について責任を持っている部門長よりもより経営層の理解を得ることができると思います。

回答(住友ゴム工業様): 各社様で投資採算の基準が明確におありかと思いますので、一概に申し上げられませんが、一定の期間での回収を求めない研究開発などの戦略投資枠を(DX 推進部門とは別に)お持ちの会社さんもあるのではと思います。
最終的に稟議承認いただく方々のご理解を得なければならない以上、特に初期段階においてこういった戦略投資枠の(部門間調整を含めての)活用、あるいは創設といったことを外部コンサルタントなど第三者の参加もうまく取り入れながら提案して認めていただくというのも一つの手段かと思います。

回答(武田薬品工業様): DX プロジェクトの中にも、システム導入のような投資効果が問われる案件と、ビジネスモデル変革を目指す革新的な案件があると思います。後者では初期に「トライ」が必要な場合や、効果試算が難しい場合がありますが、やはり目的・目標を明確にすることと、ビジネスインパクト、イノベーション、スケーラビリティの観点で評価することがポイントだと考えます。


質問: 各社において、そもそも DX とは何か、また、どのように定義していますか?

回答(鹿島建設様): 当社では、2019 年の経済産業省の DX 定義をベースに、以下のように考えております。
企業がビジネス環境の変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客・社会のニーズを基に下記の段階の改革を実施し、競争上の優位性を確保すること
① 製品・サービス・ビジネスモデルを変革 (DX2.0)
② 業務そのもの、組織、プロセス、企業文化・風土を変革 (DX1.0)

回答(JRC 様): DX の本質は、大量のデータ(ビッグデータ)を高度かつ高速に処理できる時代になったため、これまで以上にデータ活用を進めることで、「圧倒的な生産性、品質、デリバリーを実現」することと、その中から今まで見いだせなかった「価値を創出」することであると定義しています。

回答(住友ゴム工業様): 「デジタル技術を用いて会社のオペレーション変革を行うこと」です。ここでオペレーションとは、「社内の業務」および「社外との協業・連携」の両者を指しています。最新のデジタル技術で、新たな価値を生み出していく全社活動を包括し「DX」と定義しています。


質問: 海外と日本を比べて、DX に何か違いがありますか?

回答(鹿島建設様): 一般論としては、日本の DX はデジタル技術による製品やサービスの変革を試行するのに対し、欧米では価値提供やビジネスモデルの変革をより強く志向していると言われます。
また、日本は現場が強い、システムが事業部門ごとに作られている、システムのカスタマイズが多いなどの理由で急速な全社的デジタル改革が進みにくい傾向があるようです。

回答(JRC 様): 日本は仕事にシステムを合わせる(カスタマイズが多い)傾向があるので道具としてのシステム活用にコストや時間がかかるケースが多くみられます。海外は道具としてのシステムに仕事を合わせるのが上手な印象があります。従って、現場(オペレーション)が強い日本ではボトムアップで個別に DX を進めるケースが多く、うまくやらないと部分最適の集合体になり、会社全体の情報システムを考えると管理工数・コストに影響すると思います。

回答(住友ゴム工業様): 本質的には違わないと思っていますが、拠点あるいは地域によって抱えている課題、優先順位が異なるのではないかと思います。インフラ環境や人材スキルも違うという事があるかと思いますので、結果としてターゲットの設定・ツールの選択・アプリケーションの導入順序は異なる事があります。また、場合によっては進め方や体制も変えた方がスムーズに業務変革が進むということはありえると思っております。

回答(武田薬品工業様): 海外との違いというより、企業のポリシーや戦略による違いの方が大きく影響しているように思います。
弊社はグローバルな生産ネットワークでデジタルに取り組んでおり、環境や考え方の異なる海外拠点と情報を交換しながら進めていくことのメリットを感じています。ベストプラクティスを共有し、良い意味で競争や刺激もあり、DXの加速につながっていると思います。


質問: PoC からのテクノロジーの導入によるビジネスモデル変革など活動例はありますでしょうか。また、どの程度のプロジェクトが現状で活動しているのでしょうか。

回答(鹿島建設様): 色々挑戦を始めているがまだ成果まで至っておりません。プロジェクトは各事業で活発に行われております。いずれ成果をご披露できると思っております。

回答(JRC様): まだ自分の会社の成功事例としての実績ではありませんが、結果の管理からリアルタイムの管理への変革を進めていますし、事例も聞きます。元々製造現場のマインドは 1 秒 1 円のムダも排除することなので新しい考え方ではないですが、それをデジタル化で進めようという内容です。どの設備も使っている電気のデータを取得・活用する事例や、人の動きをカメラやビーコンで取得して作業分析する方向もあります。ポイントは汎用的な方法で、多目的を達成すること。
電流情報から、稼働情報、生産量、品質情報、予兆保全などに繋げ、人の情報から、作業性、動線管理、安全管理、日報の自動化、勤怠管理などの効果に繋げられることを目指して進めています。
ただ、PoCの後で多目的に進めている事例はあまり聞きません。

回答(武田薬品工業様): AR/VR を利用したトレーニングシステムはで幾つかのユースケースについて PoC を実施し、大きなビジネスインパクトが見込めるケースについて実用化を進めています。従来のマニュアルと OJT を中心としたトレーニングから、時間と場所の制約を取り払うことができ、今までにない Efficient、Effective、Attractive なトレーニングを提供することが可能になりました。


質問: 武田薬品工業様への質問です。製薬業界では規制が厳しい事で DX の進みが他業界に比べて遅いのではないかなと感じています。今までの活動の中でどのように GxP との折り合いをつけて DX を推進されていますでしょうか。

回答(武田薬品工業様): 患者さんに品質の高い製品を早く確実に届ける、効率的な働き方と迅速な意思決定を行うとの目標のためには、データとデジタルによるイノベーションは欠かせない重要な取り組みと位置付けています。
GxP 対応が確立できていない新しい技術、例えば AI、XR 等については、サポーティブな活用方法から開始し、GxP に直接影響しない業務プロセスに適用する等のアプローチをとっています。新技術の GxP 対応は今後のチャレンジです。
一方、既に GxP 対応が確立されているシステムについては積極的に導入して自動化やデジタル化を進めています。例えば MES、ヒストリアン等です。これらは将来の IoT やデータサイエンス展開のための基盤構築でもあります。

まとめ

今回の座談会では多くのご質問をいただき、みなさまが DX に関して大変ご興味をもたれていること、また、同じような悩みや課題を抱えて日々邁進されていることをあらためて実感しました。

PTC ではこれからもみなさまからのご要望に応え、成果を出すお手伝いをさせていただきたいと考えています。

この記事を読まれて、詳しい説明のご希望やご質問がございましたら、下記へお問い合わせください。
https://www.ptc.com/ja/contact-us
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