【オンデマンド配信開始】ファイザー・ファーマ社、日立製作所登壇 Web セミナーと Q&A ご紹介

執筆者: 豊福 泰斗
  • 6/14/2021
  • 読み込み時間 : 7min
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製造業における世界的な人材不足は加速しており、日本においてもその傾向が顕著になっています。今後もこの傾向は続くことが予測されているため、製造現場では省人化を実現する正確で分かりやすい作業の伝達や技術伝承が重要視されています。
従来のような集合研修や、膨大な量の紙や PDF の手順書を読み込んで理解するといった手段ではこのような状況に対応するのは困難です。

今回、複雑な医薬品製造の作業手順を効率的にトレーニングするためのデジタルの活用を促進されているファイザー・ファーマより事例をご紹介いただく Web セミナーを開催いたしました。またプロセス製造業のデジタル化に豊富な実績を持つ日立製作所より日本のプロセス製造業におけるトレンドと課題をご紹介いただく Web セミナーも同時に開催いたしました。

本セミナーには多くのお客様にご参加いただき厚く御礼申し上げます。

今回はこちらの Web セミナーのオンデマンド配信が決まりましたので、そのお知らせと、開催時にいただきました多岐にわたるご質問と回答を共有させていただく記事です。

Web セミナー
製造品質と教育レベル向上のための有効かつ効率的なデジタル活用法 ~ファイザー・ファーマが語る、医薬製造のトップランナーを支える先進 DX テクノロジーの活用方法をご紹介~
オンデマンド配信

以下に Web セミナー内でいただいたご質問とそれに対するファイザー・ファーマと日立製作所、PTC の回答をご紹介します。
なお、質問は適宜、一般化しています。


ファイザー・ファーマ向けの質問と回答

質問: 製品の種類や作業のバリエーションが多い場合、どの領域から取り組みを適用するかが重要だと思いますが、ファイザー・ファーマ様では今回の取り組みの適用先はどのように選定されたのでしょうか。

回答: 今回の活動内で作業者などと協議して KPI を決め、それらを元に選定しました。
KPI としては「実施頻度」「作業時間」「熟練者の比率」「複雑さ、忘れやすさ」などがあります。これらをマトリックスにして点数付けをして使用しました。また、「複雑さ、忘れやすさ」など定量評価が難しいものは難易度に応じて点数を分け、各 KPI で点数の重みは分けています。熟練者の比率、複雑さは重めに扱っています。
実際の活動の中でこれらのデータを収集して選定しました。


質問: Vuforia Expert Capture を使用する事により熟練者の何を解析し、技術伝達の効率をどのように上げているのですか。

回答: Vuforia Expert Capture を使用して暗黙知を含んだ熟練者の実際の業務手順を記録し、それに従って業務を行うことで技術伝達の効率化を目指しています。この際に、条件を変えて作業した際の違いなども伝えられるようにしています。
また、文書化や静止画での表現が難しい部分(製品の流れている状態、同時的に複数の作業をすることで調整する作業、など)への適用が望ましいと考えています。


質問: 暗黙知をデータなどの形にするのは難しいと思いますが、どのように取り組まれていますか。

回答: データを収集した上で、各入力変数から多変量解析等を実施し、製造中の運転データからエラーやリアルタイムでの測定が難しい品質特性を予測が出来ないか等検討を進めています。


質問: 今回の取り組みにおいて、GMP 対応に関する課題は何でしょうか。

回答: 21 CFR part 11 関連に対する対応が不足していると考えています。


質問: デジタル化の推進はご自身の部署が中心となられて推進されていますか。

回答: デジタル化を推進する部門としては社内にデジタル部門や技術を活用する部門があります。自部門は IoT データを使った解析や現場の改善を行う部門で、今回の活動ではデジタル化の有用性を経営陣などへ伝えたり、現場レベルに対して説明したりしています。


質問: Vuforia Expert Capture での技能の知見化はどのくらいの時間軸で進めていこうとしていますか。

回答: 今も進めているところで、教育していく中で伝えづらい内容を映像化、資料化していく活動をしています。そのままの良い例を作るだけだと伝わらない部分があるため、わざと条件を変えて見て「これをいじると、これだけ変わる」が分かるようにしています。
こういった活動のため時間軸は答えづらいですが、引き続き、作業者の人が理解できる資料の作成を続けていきます。


質問: 将来的には主要なオペレーター全員がアイウェアを装着した状態で作業を行うことを目指しているのでしょうか。その場合、必要に応じて SOP を確認しながら作業を進めることが可能でしょうか。

