Creo のシミュレーション

執筆者: 尾崎 晴久
  • 12/2/2021
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1. シミュレーションと言えば

世間一般でシミュレーションという言葉は、様々な領域で使われています。このご時世(この枕詞、今年はよく聞きます)、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の予測にもシミュレーションが利用されていますね。
シミュレーションとは、現実の世界で起こる現象を何らかの方法で計算可能な数学的なモデルに置き換えて再現することです。それは、未来に起こることを再現(予測)するだけではなく、過去に起こったことを再現する場合もあり、いま目の前で起こっていることを再現する場合にも利用します。

シミュレーションは何らかの現象を数学的なモデルを使って再現することですが、一般的な利用方法として未来に起こる現象を予測するというのがあります。一方で、現象を理解するために活用する場合もあります。理解のためのシミュレーションは、事象の研究に使われています。例えば、太陽系の成り立ちは?とか、地球の構造や大陸の移動も先ずは理解のためのシミュレーションが初めにあります。

ところで、設計の 3D 化は進んでいますか?最近流行りの DX(デジタルトランスフォーメーション)を理解する上で分かり易い例として、DX とデジタル化の話をすることがあります。図面を 2D CAD で作成するのは単なるデジタル化です。同様に、図面をコピーして 3D 化するだけでは単なるデジタル化に過ぎません。設計の発想を 3D 化すること、3D 化されたデジタルモデルを上手に活用してすることで 3D 化の利益を得られます。デジタルモデルは、呼び方を変えるとデジタル試作、試作と言えば実験、デジタル試作をデジタルに実験することがシミュレーションで、一発良品を目指すことができる 3D 化で得られる利益です。


2. Creo のシミュレーション

まず初めに、構造・熱伝導解析です。これは、Creo がまだ Pro/ENGINEER と呼ばれていた頃。およそ 25 年前に 3D CAD と狭い意味の CAE を統合化した FEM ツールでリリース当時は Mechanica という製品名でした。これは、製造業で製作される製品が使用される環境でどの程度の変形が起こるのか、どの程度で壊れるのか等をシミュレーションするツールです。当初、線形問題しか計算する事ができませんでしたが、後に非線形問題として形状非線形や材料非線形など高度なシミュレーションを行うことができるようになりました。現在では、Creo Simulation Extension と呼ばれています。

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次に機構・運動解析です。キネマティクスのような位置・速度・加速度だけでなくダイナミクスのシミュレーションを行うものです。この製品は上で述べた構造・熱伝導と同じ時期にリリースされ、Mechanica Motion と呼ばれた時期もあります。その後、計算の核となる部分が完全に Creo に統合され Creo Mechanism Dynamics Extension と呼んでいます。バネ・マス・ダンパーで構成されるダッシュポッドモデルのように、動きのシミュレーションだけでなく、発生する反力の計算を行うツールです。

更にリリースされたのが樹脂流動解析の Creo Mold Analysis Extension です。これは樹脂を使った射出成型をシミュレーションするもので、射出時の樹脂の流れの様子を可視化するものであり、数値的に評価するものです。製品形状と樹脂の種類に依って十分な充填が出来るか否かショートショットするか否かを評価したり、適切なゲート位置を自動計算したりできます。特徴は有限体積法のフル 3D メッシュでシミュレーションを行うことができ、豊富な材料ライブラリがあることです。CoreTech System の Moldex3D の一部機能を Creo に統合したものです。

4 つめに熱流体解析です。こちらも有限体積法を用いたシミュレーションツールで、 Simerics 社のソルバーを Creo に統合したもので、Creo Flow Analysis という名前です。空気や水や油のような流体の流れをシミュレーションするツールです。空気(気体)と水(液体)とソリッドな物体が同時に存在する環境で、それぞれがそれぞれに影響を受けて、どのような変化を起こすのかシミュレーションするツールです。例えば、扇風機の羽根の形状をどのようにものにすれば効率的に風を起こすことができるか?など数値的な評価として、油圧機器の圧力損失などを評価するものです。

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他にも、寸法公差を評価する Creo EZ Tolerance Analysis Extension という 1 軸のみの寸法の積み上げを行い、正規分布を仮定して隙間や干渉の評価を行うツール。電気的な端子の空間的な距離や沿面距離を測定できる Creo Clearance and Creepage Extension、人体モデルを利用した Creo Manikin Analysis Extension があります。


3. Creo のAnsys シミュレーション

数年前から PTC は、ANSYS 社とパートナシップを構築し Creo で技術的な統合環境を提案しています。その第一弾として、Creo Simulation Live がリリースされました。これは従来の CPU から GPU を使って演算するツールで計算速度の高速化が最大の特徴で、リアルタイムシミュレーションと読んでいます。これまで、数時間かけていたシミュレーションが十数秒で終了することができます。特に、流体の非定常解析では正しくリアルタイムシミュレーションで、その場で流れの様子を可視化します。

さらに昨年からは、Ansys Mechanical のフラッグシップのソルバーを Creo に同梱した環境を提供しています。このツールのメッシュ作成も ANSYS 社が培ったノウハウを受け継いでいるのが特徴で、構造・熱伝導問題を扱うことができます。この Creo Ansys Simulation で計算の対象外となる高度なシミュレーションも、ジオメトリを含んだメッシュ情報などを Ansys Mechanical 自体にエクスポートすることができるようになりました。

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4. さいごに

設計者解析を世界で初めに唱えたと自負する PTC として、その頃から 25 年が経過した今でも十分に設計者自らがシミュレーションを十分に活用できていないと理解しています。いまここで再び設計の DX を旗印に提案・サポートして参ります。


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執筆者について

尾崎 晴久

製品技術事業部 CAD 技術本部
チャネルテクニカルマネージャー

1997 年 PTC ジャパンに入社。CAD/CAM/CAE 製品の販促活動および導入支援に従事する。その後、販売代理店様の案件対応や代理店様エンジニアの Creo のスキルアップを支援。現在、直接販売や間接販売に関わらず販促活動に従事する。特に、CAE 領域においては大学卒論から前職でも主な業務として従事し、現職でも一貫してシミュレーション製品のスペシャリストである。