CAD モデリングで行うあらゆる選択は、設計意思の影響を受けます。言い方を変えれば、設計意図に基づいて行われる必要があります。設計意図には、初期設計段階は製品のライフサイクルのごく一部に過ぎないという認識が反映されています。私たちは、要件の変更に伴うモデルの変更や更新に、はるかに多くの時間を費やしています。このため、変更が、関連するフィーチャーやコンポーネントにインテリジェントに伝播されるように、モデルに追加情報を組み込む必要があります。
アセンブリ設計手法では、ボトムアップ設計 (BUD) とトップダウン設計 (TDD) が最も一般的でよく知られています。
BUD では、まず個々の部品モデルを作成し、それらを下位レベルのアセンブリに配置します。これらのアセンブリを上位アセンブリに配置していき、最上位レベルの製品を完成させます。
しかし、ボトムアップには欠点があります。多数のコンポーネントと多くの階層レベルを持つ高度な製品ではうまく機能しません。特に、部品とサブアセンブリに相互依存関係にある場合はうまく機能しません。BUD アセンブリの更新は、退屈で、多くの手作業が必要で、時間がかかり、エラーを起こしやすい傾向があります。さらに悪いことに、再生成の失敗が次々と発生してユーザーを苛立たせ、市場投入までの期間を長引かせることがよくあります。
TDD では、 最初に、個々の部品のジオメトリに焦点を当てずに、製品構造、つまり主要なサブシステム、サブアセンブリ、およびその他のコンポーネントの構成を定義します。特別なモデルを使用して重要な設計情報を統合します。スケルトンには、複数のアセンブリや部品に影響を与えるジオメトリを取り込みます。ノートブックは、寸法とパラメータについて同じことを行います。スケルトンとノートブックから個々のコンポーネントにその設計情報を伝えます。これにより、最上位レベルで変更を加えたときに、相互接続されたコンポーネントがプランどおりに更新されます。
スマート・コネクティッド・プロダクトは、従来の手法に新たな課題をもたらします。製品には、ファスナー、ケーブル、電気部品などの民生 (COTS) コンポーネントが常に含まれています。製品がスマートになって接続されると、このリストに次のものが追加されます。
しばしば、これらのコンポーネントを最初に見つけ出してから、ハウジングや製品のその他の部分を設計することが必要になります。
この特定の技法、つまり内部の電子部品を設計してから外部のハウジングを設計する手法をミドルアウト設計 (MOD) と言います。この技法は、多くの分野で、特に、ハウジングやボックスにコンポーネントをパッケージングする製品ですでに使用されています。航空宇宙および防衛分野では、そのようにパッケージングされたコンポーネントを列線交換ユニット (LRU) と呼ぶこともあります。
ボトムアップ、ミドルアウト、トップダウンをそれぞれ別の領域と見なし、互いに相いれないものと考える人もいます。
しかし、現実の世界では、製品は、複数の手法を使用して設計されています。製品全体はトップダウンで設計されていても、個々のサブアセンブリはボトムアップで作成されている場合があります。必要に応じて、一部のコンポーネントやシステムをミドルアウトでレイアウトしてから、トップダウンに引き継ぐこともできます。実際の状況はこう言い表すことができます。
スマート・コネクティッド・プロダクトの開発は、ボトムアップ設計、ミドルアウト設計、トップダウン設計の交差点に存在します。
これを念頭に置くと、製品開発で MOD をサポートするのはどのような CAD ツールやテクニックでしょうか。
これらのテクニックを使用し、MOD と TDD を組み合わせることで、スマート・コネクティッド・プロダクトの設計プロセスが改善されます。