待望の Mathcad Prime 8.0 が 2022 年 3 月にリリースされました。Mathcad Prime は、工学技術計算のためのソフトウェアで、複雑な計算を素早く解決するだけでなく、計算の見える化や技術共有にも役立ちます。機械、電気、化学、建築など、分野を問わず世界中で多くの技術者に使われています。Mathcad Prime 5.0 以降は、ほぼ毎年新しいバージョンがリリースされ、機能や操作性が向上しています。
今回のバージョンアップを、以下の項目ごとに紹介します。
◆再定義の警告
Mathcad Prime 8.0 は、関数、変数、単位、定数の再定義を検出してハイライトします。特定のタイプごとに警告の表示を有効または無効にすることも可能です。
◆枠を表示
ワークシートのヘッダー、フッター、およびページ本文計算領域の境界の表示を個別に制御できるようになりました。ページ表示と印刷ドキュメントの両方で境界が表示されます。
◆偏微分演算子
ワークシートに新しい偏微分演算子を挿入して使用できます。
◆複数の値をコンボボックスに貼り付け
編集モードで、複数の変数の値をコンボボックスに直接貼り付ける機能が追加されました。選択範囲に貼り付けるか、または、コンボボックスを拡張して貼り付けることができます。
Mathcad Prime 6.0 から新しいシンボリックエンジンを採用したことにより、新しいリリースごとにシンボリックの更新および機能強化を提供できるようになりました。
◆シンボリック積分変換の機能強化
フーリエ変換、ラプラス変換、z 変換、および、逆変換のパフォーマンスが改善されました。
◆新しい nfact および ofact 変更因子
fourier とともに使用することで、規格化因子 ”nfact” と振動因子 ”ofact” を定義できます。
◆微積分演算子の強化
微積分演算子の、極限、導関数、積分のパフォーマンスが強化されました。
◆一般的なキーワードの強化
以下のパフォーマンスが強化されました。
solve, rewrite, series, simplify, assume
◆シンボリック結果での未定義の変数処理の強化
ラムダ式の変数および独立した未定義の変数の自動ラベル付けが強化されました。
◆物理定数の更新
NIST および CODATA と整合させるため、いくつかの物理定数が更新されています。
◆関数
関数の statespace と odesolve の動作が強化されました。
◆Ctrl / ホイールズーム機能追加、ズームスライダーのパーセンテージの丸めの強化
Ctrl / ホイールズームを使用してワークシートをズームインまたはズームアウトできるようになりました。
ズームスライダーの ”-“ および ”+” の操作では、32% → 35% → 40% のように、5% の倍数になる様に丸められます。
◆ワークシートタブの閉じるボタン
ワークシートタブから、直接ワークシートを閉じることができるようになりました。
◆未保存のワークシートの表示
ワークシートタブでは、まだ保存されていないワークシートにアスタリスク (*) が表示されます。
◆ワークシートタブのコンテキストメニュー
ワークシートタブで、下図のような便利な操作にアクセスできる新しいコンテキストメニューを使用できるようになりました。
◆ワークシートタブのドラッグおよび移動
複数のワークシートが開いているときに、ワークシートタブをドラッグアンドドロップして、順序を並べ替えることができるようになりました。
◆フォーマットを除去
選択されているテキストの書式設定(フォント、フォントサイズ、色)を解除してデフォルトのテキスト形式に戻すことができます。
◆レガシーワークシートコンバータのオプション「HTML として保存」
PTC Mathcad Prime フォーマットに変換する前に、レガシー PTC Mathcad ワークシートのビューを作成し、必要に応じてそれを参照して変換後のワークシートを再操作できます。
◆Windows 11 のサポート
Mathcad Prime 8.0.0.0 は、最新の Windows オペレーティングシステムである Windows 11(バージョン 21H2)での実行がサポートされています。
工学技術計算は、製品設計に限らず、あらゆるエンジニアリングの礎となるものです。伝統的な手法に拘らず、操作が簡単で、複数の人間で情報共有でき、再利用可能なツールにシフトして行くことが重要です。
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