PTCの考える次世代設計を支えるFrustumとは?

  • 10/30/2019
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PTCの考える次世代設計を支えるFrustumとは?

(注意:本記事は2019年5月時点のものである)
2018年末にPTCが買収したFrustum社の技術は、PTC CEO Jim Heppelmannが「これこそPTCが考える次世代設計だ」と考えている。社員が17名しかいなかった会社に約7,000万ドル(約78億円)を支払っている。この金額は、Frustum社の優れた技術に対してだけではなく、その従業員への価値も含めた金額だとJimは言っている。今後もこのFrustum社の持つ技術を、PTCが開発し続ける意思の表れである。Creoの将来バージョンへFrustum製品を組み込み、提供をするために早くても2020年の春にリリースする予定で開発を続けている。

Frustum社が販売していた「GENERATE」と言うツールは、ジェネレーティブデザインを行うためのソフトウェアである。では、ジェネレーティブデザインとは何か?

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その名を聞いたことがある方は、AutodeskFusion 360に搭載されているのをご存知かもしれない。(ちなみにFrustum社の社長は元Autodeskでジェネレーティブデザインのエンジニアとして関わっていた)

Autodeskのホームページでは、以下の説明をしている。
“ジェネレーティブ デザインは、自然が進化する手法をデザインで模倣するものです。デザイナーやエンジニアは、ジェネレーティブ デザイン ソフトウェアに設計目標と材料や製造方法、コスト面の制約を入力します。トロポジー最適化とは異なり、ソフトウェアは可能なソリューション全てを調べた上で設計の代替案を生成。各イテレーションが機能するかどうかの検証と学習が行われます”(https://www.autodesk.co.jp/solutions/generative-design)
この説明の “自然が進化する手法をデザインで模倣”は、現実世界の製造方法と少し違いがある。自然の進化において「そうだ鋳造で作ろう!」とはならないからである。ただし、それ以外の部分はPTCの考えと合致している。さらにPTCでは、様々は要件に対してAIを使い判断し、数多くの代替案を出すために、ハイパフォーマンス コンピューティング(HPC)を使用する。これらにより、PTCのジェネレーティブデザインの方がAutodeskのものより優れていると考える。それは、PTCが設定しているジェネレーティブデザインに対して5つのレベルを見れば分かる。
Level 0 「トポロジー最適化」
生産性の向上のため、単品部品の最適化
Inspireが該当
Level 1 「製造性を加味したトポロジー最適化」
製造性を加えたトポロジー最適化で、こちらも単品部品が対象
現在のPTC、Dassault、Siemens NXが該当
Level 2 「部分的なジェネレーティブデザイン」
複数の設計コンビネーションを作成
Autodeskが該当
Level 3 「条件付きジェネレーティブデザイン」
AIを活用して高度な解析とマルチフィジックスによる多数の設計コンビネーションを作成
今後のPTCが該当予定
Level 4 「高度なジェネレーティブデザイン」
機械学習のAIを活用し、システムレベルのジェネレーティブデザインを行うことで、今まで以上に適応範囲を広げることが可能に
該当なし
Level 5 「完全なジェネレーティブデザイン」
自然言語による自律型設計が行える
該当なし

という事で、PTCがCreo 7.0(予定)の時点でLevel 3を達成し、他のベンダーからジェネレーティブデザインの分野において抜きんでた存在になる予定である。

では、今後Creoに統合されるFrustumはどのような機能を持つのか?最初のインプットはトポロジー最適化に近いものである。それは、複数の解析要件や材料や領域などである。領域を必ずしも持つ必要は無いようである。さらに、様々な設計要件や製造要件、コストなどを入力、またはパラメータとして与えることが出来ることになる。これらをクラウド上で計算することにより、高速で複数の設計案を示すことができるようになりそうだ。現段階では決定していないが、クラウド版とローカル版がある予定である。AIを使用する性格上、クラウドを活用することにより、より賢いAIに育てることができる可能性がある。当然、各顧客の知的財産の侵害をせずに行うものだ。

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PTCがFrustumを買収した理由の一つに、PTCのAnsysに対する戦略と一致する、という事もある。AnsysのDiscovery LiveをCreoに統合し、Simulation Liveにしたことにより、設計の早い段階で試行錯誤を行う為のツールを手に入れた。その試行錯誤後に検証するツールも、Creo Simulate または今後統合されるAnsys製品のDiscovery AIMがある。ただし、これは「最初の形状を作る」という工程が足りていなかった。それを可能にするのがFrustumである。Frustumに様々な設計要件を入れることで、まず最初の形状案を導き出す。そして、その形状でSimulation Liveを使って、Frustumだけでは足りない要件を確認していく。

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実際に使用できるのは2020年の春の予定だ。また、現在Siemens NXへFrustumのトポロジー最適化の部分のみOEM供給しているが、今回の契約期間が終わると、提供は停止される。今時点でもおそらくリリース時点でも競合優位性を保つことができるツールになる。まだリリース前の製品ではあるが、ご不明な点があれば、弊社までお問い合わせを願う。

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