回答: アイウェアを装着しての作業は困難と考えています。
基本的には SOP 文書に従い作業を行い、文書化や画像化が難しい部分に関してスマホ、タブレットや PC 画面にて Vuforia View にて作業内容を確認する、という形になるかと考えています。


質問: 導入するのに費用対効果を検討されたのでしょうか。

回答: GMP 対応がグローバルで進んでいるため、導入コストとしてはあまりかかっておらず、単純に適用することでのインパクトが大きい錠剤検査工程などへの適用を進めている状況です。


質問: DX を進めるにあたりこれまでの固定概念を変えていく必要があるかと思いますがどのように浸透させていったのでしょうか。

回答: 発表内でも触れましたが、生産管理ツールを用いる場合、現場レベルで求められているものを作っていく必要があるため、トップダウンではなくボトムアップで進めていくような活動が求められます。一方、デジタルツイン、ソフトセンサーなどは経営陣へインパクトを説明する等、実施効果を示していく必要があります。


日立製作所向けの質問と回答

質問: センシングなど医薬業界特有の難しさはありますでしょうか。その場合、どのように対応、解決されていますでしょうか。

回答: 医薬業界ならではの難しさは存在します。機器に対して新しいセンサーを付けると、品質に影響を及ぼさない、バリデーションしないといけない等あるため、他の産業に比べて難しい部分があると考えています。
そのため、メーターなどのアナログデータを外から画像データとして取り込んでデジタルに変える対応などを取り入れています。取れるデータは限られますが、既存の機器に手をいれずにデータが取れるため、医薬業界へソリューションの一つとなっています。


質問:「(講演内にて)AI で人では見えなかった因果関係を把握できるか?」とありましたが、因果関係が把握できたか具体例はありますか。

回答: 例えば、工程間のデータを繋いで、前工程の製造パラメータが後の工程に影響していたという因果関係の発見や、原料の成分値が生産性に影響していたことに気づくなどがあります。人が見ていると単一の工程で見てしまいますが、全体のプロセスを解析することで問題点が見えてくる可能性があります。


質問: IoT・センシングデータの活用において、特別な情報セキュリティーを準備する必要がありますか。

回答: あくまで社内の LAN 上でご利用いただくデータとなるので、特別なセキュリティーは必要なく、一般的なファイアウォールでの対応で問題ないケースが多いと思われます。


質問: システム開発に関して、作業者の声や現場の運用を始めとする現状把握には、どれくらいの工数をかけていますか。

回答: 現状把握に関しては、どの領域を範囲として、どの程度ベンダーとしてサポートするかに依存しますが、一般的には数人月程度の工数になることが多いと思います。


質問: 異なるデータベースの統合する場合に気をつけることを教えてください。

回答: 各システムからのデータ受信を極力疎結合にするほうが望ましいと思われます。密結合の連携方式をとると、片方のシステムのちょっとした変更により影響を受けるケースがあるので、極力依存関係を低くしたほうが一般的には維持運用がしやすいと考えます。


質問: 医薬以外の分野で、日立様と PTC 様の強みを生かしたデジタル分野の共同取り組みについて教えてください。

回答: 医薬以外も含めたその他一般産業において、AR、IoT プラットフォームの分野で協業によるソリューション等の提供をさせていただいております。


PTC への質問と回答

質問: Vuforia Expert Capture を使用する際に視野が狭くなるなど問題点はありませんか。

回答: Hololens2 を使用する場合、目の全面をレンズがカバーしますので、視界に 3D コンテンツが表示されます。しかし、空間上に固定できるので、邪魔にならないように配置することが可能です。また、Hololens2 はレンズ部分を跳ね上げることが出来るので、視界を確保することが可能です。
Realwear を使用する場合には視界を遮る範囲は狭いため、それほど問題になることはありません。


まとめ

医薬業界における作業品質の確保とそのためのトレーニングの効率化の取り組みは、同業種のみなさまのみならず、他業種の製造業においても求められている内容が多く、ご視聴いただいたみなさまも非常に興味を持たれていることが分かる講演と質疑応答でした。
PTC では今後も皆様のご支援をさせていただきたいと考えています。

この記事を読まれて、詳しい説明のご希望やご質問がございましたら、下記へお問い合わせください。
https://www.ptc.com/ja/contact-us
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執筆者について

豊福 泰斗

製品技術事業部 プラットフォーム技術本部
プリンシパル・テクニカル・スペシャリスト

アプリケーションビジネス20年、プリセールス業11年、IoT歴4年。
PTCには2018年4月に入社し、IoT / AR製品のプリセールスを担当。
主にプロモーション、パートナー様のビジネスのサポートを担当。